第3章 困難を有する子供・若者やその家族の支援(第1節)

[目次]  [戻る]  [次へ]

第1節 子供・若者の抱える課題の複合性・複雑性を踏まえた重層的な支援の充実(内閣府)

子供・若者を取り巻く環境はそれぞれ異なり、ゆえに彼らが有する困難な状況もそれぞれ異なる。その困難は、経済的な困窮、いじめ、不登校、ひきこもり、障害、虐待など、非常に多岐にわたるものであり、また、いくつかの困難が複合的にあらわれ、その困難をさらに複雑なものとしているケースもみられる。こうした困難を有する子供・若者に対しては、個々の状況に応じたきめ細かな支援が必要であり、生まれ育った環境などによって、子供・若者の未来が左右されることのないよう、関係機関の連携が強く求められている。

1 子ども・若者支援地域協議会を通じた縦と横の支援ネットワークの構築

社会生活を円滑に営む上での困難を有する子供・若者に対し、年齢階層で途切れることなく継続した支援を行う「縦のネットワーク」を機能させ、あわせて、教育、福祉、保健、医療、矯正、更生保護、雇用等の関係機関・団体が、個々の子供・若者に関する情報を適切に共有し、有機的に連携する「横のネットワーク」を機能させることが必要とされている。

内閣府は、「子ども・若者育成支援推進法」に基づく「子ども・若者支援地域協議会」1(第3-1図、第3-2図)の設置及び活用を推進するため、令和元(2019)年度は、地方公共団体を対象とした「子供・若者支援地域ネットワーク強化推進事業」を実施しており、令和2(2020)年3月31日現在、126の地域に子ども・若者支援地域協議会が設置されている。

第3-1図 子ども・若者支援地域協議会
第3-2図 子ども・若者支援地域協議会設置数の推移

COLUMN NO.4
 あま市・大治町子ども・若者支援地域協議会について~子ども・若者支援地域協議会の共同設置~

愛知県あま市と大治町(以下「両市町」という。)は、平成30(2018)年11月1日に「子ども・若者育成支援推進法」(以下「法」という。)第19条に規定する「子ども・若者支援地域協議会」として、「あま市・大治町子ども・若者支援地域協議会」(以下「協議会」という。)を設置した。

2つの自治体の共同により設置された子ども・若者支援地域協議会は、全国でも珍しいケースであり、本コラムでは、両市町における協議会共同設置までの歩みと今後の展望を取り上げる。

1 協議会の概要

協議会は、両市町の教育、福祉、保健担当の部署、公共職業安定所など愛知県の海部地域を所管する国や県の機関及び就労支援やひきこもり支援を行っている特定非営利活動法人など21の機関で構成されている。同協議会の活動については、協議会を円滑に機能させるための代表者会議を年1回、各機関が相互の連携を円滑に図るための実務者会議を年4回、個別の支援について具体的に検討するための個別ケース検討会議は随時開催することとされており、初年度である平成30年度は代表者会議及び実務者会議を2回、令和元(2019)年度は代表者会議及び実務者会議を4回開催した。

2 共同設置の背景

両市町のある愛知県海部地域は名古屋市の西に位置している。令和2(2020)年2月1日現在のあま市の人口は89,181人、大治町の人口は32,770人で、共に名古屋市に隣接していることから、そのベッドタウンとして発展してきた。また、近年、地域間交流を図るためのまちづくり連携会議の開催やファミリー・サポート・センターの合同実施など、あらゆる分野で連携を推し進めている点が両市町の共通点として挙げられるが、共通の課題として不登校児童・生徒の増加があり、子ども・若者支援地域協議会を共同で設置し、不登校支援につなげていきたいとの共通認識があったことが共同設置の大きな背景としてあった。

3 共同設置までの過程

共同設置までの過程であるが、まず両市町は、平成28(2016)年度から平成29(2017)年度にかけ、内閣府子供・若者支援地域ネットワーク強化推進事業実施地域の指定を受け、合同研修会への参加、公開講座の実施及び県内の先進地視察を行い、これらと並行して担当者会議を通年にわたって行った。

平成29年度からは協議会設置に係る準備及び協議に入り、協議会の事務分担、設置要綱の制定、構成機関の選定及び予算の調整に取り掛かった。18回にわたり会議を重ね、連絡調整を密に図りつつ、設置に向けて事務を進め、平成30年10月の両市町の首長による設置に関する協定書の締結、そして、平成30年11月の協議会設置に至った。

(協定書締結式の様子)
(協定書締結式の様子)

4 特徴的取組

協議会の庶務は、あま市教育委員会生涯学習課及び大治町教育委員会社会教育課が合同で行うこととした。

また、協議会の運営について両市町が協議し、かつ事務の連絡調整を図るため、合同定例会を定期的に開催している(令和元年度は令和2年3月末までに20回開催)。

実務者会議では、グループワークの実施(グループメンバーを適宜入れ替えるワールドカフェ形式など)や取り組み紹介シートの作成、また、アドバイザーを招聘し、会議における意見に対して必要な助言を頂くなど、構成機関同士が積極的に意見や情報交換を図り、顔の見える関係づくりができるよう努めている。

(実務者会議の様子)
(実務者会議の様子)

5 今後の展望

今後の展望として、おおむね15歳から39歳までの社会生活を営む上での困難を有する子供や若者を支援対象として、子供・若者育成支援に関する相談に応じ、関係機関の紹介その他の必要な情報の提供及び助言を行う拠点となる「相談窓口」(法13条に規定する「子ども・若者総合相談センター」)を、両市町それぞれに令和2年度に設置する計画である。

この「相談窓口」は、両市町の住民の相互利用を前提としており、実務者会議において各構成機関から相談窓口運営について様々な意見を頂き、その意見を踏まえ、予算編成や運営方針について両市町が調整を図り、計画を推し進めてきたところである。

スタートしてまだ1年余りの協議会ではあるが、今後、実効性のある組織としていくため、両市町の協同を更に強固なものとしながら運営に取り組んでいる。

2 アウトリーチの充実

「子ども・若者育成支援推進法」第15条では、困難を有する子供・若者に対する支援の一つとして、「子ども・若者の住居その他の適切な場所において、必要な相談、助言又は指導を行うこと」が規定されている。

困難を有する子供・若者の中には、自ら相談機関に出向くことが難しい者もおり、支援を行う者が問題に応じて家庭等に出向き、必要な相談、助言又は指導を行うアウトリーチ(訪問支援)が必要な場合がある。

内閣府は、アウトリーチに携わる人材の養成を目的とした「アウトリーチ(訪問支援)研修」を実施している。この研修では、講義・演習のほか、実地研修(研修生が、アウトリーチ等の実績のある相談機関・団体に赴き、支援の現場で指導を受ける実習)も実施しており、実践的な技能の習得を図っている。また、令和元(2019)年度には、過去にアウトリーチ研修を受講した者を主な対象に、長期化したひきこもりの状態にある者等にも対応でき、個々の特性をいかした就業等につなげられる高度な知識・技術の習得を目的としたアウトリーチ上級研修も実施した。


1 「子ども・若者育成支援推進法」第19条で地方公共団体に設置の努力義務が課されている協議会。
[目次]  [戻る]  [次へ]