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アメリカ・ドイツにおける青少年のインターネット環境整備状況等調査報告書

第II部 調査の結果

第1章 アメリカにおける調査

1.3 青少年のインターネット利用環境に関する制度、法及び政策とその背景

1.3.9 その他

ドット・キッズ法
 子どもが安全に楽しむことができるウェブサイトを明示する取組がある。2002年12月に制定されたドット・キッズ法 (Dot Kids Implementation and Efficiency Act144) では、子どもに有害ではないと認められるウェブサイトに対して、独自のドメイン名(.kids.us)を与えることを認めている。


このドット・キッズ法では以下のことが定められている。


 同制度は2003 年9月からスタートし、2006 年7月現在で登録されたウェブサイトは、スミソニアン協会やABC(TV・ラジオネットワーク)など20 余りである。


アダム・ウォルシュ児童保護安全法145
 また、2006年7月に制定されたアダム・ウォルシュ児童保護安全法(別名、「性虐待者登録・通知法(the Sex Offender Registration and Notification Act、SORNA))」では、児童保護を強化するための様々な制度改正を含んでいるが、その一環として、児童に有害なウェブサイトを見せるために故意に紛らわしい言葉や画像を載せることが合衆国法典18 編1465条による商業目的でのわいせつ物の取り扱いに対する犯罪とみなされることとなった146
 このアダム・ウォルシュ児童保護安全法では、以下のことが規定されている。


 また、「Protecting Children in the 21st Century Act (S. 1965)146」という上院法案が2008年5月22日に上院議会を満場一致で通過した。まだ下院議会において審議中であるが、同案では青少年の安全なインターネットの利用を促進するために、FCCが保護者等への啓発活動を行うよう、規定している147


オンラインの安全と技術に関する専門部会148
 第1章1-1で述べた149「オンラインの安全と技術に関する専門部会(OSTWG)」は、2008年10月10日に署名された「ブロードバンド・データ改善法(Broadband Data Improvement Act) Pub. L. No. 110-385. Section 214」によって、米国商務省・電気通信情報局が設立した部会である。専門部会は具体的には、以下のインターネットの利用における安全確保に関して制度の見直し・評価を行うものである。


 同法では、同専門部会が安全なインターネットの利用と技術に関する議論を行う際に、その必須要件として、そのメンバーは「業界、利益団体、他の適切なグループ、合衆国政府機関の関連セクターの代表からの最大30人」で構成するよう指示している。
 業界からは最低でも、インターネット接続サービス業者、インターネット・コンテンツ・プロバイダ(特に子どもへのコンテンツ・プロバイダ)、アクセス制限、フィルタリング・ソフトの製造業者、SNSサイトの運営者、サーチエンジン、ウェブのポータルサイトやドメイン名サービス・プロバイダなどを含まなければならない。
 利益団体には、子ども関連の事業を運営しているか、または、安全なインターネットの利用に関する教育を行っている教育関連団体が含まれることが指示されている。
 電気通信情報局は、安全なインターネットの利用の実態に関する最良の情報が得られるように、広く代表者を選抜すると同時に、様々な連邦機関からも代表を招請している。なお、この専門部会の報告書は完了し、現在、同部会自身の活動を終了している。
 ただ、同局は、民間組織と協力してタスク・フォースを組織し、OSTWGが提言された報告書での推奨事項を実施し、政府間の調整を行う評議会の結成を予定していると発表している150


カリフォルニア州での「ハッキング」の禁止
 カリフォルニア刑法(Penal Code)502条では、「ハッキング」を禁止している。ハッキングとは合法的に作成されたデータ・システムへの不正アクセス、損害、改ざんまたは干渉と定義している。ハッキングは、システムを破損せずとも、データの変更及び追加、ウィルスの挿入、その他、コンピューターシステムを混乱させる試みや、他人のドメインネームの不当な使用、また、単にデータのアクセスや、合法的な承認なしでのシステムの使用などをも含んでいる。
 同法によると、州内でハッキングを行うと、最長1年の禁固刑と最高5,000ドルの罰金刑を受けるが、場合によっては、最長3年の禁固刑と最高1万ドルの罰金の重罪判決を受けることもある。 また、他の法律151では、財務情報を詐取する「スパム」や「フィッシング詐欺」メールを禁止している。


アンバー・アラート152
 アンバー・アラート(Amber Alert)とは、全米失踪者放送による緊急対応(America's Missing Broadcast Emergency Response)の略で、子ども誘拐事件の早期解決を目指し、関係機関、協力団体、地域住民に対して「緊急アラート・システム(Emergency Alert System、EAS)」で捜査要請を行うシステムである。
 アンバー・アラートは、テキサス州で起きた当時9歳のアンバー・ハガーマン(Amber Hagerman)が誘拐され殺された事件が契機となっている。その誘拐殺人事件においては、事件の目撃者がいたにも関わらず、目撃者から関係機関や住民への連絡方法がなかったために、被害を未然に防ぐことができなかったという反省に立ち、構築されたシステムである。
 このシステムはテキサス州の地域放送界、地元警察が開発を行い、徐々に各州に広まり、今では全国規模の活動となっている。2002年時点においてアンバー・アラートを導入している州は28州のみであったが、現在は全50 州が導入している。同システムが導入されて以降、子どもの保護件数は累積で213名(2005年7月7日時点)であるが、そのうちの84%は、全国レベルでアンバー・アラートが開始してからの保護件数となる。


 誘拐された子どもの発見には、誘拐から約3時間以内の報道活動が最も重要であるという、これまでの統計結果があり、即時情報を一般に提供し広く手がかりを見つける手段となるアンバー・アラートは重要な役割を果たしている。
 例えば、子どもの誘拐が発覚した場合に、このアラートでは、直ちにその情報を一般に提供し、高速道路の電光掲示板をはじめ、全米失踪・被搾取子どもセンターのホームページなどでも、直ちにその内容が発表される。最近では、全米失踪・被搾取子どもセンター、司法省、CTIAワイアレス協会、ワイアレス財団が、ワイアレス・アンバー・アラート・イニシアチブ(Wireless AMBER Alerts Initiative)を実施している。このイニシアチブは、テキスト・メッセージを受けることができる携帯電話の加入者に、このアンバー・アラート情報を提供し、失踪・誘拐された子どもの発見に力を入れている。


図表 21 アンバー計画の統計
成功したケース510
全米合計の計画120
州全体の計画53
地域の計画29
地元の計画38
出所:MissingKids.com 2010年8月2日現在の状況

その他、サイバー・チップラインへ報告された内容でテキサス州に関係する場合は、直ちに同ラインから連絡が入り、州警察の捜査が開始されることになる。捜査に関しては、その事件の重要性にもよるが、事態が深刻な場合は、24時間以内に捜査が開始される153



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