第4章 子供・若者の成長のための社会環境の整備(第1節)

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第1節 家庭、学校及び地域の相互の関係の再構築

1 家庭教育支援(文部科学省)

家庭は、子供の健やかな育ちの基盤である。一方、地域とのつながりの希薄化や、親が身近な人から子育てを学んだり助け合ったりする機会の減少など、子育てや家庭教育を支える環境が変化している。このため、社会全体で家庭教育を支えることが求められている。

文部科学省は、「地域における家庭教育支援総合推進事業」により、身近な地域において保護者が家庭教育に関する学習や相談ができる体制が整うよう、家庭教育支援チームの組織化などによる相談対応や、保護者への学習機会の企画・提供などの家庭教育を支援する地方公共団体の取組を推進している(平成29年度は513市町村の5,098か所で実施)(第4-1図)。また、「先駆的家庭教育支援推進事業(訪問型家庭教育支援の実施)」を地方公共団体に委託して実施し、家庭教育支援チーム等による訪問型の家庭教育支援体制の構築を図った(平成29年度は6府県で実施)。

第4-1図 家庭教育支援チーム

平成29(2017)年度は新たに「家庭教育支援チーム」の活動の推進に係る文部科学大臣表彰を実施し、地域における家庭教育支援活動の一層の推進を図った。

平成30(2018)年度も、保護者への学習機会の提供、相談対応等の家庭教育支援の基盤整備や、様々な課題を抱えた家庭に対する訪問型家庭教育支援のより一層の推進を図ることとしている。

2 地域と学校の連携・協働(文部科学省)

(1)地域と学校が連携・協働する体制の構築

文部科学省は、幅広い地域住民や企業・団体等の参画により、地域と学校が連携・協働して、学びによるまちづくり、地域人材育成、郷土学習、放課後等における学習・体験活動など、地域全体で未来を担う子供たちの成長を支え、地域を創生する「地域学校協働活動」を全国的に推進しており、本活動を推進する体制である「地域学校協働本部」は、平成29(2017)年9月現在で約5,168本部設置されている。

平成29年3月の社会教育法(昭24法207)の改正により、地域学校協働活動を推進する教育委員会が地域住民等と学校との連携協力体制を整備することや、地域学校協働活動に関し、地域住民等と学校との情報共有を行う「地域学校協働活動推進員」の委嘱に関する規定の整備が行われたことを踏まえ、地域学校協働活動が円滑かつ効果的に実施されるよう推進している。

(2)保護者や地域住民等の学校運営への参加

コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)は、保護者や地域住民等が学校運営に参画する仕組みであり、保護者や地域住民等から構成される学校運営協議会において、学校運営の基本方針の承認や、教育活動などについて意見を述べるといった取組が行われている1。平成29(2017)年3月には、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」(昭31法162)の一部改正が行われ、学校運営協議会の設置の努力義務化が行われた。また、平成29年4月1日現在、コミュニティ・スクールを導入している学校は、前年度から794校増えて、3,600校に広がっており、着実にその導入が進んできている。

文部科学省は、コミュニティ・スクールの一層の普及・啓発を図るため、コミュニティ・スクールの未導入地域への支援や導入地域における取組充実への支援、コミュニティ・スクール推進員の派遣といった施策を進めている。平成29年度には、コミュニティ・スクールと地域学校協働本部などとの一体的推進を目指し、「学校を核とした地域力強化プラン」の1事業として、コミュニティ・スクールについて、未導入地域での体制づくりへの支援や運営の充実などに係る補助事業を行った。

(3)学校評価と情報提供の推進

教育活動をはじめとする学校運営の状況について評価2を行い、その結果に基づき学校や設置者が学校運営の改善を図ることや評価結果を広く保護者や地域住民に公表していくことが求められている。とりわけ、学校・家庭・地域が学校の現状と課題について共通理解を深めて相互に連携・協力し、学校運営の改善に当たるためには、保護者や地域住民が行う学校関係者評価3が各学校で実施されることが期待される。

