第3章 困難を有する子供・若者やその家族の支援(第1節)

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第1節 子供・若者の抱える課題の複合性・複雑性を踏まえた重層的な支援の充実(内閣府)

子供・若者を取り巻く環境はそれぞれ異なり、ゆえに彼らが有する困難な状況もそれぞれ異なる。その困難は、経済的な困窮、いじめ、不登校、ひきこもり、障害、虐待など、非常に多岐にわたるものであり、また、いくつかの困難が複合的にあらわれ、その困難をさらに複雑なものとしているケースもみられる。こうした困難を有する子供・若者に対しては、個々の状況に応じたきめ細かな支援が必要であり、生まれ育った環境などによって、子供・若者の未来が左右されることのないよう、関係機関の連携が強く求められている。

1 子ども・若者支援地域協議会を通じた縦と横の支援ネットワークの構築

社会生活を円滑に営む上での困難を有する子供・若者に対し、年齢階層で途切れることなく継続した支援を行う「縦のネットワーク」を機能させ、あわせて、教育、福祉、保健、医療、矯正、更生保護、雇用等の関係機関・団体が、個々の子供・若者に関する情報を適切に共有し、有機的に連携する「横のネットワーク」を機能させることが必要とされている。

内閣府は、「子ども・若者育成支援推進法」に基づく「子ども・若者支援地域協議会」1(第3-1図、第3-2図)の設置及び活用を推進するため、平成30(2018)年度は、地方公共団体を対象とした「子供・若者支援地域ネットワーク強化推進事業」を実施した。

第3-1図 子ども・若者支援地域協議会
第3-2図 子ども・若者支援地域協議会設置数の推移

2 アウトリーチの充実

「子ども・若者育成支援推進法」第15条では、困難を有する子供・若者に対する支援の一つとして、「子ども・若者の住居その他の適切な場所において、必要な相談、助言又は指導を行うこと」が規定されている。

困難を有する子供・若者の中には、自ら相談機関に出向くことが難しい者もおり、支援を行う者が問題に応じて家庭等に出向き、必要な相談、助言又は指導を行うアウトリーチ(訪問支援)が必要な場合がある。

内閣府は、アウトリーチに携わる人材の養成を目的とした「アウトリーチ(訪問支援)研修」を実施している。この研修では、講義・演習のほか、実地研修(研修生が、アウトリーチ等の実績のある相談機関・団体に赴き、支援の現場で指導を受ける実習)も実施しており、実践的な技能の習得を図っている。また、令和元(2019)年度には、過去にアウトリーチ研修を受講した者を主な対象に、長期化したひきこもりの者等にも対応でき、個々の特性をいかした就業等につなげられる高度な知識・技術の習得を目的としたアウトリーチ上級研修も実施することとしている。

そのほかにも内閣府は、困難を有する子供・若者に対する相談業務に従事する公的相談機関の職員や、NPO法人等の職員を対象に、適切な支援を行うために必要な知見等の習得を目的とした研修を実施している。また、平成29(2017)年度からは、各地域において伴走型の支援を行うに当たって必要となる専門的な知識や技法を分野横断的に整理・共有して習得することを目的とした研修を新たに実施するなど、子供・若者育成支援に関わる幅広い人材の養成に努めている。


1 「子ども・若者育成支援推進法」第19条で地方公共団体に設置の努力義務が課されている協議会。
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