参考資料 2

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2 子供・若者育成支援推進大綱
~全ての子供・若者が健やかに成長し、自立・活躍できる社会を目指して~
(平成28年2月9日子ども・若者育成支援推進本部決定)

第1 はじめに

子供・若者は、親等の家族にとっても、社会にとっても、大きな可能性を秘めたかけがえのない存在である。一人一人の子供・若者が持つ能力や生まれ育つ環境は異なっても、全ての子供・若者が、身近な愛情に包まれながら挑戦と試行錯誤を繰り返す中で、自尊感情や自己肯定感を育み、自己を確立し、社会との関わりを自覚し、社会的に自立した個人として健やかに成長するとともに、多様な他者と協働しながら明るい未来を切り拓くことが求められている。

子供・若者の育成支援は、家庭を中心として、国及び地方公共団体、学校、企業、地域等が各々の役割を果たすとともに、相互に協力・連携し、社会全体で取り組むべき課題である。その際には、一人一人の子供・若者の立場に立って、児童の権利に関する条約等に示されている子供・若者の人権の尊重及び擁護の観点も踏まえ、生涯を見通した長期的視点及び発達段階についての適確な理解の下、最善の利益が考慮される必要がある。

我々は皆、自らの行動を通じて、次代を担う子供・若者に正義感や倫理観、思いやりの心を育むことができる。さらに、あらゆる子供・若者に自立の機会と活躍の場を用意するために、それぞれの子供・若者の置かれた状況等にきめ細かに応じた支援を総合的・体系的・継続的に実施することにより、安心安全と信頼のネットワークに支えられた共生社会の構築に一層の関心を払うべきである。

我々は、全ての子供・若者が健やかに成長し、全ての若者が持てる能力を生かし自立・活躍できる社会の実現を総掛かりで目指していく。

(家庭を巡る現状と課題)

三世代世帯が減少する一方、ひとり親世帯が増加するなど、家庭内において子育てを学び、助け合うことが難しくなり、親が不安や負担を抱えやすくなっている現状にあり、社会全体で子育てを助け合う環境づくりが必要である。特に、ひとり親家庭においては、経済的に困窮している実態がうかがえ、貧困の連鎖を断つための取組を着実に実施する必要がある。また、児童虐待については、児童相談所における相談対応件数や警察における検挙件数が増加しており、社会全体で取り組むべき重要な課題となっている。

子供・若者の置かれた家庭環境は多様であり、個々の状況を踏まえ、子供・若者やその家族に適切に対応することが求められる。

(地域社会を巡る現状と課題)

地域社会は、家庭や学校とは異なる人間関係や様々な体験の提供を通じて、子供の健やかな成長に重要な役割を有している。しかしながら、近所付き合いをする人数が減少傾向にあるほか、町内会・自治会に参加していない人の割合が増加傾向にあるなど、地域におけるつながりの希薄化が懸念されている。

地域における見守りや健全育成の機能を発揮させるために、地域住民やNPO等が子供・若者育成支援を支える担い手として活躍する共助の取組を促進する必要がある。

(情報通信環境を巡る現状と課題)

急速なスマートフォンの普及、新たな情報通信サービスの出現等、子供・若者を取り巻く情報通信環境は常に変化し続けている。特に、インターネットの急速な普及は、子供・若者の知識やコミュニケーションの空間を格段に拡げる可能性をもたらす一方で、違法・有害情報の拡散やコミュニティサイトに起因する事犯の被害児童数の増加等、負の影響をもたらす両刃の剣ともなっている。

また、現実社会とは別に、SNS(ソーシャルネットワークサービス)を介してインターネット上に新たなコミュニティが形成されており、大人の目の届きにくいネット上のいじめが多数報告されているほか、ネット依存も指摘されている。

(雇用を巡る現状と課題)

若者が自立し社会で活躍するためには、就業し、経済的基盤を築くことが必要である。経営環境のグローバル化・情報化等による経済社会構造の変化に伴い、より高度な能力を有する人材が求められている。一方、新規学卒者の一括採用という雇用慣行の中、新規学卒時に非正規雇用の職に就く場合又は進学も就職もしない場合には、その後も十分な就業機会や職業能力開発の機会を持ちにくく、社会の中で不安定な状態から長く脱出できないとの指摘がある。

このため、各学校段階を通じて社会的・職業的自立に必要とされる能力・態度を育てるキャリア教育に取り組むとともに、学校以外でも職業能力開発の機会の充実を図ることが重要である。

さらには、円滑な就職支援と非正規雇用労働者の正社員転換・待遇改善等により若者の雇用安定化と所得向上に取り組むことが重要である。

政府においては、平成22年4月の子ども・若者育成支援推進法(平成21年法律第71号。以下「法」という。)の施行を受け同年7月に作成した「子ども・若者ビジョン」(平成22年7月23日子ども・若者育成支援推進本部決定)に基づき、これまで各種施策を実施してきたところである。

同ビジョンでは、おおむね5年を目途に見直しを行うこととされていることから、平成26年7月、子ども・若者育成支援推進点検・評価会議において、大綱の見直しに向け、「子ども・若者育成支援推進大綱(「子ども・若者ビジョン」)の総点検報告書」を取りまとめ、また、平成27年11月、新たな大綱の策定に向け、「新たな大綱に盛り込むべき事項について(意見の整理)」を取りまとめた。

同報告書においては、困難を有する子供・若者について、生まれてから現在に至るまでの成育環境において様々な問題に直面した経験を有している場合が多く、例えば、貧困、児童虐待、いじめ、不登校、ニート等の問題が相互に影響し合うなど、様々な問題を複合的に抱え、非常に複雑で多様な状況となっていること等が指摘された。

ここに、上述の課題等を踏まえつつ、総合的な見地から検討・調整を行い、同ビジョンに代わる新たな大綱を作成するものである。

第2 基本的な方針

本大綱においては、「第1 はじめに」で記載した状況認識等を踏まえ、特に次の課題について重点的に取り組むこととする。

(1) 全ての子供・若者の健やかな育成

基本的な生活習慣について、乳幼児期に家庭を中心に形成されるように支援するとともに、学力の向上、体力の向上、情報通信技術の適切な利用を含むコミュニケーション能力の育成、規範意識や思いやりの心の涵(かん)養に取り組む。また、キャリア教育等を通じて、子供・若者の勤労観・職業観や社会的・職業的自立に必要な基盤となる能力や態度の形成を図る。さらに、円滑な就職支援と非正規雇用労働者の正社員転換・待遇改善等により、若者の雇用安定化と所得向上に取り組む。

また、子供・若者が自らの心・身体の健康を維持することができるよう健康教育を推進するとともに、とりわけ思春期の子供・若者に対しては、妊娠・出産・育児に関する教育を充実させる。子供・若者が自らの心身や権利を守るためには、主体的に相談し支援を求める能力を持つことが重要であることから、困難を抱えた場合における相談先についての広報啓発、雇用や消費者保護等の関係法令についての適切な理解の促進等を通じて、自ら考え自らを守る力を育成し、困難な状況に陥らないよう予防を図る。

子供・若者育成支援に関する地域住民からの相談に応じ、関係機関の紹介その他必要な情報の提供や助言を行う拠点(法第13条に基づく子ども・若者総合相談センター)の機能が全国で確保されるよう、地方公共団体その他の関係団体を支援する。