文部科学省は、各学校や設置者の取組の参考となるような学校評価ガイドラインの策定などにより、地域と共にある学校づくりと学校評価を推進している4

3 地域全体で子供を育む環境づくり

(1)放課後子ども総合プランの推進(文部科学省、厚生労働省)

共働き家庭などの「小1の壁」を打破するとともに、次代を担う人材を育成するため、全ての就学児童が放課後などを安全・安心に過ごし、多様な体験・活動を行うことができるよう、平成26(2014)年7月に文部科学省と厚生労働省が連名で「放課後子ども総合プラン」を策定した。同プランでは、学校施設(余裕教室や放課後等に一時的に使われていない教室等)を徹底活用して、放課後児童クラブ及び放課後子供教室の一体型を中心とした取組を推進するほか、平成31(2019)年度末までに、放課後児童クラブについて、約30万人分を新たに整備すること、全小学校区(約2万か所)で一体的にまたは連携して実施し、うち1万か所以上を一体型で実施することを目指している。さらに、「新しい経済政策パッケージ」(平成29年12月閣議決定)に基づき、「放課後子ども総合プラン」に掲げる放課後児童クラブの平成31年度末までの約30万人分の新たな受け皿の確保を1年前倒しして、平成30(2018)年度末までに達成することとしている。

全ての子供を対象に、地域住民等の参画を得て、学習やスポーツ・文化芸術活動、地域住民との交流活動などの機会を提供する「放課後子供教室」は、平成29(2017)年9月現在、1,098の市町村で17,615教室が行われている。共働き家庭など保護者が仕事などで昼間家庭にいない小学生を対象に、授業の終了後などにおいて、学校の余裕教室や児童館などを利用して遊びや生活の場を提供する「放課後児童クラブ」5は、平成29年5月現在、1,619市町村で24,573か所実施され、1,171,162人の児童が登録されている(第4-2図)。「放課後児童クラブ」については、平成27(2015)年4月から、対象となる児童の年齢を「おおむね10歳未満」から「小学校に就学している」児童とするとともに、職員の資格、員数等の具体的な基準を定めた「放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準」(平成26年厚生労働省令第63号)や「放課後児童クラブ運営指針」(平成27年3月)を策定し、児童の生活の場としての質の向上を図っている。

第4-2図 「放課後子ども総合プラン」の実施状況

(2)中高生の放課後等の活動の支援(文部科学省、厚生労働省)

小学生のみならず、中学生・高校生等も含め、放課後に全ての子供たちが安心して、多様な学習・体験活動ができるよう、地域全体で取り組んでいくことが重要である。

文部科学省では、地域の多様な経験や技能を持つ人材・企業等の協力により、土曜日等の教育活動を行う体制を構築し、地域と学校が連携・協働した取組を支援している。平成29(2017)年度は公立小・中・高等学校のうち約12,423校で実施した。また、経済的な理由や家庭の事情により、家庭での学習が困難であったり、学習習慣が十分に身に付いていない中学生、高校生等に対して、地域住民の協力等による原則無料の学習支援(地域未来塾)を推進している。平成29年度は全国約2,813か所で実施した。

厚生労働省は、地域における中学生・高校生の活動拠点としての機能をもつ児童館の整備を推進している。

(3)地域で展開される多様な活動の推進

ア 環境学習(文部科学省、環境省、農林水産省)

子供を含めた一人一人が環境問題に関心を持ち、自ら環境保全活動に取り組んでいく態度を養っていくことは、豊かな自然を守り、未来へと引き継いでいくためにも必要である。

環境省をはじめとする関係府省は、「環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律」(平15法130)(以下「環境教育等促進法」という。)と「環境保全活動、環境保全の意欲の増進及び環境教育並びに協働取組の推進に関する基本的な方針」(平成24年6月閣議決定)に基づき、家庭、学校、職場、地域その他あらゆる場における、生涯にわたる質の高い環境教育の機会を提供している6

