特集2 長期化するひきこもりの実態

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調査結果のポイント

  • 満40歳から満64歳までのひきこもりの出現率は1.45%で、推計数は61.3万人であること
  • ひきこもり状態になってから7年以上経過した方が約5割を占め、長期に及んでいる傾向が認められること
  • 専業主婦や家事手伝いのひきこもりも存在すること
  • ひきこもり状態になった年齢が全年齢層に大きな偏りなく分布していること

1 はじめに

  • 内閣府では、これまで、平成21(2009)年度と平成27(2015)年度に、満15歳から満39歳までの者を対象にひきこもりの実態調査を実施してきているが、両調査の結果を比較したところ、ひきこもりの状態となってから7年以上経つ者の割合が増加しており、ひきこもりの長期化傾向がうかがわれた。
  • そこで、青年期以降のひきこもりの実態を調査することにより、青少年期の生活がその後の生活に及ぼす影響等を明らかにし、青少年の育成支援に係る諸施策の企画・立案に役立てることを目的に、平成30(2018)年度において、満40歳から満64歳までの者を対象とするひきこもりの実態調査を、「生活状況に関する調査」として実施した。
  • この特集では、平成30年度に内閣府が行った「生活状況に関する調査1」(以下「平成30年度調査」という。)の結果について、平成27年度に満15歳から満39歳までを対象に実施した「若者の生活に関する調査」(以下「平成27年度調査」という。)の結果とも比較しながら紹介する。

2 平成30年度調査の概要

(1)調査の対象、時期、方法

  • 平成30年度調査は、層化二段無作為抽出法で抽出された全国の満40歳から満64歳までの5,000人とその同居者の方を対象に、平成30年12月7日から同月24日までの間、内閣府から委託を受けた民間の調査会社の調査員が調査対象者の自宅を訪問して調査票を渡し、後日、再び訪問して調査票を回収するという、訪問留置・訪問回収の方法により実施した。

(2)ひきこもりの定義

  • 調査の対象となるひきこもりの定義としては、平成27年度調査と同様、厚生労働科学研究費補助金こころの健康科学研究事業「思春期のひきこもりをもたらす精神科疾患の実態把握と精神医学的治療・援助システムの構築に関する研究(H19-こころ-一般-010)」で作成された「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」における次の定義を用いた。

    様々な要因の結果として社会的参加(義務教育を含む就学、非常勤職を含む就労、家庭外での交遊など)を回避し、原則的には6 ヵ月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態(他者と交わらない形での外出をしていてもよい)を指す現象概念である。

    なお、ひきこもりは原則として統合失調症の陽性あるいは陰性症状に基づくひきこもり状態とは一線を画した非精神病性の現象とするが、実際には確定診断がなされる前の統合失調症が含まれている可能性は低くないことに留意すべきである。

  • この定義を平成30年度調査の調査項目に当てはめ、以下の者をひきこもり状態にある者とした。

    「ふだんどのくらい外出しますか。」との問いについて、下記の14に当てはまる者であって、「現在の状態となってどのくらい経ちますか。」との問いについて、6か月以上と回答した者2

    1趣味の用事のときだけ外出する

    2近所のコンビニなどには出かける

    3自室からは出るが、家からは出ない

    4自室からほとんど出ない

  • ただし、次のア~ウのいずれかに該当する者は、ひきこもりには該当しないとして除いている。

    ア 自営業・自由業を含め、現在、何らかの仕事をしていると回答した者

    イ 身体的な病気がきっかけで現在の状態になったと回答した者

    ウ 現在の状況を専業主婦・主夫、家事手伝いと回答したか、現在の状態になったきっかけを妊娠、介護・看護、出産・育児と回答した者のうち、最近6か月間に家族以外の人とよく会話した・ときどき会話したと回答した者

3 ひきこもりの者の推計数

  • 広義のひきこもり群の出現率は1.45%であり、推計数は61.3万人であった3。平成27年度調査の結果と比較すると、出現率は低いが推計数は多かった4
    ひきこもりの者の推計数-1