(2) 困難を有する子供・若者やその家族の支援

子供が生まれてから大人になるまでのライフサイクルを見通し、国及び地方公共団体の機関はもとより、家庭、学校、地域が一体となって、社会生活を円滑に営む上での困難を有する子供・若者の支援を重層的に行うため、法第19条第1項に基づく子ども・若者支援地域協議会の地方公共団体における整備を推進する。

これにより、子供・若者に対し年齢階層で途切れることなく継続した支援を行う「縦のネットワーク」を機能させる。あわせて、同協議会の核となる機関・団体が中心となり、教育、福祉、保健、医療、矯正、更生保護、雇用等の関係機関・団体が、個々の子供・若者に関する情報を適切に共有し、有機的に連携する「横のネットワーク」を機能させる。

また、困難を有する子供・若者やその家族が抱える問題に応じて、支援を行う者が家庭等に出向き必要な相談、助言又は指導を実施するアウトリーチ(訪問支援)を充実させる。

さらに、子供の貧困については、貧困が世代を超えて連鎖することを防ぐため、対策を一層推進するとともに、児童虐待については、その発生予防から早期発見・早期対応、虐待を受けた子供の保護・自立支援に至るまでの一連の対策の更なる強化を図る。このほか、虐待を受けた子供などをより家庭的な環境で育てることができるよう、社会的養護の推進を図る。

(3) 子供・若者の成長のための社会環境の整備

全ての就学児童が放課後等を安全に安心して過ごし、地域住民の参画を得て体験・交流活動を行う活動拠点の充実を図る。また、子供・若者が、家庭や学校とは異なる対人関係の中で社会性や豊かな人間性を育むことができるよう、地域等における各種の体験・交流活動の機会の充実を図る。

子供・若者によるインターネット利用の急速な普及・浸透を踏まえ、商品・サービスを提供する民間企業を始めとする全ての組織、個人が、当事者意識を持ってそれぞれの役割を果たし、相互に協力・補完しながら、安全で安心な環境の整備に取り組む。

保護者が子供と向き合う時間を持つことができるよう、また、若者が自己啓発や地域活動への参加のための時間を持つことができるよう、企業を含む社会全体で、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)」の実現に向けた取組を推進する。

(4) 子供・若者の成長を支える担い手の養成

子育て経験者、様々な経験を有する高齢者等による子供・若者育成支援に係る活動への参加を促す取組を進めるとともに、NPO、企業等の参画を促進し、官公民の連携による地域における共助機能の充実を図る。

子供・若者に関する総合的な知見を有し、公的機関や地域のNPO等において子供・若者育成支援に携わるコーディネーターの養成を図る。子供・若者の成長に関わる様々な専門職の養成・確保に努めるとともに、専門性を高めるための研修の充実、専門職の間での連携を図る。

(5) 創造的な未来を切り拓く子供・若者の応援

グローバル化が進行する社会に必要とされるチャレンジ精神、英語等の語学力、コミュニケーション能力、日本人としてのアイデンティティ等を培う教育を推進する。また、科学技術人材を育成するために、理数好きな子供の裾野を拡げ、子供の才能を見出し伸ばす施策を充実する。さらに、情報通信技術の進化に適応し活用する人材、国際的に活躍する次世代の競技者、新進芸術家等の育成を図る。

地方公共団体、地元企業、大学等が連携し地域産業を担う若者を育成するとともに、地域に居住して地域おこしに取り組む若者を支援するなど、地域で活躍する若者を応援する。このほか、社会に貢献する子供・若者に対する内閣総理大臣表彰を創設する。

第3 基本的な施策

1 全ての子供・若者の健やかな育成

(1) 自己形成のための支援
① 日常生活能力の習得

(基本的な生活習慣の形成)

子供の基本的な生活習慣の形成について、「早寝早起き朝ごはん」国民運動等を通して、家庭、学校、地域や、企業、民間団体等の協力を得ながら、全国的な普及啓発に係る取組を推進するとともに、掃除等の日常的な体験の場の提供を進める。また、食に関する学習や体験活動の充実等を通じて、家庭、学校、地域等が連携した食育の取組を推進する。

(規範意識等の育成)

規範意識や思いやりの心、コミュニケーション能力を育てるため、道徳教育の充実、非行防止教室の開催、インターネットの適切な利用に関する学習活動や発表・討論を取り入れた学習活動を推進する。

(体験活動の推進)

豊かな人間性、社会性を育むとともに、子供の意欲とチャレンジ精神を引き出し、「生きる力」を育むため、子供の発達段階や子供の置かれた状況に応じた自然体験、社会体験、生活体験、芸術・伝統文化体験の場を創出するとともに、社会的気運を醸成することにより体験活動を積極的に推進する。

(読書活動の推進)

国民の間に広く子供の読書活動についての関心と理解を深めるなど、子供の読書活動を推進する。

学校においては、子供が読書に親しむ機会を充実させるため、学校図書館の充実を図るとともに、司書教諭の配置の促進や、学校司書の配置に努める。

社会教育においては、図書館や公民館が住民にとってより身近で利用しやすい施設となるよう環境整備を推進するとともに、地域の指導者の養成を促進する。

(体力の向上)

体育の授業や運動部活動の充実を図るとともに、学校や地域における体力の向上のための取組を推進する。

(生涯学習への対応)

多様な学習ニーズに対応する取組や、学習した成果が適切に評価されるための仕組みを作る取組等を推進する。また、学び直しなどを通じて男女の別なくキャリアを伸ばせる環境の整備を推進する。

② 学力の向上

(知識・技能や思考力・判断力・表現力、学習意欲等の「確かな学力」の確立)

基礎的・基本的な知識・技能の習得、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等の育成、学習意欲の向上や学習習慣の確立に向けて、アクティブ・ラーニングの視点に立った学びの推進などを行う。

(基礎学力の保障等)

小中学校段階において、基礎学力を保障するため、特に学力不十分な子供への個別サポートの充実、学習が遅れがちな中学生等に向けた補習事業等の取組を推進する。

既存の学校教育の枠組みになじめない子供に対しては、小中学校段階における学力を身に付ける機会の提供を一層推進する。

(高校教育の質の保証)

希望する全ての子供が高校を卒業できるよう、多様化する生徒の実情を踏まえつつ、学習面や生活面での支援を行うとともに、教育の質の保証を図る。

また、生徒の実態に応じ、小中学校段階での学習内容の確実な定着を図るための学習機会を設けるなど学び直しを推進する。

(学校教育の情報化の推進)

情報通信技術を活用して、子供同士が教え合い学び合うなど、双方向で分かりやすい授業の実現、教職員の負担の軽減、児童生徒の情報活用能力の向上が図られるよう、21世紀にふさわしい学校教育を実現できる環境を整える。

(多様な価値観に触れる機会の確保等)

インターネットを利用した調べ学習や、国際交流などを通して、普段の生活の場を越えた多様な価値観と社会の様子を学ぶとともに、情報機器を用いて世界の人々と継続的なコミュニケーションがとれるようになるための支援を充実させる。

③ 大学教育等の充実

(教育内容の充実)

大学・専修学校等において教育内容・方法の改善を進めるとともに、学生の主体的な学修を重視し、質の高い教育の展開を支援する。また、情報社会の基礎理念や、情報の高度な利活用の在り方を学ぶ機会を増やす。さらに、大学・専修学校等において、社会人を始めとする幅広い学習者の要請に対応するための生涯学習の取組を促す。