環境省は、「持続可能な開発のための教育」(ESD:Education for Sustainable Development)7の視点を取り入れた環境教育により地域で推進するリーダーとなる人材の育成に努めているほか、環境教育等促進法に基づく「体験の機会の場」の拡充に向けた取組を行っている。

文部科学省は、子供がその発達段階に応じて、環境の保全についての理解と関心を様々な機会に深めることができるよう、学校教育や社会教育において環境教育を推進している。小学校、中学校及び高等学校の学習指導要領において、社会や理科、技術・家庭科など関連の深い教科を中心に環境教育に関する内容の充実を図るとともに、太陽光発電設備などを環境教育に活用するエコスクール(環境を考慮した学校施設)の整備や、青少年教育施設における豊かな自然環境を活用した体験型の環境学習の機会の提供を行っている。

農林水産省、文部科学省、環境省は、関係団体と連携して、次代を担う高校生と森や海・川の名人との交流を通して、その技や人となりを聞き書きし、成果を発信することにより、青少年の健全育成等を図るための「聞き書き甲子園」を行っている。

イ 自然体験(文部科学省、農林水産省、環境省)

文部科学省は、広く体験活動に対する理解を求めるための家庭や企業に対する普及啓発を推進している。平成26(2014)年度から、地域において家庭、学校、青少年関係団体、NPOなどをネットワーク化し、相互の情報交換や情報共有、事業の共同実施などを円滑化するためのプラットフォームの形成を支援している。

独立行政法人国立青少年教育振興機構は、国立青少年教育施設の立地条件や特色を活かした自然体験活動の機会と場の提供を行っている(国立青少年教育施設の取組については、第4章第1節3(4)ア「青少年教育施設」を参照)。

林野庁は、森林内での様々な体験活動を通じて、森林と人々の生活や環境との関係についての理解と関心を深める森林環境教育を推進しており、関係団体と連携し、学校における身近な森林を活用した環境教育の活動を広げるための情報交換等を行う「学校の森・子どもサミット」を行っている。また、国有林野事業では、学校などと森林管理署長などが協定を結び、自然体験活動の場を提供する「遊々の森」の設定を進めている8(第4-3図)。平成28(2016)年度末現在、学校などとの協定により、国有林野内において160か所の「遊々の森」が設定されており、総合的な学習の時間などにおける森林環境教育の場としても利用されている。

第4-3図 「遊々の森」の活用事例

このほか、緑と親しみ、緑を愛し、緑を守り育てる活動を行う緑の少年団が日頃の活動状況を発表し、相互の研鑽を図る全国緑の少年団活動発表大会に対する支援を行っている。

環境省は、国立公園等の優れた自然地域において自然観察会等を開催することにより、子供たちに自然環境の大切さ等を学ぶ機会を提供するとともに、インターネット等を通じ様々な自然とのふれあいの場やイベントなどに関する情報を発信している。

ウ 警察による社会奉仕活動やスポーツ活動の場の提供(警察庁)

警察は、少年9の規範意識の向上と社会との絆の強化を図る観点から、関係機関・団体、地域社会と協力しながら、環境美化活動をはじめとする少年の社会奉仕活動や生産体験活動といった社会参加活動、警察署の道場を開放した少年柔剣道教室をはじめとするスポーツ活動を行うなど、少年の多様な活動機会の確保と居場所づくりを推進している。

エ スポーツへの参加機会の拡充(文部科学省)

文部科学省では、いつまでも健康で活力に満ちた長寿社会を実現するため、スポーツ医・科学等の知見に基づき、ライフステージに応じた運動・スポーツに関するガイドラインの策定・普及に取り組んでいる。また、スポーツを通じた健康増進に関する施策を持続可能な取組とするため、域内の体制整備及び運動・スポーツに興味・関心を持ち、習慣化につながる取組を支援している。

