第7章 施策の推進体制等(第3節)

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第3節 国際的な連携・協力

1 国際機関等における取組への協力(外務省、厚生労働省)

我が国は、「児童の権利に関する条約」9、同条約を補完する「武力紛争における児童の関与に関する児童の権利に関する条約の選択議定書」と「児童の売買、児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書」のそれぞれの締約国となっている10。締約国は、同条約の実施状況や同選択議定書の規定の実施のためにとった措置につき、専門家で構成される児童の権利委員会に定期的に報告するよう求められている。我が国は、同条約の第4回・第5回政府報告を平成29(2017)年に提出し、平成31(2019)年1月にスイスのジュネーブにおいて行われた同政府報告に関する同委員会の審査に出席した。平成31年2月、同委員会の総括所見が公表されている。政府は、この総括所見の趣旨を踏まえつつ、「児童の権利に関する条約」と2つの選択議定書の実施の確保に努めている。

また、平成28(2016)年6月に国連本部で開催された第16回児童の権利条約締約国会合において、児童の権利委員会委員選挙が行われ、初めて日本人が委員に選出された。

さらに、我が国は、国際労働機関(ILO)で採択された「就業が認められるための最低年齢に関する条約(第138号条約)」11と「最悪の形態の児童労働の禁止及び撤廃のための即時の行動に関する条約(第182号条約)」12の締約国となっている。

また、ILOへの拠出を通じ、令和元(2019)年度からは、ミャンマー及びフィリピンにおける児童労働撲滅のため、(1)両国政府の労働基準監督の実施や運用体制の改善、(2)労使間における社会対話に向けた支援などを行う予定である。

政府では、これらの条約の実施及びILOや国連児童基金(UNICEF)への拠出金事業を通じ、児童労働の廃止をはじめ、子供や若者たちのおかれた状況の改善や権利の保護のための国際的な取組に貢献している。

2 情報の収集・発信(外務省、厚生労働省)

国連等の場において、我が国の子供・若者育成支援に関する国内施策について、国際社会に向けた情報の発信を行っている。平成28(2016)年12月にインドネシアで開催された第16回ILOアジア太平洋地域会議において、子育て支援等に関する我が国の政策について、情報発信を行った。


9 18歳未満を「児童」と定義し、国際人権規約において定められている権利を児童について敷衍し、児童の人権の尊重・確保の観点から詳細かつ具体的な事項を規定したもの。平成元年の第44回国連総会において採択され、平成2年に発効。我が国は平成6年に批准。
10 外務省児童の権利条約ページhttps://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jido/index.html
11 児童労働の実効的な廃止を確保する観点から、就業が認められるための最低年齢などを定めるもの。昭和48年の第58回ILO総会で採択され、昭和51年に発効。我が国は平成12年に批准。
12 最悪の形態の児童労働の禁止と撤廃に向けた即時かつ効果的な措置を取ることなどについて定めるもの。平成11年の第87回ILO総会で採択され、平成12年に発効。我が国は平成13年に批准。
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