(2) 子供・若者の健康と安心安全の確保
① 健康教育の推進と健康の確保・増進等

(健康教育の推進)

心の健康に関する知識、薬物乱用に関する知識、発達段階に応じた性に関する知識について、専門家の協力も得ながら学校における健康教育の充実と推進を図る。

(思春期特有の課題への対応)

未成年者の喫煙及び飲酒をなくし、人工妊娠中絶の実施率や性感染症罹患率及び児童・生徒における痩身傾向児の割合を減少させることを目標として、各種の取組を推進する。

(妊娠・出産・育児に関する教育)

妊娠や出産、育児などに関する正しい理解を促すため、児童・生徒から社会人に至るまで、家庭、学校、地域において、教育や情報提供に係る取組を充実させる。

また、中学生、高校生が、親と同じような立場に立って実際に子供と触れ合い、遊び、更に進んで世話をするといった体験活動を推進する。

(10代の親への支援)

10代で親になる者に対し、出産や子育ての知識や経験の不足に対する相談、支援の整備を進める。

(安心で安全な妊娠・出産の確保、小児医療の充実等)

「少子化社会対策大綱」(平成27年3月20日閣議決定)に基づき、安心で安全な妊娠・出産の確保や小児医療の充実等のための施策を推進する。

② 子供・若者に関する相談体制の充実

(相談窓口の広報啓発等)

子供・若者が困難を抱えた場合に適切に相談を行うことができるよう、子供・若者に対し各種相談窓口についての広報啓発を行うとともに、雇用や消費者保護等の関係法令についての適切な理解を促進するなどして、自ら考え自らを守る力を育成する。

(子ども・若者総合相談センターの充実)

地方公共団体において、子供・若者育成支援に関する地域住民からの相談に応じ、関係機関の紹介その他の必要な情報の提供及び助言を行う拠点(子ども・若者総合相談センター)の機能が確保されるよう、優良事例の紹介や関係者への研修を通じた支援を行う。

(学校における相談体制の充実)

学校におけるスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の活用など相談体制の整備を支援し、これらの専門職の配置を促進する。

(地域における相談体制の充実)

地域において、子供の発育・発達や心の健康問題、薬物乱用、性、感染症等に関する相談の充実や医療機関による対応の充実を図る。

また、未成年が消費生活問題・トラブルに巻き込まれることもあることから、消費生活相談の周知を行う。

(いじめ防止対策等)

学校において、未然防止、早期発見・早期対応につながる効果的な取組や教育センターや医療機関などの関係機関等と連携した取組等を促進する。

いじめによる被害少年の精神的被害を回復するために特に必要な場合には、保護者の同意を得た上で、少年サポートセンターを中心として、少年補導職員等によりカウンセリング等の継続的な支援を行う。

(暴力対策等)

問題行動を起こす児童・生徒への指導や事件を起こした少年に対する適切な処遇を推進し、再発防止を図るとともに、スクールサポーターや学校警察連絡協議会等の活性化を通じて、未然防止、早期発見・早期対応につながる効果的な取組等を促進する。

③ 被害防止のための教育

(被害防止のための教育)

犯罪被害、自然災害、交通事故等の危険から自分や他者の身を守る能力を養うため、参加・体験・実践型の教育手法を活用するなどして安全教育を推進する。

配偶者等からの暴力、ストーカー行為等の加害者にも被害者にもならないための予防啓発の充実を図る。

メディアリテラシーを身に付け、情報モラルを養うことを推進する。特に、いわゆるリベンジポルノの被害の発生を未然に防止するための教育や啓発活動を推進する。

労働法等労働者の権利に関する知識を身に付けるための教育や啓発活動を推進する。

消費者トラブルに巻き込まれることを防止するとともに、消費者が自主的かつ合理的に行動することができるよう、その自立を支援するための消費者教育を推進する。特に、成年と未成年が混在する大学等においては、消費者の権利と責任が大きく変化することも踏まえ、学生の持つ様々な側面に応じ、大学等として積極的に消費者教育に取り組むことを促す。

(3) 若者の職業的自立、就労等支援
① 職業能力・意欲の習得

(キャリア教育の推進)

子供・若者が勤労観や職業観を養い、職業的自立に必要な基盤となる能力や態度を身に付けるとともに、男女ともに経済的に自立していくことの重要性について学ぶため、企業等と連携・協力しつつ、各学校段階を通じキャリア教育及び職業教育を体系的に充実させる。その際、職場体験・インターンシップ等の体験的な学習活動を効果的に活用する。また、大学・専修学校等における、地域や産業界の各種団体を始めとする社会と連携・協力したキャリア教育の体制構築を支援する。

(能力開発施策の充実)

職業に必要な知識・技能を習得させることにより若者の就職を支援するため、公共職業訓練や求職者支援訓練を実施する。

また、若者のキャリア形成に資するため、「生涯を通じたキャリア・プランニング」及び「職業能力証明」のツールとしてジョブ・カードの普及促進を図るとともに、企業実習と座学を組み合せた実践的な職業訓練の機会を提供する。

若者が職業人として働く上で、必要な職業技術を身に付けることができるよう、大学・専修学校等における産業界等との連携による人材養成の取組を推進する。

② 就労等支援の充実

(新卒者等に対する就職支援)

新卒応援ハローワーク等において、ジョブサポーター等による担当者制の個別支援、各種セミナーを開催するとともに、大学・専修学校等との連携による学校への出張相談など、就職に向けたきめ細かな支援を行う。

(職業的自立に向けての支援)

わかものハローワーク等において、フリーター等の若者に対して、担当者制による個別支援により、職業相談・職業紹介から職業定着に至るまでの一貫したきめ細かな支援を行う。また、若年者地域連携事業においても、地域の実情に応じた就職支援メニューをジョブカフェにおいて実施し、フリーター等の安定した雇用の実現を目指す。

(非正規雇用対策の推進)

意欲と能力に応じ、非正規雇用から正規雇用へ移行できるようにするとともに、就業形態にかかわらず、公正な処遇や能力開発の機会が確保されるようにするなど、非正規雇用対策を推進する。

(若者雇用促進法の施行による就職支援)

若者が、充実した職業人生を歩んでいくためには、社会の入口である新規学校卒業段階でのミスマッチを解消していくことが重要である。そのため、青少年の適切な職業選択の支援に関する措置や職業能力の開発・向上に関する措置を総合的に講ずることを目的とした青少年の雇用の促進等に関する法律(昭和45年法律第98号)に基づき、新卒者の募集を行う企業が幅広く職場情報を提供する仕組み、一定の労働関係法令違反の求人者についてハローワークで新卒求人を受理しない仕組み等の着実な実施を推進する。

(若者の「使い捨て」が疑われる企業等への対策の推進)

若者が安心して働くことができる環境づくりに向けて、過重労働や賃金不払残業など若者の「使い捨て」が疑われる企業等に対して、監督指導等を実施する。

(4) 社会形成への参画支援

(社会形成に参画する態度を育む教育の推進)

社会の一員として自立し、適切な権利の行使と義務の遂行により、社会に積極的に関わろうとする態度等を育む教育を推進する。

民主政治や政治参加、法律や経済の仕組み、社会保障、労働者の権利や義務、消費に関する問題など、政治的教養を育み、勤労観・職業観を形成する教育に取り組む。

(ボランティアなど社会参加活動の推進)

