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2.3.5 ウェブサイト運営者等が青少年による有害情報の閲覧を制限する措置などを取った場合における民事責任の制限

 インターネット・プロバイダ等のテレサービス、メディアサービスを提供する事業者の責任の範囲については、テレサービス法(2001年12月14日最終改正)8条から10条まで、及びメディアサービス州際協定6条〜9条までに規定されているが、事業者からは、それでもなお責任の範囲が不明確であるという批判が出ている348


 連邦青少年有害メディア審査会によれば、有害サイトを遮断することによってホスト・プロバイダは、競争法(Wettbewerbsgesetz)に照らして、何らかの民事上の責任を負うこともある349(競争法違反による罰金の最高額は50,000ユーロであるが、実際に裁判所がこういった罰金を課したことがあるか否かは同審査会でも把握していない)。これはホスト・プロバイダが有害サイトの指摘を受けてあるウェブサイトを遮断した場合、当該ウェブサイトの作成者はホスト・プロバイダを相手取って訴えることができることを指す。ただし、ドイツではこういったケースを想定した法整備が進んでいないと指摘する声もある350


 多くの場合、削除の手続きは自主規制機関や、公的な審査機関などの手によって行われ、通常これらの問題は、これらの審査機関の権限の範囲内で解決することが多い351。現実的にはウェブサイトの作成者がウェブサイトの削除による競争上の不利益を理由にホスト・プロバイダを訴えることは稀であり、ドイツではむしろ、インターネット・サービスの提供者に対して、青少年に有害なコンテンツが掲載され続けることに関して、民事上の責任が問われることが多い。
 ドイツではインターネット・サービスの提供者は3つに分類される。それは、コンテンツ提供者(Inhalteanbieter)、ホスト・プロバイダ(Hostprovider)、及びアクセス・プロバイダ(Zuganganbieter)である。
 ecoによると352、このうちアクセス・プロバイダ(Vodafoneや1&1などのインターネット利用者向けの接続サービスの提供者)は、青少年に有害なコンテンツが閲覧可能な状況にあることについていかなる民事上の責任も負わない。
 ホスト・プロバイダ(ウェブサイトなどのオンラインコンテツを提供する個人・事業者にサービスを提供する企業、1&1は両方を提供している。)も基本的には同様に民事上の責任を負うことはないが、コンテンツ提供者がコンテンツの削除を拒否し、担当当局(主に青少年保護ネット)や自主規制機関がホスト・プロバイダに措置をとるように求めた場合に、ホスト・プロバイダが遮断を拒否すれば、ホスト・プロバイダ自身がなんらかの青少年に有害なコンテンツの掲載に関して民事上の責任を負う可能性もありうる。なお、ここでいう自主規制機関とは、FSMとecoが当てはまる。両機関は共同で、ホットライン(www.internet-beschwerdestelle.de)を運営しており、通報を受けた場合には両機関が自主規格に則り、その内容を判断する。その内容が、ふさわしくないと判断されたならば、これらの自主規制機関は、まずはコンテンツ提供者に、次いでホスト・プロバイダに改善を要求する法的権利を有する。ecoによれば、ホスト・プロバイダは訴訟などの経済的負担等を避けるために、通常は、こういった申請には迅速に対応することから、児童ポルノ閲覧を放置したとして民事訴訟に持ち込まれるケースはごく稀であるとされる。ただし、ホスト・プロバイダがアクセスを遮断した場合には、コンテンツ提供者から不正に競争を妨げたとして提訴される可能性がある。この場合にも、ホスト・プロバイダは何らかの責任や負担を負う可能性があるが、ecoでは今まで、そういったケースは把握していない。
 また、コンテンツ提供者に関しては、一義的な民事上の責任を負うことが明確になっており、規則に従わずにコンテンツの提供を続けた場合には、処罰の対象となりうる。


 先述のとおり、インターネットを通じた児童ポルノの製造・頒布は、質的にも量的にも飛躍的に増大している353。刑罰の執行に際しては、執行件数の増加とともに捜査にかかる費用も増大している。また捜査期間の延長に加えて刑罰の決定にも時間がかかるようになっている354。しかし、単純に刑法による刑罰を強化するだけでは、児童に対する性的暴力の対抗措置として必ずしも有効とは言えない。というのも、刑法は犯罪が起こってからのUltima Ratio(最終的手段)について考慮するものであるが、予防的観点からは、刑事訴追機関と警察や児童の保護を担当する公的なまたは私的な機関に必要な資源が十分に与えられる必要があるからである355。青少年保護の柱はあくまで「予防と干渉(Prävention und Intervention)」とされる。
 以上の論点から、連邦青少年有害メディア委員会もテレメディア提供者が青少年メディア保護州際協定に違反している場合には、刑法とは独立して法的アクションを起こす権限が与えられている。アクションの内容は違反行為の重大さによって異なる356。テレメディア上のコンテンツ提供者に関して連邦青少年有害メディア委員会が取りうる対抗措置は以下のとおりである。





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