第6章 創造的な未来を切り拓く子供・若者の応援(第2節)

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第2節 イノベーションの担い手となる科学技術人材等の育成

経済協力開発機構(OECD)が行う生徒の「学習到達度調査(PISA)」によると、平成27(2015)年、「読解力」、「数学的リテラシー」、「科学的リテラシー」全てにおいて、日本の生徒の平均点は前回調査時の平成24(2012)年を下回る結果となったものの、「数学的リテラシー」、「科学的リテラシー」では、OECD加盟国(35か国)中、最も良い成績であった(第6-4図)。また、国際教育到達度評価学会(IEA)が行う「国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)」では、平成27年、小学校、中学校ともに、全ての教科において従来通り上位を維持する結果となり、前回調査時の平成23(2011)年に比べ、平均点が有意に上昇している(第6-5表)。

第6-5表 国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)

1 理数教育の推進(文部科学省、経済産業省)

文部科学省では、イノベーションの担い手となる科学技術人材を育成するために、児童・生徒の科学技術、理科、数学・算数への関心・素養を高め、理数好きの子供たちの裾野を拡大するとともに、優れた素質を持つ子供を発掘し、その才能を伸ばすための取組として、先進的な理数系教育を実施する高等学校等を「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」として指定し、科学技術振興機構を通じ、支援している。指定を受けた各学校は、先進的な理数系教育の実践を通じて、生徒の科学的能力を培い、将来、国際的に活躍し得る科学技術人材の育成を図っている。

また、科学技術振興機構は、平成26(2014)年度から、「グローバルサイエンスキャンパス」を実施し、国際的な科学技術人材育成プログラムの開発・実施を行う大学を支援するとともに、平成29(2017)年度から、「ジュニアドクター育成塾」を実施し、理数分野において特に意欲や突出した能力を有する全国の小中学生を対象に、その能力等の更なる伸長を図る特別な教育プログラムを提供する大学等を支援している。

加えて、全国の高校生等が学校対抗・チーム制で理科・数学等における筆記・実技の総合力を競う場として、平成31(2019)年3月15日から18日にかけて、「第8回科学の甲子園全国大会」が埼玉県において開催され、愛知県代表チームが優勝した。また、平成30(2018)年12月7日から9日にかけて、中学生を対象に茨城県つくば市で開催された「第6回科学の甲子園ジュニア」では愛知県代表チームが優勝した。

このほか、数学・化学・生物学・物理・情報・地学・地理等の国際科学技術コンテストの国内大会の開催や、国際大会への日本代表選手の派遣、国際大会の日本開催に対する支援を行っている。

さらに、科学技術分野で活躍する女性研究者・技術者、女子学生等と女子中高生の交流機会の提供や実験教室、出前授業の実施等、女子中高生の理系進路選択の支援を行う「女子中高生の理系進路選択支援プログラム」を実施している。

2 起業家の育成(文部科学省)

文部科学省では、平成29(2017)年度から「次世代アントレプレナー育成事業(EDGE-NEXT)」を実施しており、学部学生から大学院生、若手研究者等まで参加可能なプログラムにおいて、アイデア創出にとどまらず、実際に起業まで行える実践プログラムの構築、アントレプレナー育成に必須の新たなネットワーク構築等、国全体のアントレプレナーシップ醸成に係る取組を実施する大学を支援している。

3 起業支援(経済産業省)

経済産業省は、女性、若者/シニア起業家支援資金制度により、新規開業しようとする者又は新規開業しておおむね7年以内の若者(35歳未満)に対して、株式会社日本政策金融公庫による低利融資を実施している。

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