ボランティア活動を通じて市民性・社会性を獲得し、地域社会へ参画することを支援する。

2 困難を有する子供・若者やその家族の支援

(1) 子供・若者の抱える課題の複合性・複雑性を踏まえた重層的な支援の充実

(子ども・若者支援地域協議会を通じた縦と横の支援ネットワークの構築)

子供が生まれてから大人になるまでのライフサイクルを見通し、国及び地方公共団体の機関はもとより、家庭、学校、地域が一体となって、社会生活を円滑に営む上での困難を有する子供・若者の支援を重層的に行うため、子ども・若者支援地域協議会(以下この項目において単に「協議会」という。)の地方公共団体における整備を推進するとともに、地域の関係機関等がネットワークによる支援の意義を理解し、協議会に参画することを推進する。

これにより、子供・若者に対し年齢階層で途切れることなく継続した支援を行う「縦のネットワーク」を機能させる。あわせて、同協議会の核となる機関・団体が中心となり、教育、福祉、保健、医療、矯正、更生保護、雇用等の関係機関・団体が、個々の子供・若者に関する情報を適切に共有し、有機的に連携する「横のネットワーク」を機能させる。

とりわけ、協議会と児童福祉法(昭和22年法律第164号)に基づく要保護児童対策地域協議会とが有機的に連携することで、18歳以降の若者に対しても継続的に支援を行うとともに、支援が必要な子供・若者の情報を協議会で共有することで、構成機関等において切れ目なく適切な支援を提供できる体制を整備する。

(アウトリーチの充実)

困難を有する子供・若者に対しては、関係機関等の施設はもとより、住居その他の適切な場所において、必要な相談、助言又は指導を行うことが必要である。このため、アウトリーチ等の支援に携わる人材の養成を図る研修を実施する。

(2) 困難な状況ごとの取組
① ニート、ひきこもり、不登校の子供・若者の支援等

(ニート等の若者の支援)

ニート等の若者に対して、各人の置かれた状況に応じた専門的な相談、地域の若者支援機関のネットワークを活用した誘導等、多様な就労支援メニューを提供する地域若者サポートステーション事業により、ニート等の若者の職業的自立支援を推進する。

(ひきこもりの支援)

ひきこもりの一次的な相談窓口であるひきこもり地域支援センターや精神保健福祉センター、保健所、市町村保健センター、児童相談所等において相談・支援を行う。

(不登校の子供・若者の支援)

未然防止、早期発見・早期対応につながる効果的な取組等を、民間団体を含めた関係機関等と連携しながら推進するとともに、学校内外における相談体制の整備を進める。

(高校中途退学者及び進路未決定卒業者の支援)

地域若者サポートステーション、学校等が連携協力の下、退学、卒業後の状況等に関する実態の把握に努め、効果的な支援を行う。

② 障害等のある子供・若者の支援

(障害のある子供・若者の支援)

障害のある子供・若者の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち、障害者権利条約の理念を踏まえ、インクルーシブ教育システムの構築のために、適切な指導及び必要な支援を行う特別支援教育を引き続き推進するとともに、障害のある子供・若者が継続的にスポーツ活動や文化芸術活動を実施できる環境整備を推進する。

さらに、障害のある子供・若者が、身近な地域で安心して生活できるよう在宅サービスや放課後支援の充実を図るなど、障害の特性に配慮した適切な支援が提供されるよう取組を推進する。

(発達障害のある子供・若者の支援)

医療、保健、福祉、教育関係機関等の連携が重要であることから、発達障害者支援センターを核とした地域支援体制の強化を推進する。

健康診査等を通じた早期発見に努めるほか、保健指導手引書の普及等により適切な相談・指導の実施を推進する。

発達が気になる段階からの支援や、学校、相談支援事業所等において、発達の段階に応じた適切な指導等を行うとともに、発達障害教育情報センター、発達障害情報・支援センター等において、発達障害についての正しい理解の啓発や情報提供等の充実を図る。

(障害者に対する就労支援等)

障害者雇用率を柱とした障害者雇用の一層の促進を図るとともに、ハローワークを中心に、福祉・教育機関と連携した障害者就労支援チームによる支援を行うこと等により、就職の準備段階から職場定着までの一貫した支援を展開する。あわせて、様々な障害の態様やニーズを踏まえた職業訓練機会を確保する。

学校において、産業界や労働関係機関との連携の下、就業体験の機会を積極的に設けるなどして職業教育の充実を図る。

また、就労継続支援B型事業所(旧授産施設)等で働く障害のある人の工賃水準の引上げ等に取り組むとともに、企業等で働く機会を増やすため福祉的就労から一般雇用への移行促進を図る。

(障害者に対する文化芸術活動の支援)

障害者の優れた芸術活動や芸術作品の実態把握や展示等の推進、障害者等の文化芸術活動を支援する活動を行う団体等への支援を通じ、障害者等の文化芸術活動の充実を図る。

(慢性疾病を抱える児童等や難病患者の支援)

小児慢性特定疾病児童等及び難病患者について、児童福祉法及び難病の患者に対する医療等に関する法律(平成26年法律第50号)に基づき医療費の助成を行うとともに、その自立を支援するための相談支援等、都道府県等が行う事業の促進を図る。

また、疾病児童等については移行期医療の体制整備を促進するとともに、難病患者に対して就労支援を引き続き実施する。

③ 非行・犯罪に陥った子供・若者の支援等

(総合的取組)

更生保護サポートセンター、法務少年支援センター(少年鑑別所)やサポートチームの活用等により、少年の非行防止と立ち直りのために、少年やその家族等の支援を推進する。また、学校問題解決支援チームや学校警察連絡協議会、学校警察連絡制度、子ども・若者支援地域協議会などの活用、スクールサポーター制度の拡充等により、学校や警察等の地域の関係機関等の連携を図る。

(非行防止、相談活動等)

少年非行等の未然防止、早期発見・早期対応につながる効果的な取組、地域の人々と連携した多様な活動機会の提供や居場所づくりのための取組等を推進する。

また、様々な悩みを持つ少年やその家族等からのSOSを受け止め、適切な助言、支援等を行うため、学校や青少年センター等における相談体制の整備等に努めるとともに、地域や学校、関係機関等の連携・協働による取組を推進する。

民間ボランティアと連携しつつ街頭補導活動に取り組むとともに、事件の捜査・調査については、少年の特性やその立ち直りに配慮した迅速・的確な対応を推進する。

暴走族を始めとする非行集団等の集団的不良交友関係については、その実態を把握し、検挙・補導、SOSを発信している少年の発見・救出、個々の少年の立ち直り支援を行うなど、その解消に向けた対策を推進する。

法務少年支援センター(少年鑑別所)は、非行及び犯罪に関する各般の問題について、少年、保護者その他の者からの相談等に応じるほか、非行及び犯罪の防止に関する機関又は団体の求めに応じ、技術的助言その他必要な援助を行うなど、地域社会における非行及び犯罪の防止に関する援助業務を推進する。

(薬物乱用防止)

子供・若者による危険ドラッグを含む薬物の乱用防止対策については、学校等における薬物乱用防止教室・講習会の開催や大学入学時等のガイダンスにおける啓発の強化など、子供・若者に対する薬物乱用防止に資する教育、広報啓発活動の一層の強化を図る。

