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2.1.5 インターネット上のウェブサイトを利用して児童買春などの犯罪被害やトラブルに遭った青少年の数・実態

 インターネットを通じて、未成年者が自分の性的な場面を秘密裏に録画される、未成年者の写真がポルノグラフィーとして編集される、合意のうえ撮影された未成年者の性的な場面が、両者の関係に問題が生じたときの報復行為などを原因として、本人の意思に反してインターネット上で公開されるなどのケースがある257。こうした場合、画像などの頒布によって被る被害者の苦痛は大きい。これらは多くの場合、犯罪者によってインターネットや携帯などのメディアを通じて流布される。


 インターネット上のコミュニケーションでは、未成年者に対して言葉を通じて性的な嫌がらせをしたり、ポルノグラフィーを見ることを強要したり、性的な情報を提供することを求めたり、または、性的な場面を撮影するよう強制することが比較的容易にできるため、児童性愛者はチャットサービスなどを通じて未成年者に接触を図り、性的な写真や動画の提供を求めたり、脅迫して性的行為などを行うという。特に、本来は未成年者のみを対象としている未成年者向けチャットサービスは彼らにとって絶好の場となっているとされる。最近ではこうしたチャットサービスが提供する検索サービスの充実(年齢、性別、趣味、住所など)によって、児童性愛者が被害者に接触する機会が増えているという258。さらには、携帯電話やビデオゲームなどにも、インターネットに接続できる機能がついていることが多くなり、未成年者のチャットサービスへのアクセスはますます容易になるとともに、児童性愛者が青少年に近づく危険性も高くなっているとされる259


 音楽などのダウンロードを行うインターネット上のデータ交換サービスでも、未成年者の性的暴力行為を撮影・録画したデータが公開されているという。同じく、十代のモデルを集めたウェブサイトでも、未成年者の不自然で性的に強調されたポーズの写真などが公開されている。こうしたサービスはドイツ国内では提供が禁止されているが、海外では禁止されていない場合もある260。以下、統計を2つ挙げる。


■連邦統計局
 未成年者への犯罪に関する統計データとして最も包括的なものは、連邦刑事局の統計調査である。ただし、この統計では未成年者への犯罪が、インターネットを通じて行われたか、それとも別の手段を通じて行われたかといった情報は公開されていない261
 2009年の連邦刑事局(Bundeskriminalamt)の統計調査「polizeiliche Kriminalstatistik 2009 Bundesrepublik Deutschland」262によると、児童(14歳未満)に対する性犯罪は、2008年で11,319件(性犯罪全体は49,084件)であった。その内訳は図表27のとおりである。性犯罪における20歳以下の被害は、全体の半数(20,998件)にのぼる(児童(14歳未満)10.2%、青少年(14歳以上18歳未満)25.1%、若年の成人Heranwachsende(18歳以上21歳未満)14.8%)。その他、誘拐・親による子どもの拉致263・児童売買は1,810件だった(このうち未遂は9.7%)。


図表 27 児童・青少年に対する犯罪行為の統計I
該当条項該当件数
児童(14歳未満)に対する性犯罪(刑法典176、176a、176b条)11,319
 内訳:刑法176条1項及び2項に違反する行為(児童に対する性的交渉)5,273
  176条4項1文に違反する行為(児童に対する露出行為)2,107
  176条4項2文に違反する行為(176条1、2項以外の児童に対する性行為)358
  176条4項3、4文に違反する行為(文書による児童に対する性的行為の強要)913
  176a条2項1文に違反する行為(児童に対してポルノグラフィーを見ることを強要する行為)926
  176a条3項に違反する行為(児童ポルノの製造と頒布)98
  その他176a条に違反する行為(重大な児童に対する性犯罪)1,441
  176b条に違反する行為(児童暴行致死)2
183条及び183a条に違反する行為(露出行為、及び公衆の怒りを買う行為)7,340
182条に違反する行為(青少年(14歳以上18歳未満に対する性犯罪)971
179条に違反する行為(反抗できない立場にある人間に対する性犯罪)1,368
刑法180、180a、181a、184、184a、184b、184c、184d、184e、184f条に違犯する行為
(未成年者に対する性犯罪等)
13,131
 内訳:180、180a条に違反する行為(未成年者の性的搾取を助長する行為、買春などの性的搾取)220
  180条に違反する行為(未成年者に対する性行為の強要)158
  180a条に違反する行為(買春)62
  181a条に違反する行為(ヒモ)298


