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2.3.6 青少年による携帯電話の所持・利用の制限

 関係者の間で、未成年者に対する携帯電話を通じた有害メディアの頒布に対する危機感は増えている。ただ、未成年者の携帯電話の所持・利用を制限する法律は無く、具体的な対応は、例えば学校などが独自に生徒による携帯電話の持ち込みを禁止することである358。ただ、ドイツでも携帯電話の所持・利用に関する議論は進んでおり、それは携帯電話の所持よりも、その使用のあり方に焦点を置いたものが多い。
 連邦青少年有害メディア審査会によれば、これまでに民間団体や企業が様々な青少年保護のためのプログラムを実施しており、それらは概して成功を収めていると言ってよく、現在のところ、未成年者の携帯電話の所持等に関する法制化の議論はない359。また、FSMも将来的には携帯電話によるインターネットアクセスがより一般化すると予想しているが、携帯電話によるインターネットアクセスの現状はビジネス用途がメインであり、個人向けサービスの普及には時間がかかると見ている。と言うのも、携帯電話によるインターネットのアクセスは、まだまだ高価なサービスであり、未成年者が親に買ってもらった携帯電話で、インターネットにアクセスすることはまだ問題となっていない。ただし、携帯電話における青少年保護は、携帯電話サービス事業を手がける事業者には、イメージ作りの戦略の一環となりうる可能性もある。また、青少年メディア保護州際協定も、携帯電話事業に青少年保護の観点を取り入れるよう、取組を強化していく意向である360。具体的な取り組みとしては、FSM傘下に携帯電話事業者を取り入れ、独自のサブグループを作って管理していくことなどが挙げられる。実際に大手携帯電話事業者はすれでにこれに参加しており、自主規制を積極的に行っている。また、MPFSもecoも同様の意見である。


 2005年夏、debitel、E-Plus、Mobilecom、O2 ドイツ、Phone House Telecom、Talkline、T-Mobile ドイツ、Vodafoneは共同で「携帯電話における青少年保護のためのドイツ携帯事業者による行動憲章(Verhaltenskodex der Mobilfunkanbieter in Deutschland zum Jugendschutz im Mobilfunk)」を作成した。これは未成年者に有害なメディアを、チャット・ルームやダウンロード可能な状態から排除するための行動憲章であり、定期的に技術的な開発が公表されることになっている361(青少年メディア保護委員会もこれを歓迎している)。この行動憲章では、青少年の発達を損なうメディアに関して、保護者の手によってアクセスを遮断する手段を提供している。  チャット・ルームに関しては、基本的にはその内容は利用者本人の責任ではあるものの、このように携帯電話事業者は既に、様々な対策を講じている。例えば、O2 ドイツは24時間チャット・ルームの監視を行っている。この行動憲章が携帯電話事業者にとって現状唯一の規制であるが362、この規制を更に推し進めるべく、いくつかの携帯電話事業者が2005年7月にFSMに加盟している。


 他方、連邦家族省は、2007年、携帯電話の利用に関するパンフレット「Handy ohne Risiko363」を発行した。このパンフレットでは様々な携帯電話の利用に関する注意事項とともに、各携帯電話会社の取組が紹介されている。例えば、大手携帯電話会社「E・Plus」では子どもが使う携帯電話から、有料電話やプレミアSMSを利用することをできないようにしている。


 繰り返しになるが、ドイツでは、未成年者の携帯電話所持に関する法律の検討は行われていない。それは、携帯電話会社が青少年保護に対して、既に積極的に取組を展開しており、こういった取組が評価されている点や364、携帯電話からのインターネットの利用には、パソコンによるインターネットの利用以上に費用が掛かるので、保護者の(費用についての)監視がパソコンでのインターネットの利用と比べて厳しい点が挙げられる365





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