また、子供・若者の育成に携わる者に対する薬物乱用の実態や対策等に関する知見を深めるための研修等の充実を図る。

刑事施設・少年院・保護観察所において、薬物事犯者に対し、薬物依存からの離脱指導を始めとする再乱用防止のための処遇内容及び方法の充実強化を図る。加えて、相談窓口の周知や関係機関の連携強化、地域における薬物等依存症対策の推進など、薬物依存者及びその家族への支援の充実に努め、再乱用防止のための取組を推進する。

(加害者に対するしょく罪指導と被害者への配慮)

加害少年に対するしょく罪指導等を実施し、被害者の視点を取り入れた教育を充実させる。また、加害少年のプライバシー、更生への影響や事件の性質等を考慮しつつ、被害者の求めに応じて、適切な情報提供を行うなど被害者への配慮に努める。

(施設内処遇を通じた取組等)

少年鑑別所においては、鑑別対象者の資質上及び環境上問題となる事情を調査するとともに、その者が非行に陥った原因等を明らかにすることで、再非行、再犯を防ぐために必要な処遇を実施できるよう、家庭裁判所とも連携を図りながら、鑑別及び観護処遇を充実、強化する。

少年院や少年刑務所における矯正教育や改善指導等、児童自立支援施設における自立支援のための指導等を充実させ、自他の尊厳と価値を知り、規範意識を高めることができるよう、個々の年齢や能力に応じた指導助言及び教育を行う体制の充実に努める。

少年院在院者の保護者等に対する実効性のある指導・助言を行う。

少年院・少年刑務所において、勤労意欲を高め、職業上有用な知識及び技能を習得させる指導等の充実を図るほか、社会復帰に資する就労支援を行う。また、少年院において、修学の意欲を高めるため、高等学校卒業程度認定試験受験の督励や個々のニーズに合わせた支援を行う。

(社会内処遇を通じた取組等)

保護観察中の少年に対し、介護補助や奉仕活動等の地域の役に立つ活動を行わせることにより、自己有用感や社会性を向上させる社会貢献活動を実施するなどして処遇の強化を図るとともに、そのために必要となる体制の充実に努める。

保護観察に付されている少年の保護者等に対して、保護者会を実施するほか、少年の監護に関する責任を自覚させ、監護能力が向上するよう働き掛ける。

また、保護司等民間ボランティア団体の活動を推進するとともに、更生保護施設や自立援助ホームの充実等を図る。

社会全体で非行から立ち直った少年を見守り、その健全な育成を支援する気運を醸成し、関係機関、学校、民間協力者、地域の人々等が連携・協働して行う居場所づくりを始めとした多様な立ち直り支援を推進する。

④ 子供の貧困問題への対応

(教育の支援)

家庭の経済状況にかかわらず、学ぶ意欲と能力のある全ての子供が質の高い教育を受けられるよう、幼児教育の無償化に向けた取組の段階的推進、義務教育段階の就学援助、フリースクール等で学ぶ不登校児童生徒への支援、高等学校等就学支援金制度や高校生等奨学給付金制度等による高校生への修学支援、大学生等への授業料減免や無利子奨学金の充実など、幼児期から高等教育段階まで切れ目のない形で、教育費の負担軽減に取り組む。

また、学校を貧困対策のプラットフォームとして位置付け、教職員等の指導体制の充実、公立学校等へのサポートスタッフの配置、多様な学習を支援する高等学校への支援による学校教育における学力保障・進路支援、スクールソーシャルワーカー・スクールカウンセラーの配置、家庭教育支援チーム等による支援の充実、経済的な理由や家庭の事情により学習が遅れがちな中学生等を対象とした情報通信技術の活用等による原則無料の学習支援(地域未来塾)の充実、放課後子供教室の充実、コミュニティ・スクールの導入促進、地域と学校の連携・協働の推進による地域における学習支援に取り組む。

さらに、夜間中学校の設置促進、青少年教育施設における規則正しい生活習慣や自立する力を身に付けるための体験活動の充実に取り組む。

加えて、生活保護世帯の子供を含む生活困窮世帯の子供を対象とした学習支援事業を実施するとともに、生活保護世帯の高校生等の奨学金、アルバイト収入を学習塾等の費用に充てる場合には収入認定から除外する。

(生活の支援)

生活保護受給者に対して就労による経済的自立を支援するとともに、生活困窮世帯の子供やその保護者に対して、生活困窮者自立支援法(平成25年法律第105号)に基づき包括的な支援を行う自立相談支援事業や家計相談支援事業等による支援を実施し、必要に応じて適切な関係機関につなぐ。

経済的に厳しい状況に置かれたひとり親家庭等に、行政の支援が確実につながるようにするため、相談窓口へのアクセスの向上を図るとともに、子育て・教育・生活に関する内容から就業に関する内容まで、ワンストップで相談に応じることができる体制の整備を推進する。さらに、一時的に家事援助、保育等のサービスが必要となった際に、家庭生活支援員の派遣等により児童の世話等を行うことで、ひとり親家庭が安心して子育てをしながら生活できる環境整備を図る。また、ひとり親家庭の子供の生活の向上を図るため、放課後児童クラブ等の終了後に生活習慣の習得・学習支援、食事の提供等を行うことが可能な居場所づくりを行う自治体の取組を支援する。

(保護者に対する就労の支援)

ひとり親が看護師等経済的自立に効果的な資格を取得するため養成機関で修業する場合に支給する高等職業訓練促進給付金など、知識技能の習得に係る給付金を充実するほか、ひとり親について試行就業から長期雇用につなげる道を広げるため、企業に対する助成金の拡充と活用促進を行う等、各種就業支援策を推進する。また、子育てと就業の両立のため、保育所等の優先利用を推進する。

ひとり親や生活困窮者・生活保護受給者の就労支援については、就労支援員等による支援や、ハローワークと福祉事務所等のチーム支援、就労の準備段階の者への支援などきめ細かい支援を実施する。また、生活保護受給者の就労や自立に向けたインセンティブの強化として、積極的に求職活動に取り組む者への就労活動促進費を支給するとともに、安定した職業に就いたこと等により保護を脱却した場合に就労自立給付金を支給する。

(住宅の支援)

特に住宅困窮度が高いひとり親世帯等の子育て世帯の居住の安定を確保するため、低廉な家賃での公的賃貸住宅の供給の促進、空き家を活用した子育て世帯向けの賃貸住宅の整備や子育て支援施設等の併設による公的賃貸住宅団地の福祉拠点化への支援等を行う。

(経済的支援)

母子父子寡婦福祉資金の貸付け、児童扶養手当及び公的年金制度による遺族年金を支給する。また、ひとり親家庭の最低限度の生活を保障するため、生活保護の母子加算の支給などにより、必要な保護を行う。ひとり親家庭の自立を助けるための貸付制度を設けるほか、児童扶養手当の機能の拡充を図る。

(調査研究等)

子供の貧困対策の推進に資するよう、子供の貧困に関する実態等の把握・分析を行い、その成果を対策に生かしていくよう努めるほか、子供の貧困に関する新たな指標を開発するため調査研究に取り組む。

また、国内外の調査研究の成果等の情報の収集・蓄積を行うとともに、地方公共団体が地域の事情を踏まえた対策を企画・立案、実施できるよう必要な情報提供に努める。

(官公民の連携した取組)

