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アメリカ・ドイツにおける青少年のインターネット環境整備状況等調査報告書

第II部 調査の結果

第1章 アメリカにおける調査

1.1 青少年のインターネット利用環境に関する実態

1.1.1 青少年の閲覧が望ましくないとされている情報(有害情報)及び違法とされている情報(違法情報)の現状1

米国における青少年の定義
 米国における青少年の定義は、調査を行う機関によって必ずしも同一ではない。例えば、インターネット関連の調査を行っている民間調査機関Pew Internet & American Life Project(以下、ピュー・インターネット)では、12〜17歳の子どもをティーンズ(Teens)と呼び、18〜29歳の青年をヤング・アダルト(Young Adults)を称し、それらを合わせて青少年(adolescent、juvenile、youngster、youth)としている。しかし、後述の児童インターネット保護法等の関連法令が原則として未成年者を対象にしていることや、サイバー・チップラインの対象が未成年であることなどから、本章では、「青少年」を概ね18歳未満の未成年者2とする。



違法・有害情報
 米国では、サイバー・チップライン(The Cyber Tipline)3に報告される情報には、青少年のポルノ、児童買春・売春や性的虐待なども含まれており、それらは有害な情報とみなされている。
 また、合衆国法典第18編第1部第71章第1470条(「わいせつ物の未成年者への譲渡4 」)により、16歳未満の未成年者に対して、その手段を問わずわいせつ物を配布することを禁止している。連邦最高裁では、同条にいう「わいせつ物」に当たるか否かの判断基準として、以下の3つの条件を挙げている5(いわゆる「ミラー判決 (Miller v. California, 413 U.S. 15 (1973) )」):

(a) 平均的な人が、その所属する地域社会などの現時点でのコミュニティーの基準(contemporary community
  standards) に照らしてその表現物を見た場合、全体として好色的な興味に訴えていると考えるか
(b) その表現物が、当該州法によって明確に定義された性的行為を、明らかに不快感をえる方法で、
  描写または記述しているか
(c) その表現物が、全体として見た場合、まじめな文学的、芸術的、政治的または科学的価値を欠いているか

 以上の3つの条件全てに当てはまるものはわいせつ物として、インターネット上も含め未成年者に対して見せたり送ったりすることは違法とされる。6


 さらに、米国では、児童買春や児童ポルノの所持・制作・配布に関連して、以下の行為を合衆国法典における違法行為と定めている。

 上記に該当する行為に関わる情報は有害・違法情報として、インターネット・プロバイダなどが全米失踪・被搾取子どもセンター (The National Center for Missing & Exploited Children、NCME10)が運営しているサイバー・チップラインへの報告が義務付けられている11 (合衆国法典18編2258A条、18 U.S.C. 2258A)。


 また、2000年に制定された児童インターネット保護法(The Children's Internet Protection Act、CIPA)12では、学校と図書館において子どもがインターネットへアクセスする際に、不快なコンテンツに触れないようにすることを目的として、合衆国政府が実施するプログラムの利用条件として、学校や図書館内のコンピューターにフィルタリング・ソフトのインストール等が義務付けられており、以下の情報がその対象とされている。

 すなわち、同法においては、合衆国政府が実施するE-料金プログラム(E-rate program)を利用して、低額でインターネットを利用する際の条件として、学校や図書館の公共施設に対して、事業計画案を提出させることとしており、その中に、フィルタリング・ソフトのインストール等の技術的な対応策を講じることも条件として含まれている。その条件に違反している場合には、E-料金プログラムが利用できない。

 同法は憲法違反であるとして、2002年5月に、ペンシルバニア州東部地方裁判所において提訴され、その結果、一旦は、連邦地方裁判所において違憲判決が出ていたが、2003年6月、合衆国最高裁判所において合憲と判断され、現在に至っている13

 なお、同法においては、フィルタリング・ソフトのインストールの他に、以下の遵守事項が含まれている。



カリフォルニア州
 カリフォルニア州の場合、カリフォルニア州教育省(California Department of Education、CDE)のカリフォルニア教育出版部門14によれば、同州の学校では、合衆国政府が実施するE-料金プログラム(E-rate program)を積極的に活用するため、連邦の児童インターネット保護法において定義されている有害情報について、フィルタリング・ソフトを利用して子どものアクセスを制限することを推奨している。



テキサス州
 テキサス州では、州刑法9編43章B節43.21条において「わいせつ」が定義されているが15、その内容は合衆国法典のわいせつ法令に準じている。
また、テキサス州の検事局(Texas Attorney General Office16)においては、インターネット上における子どもの虐待者を、「インターネット、チャット・ルーム、ソーシャル・ネットワーキング・サービス等のサイトで、子どもに対する性犯罪を犯す者」と定義しており、これらの者に対し州刑法9編43章B節43.21条を適用している。また、子どもへの性的な暴力や虐待の場面の画像を作成し、共有し、配布する者も同条違反とみなされる


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