特集1 日本の若者意識の現状~国際比較からみえてくるもの~

[目次]  [戻る]  [次へ]

調査結果のポイント

  • 日本の若者は、諸外国の若者と比べて、自身を肯定的に捉えている者の割合が低い傾向にあるが、日本の若者の自己肯定感の低さには自分が役に立たないと感じる自己有用感の低さが関わっていること
  • 日本の若者は、諸外国の若者と比べて、外国留学や外国居住を望む者の割合が低い傾向にあること
  • ボランティア活動の経験者や自分自身に満足している者の中には、外国留学を希望する者が多い傾向にあること

1 はじめに

  • 内閣府では、我が国と諸外国の若者の意識を比較することにより、我が国の若者の意識の特徴及び問題等を把握し、子供・若者の育成支援に関する施策の参考とするため、平成30(2018)年度に「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」(図表1)を実施した。
  • 今回の特集では、この調査の結果から見えてくる日本の若者の意識を、人生観関係、国家社会関係、職業関係、学校関係の4つの項目について、諸外国の若者の意識と比較し、日本の若者の意識の特徴等について紹介する。
    図表1 我が国と諸外国の若者の意識に関する調査(平成30年度)の概要

2 人生観関係

(1)自己認識

  • 日本の若者で、自分自身のイメージについて、「そう思う」又は「どちらかといえばそう思う」と回答した者の割合は、「自分の親から愛されている(大切にされている)と思う」の79.0%が最も高かった。次いで高かったのは、順に、「早く仕事をして稼ぎたい」の72.0%、「自分には長所があると感じている」の62.3%であった。(図表2)
    図表2 自分自身のイメージ
  • また、日本の若者で、自分自身のイメージの中で、「自分自身に満足している」と「自分には長所があると感じている」に「そう思う」又は「どちらかといえばそう思う」と回答した者の割合は、それぞれ45.1%と62.3%であったが、この割合はいずれも同様の回答をした諸外国の若者の割合と比べて低かった。このうち、日本の若者で、「自分には長所があると感じている」に「そう思う」又は「どちらかといえばそう思う」と回答した者の割合は、平成25年度の調査時よりも6.6ポイント低かった。(図表3、図表4)
  • このように、日本の若者は、諸外国の若者と比べて、自分自身に満足していたり、自分に長所があると感じていたりする者の割合が最も低く、また、自分に長所があると感じている者の割合は平成25年度の調査時より低下していた。
    図表3 自分自身に満足している
    図表4 自分には長所がある
  • 一方、日本の若者で、「自分は役に立たないと強く感じる」に、「そう思う」又は「どちらかといえばそう思う」と回答した者の割合は51.8%であり、これはドイツ、フランス、スウェーデンに比べると高いが、アメリカ、イギリスよりは若干低く、韓国と同程度であった。(図表5)
    図表5 自分は役に立たないと強く感じる
  • 自分自身への満足感とその他の自分自身のイメージとの関係についてみると、日本の若者は、「自分は役に立たないと強く感じる」に「そう思う」又は「どちらかといえばそう思う」と回答した者ほど、「自分自身に満足している」に「そう思う」又は「どちらかといえばそう思う」と回答した者の割合が低かったが、諸外国の若者に同様の関係は認められなかった1。(図表6)
    図表6 自分自身への満足感とその他の自分自身のイメージとの関係
  • このように、日本の若者は、自分が役に立たないと強く感じている者ほど自分自身に満足している者の割合が低かったが、同様の関係は諸外国の若者の意識には認められなかった。

3 国家・社会関係

(1)自国に対する意識

  • 政策決定過程への関与についてみると、日本の若者で、「そう思う」又は「どちらかといえばそう思う」と回答した者の割合が最も高かったのは、「子供や若者が対象の政策や制度は対象者に意見を聴くようにすべき」の69.5%であった。(図表7)
  • 「子供や若者が対象となる政策や制度については子供や若者の意見を聴くようにすべき」及び「社会をよりよくするため、私は社会における問題の解決に関与したい」に「そう思う」又は「どちらかといえばそう思う」と回答した者の割合は、諸外国の若者と比べて最も低かった。(図表8)
    図表7 政策決定過程への関与
    図表8 政策決定過程への関与(諸外国比較)
  • ボランティア活動に対する興味2についてみると、日本の若者で、「ボランティア活動に興味がありますか」に「ある」と答えた者の割合は33.3%であり、調査対象国の若者と比べて最も低く、「ない」と答えた者の割合は48.1%であり、調査対象国の若者と比べて最も高かった。
  • 「ボランティア活動に興味がありますか」に「ない」と回答した日本の若者の割合は、平成25年度の調査時よりも6.2ポイント高かった。(図表9)
  • このように、日本の若者は、諸外国の若者と比べて、ボランティア活動に興味がある者の割合は低く、ボランティア活動に興味がない者の割合は平成25年度の調査時よりもさらに上昇していた。
    図表9 ボランティア活動に興味
  • 日本の若者について、社会参加への意識とボランティア活動の経験との関係をみると、ボランティア活動について「現在、活動している」又は「以前、したことがある」と回答した者ほど、ボランティア活動を「したことがない」と回答した者と比べて、「社会をよりよくするため、私は社会における問題の解決に関与したい」に「そう思う」又は「どちらかといえばそう思う」と回答した者の割合が高かった。(図表10)
  • このように、日本の若者は、ボランティア活動をしているか経験したことがある者ほど社会参加への意識が高かった。
    図表10 社会参加への意識とボランティア活動について