オ 文化芸術活動の推進(文部科学省)

子供が豊かな心や感性を育むためには、学校教育の場で優れた文化芸術に触れる機会を確保することが重要である。

文部科学省は、オーケストラなどの実演芸術の鑑賞や文化芸術団体によるワークショップをはじめ実演芸術に身近に触れることができる機会の提供10や、子供たちが親とともに民俗芸能、工芸技術、邦楽、日本舞踊、茶道、華道などの伝統文化・生活文化等について、計画的・継続的に体験・修得できる機会を提供する取組に対する支援11など、子供の文化芸術体験活動を推進している(第4-4図)。

第4-4図 文化芸術体験活動

カ 花育(はないく)活動の推進(農林水産省)

農林水産省は、文部科学省や国土交通省と連携して、花壇作りやフラワーアレンジといった花や緑との触れ合いを通じて子供に優しさや美しさを感じる気持ちを育む「花育活動」を推進している。平成29(2017)年度は、小中学校などでの花育活動や花きの市場関係者等の花育実践者に対する花育モデル授業研修の実施に対する支援を行った。

キ 都市と農山漁村の共生・対流の促進(農林水産省、文部科学省、総務省)

農林水産省、文部科学省、総務省は、子供の学ぶ意欲や自立心、思いやりの心、規範意識を育み、力強い成長を支える教育活動として、子供の農山漁村での宿泊体験活動に関する取組に支援を行っている。

(4)体験・交流活動等の場の整備

ア 青少年教育施設(文部科学省)

青少年教育施設は、体験活動を中心とする様々な教育プログラムの実施や、子供や若者が行う自主的な活動の支援により、青少年の健全な育成や青少年教育の振興を図ることを主たる目的として設置された施設である。

独立行政法人国立青少年教育振興機構は、国立青少年教育施設(全国28施設。第4-5図)を通じて、様々な体験活動などの機会を提供しており、平成28(2016)年度は約508万人に利用されている。また、教育的研修支援や青少年教育に関する調査研究を実施し、それらの成果を全国の公立青少年教育施設や関係団体へ普及している。

第4-5図 国立青少年教育施設

イ 都市公園(国土交通省)

都市公園は、都市における緑とオープンスペースを確保し、水と緑が豊かで美しい都市生活空間の形成や都市住民の様々な余暇活動の場の提供のため設置されており、スポーツやレクリエーション活動などを通じて、子供や若者をはじめあらゆる世代が交流を図ることができる場である。

国土交通省は、幅広い年齢層の人々が自然との触れ合いやスポーツ・レクリエーション、文化芸術活動といった多様な活動を行う拠点となる都市公園の整備を推進している12

ウ スポーツ活動の場(文部科学省)

スポーツは心身の健全な発達に重要な役割を果たすものである。体育・スポーツ施設13は、青少年をはじめとする地域住民の日常スポーツ活動の場であり、近年のスポーツニーズの多様化・高度化に伴い、魅力的な施設づくりが望まれている。国民の日常生活における体力づくりやスポーツ活動の場や青少年の遊び場が不足している今日、地域住民の最も身近なスポーツ活動の場として、学校体育施設を地域住民に対し積極的に開放することも望まれている。

文部科学省は、国民の誰もがいつでも身近にスポーツに親しむことができる環境を整備するため、総合型地域スポーツクラブなどの地域におけるスポーツ環境の充実を図っている。

エ 自然公園(環境省)

自然公園は、優れた自然の風景地を保護するとともに、その利用の増進を図ることにより、国民の保健、休養、教化に資するとともに、生物の多様性の確保に寄与することを目的として指定されており、子供や若者をはじめ広く国民の自然とのふれあいや野外活動の場として重要な役割を果たしている。平成29(2017)年度末現在、国立公園34か所14、国定公園56か所、都道府県立自然公園311か所が指定されている。平成27(2015)年における自然公園の利用者は、延べ約9億人に達している。

