本編目次へ前ページへ次ページへ

2.3.2 青少年、その保護者、及びその他一般に対する教育・啓発

 多くの親や教育者は、携帯電話や携帯ゲーム機(Nintendo DSやPlaystation Portableなど)などでも、チャットサービスを利用できることを知らない。例えば「Animal Crossing」というゲームはコミュニケーションを前提としており、インターネットに接続することではじめて楽しむことができる設定となっている。こういった事情について、教育機会を充実すべきであると青少年保護ネットは述べている324。また、問題となるのは、未成年者が参加できるチャットサービスなどインターネットにおけるインタラクティブなサービスの提供者が、未成年者の安全なチャットの利用に関してどのような責任を負うべきかが問題となる。ここでは、親とその子どもはチャットサービスにおける危険性についての知識に乏しく、児童と青少年はチャットにおいて高い犯罪被害の可能性があることを知らない場合がほとんどである。インターネットにおいては、コンテンツ提供者とアクセス・プロバイダが青少年保護の第一義的な責任を負うべきである、と青少年保護ネットは述べている325


 ドイツ連邦政府は、連邦レベルで青少年保護のために実に様々なプログラムを実施している。例えば、インターネットを含めた様々な社会問題から児童を保護するために、連邦家族省は「ナショナルアクションプラン(Nationaler Aktinsplan -Für Kindergerechtes Deutschland 2005-2010)」を定め、その中間報告326を2008年に発表した。同アクションプランは2005年から2010年までを期間として定めたもので、多岐に渡るプログラムが計画されているが、同中間報告は、これらプログラムの中間評価も兼ねている。


 また、連邦家族省は、保護者のメディア教育の発展と拡充を目的として、Arcor、ARD、ZDFなどと共同で「Schau Hin!(公式サイトhttp://schau-hin.info/))というプログラムを実施している327。このプログラムは、保護者にメディア利用、メディア教育に必要な情報を提供すると共に、児童へのメディア教育も目的としている。このプログラムは児童向けポータルサイト「Blinde Kuh」への支援を行った他に、文化メディア庁と協力してKlicksafe.de-Netzwerk(https://www.klicksafe.de/)というウェブサイトを立ち上げた。 Klicksafeは欧州レベルで実施されているインターネット利用における青少年保護を目的としたプログラムであり、ドイツの他の様々な機関も参加、支援している。


 その他にも「Jugend online328」というプロジェクトでは、Web2.0に対応した青少年のメディア教育プログラムを中心にウェブサイトを立ち上げている。さらに「Ein Netzfür Kinder329」というプロジェクトでは、2007年12月19日に制定された「欧州メディア指令 (Die "Richtlinie für audiovisuelle Mediendienste" (RL 2007/65/EC vom 11.Dezember 2007))(発効は2009年末)330」に合わせた取組を行っている。この取組の中で文化メディア庁は、7〜12歳の児童を対象としたサーチエンジンwww.fragFinn.de331を立ち上げた。このプロジェクトは、多数の企業やテレコミュニケーションとメディア業界連合(VerbändederTelekommunikations-undMedienbranchen)が資金を提供しているほか、文化メディア庁と連邦家族省も約150万ユーロの予算を拠出している。


 その他にも2003年、内務省主催の会議で連邦レベルでのワーキンググループ「Gefahren des Internets für Kinder und Jugendliche」が設置された。これには犯罪防止のためのドイツフォーラム(Deutsches Forums für Kriminalprävention:DFK)、株式会社Kripo、州と連邦の犯罪防止のための警察プログラム(Programm polizeiliche Kriminalprävention der Länder und des Bundes:Pro PK)の代表者が共同で参画しており332、このワーキンググループによる調査の結果を受けて、T-Onlineは保護者のメディア教育のためのポータルサイトを設置した。


 また、2005年にはProPKが「クリックの瞬間(Klicks-Momente)」というパンフレットを作成した。これは保護者や子どもから寄せられた青少年のインターネットの利用に関しての質問に答え、保護者による子どものメディア教育を促進するために作成されたものである333。2006年には保護者と教育関係者のためにパンフレット「暴力ビデオ(Gewaltvideo)」334も作成した。これは、ハッピー・スラッピングやスナッフフィルムとは何かを説明すると共に、子どもが携帯電話を使ってこういったデータをやりとりすることの危険性について、啓蒙するためのものである。


 州の中央機関である青少年保護ネットも、1997年からオンライン上の児童ポルノや未成年者に対する性的搾取の問題に取り組んでいるが、その他、児童ポルノ・ホットラインサービスを提供している。これは刑法典に違反するような内容に特化したものではなく、一般市民からの相談も受けている。


 その他、州レベルにおける具体的な活動の例として、バーデン=ヴュルテンベルグ州の青少年保護アクション(Ajm)活動がある。Ajmバーデン・ヴュルテンベルグは2000年秋に「メディア教育に関する保護者の役割のための州ネットワーク(Landes NetzWerk für medienpädagogische Elternarbeit)335」を設置した。「保護者の集い」や、「マルチメディアの週末」などのイベントを通じて、保護者のメディア知識の向上とメディア教育の支援を行っている。





▲このページのTOPへ