(2)国際的な視野

  • 国際社会の一員としての役割を果たしていくために必要な「異文化理解力・対応力3」について、「十分に身に付けていると思う」又は「ある程度身に付けていると思う」と回答した日本の若者の割合は29.4%であり、調査対象国の中では最も低かった。(図表11)
    図表11 異文化理解力・対応力(諸外国比較)
  • 外国留学への意識についてみると、日本の若者では、「将来外国留学をしたいと思いますか」との問いに回答した者の割合が最も高かったのは「外国留学をしたいと思わない」の53.2%であり、外国留学を希望する者の割合は、諸外国の若者と比べて最も低かった。(図表12)
  • また、日本の若者で、「将来外国に住みたいと思いますか」との問に回答した者の割合が最も高かったのは「将来もずっと自国に住みたい」の42.7%であり,諸外国の若者と比べて、将来外国に住みたいと思う者の割合も最も低かった。(図表13)
    図表12 将来外国留学をしたいか
    図表13 将来外国住みたいか
  • このように、日本の若者は、諸外国と比べて、外国留学や外国居住を望む者の割合が低く、国際社会の一員としての役割を果たしていくために必要な素養を身に付けていると考えている者の割合も低かった。
  • また、日本の若者について、外国留学への意識とボランティア活動の経験との関係をみると、ボランティア活動について「現在、活動している」又は「以前、したことがある」と回答した者ほど、ボランティア活動を「したことがない」と回答した者と比べて、外国留学を希望する者の割合が高かった4。(図表14)
    図表14 外国留学への意識とボランティア活動の経験について
  • さらに、日本の若者について、外国留学への意識と自分自身のイメージとの関係をみると、同様に、「自分自身に満足している」に「そう思う」又は「どちらかといえばそう思う」と回答した者ほど、「そう思わない」又は「どちらかといえばそう思わない」と回答した者と比べて、外国留学を希望する者の割合が高く、特に、「外国の学校に進学して卒業したい」と「半年から1年程度留学したい」という中長期の外国留学を希望する者の割合が高かった5。(図表15)
    図表15 外国留学への意識と自分自身への満足感について
  • このように、日本の若者は、ボランティアをしているか経験したことがある者ほど、また、自分自身に満足している者ほど、外国留学を希望する者の割合が高く、中長期の外国留学を希望する者の割合も高かった。

4 職業関係

(1)職業生活の重視点

  • 日本の若者が「仕事を選ぶ際に重視すること」のうち、選択した者の割合が最も高かったのは、「収入」の70.7%であり、次いで高かったのは、順に、「仕事内容」の63.1%、「労働時間」の60.3%、「職場の雰囲気」の51.1%であった。
  • また、平成25年度の調査時と比べて、選択した者の割合が多かった上位3項目は、「収入」、「仕事内容」、「労働時間」で変わりないが、「労働時間」を選択した者の割合は8.6ポイント高かった。また、「自分を生かすこと」、「自分の好きなことや趣味を生かせること」を選択した者の割合はそれぞれ9.9ポイントと4.0ポイント低かった。(図表16)
  • このように、日本の若者は、平成25年度の調査時と比べて、仕事を選ぶ際に自己実現につながるかどうかを重視する者の割合が低下していた一方で、労働時間など、私生活の豊かさに結び付く労働条件であるかどうかを重視する者の割合は上昇していた。
    図表16 職業選択の重視点

5 学校関係

(1)進学や費用負担

  • 教育にかかる費用を負担すること」について、日本の若者で、「基本的には、社会全体で費用を負担すべき」と回答した者の割合は46.2%、「基本的には、本人またはその親が費用を負担すべき」と回答した者の割合は36.2%であった。
  • 「基本的には、社会全体で費用を負担すべき」と回答した日本の若者の割合は、スウェーデン、ドイツ、フランス、韓国、イギリスに比べると低いが、アメリカよりは高かった。
  • 平成25年度の調査時と比べると、「基本的には、社会全体で費用を負担すべき」と回答した者の割合は5.9ポイント高く、「基本的には、本人またはその親が費用を負担すべき」と回答した者の割合は6.4ポイント低かった。
  • このように、日本の若者の中では、平成25年度の調査時と比べて、教育にかかる費用を、本人やその親ではなく社会全体で負担すべきであると考える者の割合が上昇していた。(図表17)
    図表17 教育の負担について

6 おわりに

  • 今回の調査により、日本の若者は諸外国の若者と比べて、自分自身に満足していたり自分には長所があると思ったりするなど、自身を肯定的に捉えている若者の割合が低い傾向にあり、こうした自己肯定感の低さには自分が役に立たないと感じる自己有用感の低さが関わっている点に、諸外国の若者にはみられない日本の若者の独自性がみられること、日本の若者で外国留学や外国居住を望む者は諸外国の若者と比べて少なく、国際社会で必要な素養を身に付けていると考える者も多くはないが、ボランティア活動の経験者や自分自身に満足している者の中には外国留学を希望する者が多いことなど、日本の若者の意識について様々な特徴を明らかにすることができた。
  • こうした調査結果が、今後の子供・若者の育成支援に関する施策の検討に鋭意活用され、関連施策の充実に役立てられるよう期待したい。

1 北海道大学大学院教育学研究院准教授 加藤弘通氏の分析結果による。
2 「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」では、第3章 地域社会・ボランティア関係の質問として整理している。
3 たとえば、自国と他国の文化・歴史・社会を理解し、互いの生活・習慣・価値観などを尊重して、異なる文化の人々とともに生きていくことができる態度や能力をいう。
4 一橋大学森有礼高等教育国際流動化機構全学共通教育センター教授 太田浩氏の分析結果による。
5 一橋大学森有礼高等教育国際流動化機構全学共通教育センター教授 太田浩氏の分析結果による。
[目次]  [戻る]  [次へ]