第4章 子供・若者の成長のための社会環境の整備(第3節)

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第3節 子供・若者を取り巻く有害環境等への対応

1 「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」の改正(内閣府)

青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするため、平成20(2008)年6月、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」(以下「青少年インターネット環境整備法」という。)が成立し、平成21(2009)年4月1日に施行されたが、その後、スマートフォンやアプリ・公衆無線LANなど、既存の携帯電話への措置では対応困難な機器・サービスの利用が急速に拡大し、フィルタリング利用率が伸び悩んでいる状況に対応するため、フィルタリングの利用の促進を図ることを目的に平成30(2018)年2月1日、改正青少年インターネット環境整備法が施行された。

同法では、

  • 携帯電話インターネット接続役務提供事業者等は、契約の締結等をしようとするときは、あらかじめ、当該契約の相手方又は当該契約に係る携帯電話端末等の使用者が青少年であるかどうかを確認しなければならないこと(青少年確認義務)
  • 携帯電話インターネット接続役務提供事業者等は、契約の相手方が青少年である場合にあっては当該青少年に対し、契約に係る携帯電話端末等の使用者が青少年であり、かつ、当該契約の相手方がその青少年の保護者である場合にあっては当該保護者に対し、青少年が青少年有害情報の閲覧をする可能性がある旨及び青少年有害情報フィルタリングサービスの利用の必要性等について、説明しなければならないこと(説明義務)
  • 携帯電話インターネット接続役務提供事業者等は、携帯電話インターネット接続役務の提供と関連性を有するものとして携帯電話端末等を販売する場合において、契約の相手方又は当該携帯電話端末等の使用者が青少年であるときは、その青少年の保護者がフィルタリング有効化措置を講ずることを希望しない旨の申出をした場合を除き、当該携帯電話端末等について、フィルタリング有効化措置を講じなければならないこと(フィルタリング有効化措置実施義務)
  • インターネット接続機器の製造事業者にフィルタリング容易化措置を講ずべきことを義務付ける規定の対象となる機器について、携帯電話端末及びPHS端末もその対象に含めること(フィルタリング利用容易化措置義務)
  • OS開発事業者は、フィルタリング有効化措置及びフィルタリング容易化措置が円滑に講ぜられるように、OSを開発するよう努めなければならないこと(容易化措置円滑化の努力義務)

が新たな義務として規定された(第4-12図)。

第4-12図 青少年インターネット環境整備法改正の概要

なお、平成27(2015)年7月30日、この法律に基づく「青少年インターネット環境整備基本計画(第3次)」が子ども・若者育成支援推進本部で決定されているが、今後、見直しが予定されている(第4-13図)。

第4-13図 青少年インターネット環境整備法の概要

(1)実態の把握(内閣府)

内閣府は、青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備を推進するため、青少年インターネット環境整備法の実施状況を検証するとともに、青少年のインターネット利用環境整備に関する基礎データを得ることを目的として、青少年及びその保護者を対象とした「青少年のインターネット利用環境実態調査」(第4-14図、第4-15図、第4-16図、第4-17図、第4-18図)を実施している24

第4-14図 青少年のインターネット利用率(平成29年度)
第4-16図 青少年のインターネットの利用時間(平日1日あたり)(平成29年度)
第4-17図 スマートフォンでインターネットを利用している青少年の保護者の取組(平成29年度)
第4-18図 保護者のインターネットに関する啓発や学習の経験(平成29年度)

(2)子供や保護者に対する啓発(内閣府、警察庁、総務省、法務省、文部科学省)

内閣府は関係省庁と連携し、インターネット利用におけるフィルタリングの普及や適切な利用を推進するため、リーフレットの作成、公表、配付などによる啓発活動に取り組んでいる25(第4-19図)。また、地域における関係機関、団体が連携し、自立的に各種取組を実施できるようにするための体制構築を目的として、「青少年のインターネット利用環境づくりフォーラム」を開催し、平成29(2017)年度は全国3か所で開催した(第4-20図)。

第4-19図 インターネット利用に関する保護者 向け啓発リーフレット
第4-20図 青少年のインターネット利用環境づくりフォーラム

加えて、内閣府をはじめ関係省庁では、地方公共団体、関係団体、関係事業者などと連携し、毎年、2月から5月にかけて、スマートフォンやソーシャルメディアの安全・安心な利用のための啓発活動を集中的に実施する、「春のあんしんネット・新学期一斉行動」を展開している。なお、平成29年10月に発覚した座間市における事件の再発防止策として、例年の取組を前倒しし、フィルタリングの利用促進及びインターネットリテラシーの向上に重点を置いた啓発活動等の取組を一層強力に推進する「あんしんネット 冬休み・新学期一斉緊急行動」を実施した(平成29年12月から平成30年5月まで)。

