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2.3.3 インターネット上の違法・有害情報に対するフィルタリング

 002年2月にデュッセルドルフ行政管区は、当局が担当する地域で営業する78のプロバイダに対し、2つの極右的な内容のサイト(発信地はアメリカ)のブロッキングを命令した。プロバイダ側はこの命令を不服として、各地の行政裁判所に提訴し、大方のプロバイダは敗訴したが勝訴した例もある336。また、上級行政裁判所で審理中のものもある。
 ここでは連邦青少年有害メディア審査会、FSMにおいてインターネット上の違法・有害情報に対するフィルタリング等のインターネット上のコンテンツの監視・審査がどのように行われているかを記述する。
 なお、ドイツでは、現在、フィルタリングについての法的な義務は課されていない。これは一つには自主規制団体が機能していると判断されているためと考えられる。上述したように、オンラインメディアに関する州の規制権限を青少年保護ネットより一部委任されている自主規制機関FSMは、参加企業の提供するオンラインコンテンツに関して監督権限を有している。FSMの参加条件にはフィルタリング機能の追加の義務、青少年保護法に則って禁止されている内容の頒布を行わないことなどが盛り込まれており、FSMがその遵守を監視している。また、携帯電話はドイツではまだ新しい分野であり、法的な議論は進んでいない。その背景としては、ドイツではインターネットに接続できる携帯電話端末は高価で子どもの利用は想定されていないこと、業界による自主規制が十分働いていると考えられていることなどが考えられる。携帯電話企業はFSMにも参加し、独自のサブグループを作って自主規制を行っている。


連邦青少年有害メディア審査会
 青少年有害メディアリストを管理する連邦青少年有害メディア審査会では、先述のとおり、リスト記載の是非について審査を行っている。同リストC、D337への記載の判断の多くは、青少年メディア保護委員会の委員が行っている。ただし、同審査会も委員会も基本的には、青少年保護法及び青少年メディア保護州際協定に従って判断しており、判断結果に差があることはない。また、リストB、Dに関しては、記載されるメディアの判断に検察も関与している。それは、リストB、Dは刑法典に違反するメディアであるため、検察がコンテンツの違法性の判断を行う必要があるためである338
 このリストを基に、検索エンジンのフィルタリングに関して、連邦青少年有害メディア審査会は、「BPjM-モジュール」という規格を開発している。これは、同審査会が有している一部非公開の青少年有害メディアリスト339に基づいた、未成年者向けのサーチエンジンプログラムとフィルタリング・ソフトの規格であり、主に同審査会が管理するリストに掲載されたURLが検索エンジンの検索結果に現れない仕組みとなっている。これを基に、様々な企業や団体が未成年者向けの検索エンジン、フィルタリング・ソフトを開発している340。またGoogleなどの検索エンジンに関しては、BPjMモジュールの採用が義務付けられている341。これは法的義務ではないが、2005年にFSMに参加する検索エンジン提供業者とFSMによって同意された自主行動憲章によって規定されている。この憲章にサインした企業はBPjMモジュールの導入が義務付けられる(FSM規則2条2項)342。なおこの憲章にサインしていない企業のモジュール導入は任意であり、連邦青少年有害メディア審査会もこれについては補足していない。しかし、同審査会の目的は、モジュールの品質の確保ではなく、学校やインターネットカフェなどで、少しでもこの規格が多く利用されることであることから343、同審査会はそれらソフトウェアの利用動向に関しては認知しておらず、また検索エンジンが実際にBPjMモジュールを満たしているか否かの審査も行っていない。


 実際の審査は連邦青少年有害メディア審査会が設置している審査委員会が行う。審査委員会はドイツ全土から選ばれた12人で構成されており、彼らは普段は他に仕事を持っている。この審査委員会は月に一回開催されているが、その他に3人で構成される小委員会があり、これはおよそ週に1度開催されている。例えば、ポルノグラフィーなどは、その内容が明らかなので通常は小委員会で解決し、大委員会に持ち込まれることはない。
 ただし、あるメディアが青少年有害メディアリストに記載されたとしても、それに異議を唱える申請は可能である。この過程は通常の裁判に似ており、そこには削除の申請者が招かれ、審査委員会で意見聴取が行われる。申請者は、なぜ当該メディアが青少年有害メディアリストから削除されるべきなのかを述べることができるが、この審査委員会でメディア側の削除申請が却下されたならば、申請者は裁判所に訴えることも可能である。またメディア側の削除申請があった場合には、審査手続きはゼロから始められる。





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