図表 28 児童・青少年に対する犯罪行為の統計II
該当条項該当件数
刑法典184条、184a条、184b条、184c条、184d条に違反する行為
(ポルノグラフィーの頒布(成年含む))
11,597
 内訳:18歳以下が被害者のケース(刑法典184条以降1、2、5文)1,427
  184b条3項に違反する行為(組織的な行為)101
  184b条2項4文(児童ポルノ(14歳未満)所持、製造)3,823
  184c条2、4項に違反する行為(児童ポルノ(14歳未満)の頒布)3,145
  184b条1項に違反する行為(少年ポルノ(18歳未満)書籍の販売)11
  184c条2項及び4項に違反する行為(少年ポルノの所持、製造)186
  184c条1項(少年ポルノの頒布)160
性的搾取を目的とした児童買春37

出所:連邦刑事局(2009年)を基に作成
  ※ 上記の表は内訳と合計が必ずしも一致していないが、連邦刑事局の公表データをそのまま表にしたものである。


 刑法等違反で刑罰が科せられたケースは、2009年で1,898件であり、うち児童ポルノの製造頒布(刑法184条)違反が1,427件で、未成年者に対する暴力が90件、営業行為者として青少年に有害な行為を行ったとして264青少年保護法27条2項違反に問われた件数が156件、少年に有害なパッケージメディアを青少年に提供した結果同条1項違反に問われた件数が225件であった。


■MPFS
 MPFSの「JIMStudie 2009」265では、42%の未成年者が、個人のビデオもしくは写真を許可なくオンライン上にアップロードされたことがあると答えている。また4分の1は、友人による個人データのアップロードについて「腹が立ったことがある」と答えている。また、その14%は虚偽や中傷など名誉を毀損するような内容の個人情報をインターネット上に公開されたことがあると答えている。
 また、未成年のインターネット・ユーザーの約4分の1が、ネットいじめと考えられるコンタクトを受けたことがあるとしている。男女別では、女子の3分の1、男子の5分の1が、友達関係にある人物がインターネット上でいじめを受けたことがある、と答えている。これらの多くはオンラインコミュニティ、もしくはチャットサービス上での出来事である。


 またこの調査では、40%の未成年者が、オンライン上で見知らぬ人物から電話番号、住所、名前などの個人情報を聞かれたことがあると答えている。女子ではその割合は48%にのぼり、男子ではおよそ34%がそういった経験があると答えている。年齢別では12〜13歳の26%に比べて、18〜19歳では49%と多い。そして全体では、25%の青少年がインターネット上で知り合った相手と電話する、または実際に個人的に会ったことがあると答えている。


 同調査は「ハッピー・スラッピング(Happy Slapping)」と呼ばれる現象も問題となっていると指摘している。これは他者に暴力行為を働き、それを撮影してオンライン上にアップロードする行為である。この際、携帯電話の撮影機能が利用されることもある。こうした行為は類似の犯罪を助長する可能性があり、また暴力行為の被害者は、ビデオの流布によってさらに強い二次被害を受けることになる。また、ビデオの流布を通じて、今度は加害者が非難の対象となって、新たないじめの被害者となる可能性もあるとされる。携帯電話を所有する未成年者の3分の1は、こういった映像などがインターネット上に頒布されていることを知っている。またこういった暴力行為の映像に接したことがあると答えたのは、女子で28%、男子で34%である。特に14〜17歳の青少年がこういった被害の映像に遭遇することが多く、ハウプトシューレでは、こういった場面に遭遇したことがある生徒が47%と、ギムナジウムの生徒の23%よりも二倍近く多い。


 また、ドイツではおよそ10,000〜20,000人の未成年者が売春行為を行っている、との意見もある266。生活のための売春はわずかであり、これらの多くは薬物を買うための資金を調達するためだと考えられている。多くの場合には保護者や扶養者が斡旋をしている。





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