内閣府をはじめ関係省庁では、期間中、ラジオ・BSテレビ・インターネット等の様々な広報媒体を通じた啓発活動等の取組を集中的に展開した。

警察は、出会い系サイトやSNSの利用に起因する犯罪による被害やインターネット上の違法情報・有害情報の影響から子供を守るための広報啓発を推進している。平成30(2018)年2月の広報重点を「サイバー空間の脅威に立ち向かう社会全体の意識の向上」として、全国の小学校や中学校などにおいて情報セキュリティに関する講習を開催した。この講習では、子供や保護者、学校の教職員などに対し、インターネット上の違法情報・有害情報に起因した犯罪、子供を被害者とするサイバー犯罪の具体的事例や対応策を紹介するとともに、フィルタリングの導入などを進めている。

総務省は、地方の各総合通信局が地域の核としてコーディネーター役を務め、関係者を巻き込んだリテラシー向上の枠組み整備とこれを活用した周知啓発活動を推進している。具体的には、文部科学省や情報通信分野などの企業・団体と連携し、子供のインターネットの安心・安全な利用に向けて、主に保護者・教職員や子供を対象とした啓発講座を全国規模で行う「e-ネットキャラバン」の活動を全国で実施している。また、インターネットリテラシー指標に関する開発、実施を通じた全国的な啓発活動を行っている。

法務省の人権擁護機関では、「インターネットを悪用した人権侵害をなくそう」を啓発活動の強調事項の一つとして掲げ、講演会開催、啓発冊子の配布等、各種啓発活動を実施している。その一環として、人権啓発ビデオ「インターネットと人権~加害者にも被害者にもならないために~」を作成し、各法務局における貸出しやインターネットによる配信を行っているほか、ブログサイトやSNSサイトに、人権に関する正しい理解を深めることや相談先及び救済手続を案内することを目的としたインターネット広告を掲載するなど、各種啓発活動を実施している(第4-21図)。

第4-21図 インターネット人権啓発ビデオ

文部科学省は、保護者や学校関係者、地方公共団体、事業者の効果的な取組を推進するため、平成30年3月、インターネットの使用等に関する「ネット安全安心全国推進フォーラム」を開催した。有識者による講演やカンファレンスなどを行い、青少年を取り巻く現状や取組の紹介などを通じて、インターネット社会を生きていく青少年のために社会全体でどう取り組んでいくべきか考える機会を提供した。

(3)フィルタリングの普及啓発(内閣府、警察庁、総務省、文部科学省、経済産業省)

青少年インターネット環境整備法では、国などがフィルタリングについて広報啓発活動を行うことが規定されており、関係府省庁が民間団体などと連携して、フィルタリングの普及啓発を推進している。

警察は、違法情報に対する取締りを推進するとともに、有害情報から子供を守るためのフィルタリングの普及、プロバイダの自主的措置の促進に努めている。また、子供にもスマートフォンが普及し、その利用に係る福祉犯被害などが増加していることから、関係府省などと連携して、スマートフォンに対応したフィルタリング、家庭のルールづくりの必要性などについての広報啓発や、関係事業者に対する要請を行っている。

総務省は、インターネット上の有害な情報から子供を保護するため、携帯電話事業者によるフィルタリングサービスの見直しを進めるとともに、学校関係者や保護者のフィルタリングへの理解の向上に努めている。

文部科学省は、有識者等による「ネットモラルキャラバン隊」を結成し、フィルタリングやインターネット利用のルールに関する学習・参加型のシンポジウムを保護者等を対象に全国で実施するとともに、さらに携帯電話等をめぐるトラブルや犯罪被害の事例、対処方法のアドバイスなどを盛り込んだ児童生徒向けの普及啓発資料を作成し、全国の小中高等学校等へ配付している。

経済産業省は、警察庁及び都道府県警察の協力の下、全国各地のNPOや関係省庁等と連携し、「インターネット安全教室」を開催し、フィルタリングの普及啓発を図ることなどを通じて、関係者全体のインターネットリテラシーの向上と青少年及びその保護者などによる実効的な自主的対策を促進している。また、平成30(2018)年度には、教育委員会への講師派遣も実施する予定である。

(4)悪質な違法行為の取締りなど(警察庁、法務省)