環境省は、自然とのふれあいを求める国民のニーズに対応するため、平成29年度は、31の国立公園において直轄事業を行い、45都道府県の国立・国定公園では自然環境整備交付金及び平成29年に新たに創設された環境保全施設整備交付金を交付し、歩道、園地、休憩所などの安全で快適な公園利用施設の整備や既存施設の長寿命化対策を推進している。このほか、環境学習・保全調査や過去に損なわれた自然環境を再生するための自然再生事業、新宿御苑などの国民公園における施設整備を実施し、広く国民に供している。

オ 水辺空間の整備(文部科学省、国土交通省、環境省)

国土交通省、文部科学省、環境省は、地域の身近に存在する川などの水辺空間(「子どもの水辺」)における環境学習・自然体験活動を推進するため、「『子どもの水辺』再発見プロジェクト」を実施している。「子どもの水辺」は平成28(2016)年度末時点で、302か所が登録されている。市民団体や教育関係者、河川管理者が一体となった取組が行われているほか、「子どもの水辺サポートセンター」15による水辺の安全利用のための情報提供や学習プログラムの紹介といった支援を行っている(第4-6図)。安全確保や親水空間確保のための水辺の整備が必要な場合には、「水辺の楽校(がっこう)プロジェクト」16により、水辺に近づきやすい河岸整備などを実施している。

第4-6図 子どもの水辺サポートセンター

カ レクリエーションの森の整備(農林水産省)

林野庁は、国有林野を国民の保健・文化・教育的利用に積極的に供するため、自然休養林などの「レクリエーションの森」17の活用を推進している(第4-7図)。平成29(2017)年4月1日現在、全国983か所、37万ヘクタールをレクリエーションの森として設定しており、平成28(2016)年度には延べ1億2千万人が利用している。

第4-7図 レクリエーションの森(自然観察教育林)

キ 被災地における学び・交流の場づくり(文部科学省)

文部科学省は、被災地においても学校・公民館などを活用して、被災した子供たちの放課後や週末などにおける安心安全な居場所づくりや学習・交流活動を支援しており、被災地の地域コミュニティの再生にも寄与している。

ク 道路、路外駐車場、公園、官庁施設、公共交通機関等のバリアフリー化の推進(警察庁、国土交通省)

国土交通省は、「どこでも、だれでも、自由に、使いやすく」というユニバーサルデザインの考え方を踏まえた「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(平18法91)(以下「バリアフリー法」という。)に基づき、施設など(旅客施設、車両等、道路、路外駐車場、都市公園、建築物など)の新設などの際の「移動等円滑化基準」への適合義務、既存の施設などに対する適合努力義務を定めるとともに、「移動等円滑化の促進に関する基本方針」において、平成32(2020)年度末までの整備目標を定めている。平成29(2017)年度においては、バリアフリー法を取り巻く環境の変化を踏まえ、また、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機として、共生社会の実現を目指し、全国において更にバリアフリー化を進めるため、バリアフリー法の改正案を第196回国会に提出した。交通政策基本法(平25法92)に基づく交通政策基本計画(平成27年2月閣議決定)においても、バリアフリーをより一層身近なものにすることを目標の一つとして掲げており、これらを踏まえながらバリアフリー化の更なる推進を図っている。また、市町村が作成する基本構想に基づき、重点整備地区において重点的かつ一体的なバリアフリー化を推進しているとともに、バリアフリー化の促進に関する国民の理解を深め、協力を求める「心のバリアフリー」を推進するため、高齢者、障害者などの介助体験や疑似体験を行う「バリアフリー教室」などを開催しているほか、バリアフリー施策のスパイラルアップ(段階的・継続的な発展)を図っている。具体的なバリアフリー化における取組として、

