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2.1.2 青少年のインターネット利用数・利用率

 青少年はどのようにインターネットを利用しているのか、ここでは三つの代表的な調査を取り上げる。一つ目が業界団体のBITKOM、二つ目がインターネット調査会社のCHIPONLINE、最後に州立の研究機関であるMPFSである。


■BITKOM
 情報技術と通信及びニューメディア産業連合(Bundesverband Informationswirtschaft, Telekommunikation und neue Medien e.V.: BITKOM228)の2008年の調査によると229、ドイツの14から29歳までの人口の87%はインターネットを利用できる環境にある。特にインスタントメッセージサービス、オンラインフォトアルバム、オンラインフォーラムなどが人気である。また、性別によってインターネットの利用方法に違いが見られる。具体的には男性はウェブサイトの閲覧やゲームによく利用にするのに対し、女性ではオンラインコミュニティをより利用する傾向がある。
 より詳しく見ると、若い世代(14歳〜29歳まで)のパソコンを通じたインターネットの利用率は87%にのぼり、30歳以上の利用率(54%)を大きく上回る結果となっている。
 また、若い世代の45%以上が複数の電子メールアカウントを有している。半数以上の若者が一日に一回はメールボックスをチェックしており、6分の1が一日に複数回もアクセスしている。若者は電子メールを生活の豊かさ(Flexibility)と質の向上に欠かせないものだと感じている。


 未成年者のネット利用に関してBITKOMは、まず保護者がパソコンの利用環境の設定を行うように薦めている。いくつかのOSやインターネットブラウザは暴力や性的な表現を遮断するフィルタリング・サービスを装備しており、その利用がまずは重要であるとBITKOMは述べている230。さらには青少年保護のためにパソコンにフィルタリング・ソフトを導入することを推進しており、例えば2007年11月にFSM傘下の組織として設置された児童向けウェブサイトwww.fragfinn.de(ホワイトリストを中心に選定)では、パソコン用のフィルタリング・ソフトウェアを無料で提供している。www.fragfinn.deはフィルタリング・ソフトの提供以外に、ポータルサイトも運営しており、検索エンジンやフォーラムなども提供している231


 こういった無料のフィルタリング・ソフトの提供は、www.fragfinn.de以外に、www.internauten.deなども行っている。このサイトは、連邦家族省が青少年メディア保護推進キャンペーンの為に設立した団体「ネット内の安全なドイツ(Deutschland sicher im Netz)232」の活動の一環で、BITKOMによって運営されている。同サイトでは子ども達がゲームを通じてインターネットの危険性と安全な利用を学習できるようになっている。


■CHIPONLINE
 次に、ドイツの有名なコンピューター関連のウェブサイトであるCHIP ONLINEが2008年3月に行ったアンケート調査「CHIP-Studie"Kids am Computer"」(対象10〜19歳の学校に通う生徒841人233)によると、10〜11歳の児童の85%は家でインターネットを利用できる環境にあり、このうち半数が週に何回もインターネットを利用している。そのうち情報処理(EDV: Elektronishe Datenverarbeitung, 英語ではElectronic Data Processing: EDP)の授業を学校で受けているのは、およそ5分の1である。


 ちなみに、アンケートに回答した子どものうち72%が、生徒が利用できるコンピューターが学校にあると回答している。ギムナジウム234ではレアルシューレ235やハウプトシューレ236よりもコンピューターの設備が整っている。ただ、40%の学校ではコンピューターが正常に作動しないと答えている。また、情報処理やコンピューターの使い方に関する授業を行っている学校は全体の40%であり、そのうちの半数が単位認定科目としている。


 同調査によると、43%の子どもは自分専用のコンピューターを持っており、家族で共有して利用しているのは48%である。家にコンピューターはあるが使用禁止となっている子どもは3%であり、6%が家にコンピューターがないと回答している。従って約92%の子どもが自宅でコンピューターに触れられる環境にあると言える。年齢別に見ると、やはり低学年の方がコンピューターの利用率が低く、18〜19歳では99%がコンピューターを家で利用しているのに対して、10〜11歳の利用率は全体の85%となっている。


 インターネットの利用状況を見ると、94%がインターネットを利用していると回答しており、このうち週に数回利用している子どもは73%である。自分でコンピューターを所有する子どものインターネット利用率は、家族で共有している子どもの利用率よりも高くなっている。例えば毎日インターネットを利用すると回答した子どもは、自分で所有している場合には61%、家族で共有している場合には18%となっている。ほぼ半数の子どもが自分のインターネットによる情報検索能力を「よい」もしくは「とてもよい」と評価している。家にコンピューターがある家庭の子どもほど「よい」と回答する割合が高い。収入の高い家庭の子どもほど、自分のコンピューターを持っている割合が高い。