官公民の連携・協働プロジェクトとして「子供の未来応援国民運動」を推進し、各種支援情報を一元的に集約した上で、地域別、属性等別、支援の種類別に検索できる総合的な支援情報ポータルサイトの整備や、民間資金による基金を活用し、草の根で支援を行うNPO等に対して支援を行うなど、国民運動事業の展開、充実を図る。

また、子供の貧困対策に係る取組の実効性を高めるため、地方公共団体等を通じた支援を行う。

⑤ 特に配慮が必要な子供・若者の支援

(自殺対策)

日本が先進7か国で唯一、15歳から34歳までの若者の死因のトップが自殺となっているなど深刻な状況に鑑み、自殺予防週間・自殺対策強化月間での啓発事業や、地域における心の健康づくりや相談体制の充実等を推進するなど、「自殺総合対策大綱」(平成24年8月28日閣議決定)に基づき、自殺を防ぐ体制の充実を図る。

(外国人の子供や帰国児童生徒の教育の充実等)

外国人の子供や帰国児童生徒が、就学の機会を逸することのないように、円滑な就学を目指した就学支援を行う。

また、公立学校の受入体制や日本語指導の体制を整備し、個人の実態に応じたきめ細かな適応支援や日本語指導の充実を図る。

(定住外国人の若者の就職の促進等)

日系人を始めとする定住外国人の若者の就職を促進するため、就職支援ガイダンス、職業意識啓発指導、職業指導等、個別の就職支援を行うほか、職業訓練を実施する。

(性同一性障害者等に対する理解促進)

性同一性障害者や性的指向を理由として困難な状況に置かれている者等特に配慮が必要な子供・若者に対する偏見・差別をなくし、理解を深めるための啓発活動を実施する。

(3) 子供・若者の被害防止・保護
① 児童虐待防止対策

(児童虐待の発生予防及び発生時の迅速・的確な対応)

児童虐待の発生予防のため、地域社会から孤立している家庭へのアウトリーチを積極的に行うことや、支援を要する妊婦を把握し、妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援を提供する仕組みを構築すること等により、妊娠や子育ての不安、孤立等に対応し、児童虐待のリスクを早期に発見・逓減するよう努める。

また、児童虐待が発生した場合には、児童の安全を確保するための初動対応が確実・迅速に図られるよう、児童相談所の体制整備や要保護児童対策地域協議会の機能強化等を図る。

(社会的養護の推進及び要保護児童等の居場所づくり)

虐待を受けた子供など社会的養護が必要な子供をより家庭的な環境で育てることができるよう、児童養護施設等におけるケア単位の小規模化・地域分散化等や里親・小規模居住型児童養育事業(ファミリーホーム)への委託の推進を図る。また、児童の家庭復帰後の再度の虐待発生を防止するため、親子関係再構築を円滑に進めるための支援を行う。さらに、自立に向けた生活支援や相談支援など、児童養護施設退所者等へのアフターケアの充実を図り、心の拠り所となる居場所づくりを推進する。

② 子供・若者の福祉を害する犯罪対策

(子供・若者の福祉を害する犯罪対策)

児童買春、児童ポルノに係る犯罪等を根絶するため、社会全体に対して広報啓発を行うとともに、サイバー補導を推進する。特に、被害児童の早期発見と被害の拡大防止を図るため、厳正な捜査及び適切な処理を行うとともに事件広報など情報発信を積極的に行い大人社会に警鐘を鳴らす。

特に、児童ポルノ排除対策については、「第二次児童ポルノ排除総合対策」(平成25年5月28日犯罪対策閣僚会議決定)に基づく総合的な対策を実施する。

また、近年、新たな形態が出現している、少年の性を売り物とする営業については、その実態把握に努め、これらの営業において稼働している少年に対する補導を行うとともに、各種法令を適用して取締りを積極的に推進する。

(犯罪被害に遭った子供・若者とその家族等への対応)

犯罪の被害を受けた子供・若者や、その兄弟姉妹を含む家族の精神的負担の軽減を図るなど、立ち直りを支援するため、専門職員等による継続的な支援活動を推進するとともに、関係機関等が連携して相談、訪問活動や環境調整等の支援を実施する。

3 子供・若者の成長のための社会環境の整備

(1) 家庭、学校及び地域の相互の関係の再構築
① 保護者等への積極的な支援

(家庭教育支援)

地域や学校を始めとする豊かなつながりの中で家庭教育が行われるよう、地域の子育て経験者や民生委員・児童委員等から構成される家庭教育支援チーム等による学習機会の提供や情報提供、相談対応、訪問型家庭教育支援等の取組を推進する。

(養育の多様化への支援)

養親子などの養育の多様化に配慮した支援の充実を図る。

② 「チームとしての学校」と地域との連携・協働

(学校と地域が連携・協働する体制の構築)

複雑化・多様化する学校の課題に対応するとともに、子供たちに必要な資質・能力を育むため、学校のマネジメントを強化し、学校において教員が心理や福祉等の専門家と連携・分担する「チームとしての学校」としての体制を整備するとともに、学校と地域が連携・協働して学校を核とした地域づくりを推進し、社会総掛かりで教育を進める体制を構築する。

③ 地域全体で子供を育む環境づくり

(放課後子ども総合プランの推進)

共働き家庭等の「小1の壁」を打破するとともに、次代を担う人材を育成するため、全ての就学児童が放課後等を安全・安心に過ごし、多様な体験・活動を行うことができるよう、「放課後子ども総合プラン」(平成26年7月31日策定)に基づき、平成31年度末までに、放課後児童クラブについて、約30万人分を新たに整備するとともに、全小学校区で放課後児童クラブと放課後子供教室を一体的に又は連携して実施し、うち1万か所以上を一体型で実施することを目指して、計画的な整備等を進める。

(中高生の放課後等の活動の支援)

地域における中学生・高校生の活動拠点の一つである児童館の積極的な活用等により、遊戯やレクリエーションを含む、様々な体験・交流活動のための十分な機会を提供する。

また、中学生や高校生を対象に、地域の多様な経験や技能を持つ人材・企業等の協力を得て、放課後や土曜日等に学校・家庭・地域が連携・協働して教育に取り組む様々な仕組みづくりを推進し、学校と地域が一体となった取組を支援する。

(地域で展開される多様な活動の推進)

子供・若者の社会性、豊かな人間性、たくましさ等を育てるため、地域等で展開される環境学習、ESD(持続可能な開発のための教育)の視点を踏まえた活動、自然体験、集団宿泊体験、奉仕体験、スポーツ活動、芸術・伝統文化体験、ダンス等の創作的活動といった様々な体験活動や、異世代間・地域間交流等の多様な活動の機会の提供を推進する。また、農山漁村に滞在し、農林漁業体験等を行う活動や、体験活動を支援する人材の育成等を推進する。

(体験・交流活動等の場の整備)

子供・若者が、自然体験や集団宿泊体験等の体験活動を行える青少年教育施設、都市公園等の整備や地域密着型スポーツクラブの育成・充実を推進するとともに、自然公園、河川や海岸などの水辺空間、森林を保全・整備する。また、道路、路外駐車場、公園、官庁施設、公共交通機関等のバリアフリー化を推進するとともに、公園遊具の安全点検等を通じ、子供が安全に遊べる環境を整備する。