  • 歩行空間については、駅、官公庁施設、病院等を結ぶ道路や駅前広場等において、高齢者・障害者をはじめとする誰もが安心して通行できるよう、幅の広い歩道の整備や歩道の段差・傾斜・勾配の改善、視覚障害者誘導用ブロックの設置、無電柱化を推進している。
  • 水辺空間については、治水上及び河川利用上の安全・安心に係る河川管理施設の整備により、良好な水辺空間の形成を推進している。
  • 都市公園については、子供から高齢者まで幅広く安全で快適に利用することができるよう、園路の段差解消や誰もが使いやすいトイレの整備などを行っている。
  • 窓口業務を行う官署が入居する官庁施設については、バリアフリー法に基づく建築物移動等円滑化誘導基準に規定された整備水準の確保などにより、妊婦、乳幼児連れの人をはじめ全ての人が、安全に、安心して、円滑かつ快適に利用できる施設を目指した整備を推進している。
  • 公共交通機関については、バリアフリー法に基づき公共交通事業者などに対して、旅客施設の新設・大規模な改良や車両などの新規導入の際に移動等円滑化基準に適合させることを義務付け、既存施設については同基準への適合努力義務を課しているとともに、その職員に対し、バリアフリー化を図るために必要な教育訓練を行うよう努力義務を定めている。さらに、鉄道駅など旅客ターミナル、旅客船のバリアフリー化やノンステップバス、リフト付きバス、福祉タクシーの導入などに対する支援措置を実施している。
  • 建築物については、バリアフリー法に基づく認定特定建築物等のうち一定のものについては、スロープ、エレベーターなどの整備に対する助成によりバリアフリー化の一層の促進を図っている。
  • 「公共交通機関等におけるベビーカー利用に関する協議会」において決定したベビーカー利用に配慮する統一的なマーク(ベビーカーマーク)(第4-8図)やベビーカー利用に当たっての「お願い(呼び掛け)」により、「ベビーカーの安全な使用」や「ベビーカー利用への理解・配慮」を呼び掛けるチラシやポスターを作成し、普及・啓発を図るキャンペーン等を実施した。今後も、ベビーカー使用者や周囲の方に対して、理解・協力を呼び掛けていく。
    第4-8図 ベビーカーマーク

国土交通省と警察庁は、バリアフリー法における重点整備地区内の主要な生活関連経路を構成する道路に設置されている信号機などについては、平成32年度までに、原則として全ての当該道路において、音響信号機、歩行者感応信号機などの信号機の設置、歩行者用道路であることを表示する道路標識の設置、横断歩道であることを表示する道路標示の設置などのバリアフリー化を実施することを目標としている(第4-9図)。

第4-9図 歩行空間のバリアフリー化

ケ 公園遊具の安全点検(国土交通省)

国土交通省は、遊具の安全確保を図り、安全で楽しい遊び場づくりを推進するため、「都市公園における遊具の安全確保に関する指針」の周知徹底に取り組んでいる18

4 子供・若者が犯罪等の被害に遭いにくいまちづくり

(1)子供・若者が犯罪等の被害に遭いにくいまちづくり

近年、幼い子供が被害者となる犯罪が多発し、子供を取り巻く環境は厳しいものとなっている。また、自然災害の際には、児童福祉施設や幼稚園などの災害時要援護者関連施設では、子供が自然災害から身を守るために安全な場所に避難するなどの一連の行動を取るために支援を要する。

このため、子供が犯罪や災害などの被害に遭いにくい環境を創出するために次のような取組を行っている。

ア 通学路やその周辺における子供の安全の確保のための支援(警察庁)

警察は、通学路や通学時間帯を考慮したパトロール活動の強化に加え、子供が犯罪に遭った場合や、声掛けやつきまとい等により犯罪に遭うおそれがある場合に助けを求めることができる「子供110番の家」19(第4-10図)の活動に対する支援を行っている。