警察庁は、一般のインターネット利用者などからの違法情報等に関する通報を受理し、警察への通報やプロバイダ、サイト管理者などへの削除依頼を行うインターネット・ホットラインセンターを運用している(第4-22図)。同センターでは、平成28(2016)年には277,667件の通報を受理しており、プロバイダなどに対して17,106件の違法情報の削除依頼を行い、そのうち16,838件(98.4%)が削除された。外国のウェブサーバに蔵置された児童ポルノ情報についても、当該外国の同種の機関に対し削除に向けた取組を依頼している。

第4-22図 インターネット・ホットラインセンター

警察は、サイバーパトロールや、都道府県警察が委嘱した民間のサイバー防犯ボランティア、インターネット・ホットラインセンターからの通報により、インターネット上に流通する違法情報・有害情報の把握に努めるとともに、全国の警察が連携して、以下の取組を進めている。

  • 出会い系サイトの利用に起因する犯罪から子供を保護するため、当該サイトを利用して子供を性交などの相手となるよう誘引する行為などの積極的な取締り
  • 出会い系サイト以外のSNSの利用に起因する子供の被害が増加していることを受け、関係機関・団体と連携し、フィルタリングの普及促進といった各種対策
  • これらのサイトの利用に起因する子供の被害を防止するための広報啓発
  • インターネット利用者の規範意識を醸成するため、サイバー防犯ボランティアの育成・支援

法務省の人権擁護機関において、インターネット上の名誉毀損・プライバシー侵害などの人権侵害情報について相談を受けた場合、プロバイダなどに対する発信者情報の開示請求や当該情報の削除依頼の方法について助言している。人権侵害情報による被害の回復を被害者自ら図ることが困難な場合は、「プロバイダ責任制限法 名誉毀損・プライバシー関係ガイドライン」を活用して、プロバイダなどに当該情報の削除を要請するなど被害の救済に努めている。

(5)関係団体等の自主的な取組の促進(内閣府、総務省)

利用者・産業界・教育関係者などが相互に連携するために民間企業・各種団体・PTA等によって設立された安心ネットづくり促進協議会26では、広く国民一般を対象としたリテラシー向上の推進に取り組んでおり、インターネットや様々なメディアを活用し、リテラシー向上やフィルタリングの普及などの活動を全国各地で実施している。

また、青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするため、関係業界や関係団体で様々な取組が行われている(第4-23表)。

(6)インターネット以外のメディア等に係る環境の整備(内閣府、警察庁)

インターネット以外のメディアが提供する情報のうち、特に性・暴力表現に関する情報などについては子供に悪影響を及ぼす場合があると指摘されることがある。子供を取り巻く有害情報対策は、まず、関係業界自身が自主的に取り組むことが大切であり、マスコミをはじめ関係業界において様々な取組が自主的に行われている(第4-23表)。

第4-23表 関係業界などによる有害情報対策や青少年保護の自主的取組

これに加え、各都道府県(長野県を除く。)においては、いわゆる青少年保護育成条例に基づき、有害図書類などの子供・若者を取り巻く有害環境に対する規制が行われている。

内閣府では、ホームページに各都道府県の条例及び規制等の制定状況や有害図書類の指定状況等を掲載する27などして、有害環境対策に関する都道府県間の情報共有を図っている。

警察では、青少年保護育成条例により青少年への販売などが規制されている有害図書類について、条例違反行為の取締りを行っている。

2 ネット依存への対応(文部科学省)

近年、スマートフォン等をはじめとするインターネット接続機器の普及に伴い、長時間利用による生活リズムの乱れや有害サイト等を通じた被害などが深刻な問題となっている。

このような現状を踏まえ、文部科学省では、青少年を取り巻く有害環境対策の推進として次のような取組を実施している。

  • 有識者等による「ネットモラルキャラバン隊」を結成し、フィルタリングやインターネット利用のルールに関する学習・参加型のシンポジウムを保護者等を対象に全国で実施
  • インターネットの有効な活用方法などについて、青少年自ら研修し、学んだ成果を発信する「青少年安心ネット・ワークショップ」を実施
  • 急速に普及していくインターネット環境に対応するため、地域の先進的な取組に対する支援を実施
  • 携帯電話等をめぐるトラブルや犯罪被害の事例、対処方法のアドバイスなどを盛り込んだ児童生徒向けの普及啓発資料を作成し、全国の小中高等学校等へ配付(第4-24図)
    第4-24図 インターネットに関する児童生徒向けの普及啓発資料
  • 保護者や学校関係者、地方公共団体、事業者の効果的な取組を推進するため、全国的なフォーラムを開催
  • 青少年のスマートフォンを所有する割合や、スマートフォンなどを通じてインターネットを活用する割合及び平均的な利用時間が増加傾向にあり、いわゆるネット依存への対策が喫緊の課題となっているため、青少年教育施設を活用し、ネット依存傾向の青少年を対象とした自然体験や宿泊体験プログラムの実施を通じたネット依存対策を実施

