本編目次へ前ページへ次ページへ

アメリカ・ドイツにおける青少年のインターネット環境整備状況等調査報告書

第II部 調査の結果

第1章 アメリカにおける調査

1.1 青少年のインターネット利用環境に関する実態

1.1.4 青少年のインターネット利用に伴う青少年の生活等への影響35

 Nielsen社によると36、10代の青少年の一日の平均的なメディアへのアクセスは、テレビが200分、コンピューターの使用が52分、携帯電話の通話が6分、テキスト・メッセージの送受信が96件、コンソール・ゲーミングが25分となっている。


 また、ボール州立大学 (Ball State University)が2007年9月にまとめた「高校生とメディア (High School Media Too)」によると37、米国の高校生が学校にいる時間と宿題に費やす時間は、合わせて10.56時間(1日の44%の時間)であるのに対して、メディアへのアクセスには1日4.56時間(1日の19%)となっている38


 同研究は、3年以上にわたり800人以上の10代の青少年とその保護者に対して、対面インタビューやフォーカス・グループ・インタビュー39を行い、また、子どもがMySpaceやFacebook、YouTubeなどのコミュニティサイトにアクセスしている様子を、保護者が5,000時間以上にわたり観察して、子どもがデジタル・メディアにどのような目的でかかわっているか、毎日、報告してもらう方法で調査を行っている。


 インターネットの過度な利用については一般的に青少年の生活への悪影響を及ぼすのではないかと懸念されているが、インターネット上で過ごす時間は、10代の青少年にとって必ずしも無駄ではないという結果が、カリフォルニア州立大学アーバイン校の共同研究「10代の成長にとって何故インターネット上での時間が重要か(Why Time Spent Online Is Important for Teen Development)」40によって検証されている。
 同研究によれば、通常、大人がオフラインで習得する重要な社会的、技術的なスキルを、10代の青少年はインターネット上で習得している、としている。社会的なスキルは、どのように他人と接する課などのネットワーク、人脈作りなどの社交的なスキルで、技術的なスキルは、コンピューターなどのテクノロジーに関する技術におけるスキルを身につけるということである。青少年がインターネット上で社交スキルを習得していることは、大人からすると理解しがたく、見過ごされがちであるが、そこに青少年と大人との意識の差があると同研究は指摘している。
 同研究によると、10代の青少年がデジタル・メディアを利用する理由は「交友」と「関心」の2つに大別される。ここでいう「交友」目的とは、端的に言うと、既存の友人と共に「時間をつぶす」ことであるが、ここでいう「関心」目的とは、学校の仲間以外の友人とインターネット上でコミュニケーションを取ることである。


 同研究では、10代の青少年にとって、インターネットを含むデジタル・メディアは、以下のような効果があるとされる。


 このように、青少年の生活においてインターネット上の社会は必要不可欠な要素となっている。


 他方、インターネットの利用において、青少年の生活への悪影響を懸念する精神医学の専門家かもいる。例えば、「青少年のインターネット使用:危険と機会(Youth Internet Use: Risks and Opportunities41)」という2009年の報告書は、インターネット上において青少年はハラスメント、ネットいじめ、性的な勧誘などのリスクと遭遇する危険性があると共に、インターネット依存症に陥るなどの精神面における危険性があると指摘している。
 インターネット依存症の症状としては、例えば、現実逃避やインターネットのことを始終考えていたり、インターネットが利用できない状況にあると不快な状態に陥ったり、やめたいと思ってもインターネットの使用をやめられないなどが挙げられている。また、その他に、学業成績が落ちたり、長時間のインターネットの利用が原因で睡眠不足が起こったり、また、憂鬱状態になる場合もあるという。
 インターネットの利用において、青少年の生活に与える影響は個人差があるものの、同研究によれば、有効な介入を展開しながら、最も影響を受けやすい青少年を特定することが重要である指摘している。ただし、インターネットへの依存症のリスクの影響についての研究は未だ始まったばかりであり、さらなる研究の余地があるとも同報告書は述べている。


▲このページのTOPへ