④ 子供・若者が犯罪等の被害に遭いにくいまちづくり

(子供・若者が犯罪等の被害に遭いにくいまちづくり)

学校や通学路等の安全点検を実施するとともに、防犯灯・防犯カメラの整備や見通しのよい植栽の確保等の安全に配慮したまちづくりを推進する。

また、自然災害に対して、児童福祉施設や幼稚園等の要配慮者利用施設を保全する砂防堰(えん)堤等の土砂災害防止施設の重点的な整備や、土砂災害防止法(平成12年法律第57号)に基づき市町村地域防災計画において土砂災害警戒区域内の要配慮者利用施設の名称及び所在地、土砂災害に関する情報伝達等に関する事項を定める等のソフト対策等を推進する。

(2) 子育て支援等の充実

(子供と子育てを応援する社会の実現に向けた取組)

平成27年4月に施行された子ども・子育て支援新制度を着実に実施・運用することにより、幼児教育・保育・地域の子ども・子育て支援を総合的に推進する。

また、幼児教育・保育・子育て支援の「量的拡充」及び「質の向上」に消費税増収分を優先的に充てるとともに、更なる「質の向上」を図るため、消費税分以外も含め適切に確保する。

(3) 子供・若者を取り巻く有害環境等への対応

(「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」の的確な施行等)

青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律(平成20年法律第79号)及び「青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画(第3次)」(平成27年7月30日子ども・若者育成支援推進本部決定)に基づき、青少年のインターネットの適切な利用に関する教育及び啓発活動、フィルタリングの性能向上及び利用普及、民間団体等の取組の支援等を強化する。

また、新たな技術、サービスや利用実態等を把握し、新たな問題等に対しては、官民連携して、迅速に取り組む。

(ネット依存への対応)

ネット依存の傾向が見られる青少年に対しては、青少年教育施設等を活用した自然体験や宿泊体験プログラムなどの取組を推進する。

(性風俗関連特殊営業の取締り等)

性風俗関連特殊営業等に関し、関連法令に違反する行為に対する積極的な取締りを行う。

(酒類、たばこの未成年者に対する販売等の禁止)

酒類やたばこの販売時における年齢確認等の強化・徹底を要請する等、関係業界への働き掛けを行う。法令違反については、所要の捜査及び適正な処分を行う。

(4) ワーク・ライフ・バランスの推進

(ワーク・ライフ・バランスの推進)

長時間労働を是正し、大人自身が遊び心、心の余裕を持って生活ができるなど、家族との充実した時間や自己啓発、地域活動への参加のための時間を持つことができるよう、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)」の実現に向け、国民運動を通じた気運の醸成、制度的枠組みの構築や環境整備などの促進・支援策に積極的に取り組む。

4 子供・若者の成長を支える担い手の養成

(1) 地域における多様な担い手の養成

(民間協力者の確保)

保護司、人権擁護委員、児童委員、少年警察ボランティア、母子保健推進員等の民間協力者について、幅広い世代・分野からの人材の確保を図るとともに、研修を充実させる。

ニートや非行に陥った少年、障害者等の就労について、企業や個人事業主等の協力者の確保に取り組む。

子供や若者の体験活動を育む体験活動指導者や自然解説指導者の養成・研修を推進する。

子育て経験者、様々な経験を有する高齢者、企業やNPO等の多様な主体による子供・若者育成支援に係る活動への参加を促す取組を進める。

(同世代又は年齢の近い世代による相談・支援)

同世代又は年齢が近く価値観を共有しやすい学生等によるボランティアの導入を推進し、相談・支援を充実させる。

非行など問題を抱えた少年の自立を支援する青年ボランティアの活動を促進するために必要な協力を行うとともに、非行少年を生まない社会づくりに資する学生ボランティアの能力向上のための研修等の実施を促進する。

(2) 専門性の高い人材の養成・確保

(総合的な知見の下に支援をコーディネートする人材の養成)

相談業務等に従事する公的機関の職員、NPO等の職員を対象に、教育・福祉・雇用等の分野横断的な知見と支援手法を駆使し、困難を抱える子供・若者を円滑な社会生活へと導く支援コーディネーターを養成するための研修を実施する。

(教員の資質能力の向上)

教員の資質能力の総合的な向上方策の検討を行い、養成、採用、研修の各段階を通じた体系的な施策を充実させ、使命感、得意分野、個性を持ち、現場の課題に適切に対応できる力量のある教員を確保する。

(医療・保健関係専門職)

小児科医師及び産科医師の確保対策を推進するとともに、保健師、助産師を含む看護職員の人材確保対策を総合的に行う。

(児童福祉に関する専門職)

保育士、児童福祉司など児童福祉施設や児童相談所の職員について、必要な体制の確保に努めるとともに、研修を充実させ、専門性の向上を図る。

(思春期の心理関係専門職)

医師、保健師、看護師、精神保健福祉士、臨床心理技術者等を対象に、児童思春期における心の健康問題に対応できる専門家の養成研修等を行う。

矯正施設の心理関係専門職に対する各種研修を充実させ、専門性の向上を図る。

(少年補導や非行少年の処遇に関する専門職)

少年補導職員の適正な職員数の確保に努め、資質向上と少年相談等の専門家の育成を図るとともに、法務教官及び保護観察官の指導力の向上を図る。

5 創造的な未来を切り拓く子供・若者の応援

(1) グローバル社会で活躍する人材の育成

(自国の伝統・文化への理解促進等)

グローバル化する社会の中で、言語や文化が異なる人々と主体的に協働していくことができるよう、我が国の伝統・文化に関する深い理解、異文化に対する理解等を育む。

(外国語教育の推進)

初等中等教育段階からグローバル化に対応した教育環境づくりを進めるため、英語教育の小学校における早期化・教科化や中・高等学校における高度化など、小・中・高等学校を通じた英語教育全体の抜本的な強化を図る。

(海外留学と留学生受入の推進等)

民間とも協力し、意欲と能力のある若者全員に海外への留学機会を付与するための支援を充実させる。また、優秀な外国人留学生を戦略的に確保するため、留学の動機付けから大学等での受入れ、就職など卒業後の進路に至るまでの受入れ環境の充実を図る。

グローバル化に対応した大学の体制強化と教育の質の保証に向けた取組を支援する。また、高校段階から、様々な国際舞台で活躍できるグローバル・リーダーを育成するため、スーパーグローバルハイスクールを推進する。

(海外子女教育の充実)

在外教育施設への教員派遣の拡充など、在外教育施設における質の高い教育環境を充実させ、即戦力となるグローバル人材を育成する。

(オリンピック・パラリンピック教育の推進)

2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を踏まえ、オリンピック・パラリンピックに関する市民フォーラムの開催やパラリンピック競技体験などを通じた共生社会への理解促進などを行うオリンピック・パラリンピック教育を推進することにより、スポーツの価値や効果の再認識を通じて自己や社会の在り方を向上させ、国際的な視野を持って世界の平和に向けて活躍できる人材を育成する。

(国際交流活動)

若者の国際理解を促し、グローバル化に対応したリーダーシップ能力、異文化対応力を育成するとともに、日本人としてのアイデンティティの確立を図るため、国内外の青少年の招聘(へい)・派遣等を通じた国際交流の機会を提供する。

(2) イノベーションの担い手となる科学技術人材等の育成

(理数教育の推進)