3 性風俗関連特殊営業等の取締り等(警察庁)

警察は、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(昭23法122)に基づき、学校周辺等の営業禁止区域等において違法に営まれる性風俗関連特殊営業や、18歳未満の者に客の接待などをさせる違法な風俗営業などの取締りを積極的に進めている。

4 酒類、たばこの未成年者に対する販売等の禁止

(1)取締り・処分等(警察庁、法務省)

警察は、「未成年者喫煙禁止法」(明33法33)と「未成年者飲酒禁止法」(大11法20)に基づき、未成年者が酒類やたばこを容易に入手できないような環境を整備するため、指導取締りを徹底するとともに、年齢確認の徹底、従業員研修の実施、自動販売機の適切な管理などについて、関係業界が自主的な措置をとるよう働き掛けている。

検察は、「未成年者喫煙禁止法」や「未成年者飲酒禁止法」に違反する事案について、必要な捜査を行い、事案に応じた処分を行っている。

(2)飲酒防止(厚生労働省、国税庁)

国税庁28は、未成年者飲酒防止をはじめとする酒類の販売管理の徹底を図る観点から、「未成年者の飲酒防止に関する表示基準」(以下「表示基準」という。)の策定や、酒類小売販売場ごとに酒類販売管理研修を受講した者のうちから酒類販売管理者を選任させるなど、所要の措置を講じている。また、国税局長が委嘱した酒類販売管理協力員が収集した情報などを踏まえ、職員が表示基準の遵守状況を確認し、違反のあった場合には是正指導を行っている。このほか、酒類業界に対して、未成年者飲酒防止に配意して販売、広告・宣伝を行うよう要請するとともに、購入者の年齢確認ができない従来型自動販売機の撤廃といった取組を支援している。

酒類に係る社会的規制等関係省庁等連絡協議会(内閣府、警察庁、公正取引委員会、総務省、文部科学省、厚生労働省、国税庁)は、毎年4月を未成年者飲酒防止強調月間と定め、啓発用ポスターの作成・配布による全国的な広報啓発活動を連携して行っている。また、全国小売酒販組合中央会が実施している「未成年者飲酒防止・飲酒運転撲滅全国統一キャンペーン」やビール酒造組合を中心に実施している「STOP!未成年者飲酒」プロジェクトの取組を支援するなど、国民の未成年者飲酒防止に関する意識の高揚を図っている。

未成年者の飲酒を含む不適切な飲酒の影響による心身の健康障害の発生、進行及び再発の防止を図ること等を目的として、「アルコール健康障害対策基本法」(平25法109)が平成26(2014)年6月に施行され、同法に基づくアルコール健康障害対策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な計画である「アルコール健康障害対策推進基本計画」が平成28(2016)年5月31日に策定(閣議決定)されている。

厚生労働省では、「アルコール健康障害対策基本法」第10条に基づくアルコール関連問題啓発週間(毎年11月10日~16日)に合わせて、ポスターの作成やアルコール関連問題啓発フォーラムを主催、都道府県との共催による同フォーラムを開催など、啓発に取り組んだ。

(3)喫煙防止(財務省)

財務省は、未成年者喫煙防止の観点から、自動販売機を設置する場合には成人識別自動販売機とすることをたばこ小売販売業の許可の条件としている29。また、インターネットによるたばこ販売については、販売時に購入希望者の年齢識別が適切に講じられるよう、あらかじめ公的な証明書により購入希望者の年齢確認などを行った上で販売することをたばこ小売販売業の許可の条件としている。これらの条件に対する違反のあった場合には、「たばこ事業法」(昭59法68)に基づく行政処分(許可の取消し・営業停止)の対象となる。


24 https://www8.cao.go.jp/youth/kankyou/index.html
25 内閣府ホームページhttps://www8.cao.go.jp/youth/kankyou/internet_use/h29/leaflet.htmlからPDF形式でダウンロード可能。
26 http://good-net.jp/
27 https://skcao.go.jp/
28 http://www.nta.go.jp/taxes/sake/miseinen/mokuji.htm
29 http://www.mof.go.jp/tab_salt/topics/index.html
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