第4-10図 子供110番の家

イ 道路、公園等の公共施設や共同住宅における防犯施設の整備等の推進(警察庁、国土交通省)

警察庁は、「安全・安心まちづくり推進要綱」に基づき、防犯に配慮した公共施設などの整備・管理の一層の推進を図っている。

警察庁、国土交通省、経済産業省と建物部品関連の民間団体からなる「防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」は、侵入までに5分以上の時間を要するなどの一定の防犯性能を有する「防犯建物部品」の開発とその普及に努めている。また、警察庁と国土交通省の協力の下、住宅・防犯設備関連団体が「防犯優良マンション標準認定基準」を作成し、周知を図るなど、防犯に配慮した共同住宅の整備を推進している。

国土交通省は、住宅性能表示制度において、開口部の侵入防止対策を「防犯に関すること」として性能表示事項とし、防犯に配慮した住宅の普及を進めている。

ウ 児童福祉施設や幼稚園などにおける災害対応の推進(国土交通省)

国土交通省は、児童福祉施設や幼稚園等の要配慮者利用施設を保全するため、第4次社会資本整備重点計画に基づき土砂災害から人命を守る施設の整備を重点的に実施している。あわせて、災害時における子供等要配慮者の円滑かつ迅速な避難を確保するため、「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」(平12法57)に基づき、土砂災害警戒区域等に関する基礎調査結果の公表及び区域指定により危険な区域を明示し、市町村地域防災計画において土砂災害警戒区域内の要配慮者利用施設の名称及び所在地、土砂災害に関する情報伝達体制等を定めるとともに、これら要配慮者利用施設の管理者等に対して避難確保計画の作成及び避難訓練の実施を義務付けることにより警戒避難体制の充実・強化を図る等、ハード・ソフト一体となった対策を推進している。

(2)安心して外出や外遊びができる環境の整備

ア 通学路の交通安全対策(警察庁、文部科学省、国土交通省)

文部科学省、国土交通省、警察庁は、平成24(2012)年度に実施した通学路の緊急合同点検の結果を踏まえ、学校、教育委員会、道路管理者、警察などの関係機関が連携して実施する通学路の交通安全対策を支援するとともに、各地域における定期的な合同点検の実施や対策の改善・充実などの継続的な取組を支援するなど、通学路における交通安全の確保に向けた取組を推進している。

警察は、道路交通の実態などに応じ、学校、教育委員会、道路管理者などの関係機関と連携し、信号機や横断歩道の整備などの対策を推進している。

文部科学省は、特に対策が必要な市町村に対し、通学路安全対策アドバイザーを派遣し、専門的な見地からの必要な指導・助言の下、学校、教育委員会、関係機関の連携による通学路の合同点検や安全対策の検討を行うほか、通学路安全対策アドバイザーの協力の下に行われる交通安全教育を支援している。

国土交通省は、学校、教育委員会、警察などの関係機関と連携し、歩道の整備、防護柵の設置、路肩のカラー舗装化などの対策を推進している。

イ 子供の不慮の事故防止(消費者庁)

消費者庁は、「不慮の事故」が子供の死因の上位を占めている現状を踏まえ、「子どもを事故から守る!プロジェクト」20を推進し、子供の事故防止に取り組んでいる。平成28(2016)年6月には、「子供の事故防止に関する関係府省庁連絡会議」(9府省庁)を設置し、平成29(2017)年5月に、関係府省庁連絡会議を実施主体として、「子どもの事故防止週間」を新たに定め、関係府省庁が連携して、集中的な広報活動を実施した。

また、事故予防の豆知識などをメールマガジン「子ども安全メールfrom消費者庁」や「消費者庁 子どもを事故から守る!公式ツイッター」で発信している。そのほか、シンボルキャラクター「アブナイカモ」(第4-11図)が各地の子供関連イベントに積極的に参加するなど、子供の事故防止に関する啓発活動を行っている。