 上述のとおり、72%の生徒が学校でコンピューターを利用できると回答しているが、授業外でもコンピューターを利用できる学校は全体の41%となっている。インターネットを利用できるのは、全体の約半数であるが、授業中に閲覧が禁止されているウェブサイトにアクセスしていたことがあると回答したのはその25%で、18〜19歳ではその割合は42%となっている。


 以上のように、多くの子どもはコンピューターを通じてインターネットに日常的に接することができる一方で、メディア教育のための学校教育体制の整備は進んでいるとは言いがたい。そこで、正しい年齢で学校において情報処理の教育を受けることが非常に重要である、とCHIP ONLINEは述べている。


■MPFS
 1998年にバーデン・ヴュルテンベルク州によって設置され、数多くの未成年者とメディア教育の調査研究を行ってきた南西ドイツメディア教育研究所(Medienpädagogischer Forschungsverbund Südwest: MPFS237)も多くの調査報告書を発行しており、以下では、そのうち、毎年発行されている代表的な二つの調査(JIM StudieとKIM Studie)を取り上げる。


 2009年の「JIM238Studie2009」239によると、12〜19歳の子どもがいる家庭の100%がコンピューターを所有しており、98%がインターネット接続環境を有していることが明らかになっている。そのうち4分の3(75%)の家庭では、子どもが個人のコンピューターを所有しており、さらにその中の半数(54%)は自分の部屋からインターネットへのアクセスが可能となっている。1998年の第一回同調査と比較すると、インターネットにアクセスできる子どもは全体で18%から98%へと飛躍的に増大している。毎日かほぼ毎日インターネットを利用する割合も約90%(1,080人)と非常に高い。毎日インターネットを利用する青少年の平均的な接続時間は一日134分であり、増加傾向にある。インターネット利用場所は、そのほとんどが自宅であり、友達の家が12%(144人)、学校が13%(156人)、携帯電話は2%(24人)とほとんどない。インターネットの利用率は年齢があがるほど上昇する傾向にある。利用目的はコミュニケーション(オンラインコミュニティ、チャット、電子メール、メッセンジャー)が47%と最も高く、ゲーム、情報検索、趣味(音楽、ビデオ、映画鑑賞)が続く。また性別によっても多少の差がある240
 ちなみに、ドイツのテレビゲームには内容に応じて年齢制限がかけられている(レイティング)ものがあるが、同調査では全体の65%の子どもが制限以下の年齢であるにも関わらず、年齢にそぐわない内容のゲーム241をプレイしたことがあると答えている。しかし、女子ではその割合は38%となり、男子の82%とは際立った差がある242
 一方、オンラインコミュニティを利用する子どもの割合も増加傾向にあり、これがインターネットを利用する主な目的となりつつある。チャットやインスタントメッセンジャーなども含めると、子どもの72%が何らかのオンラインコミュニティを利用しており、これは2008年の57%から大幅な上昇となっている。ちなみに、オンラインコミュニティの利用率は2008年では男子54%に対して女子60%、2009年では男子68%に対して女子76%と女子のほうが高い243


 次に、「KIM244Studie 2008245」をみると、インターネット上にはさまざまなコンテンツが氾濫しており、それらの中にはユーザーの個人情報を求めたり、ユーザー自ら公開したりするものが多々ある。オンラインコミュニティと呼ばれるこれらサービスは、ドイツの子どもにとって最も人気のあるコンテンツのひとつである。ただし、不用意に個人情報をオンライン上にさらせば、それが原因となって何らかの不快な行為に巻き込まれることもある。実際、調査対象となった若いインターネット・ユーザーのうち、8%はインターネット上でいやな思いをしたことがあると答えている。「いやな思いをしたことがある」と答えた子どもの割合は、年齢があがるほど上昇する傾向があるが、男女間の差はあまり見られない。「いやな思いをしたこと」の内容としては、多くの場合はアダルトな内容を含むもの、ポルノサイト、暴力的な内容の写真やビデオの閲覧が挙げられている。ただし、このような調査に関しては、子どもが正直に答えることを嫌がることもあり、その数値の正確性を判断するには慎重を要する。
 他方、インターネットを利用する子どもを持つ親のうち7%(84人)が、自分の子どもが暴力的な内容や性的な内容、極右的な内容を含むウェブサイトに接したことがあると答えている。76%(912人)の親は自分の子どもが「こういったサイトを閲覧したことはない」と答え、17%(204人)は「わからない」と答えている246
 多くの子どもがチャットサービスやオンラインゲームなどのオンラインコミュニティを利用しており、34%が自分の電子メールアドレスを持っていると答えている。そのうち15%が電子メールサービスを通じて不快な内容に接したことがあると答えており、多くの場合、子どもはメールを受け取った際に不安を感じたと回答している。そのメールの内容は、様々なオンラインショッピングの広告、スパムやウィルス、一般的なコンタクトを求めてきたり、時には性的な内容を示唆するコンタクトの要求などである247





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