    [平成27年度調査(対象:15~39歳)の結果]5

    ひきこもりの者の推計数-2
  • なお、平成27年度調査においては、専業主婦・主夫、家事手伝いと回答した者を一律に広義のひきこもり群から除外していたが、平成30年度調査においては、広義のひきこもり群と認定した47名のうち11名が専業主婦・主夫、家事手伝いであった。

4 ひきこもりの傾向・特徴

(1)性別

  • 広義のひきこもり群の男女比率は、「男性」が76.6%、「女性」が23.4%であり、「男性」の割合が平成27年度調査の結果よりも高かった。
    ひきこもりの傾向・特徴-1

    [平成27年度調査(対象:15~39歳)の結果]

    ひきこもりの傾向・特徴-2

(2)ひきこもりの状態になってからの期間

  • 広義のひきこもり群の者がひきこもりの状態になってからの期間は、3~5年の者の割合が21.3%と最も高かったが、7年以上の者の割合が5割近くを占めており、平成27年度調査の結果より高かった。
    ひきこもりの傾向・特徴-3

    [平成27年度調査(対象:15~39歳)の結果]

    ひきこもりの傾向・特徴-4

(3)初めてひきこもりの状態になった年齢

  • 広義のひきこもり群の者が初めてひきこもりの状態になった年齢は、30歳代の者の割合が若干低かったものの、15歳から24歳までの者の割合が6割を超えていた平成27年度調査の結果とは異なり、全年齢層に大きな偏りなく分布していた。
    ひきこもりの傾向・特徴-5

    [平成27年度調査(対象:15~39歳)の結果]

    ひきこもりの傾向・特徴-6

(4)ひきこもりの状態になったきっかけ

  • 広義のひきこもり群の者がひきこもりの状態になったきっかけは、「不登校」と「職場になじめなかった」が最も多かった平成27年度調査の結果とは異なり、多かった順に、「退職したこと」、「人間関係がうまくいかなかったこと」、「病気」、「職場になじめなかったこと」であった。
    ひきこもりの傾向・特徴-7

    [平成27年度調査(対象:15~39歳)の結果]

    ひきこもりの傾向・特徴-8

5 おわりに

  • 平成30年度調査の結果により、全国の満40歳から満64歳までの人口の1.45%に当たる61.3万人がひきこもり状態にあると推計された。また、専業主婦や家事手伝いでひきこもり状態の者も存在すること、ひきこもり状態になってから7年以上の者が半数近くにも及ぶこと、初めてひきこもりの状態になった年齢が全年齢層に大きな偏りなく分布していること、若い世代と異なり退職したことをきっかけにひきこもり状態になった者が多いことなども明らかになった。
  • 平成27年度に実施した満15歳から満39歳までの者を対象とした調査でも人口の1.57%に当たる54.1万人がひきこもり状態にあると推計されており、「ひきこもり」は、どの年齢層にも、どんな立場の者にもみられるものであり、どの年齢層からでも、実に多様なきっかけでなりうるものであることが分かる。
  • この調査結果が、子供・若者の支援には直接関わらない部局を含め、政府全体で共有されるとともに、地方公共団体や民間団体にも広く共有され、ひきこもり対策を一層充実するために活用されるよう期待したい。

1 調査結果の全文は、 https://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/life/h30/pdf-index.html に掲載
2 本調査では、このうち1に当てはまる者を準ひきこもり、24に当てはまる者を狭義のひきこもりといい、両者を合わせて広義のひきこもりという。
3 総務省「人口推計」(平成30年)によると、40~64歳人口は4,235万人であることから、全国の推計数は、有効回収数に占める割合(%)×4,235万人=全国の推計数(万人)となる。
4 広義のひきこもりの出現率の標本誤差は±0.58%(信頼度95%)であった。
5 総務省「人口推計」(平成27年)によると、15~39歳人口は3,445万人であることから、全国の推計数は、有効回収数に占める割合(%)×3,445万人=全国の推計数(万人)となる。
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