第4-11図 「子どもを事故から守る!プロジェ クト」のシンボルキャラクター

ウ 生活道路における交通安全対策の推進(警察庁、国土交通省)

警察庁と国土交通省は、生活道路における子供などの安全な通行を確保するため、空間そのものを安全にするという視点に立って、区域(ゾーン)の設定による最高速度30km/hの区域規制、路側帯の設置・拡幅、物理的デバイスの設置などの車両の速度抑制方策を効果的に組み合わせ、市街地や住宅地における人優先エリアの形成を図っている。

エ 自転車利用環境の整備(警察庁、国土交通省)

国土交通省と警察庁は、車道通行を基本とした安全な自転車通行空間を早期に確保するため、「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」(平成28年7月一部改定)の周知を図っている。また、平成29(2017)年5月に施行された「自転車活用推進法」(平28法113)に基づき、自転車の交通ルール遵守の効果的な啓発や、歩行者・自転車・自動車の適切な分離など、安全で快適な自転車利用環境の創出に向けた取組を推進している。


1 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/community/index.htm
2 学校評価には、1法令上の実施義務が課されている自己評価(各学校の教職員が自ら行う評価)、2実施が努力義務となっている学校関係者評価(保護者や地域住民が自己評価結果を踏まえて行う評価)、3任意に実施する第三者評価(学校運営に関する外部の専門家により専門的視点で行う評価)がある。
3 平成26年度は96.0%の公立学校で実施されている。
4 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakko-hyoka/index.htm
5 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/houkago-jidou.html
6 https://edu.env.go.jp/files/basic-policy_20120626.pdf
7 ESDとは、環境や防災、国際理解等の様々な地球規模の課題を自らの問題として捉え、身近なところから取り組む(think globally, act locally)ことにより、それらの課題の解決につながる新たな価値観や行動を生み出し、持続可能な社会を創造していくことを目指す学習や活動のことである。
8 http://www.rinya.maff.go.jp/j/kokuyu_rinya/kokumin_mori/katuyo/kokumin_sanka/kyouteiseido/kyoteiseido.html
9 「少年法」(昭23法168)第2条に規定する「20歳に満たない者」を指す。
10 http://www.kodomogeijutsu.go.jp/
11 http://oyakokyoshitsu.jp/
12 http://www.mlit.go.jp/crd/park/shisaku/p_toshi/index.html
13 全国に体育・スポーツ施設は約19万か所あり、そのうち、学校体育・スポーツ施設が約61%、公共スポーツ施設が約28%、民間スポーツ施設が約8%、大学・高専体育施設が約4%となっている。これらのうち、地域住民の身近なスポーツ活動の場となる学校体育・スポーツ施設についてみると、最も設置数の多い施設は体育館で、約32,000か所となっており、次いで、多目的運動広場が約30,000か所、水泳プール(屋外)が約23,000か所、庭球場(屋外)が約8,000か所となっている。
14 http://www.env.go.jp/park/
15 「『子どもの水辺』再発見プロジェクト」の推進・支援組織として公益財団法人河川財団内に設立されている。http://www.kasen.or.jp/mizube/
16 http://www.mlit.go.jp/river/kankyo/main/kankyou/gakkou/
17 「レクリエーションの森」は、それぞれの森林の特徴や利用の目的に応じて、自然休養林、自然観察教育林、風景林、森林スポーツ林、野外スポーツ地域、風致探勝林の6種類に区分される。http://www.rinya.maff.go.jp/j/kokuyu_rinya/kokumin_mori/katuyo/reku/rekumori/rekumori.html
18 http://www.mlit.go.jp/crd/park/shisaku/ko_shisaku/kobetsu/yuugu.html
19 「子ども110番の家」地域で守る子どもの安全対応マニュアルhttps://www.npa.go.jp/safetylife/seianki62/pdf/kodomo110-1.pdf
20 http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/child/
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