児童・生徒の科学技術、理科・数学・算数への関心を更に高め、また、優れた素質を発掘し才能を伸長させるため、先進的な理数系教育を実施するスーパーサイエンスハイスクールや、各学校段階における力試し・切磋琢磨の場を設けるなどの取組を支援する。

(起業家の育成)

大学院生や若手研究者を中心とした受講者が起業家マインド、事業化ノウハウ、課題発見・解決能力及び広い視野等を身につけることを目指し、受講者の主体性を生かした実践的な人材育成の取組への支援を行う。

(起業支援)

30歳未満で新規開業しておおむね7年以内の若年起業家に対して、設備投資や運転資金の低利融資を実施するなど、若者の起業を支援する。

(3) 情報通信技術の進化に適応し、活用できる人材の育成

(情報通信技術人材の育成)

大学等において、産学連携により企業等の実際の課題に基づく課題解決型学習等の実践教育を推進し、情報通信技術を高度に活用して社会の具体的な課題を解決できる人材を育成する。

(4) 地域づくりで活躍する若者の応援

(若者による地域づくりの推進)

地域産業を担う高度な専門的職業人材を育成し、また、地元企業に就職する若者を増やすとともに、地域産業を自ら生み出す人材を創出するために、地方大学や高等専門学校、専修学校等において、地元の地方公共団体や企業等と連携した取組を強化する。

地方大学等への進学、地元企業への就職、都市部の大学等から地方企業への就職を促進するため、地方公共団体と大学等との連携により、地方における雇用の創出、若者の定着に向けた取組を促進する。

都市地域から過疎地域等に移り、一定期間、地域協力活動を行いながら、当該過疎地域等への定住・定着を図る「地域おこし協力隊」を推進し、若者の持てる能力を活用した地域づくりを図る。

(5) 国際的に活躍する次世代競技者、新進芸術家等の育成

(次世代競技者の育成)

各競技における国内外強化合宿の実施や有望な選手等の海外派遣など、オリンピック・パラリンピックを始めとする国際大会で活躍が期待できる次世代競技者の発掘・育成・強化などの取組を戦略的に実施する。

(新進芸術家等の育成)

才能豊かな新進芸術家等を対象として、公演出演や展覧会出展などの機会を提供するとともに、技術の向上や知識の深化に資するワークショップ等の研修を実施することを通して、次代を担い、世界に通用する創造性豊かな芸術家等の育成を図る。

(6) 社会貢献活動等に対する応援

(内閣総理大臣表彰の創設)

地域における子供・若者の社会貢献活動等に対する評価や社会的認知度を一層高めるため、内閣総理大臣表彰を創設する。

第4 施策の推進体制等

(1) 子供・若者に関する実態等の把握、知見の集積と共有

(調査研究)

子供・若者育成支援施策の企画・立案、実施に際し客観的で幅広い情報の十分な活用等に資するため、心身の状況、成育環境、非行、社会的自立の状況等に関する子供・若者やその保護者の実態・意識等について調査研究を推進する。

その際、年齢、性別、学歴等属性別に実態把握を進めるとともに、子供・若者の育成支援や課題の解決には幅広い分野の関わりが必要なことを踏まえ、行政分野横断的・学際的・国際的な調査研究の充実を図る。

また、少年非行について、非行少年の実態及び再非行に係る要因等を明らかにし、再犯防止、社会復帰の在り方の検討に資する基礎資料を提供するための研究を実施する。

(2) 広報啓発等

(広報啓発・情報提供等)

子育て支援、体力の向上、子供・若者の人権尊重、自殺予防、防犯、非行防止・更生その他困難を有する子供・若者の支援など子供・若者育成支援に関して、強調月間の設定や民間主体との連携・協力等による広報啓発や情報提供の実施、あるいは表彰事業の実施などを通じて、国民の理解・協力を促進する。また、児童の権利に関する条約の趣旨にのっとった取組がなされるよう、条約の内容について普及を図る。

さらに、各種の情報が子供・若者に届きやすく、かつ、分かりやすいものとなるよう、子供・若者向けの情報提供を実施する。

上記のほか、子供・若者育成支援施策に係る情報を適時適切に公開する。

(保護者を含む大人に対する啓発)

社会全体で子供・若者を守り育てるという原点に立ち返り、子供・若者の健全な育成を支援するため保護者を含む大人が、自らの行動を通じて、次代を担う子供に正義感や倫理観、思いやりの心を育み、社会の一員として役割と責任を果たしていくべきことを伝えていくよう啓発を行う。

(国民運動等の取組の推進)

地方公共団体、学識経験者、民間の関係者等と連携・協力して、子供・若者育成支援に取り組むことができるよう国民運動として気運の醸成等に努める。

(家族や地域の大切さ等についての理解促進)

「家族の日」や「家族の週間」における啓発、地域や企業の取組等の表彰を通じて、家族や地域の大切さ等についての理解を促進する。

(3) 国際的な連携・協力

(国際機関等における取組への協力)

国連等の国際機関における子供についての条約や行動計画等の取組に積極的に参画するとともに、その内容の周知に努め、相互交流等の国際協力を推進する。

(情報の収集・発信)

諸外国の子供・若者育成支援施策の現状等に関する情報の収集、提供等に努めるとともに、我が国の施策について、諸外国に向けた情報発信を行う。

(4) 施策の推進等

(国の関係機関等の連携・協働の促進)

本大綱に基づく施策を総合的かつ効果的に推進するため、子ども・若者育成支援推進本部を中心として、内閣総理大臣のリーダーシップの下に関係行政機関相互間の緊密な連携・協力を図るとともに、施策相互間の十分な調整を図る。

また、地方公共団体との間でも、緊密な連携・協力を図る。

(審議会等の委員構成への配慮)

子供・若者育成支援施策や世代間合意が不可欠である分野の施策については、子供・若者の意見も積極的かつ適切に反映されるよう、各種審議会、懇談会等の委員構成に配慮する。

(地域における取組の推進)

地域において子供・若者育成支援に取り組む地方公共団体、学校、企業、NPO等の民間団体、学識経験者等、様々な主体による先進的な活動について情報共有する機会を設けることを通じて、各主体の相互の連携を促進するとともに、全国的な取組内容の向上を図る。

(関係施策の実施状況の点検・評価)

本大綱に基づく子供・若者育成支援施策の実施状況について、有識者や子供・若者の意見を聴きながら点検・評価を行う。

(大綱の見直し)

本大綱については、おおむね5年を目途に見直しを行う。


用語(注)

子供:乳幼児期、学童期及び思春期の者。

若者:思春期、青年期の者。施策によっては、40歳未満までのポスト青年期の者も対象とする。

青少年:乳幼児期から青年期までの者。

※乳幼児期は、義務教育年齢に達するまでの者。
※学童期は、小学生の者。
※思春期は、中学生からおおむね18歳までの者。
※思春期の者は、子供から若者への移行期として、施策により、子供、若者それぞれに該当する場合がある。
※青年期は、おおむね18歳からおおむね30歳未満までの者。
※ポスト青年期は、青年期を過ぎ、大学等において社会の各分野を支え、発展させていく資質・能力を養う努力を続けている者や円滑な社会生活を営む上で困難を有する、40歳未満の者。

本大綱では、法律名等を除き、法令上の表記に関わらず、常用漢字表(平成22年内閣告示第2号)による表記を用いているが、法令上の用語と意味を異にするものではない。

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