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アメリカ・ドイツにおける青少年のインターネット環境整備状況等調査報告書

第II部 調査の結果

第1章 アメリカにおける調査

1.3 青少年のインターネット利用環境に関する制度、法及び政策とその背景

1.3.3 関連民間団体に対する支援

 米国では歴史的に、政府が非営利団体の活動を積極的に利用することで、民間団体が政府事業の代行的な役割を担い、社会サービスを提供するという形態が定着している。青少年のインターネット上での犯罪被害等の防止に関しても、同様に政府と民間団体との協力体制が見られる。
 数多くの非営利団体が政府の協力を得て積極的な活動を行い、より効果的な防止が出来るように、官民一体となり犯罪防止に努めている。


全米失踪・被搾取子どもセンターと連邦議会命令102
 全米失踪・被搾取子どもセンターとは、1981年に発足した非営利団体(501(c)(3))であるが、1984年、当時のレーガン大統領がホワイトハウスで公式な開設の式典を行うなど、政府と密に活動するという内容においても特別な民間団体である。その活動は、米国司法省と連携して、失踪児童の捜索や子どもの性的搾取の防止、あるいは誘拐や性的虐待を受けた子どもと家族をサポートすることである。1984 年に議会で制定された「失踪児童に対する援助法 (Missing Children's Assistance Act)」において、全米失踪・被搾取子どもセンターは子ども失踪事件発生に際して法的に、連邦捜査当局との連絡役としての役割を義務付けられている。
 また、「Child Abuse Protection and Treatment Adoption, as updated Keeping Children and Family Safe Act of 2003」は子ども・家族安全法の修正法だが、同法によって連邦や州の犯罪調査記録は同センターに提供されることとなった。なお、合衆国政府からは同センターに対しては年間約3,256万ドル(2005年)の補助金が支給されている。
 全米失踪・被搾取子どもセンターは、合衆国法典42編 U.S.C. 5771条et seq.と、5119a条「連邦議会により義務付けられている特定業務」103に基づき、業務を実行する義務があり、これは合衆国法典42編 U.S.C. 5771条以下に記載されているセンターが米国司法省のパートーナーとして組織の機能を果たし、リソースセンター/情報センターとしての役割をするという内容に準じている。また最近、合衆国法典42編 U.S.C. 5119a条に記載された新たな追加命令に対しても、その法令を遵守する義務がある。その義務の中には、警察機関、州・地方政府、犯罪司法関連、公共・民間の非営利団体や個人に対して、青少年の失踪者や搾取者に関する防止・捜査・起訴・その処置などについての技術的な援助や、訓練を提供することが定められている。
 具体的には、前述した「Project Safe Childhood 104」イニシアチブにおいて、全米失踪・被搾取子どもセンターはトレーニング・プログラムを提供したり、ICACのタスク・フォースや連邦・州警察と密接な連携をとることになっている。
 この共同イニシアチブでは、司法省の指令の下、インターネット上の搾取から子どもを救済する目的で、被害者の割り出しと救済を同時に行っている。


サイバー・チップライン
 全米失踪・被搾取子どもセンターが運営している「サイバー・チップライン」は、1998年3月に合衆国法典によって設立された制度であるが、それ以降、インターネット・プロバイダや一般ユーザーにより、児童ポルノなどの有害情報は「サイバー・チップライン」に通報される105
 サイバー・チップラインは、第1章の1-1-1で述べたとおり、児童ポルノの所有・製造・配布、インターネット上における誘惑・児童買春、子どもとの性交が目的の旅行、家庭外における子どもへのいたずら、子どもに送られる迷惑わいせつ文書、虚偽的ドメイン名・デジタル画像などに関して報告を受け、警察機関などとの協力の下、犯罪を未然に防ぐための取組を行っている。なお、サイバー・チップラインは、1日24時間、年中無休で運営されている。


EIE106
 前述1-2で述べたEIEは、2005年9月、米国司法省の少年司法・非行防止事務局からの支援を受け、安全なインターネットの利用に関しての啓発プログラムInternet Safety 101を開始している。同プログラムは、青少年がインターネットを利用する際に起こる可能性のある危険を未然に防ぐことができるように、保護者や他の成人の擁護者などに対して「犯罪から青少年を守るよう努める第一線者での立場」となるべく教育し、啓発するものである。
 また、EIEは他の団体と共同で、安全なインターネットの利用に関するセミナーやマルチメディアに対応する訓練などを提供しており、また、テレビなどのメディアを通じたメディア・キャンペーンや、一般家庭向けのパンフレットなどを発行している。


■カリフォルニア州
 カリフォルニア州の個人情報保護室では、子どものインターネットの安全な利用に関するカリフォルニア州同盟107とパートナーシップを持つことで、地元はもちろんのこと、全米の非営利団体や民間組織の活動を支援し協力体制をとって、安全なインターネットの利用に関する取組を行っている。


■テキサス州
 テキサス州オースティン市では、一般市民がより多くテクノロジーに触れる機会を与えることを目的に活動している民間団体や非営利団体に対して、「City of Austin Grant for Technology Opportunities Program(以下、GTOPs)」108という制度の下で助成金を交付している。また、それらの団体の中から、最も社会に貢献している団体に対して、Digital Inclusion Award109という賞を贈呈している。同賞を受けるには、エの(1)の項で述べるオースティン市内で活動を行い、GTOPsより助成金を受け、そのプログラムが社会に貢献していることが条件となる。この賞の候補者には、オースティン市の児童保護施設 (Austin Children's Shelter) やGirlstartなど、青少年が利用するインターネットの環境改善について活動している民間団体が含まれる。


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