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2.3.7 ネットいじめ

 ドイツにおいてネットいじめは、比較的新しい問題であり、まだドイツ語での統一した呼称もなく、Cyber-mobbingやWeb-Bullyingなど英語の表現をそのまま使う場合が多い。つまり、その対策は進んでいないのが現状と言える。そもそも青少年保護法でも、ネットいじめについては未だ進んだ議論がなされておらず、既存の法制がどのように当てはまるのか、いくつかの専門ウェブサイトで議論されているに留まる。ここではそういったサイトの意見を紹介する。


 まず、大方の意見として、ネットいじめに関しては既存の法律では刑法典しか係る法律がなく、青少年保護法の観点からの責任を追求することは難しいとされている366。それらネットいじめに適用されると考えられる刑法典の条項は以下のとおりである367


スナッフフィルム368
 スナッフフィルムとは娯楽用として製造頒布された殺人の場面を収めた映像ファイルであるが、過度に暴力的な描写も含まれる。スナッフフィルムも、携帯電話によってここ数年で表面化した問題である。これらのメディアの多くは海外(アメリカやオランダなど)から発信されている。
 スナッフフィルムの頒布は、刑法131条(暴力の提示)に抵触する行為であり、バーデン・ヴュルテンベルグ州では、実際にこの件に関する裁判があった369。MPFSの「JIM Studie 2006」370では、男子未成年者の88%、女子の未成年者の84%(ともに12〜19歳)がスナッフフィルムの存在を知っており、うち7%が実際に受け取ったことがあると答えている。


ハッピー・スラッピング
 ハッピー・スラッピングも「JIM Studie 2006」では、携帯電話所有者の17%がこういったビデオを受け取ったことがあると答えている371
 携帯電話を所有する未成年者の3分の1は、こういった映像などがインターネット上に頒布されていることを知っている。またこういった暴力行為の映像に接したことがあると答えたのは、女子で28%、男子で34%である。特に14〜17歳の青少年がこういった被害の映像に遭遇することが多く、ハウプトシューレでは、こういった場面に遭遇したことがある生徒が47%と、ギムナジウムの生徒の23%よりも二倍近く多い。


 連邦青少年有害メディア審査会は、ネットいじめ対策に重要なことは、いじめを受けた未成年者がそれを言い出せる環境を作ることであり、以下が必要だと述べている372


 さらに、ウェブページ373では実際の対策についても、例えば、保護者は学校と連絡をとること、証拠を収集すること、プロバイダによって提供される対抗措置を実行すること、などの助言が紹介されている。
 ただし、ネットいじめの原因となるコンテンツについては、違法か合法かの判断が非常に難しい。FSMは未成年者はどのような内容が許可され、どのような内容のコンテンツが許可されないのかについての判断ができていないと考えており、また未成年者はネットいじめに対してどう反応すべきかについても十分な教育が受けられていないと考えている。刑法において、いじめが処罰の対象となることを明確にする必要がある374


 他方、MPFSは刑法でもいじめの張本人が特定できれば、現在の法制で十分に罪に問うことができ、特別な法律は必要ないと述べている375





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