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2.4.3 インターネット上の情報の分類(レイティング、ソーニングなど)

■FSM
 先述のとおり、ドイツにおけるインターネット上の青少年保護は、2003年に締結された青少年メディア保護州際協定とともに強化された。2005年11月からFSMは、青少年メディア保護委員会からインターネットに関して自主規制を行う中心的な機関として指定されたことは既述のとおりである。


 加えて2005年からは、FSMの下にサーチエンジン提供会社の自主協定が設置された。参加企業はAOLドイツ、Google(www.google.de)、LYCOSヨーロッパ、MSNドイツとMSNサーチ、t-info、T-Online、YAHOOドイツなどである。これらサーチエンジン提供会社と協力してFSMは行動規範を策定し、参加企業はそれに従うことが義務付けられている。サーチエンジンの自主行動規範の基礎的な部分は、連邦青少年有害メディア審査会が作成したBPjM-Modulと呼ばれる規格によっている。これにより、青少年有害メディア審査会が作成する青少年有害メディアリストに記載されたURLは、検索エンジンの結果に表示されなくなる。


 2004年にFSMとecoは、ホットライン(www.internet-beschwerdestelle.de)を開設したため、個人はウェブサイトのコンテンツに関する通報を行えるようになった。インターネット上にある児童ポルノに関してホットラインが通報を受け取ると、FSMとecoがコンテンツ提供者に内容の変更の要請を行う。また、提供先が海外である場合には国際機関であるINHOPEに通報する。こうした様々な機関との緊密な協力によって、速やかに違法な内容へのアクセスを妨害し、違法なデータを削除することが可能となる。
 FこのホットラインはEUからの助成も受けている。ホットラインはオンラインコンテンツについてのすべての通報を受け付けているが、前述のとおり、FSMはWWWを、ecoはスパムやニュースグループを担当している。どちらも基本的には、それぞれに参加する企業の提供するコンテンツに関しての監視の義務を負っており、これらに参加していない企業によるものは、青少年メディア保護委員会に送られる。


 FSMには48の企業が参加しており、多くの企業は独自のコンテンツを提供しており、これらはポータルサイトやニュースやゲームであったりする。FSMはこれらのコンテンツについてすべて監視しているわけではなく、多くの場合一定の優先基準を設けて、特定のコンテンツを重点的に監視している。例えば企業の提供するオンラインゲームなどは、青少年に有害な内容であるか否かを重点的に審査される。ただし、技術的な部分には踏み込まず、あくまでディスプレイに表示される中身の判断のみを行っている。FSMは法の解釈に関して細かく規定しており、それは独自の判断基準として明文化され、各審査員に共有されている。


■eco
 各国インターネットホットライン機関の国際協力機関であるINHOPEとの協力によって、海外違法サイトの内容の削除・変更要請から実施までにかかる期間も大幅に短縮されたが、ecoは、通報を受けてからコンテンツが修正されるまでにかかる反応時間に多大な注意を払っている401。ecoはこの反応時間に関して近年大きな進歩があったと考えている。例えばドイツ国内のコンテンツ提供者に対して児童ポルノが含まれていると通報を受けた場合、その98%は通報から1週間以内に内容が削除、変更された(2010年前半の例)。また、殆どの場合は数日で、早ければ数時間で変更される。最も早いケースでは5分以内という場合もあった402
 海外から提供される有害サイトの場合には、まずecoが違法性を判断し、削除または内容の改変の要請を外国の当局またはINHOPEに通報する。ecoは海外との協力も積極的に強化し、反応時間を短縮したいと考えているが、それにはいくつかの障害がある。それは、各国の刑事訴追機関が、まずは自身で違法性を判断しなおすために生じるタイムラグである。以前のアメリカの場合では、違法性が明らかであるものしか通報することができず、その判断に時間を要し、そのために通報から内容の変更依頼までに、多大な時間が掛かっていた。例えば7年ほど前までは、ecoが最初にアメリカの担当当局に連絡を入れてから、反応時間がとても長い上に、なんのリアクションも取らないプロバイダも多かったという。また、こういった海外の関係者が関わるケースでは、対応がサイトの遮断で終わることも多く、そのコンテンツはサーバー上に保存されたままである為、コンテンツ提供者が気づけば別の手段でアップロードされる可能性が高かった。そうなると警察は、サイトの遮断後、可能な限り早く捜査を開始し、犯人を特定する必要があった403
 これに対し、図表30はecoにドイツ国内から海外のウェブサイトの児童ポルノに関して通報が入り、ecoがINHOPEに連絡をとってから内容が変更されるまでに要した時間である。この一年間でも反応時間が大幅に改善されていることが分かる404


図表 31 ecoに通報があってからコンテンツが変更されるまでにかかる時間
ecoに通報があってからコンテンツが変更されるまでにかかる時間1
出所;eco Ackermann氏、Koch-Skiba氏とのインタビューより
ecoに通報があってからコンテンツが変更されるまでにかかる時間2
出所;eco Ackermann氏、Koch-Skiba氏とのインタビューより

 なお、図表31は、ホットライン(www.internet-beschwerdestelle.de)に寄せられた通報をウェブサイトの内容で分類したものである。期間は2006年1月から2006年11月まで、通報件数は1,429件である。そのうち、児童ポルノが21%で最も高く、次いで成人のポルノグラフィーである。極右的な内容のものが13%、青少年に有害な内容のものが14%と続く。


図表 32 通報内容の内訳
通報内容の内訳
出所:Aktuelle Herausforderungen im Kinder- und Jugendschutz -Sexuelle Gewalt durch die neuen Medien Dokumentation der Fachtagung am 28./ 29. November 2006 in Berlin、27ページを基に作成。



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