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イギリス・韓国における青少年のインターネット環境整備状況等調査

第II部 調査の結果

第1章 イギリスにおける青少年のインターネット環境整備状況等

(6)青少年のインターネット利用の際のフィルタリング利用率

家庭のコンピュータを通じてインターネットを利用している青少年によるフィルタリング利用率は2009年に比較して「8~11歳の子ども保護者」「12~15歳の子ども保護者」で減少している。フィルタリングを利用していると答えたのは、2010年の調査では5~7歳の子どもを持つ保護者が34%、8~11歳の子どもを持つ保護者が42%、12~15歳の子どもを持つ保護者が35%といずれも半数に達していない(図1-1-19)。保護者の懸念が増す一方、家で保護者の監督が行き届く範囲内であれば、フィルタリングがなくても大した危険はないと考える保護者が多い(表1-1-12)。

図1-1-19 フィルタリング利用率(2009年、2010年年齢別)86

(単位:%)

(出典:Ofcom)

フィルタリングを利用していない理由としては、「子どもを信頼している」「保護者の監督の下でインターネットを利用している」が圧倒的に多い。その他の理由と詳細は下記のとおりである。

表1-1-12 フィルタリング用ソフトウェアを利用しない理由(2010年/年齢別)87

理由

5-7歳

8-11歳

12-15歳

子どもを信頼しているため

10%

34%

68%

常に保護者が監督しているため

52%

54%

18%

子どもの年齢が低いので心配ない

28%

10%

0%

ウェブ検索するには子どもが小さすぎる

27%

6%

1%

フィルタリングの方法が分からない

4%

6%

6%

子どもが大きくなったので必要ない

0%

1%

11%

フィルタリングのことを知らなかった

4%

3%

3%

全く気に留めていなかった

8%

9%

9%

(出典:Ofcom)

フィルタリング以外の手段で対策を講じている保護者は、以下の割合となっている。

図1-1-20 家庭におけるインターネット安全利用対策(2011年)88

(単位:%)

※対象は5~15歳の子どもを持つ保護者である。

(出典:Ofcom)

また、多くの保護者はフィルタリングについて十分な知識を持っていない。設定には余分な出費と手間がかかると考えている保護者もおり、PCやインターネットサービスプロバイダ(Internet Service Provider:ISP)で提供しているフィルタリングサービスについての知識も行き渡っていないことも分かっている。フィルタリングが100%でないにしても、全くフィルタリングしないよりは確実に効果があるとされるため、保護者への更なる啓発が必要とされる。
ソフトウェアのインストールを行った者のうち約80%が大人(保護者)であるが、約6%は子どもが行ったと答えている(図1-1-21)。

図1-1-21 保護者への質問(2007年)89
(フィルタリング・ソフトウェアのインストール実施者)


(出典:Ofcom)

図1-1-22 子どもへの質問90
(フィルタリング・ソフトウェアのインストール実施者)


(出典:Ofcom)

さらに、インターネットに接続可能な携帯電話や、スマートフォンへのフィルタリング利用率は半数以下である。

図1-1-23 携帯電話のフィルタリング利用率(2011年)91

(単位:%)

※対象は12~15歳の子どもである。
(出典:Ofcom)

ア PCウェブブラウザによるフィルタリング

イギリスで利用されている主要ブラウザである、グーグル・クローム(Google Chrome)、インターネット・エクスプローラー(Microsoft Internet Explorer)、アップル・サファリ(Apple Safari)、オペラ(Opera)、ファイアフォックス(Firefox),アンドロイド(Android)の6つについて、それぞれ方針とフィルタリングサービス内容について表1-1-13にまとめた。

表1-1-13 主要ウェブブラウザが提供するサービス

ウェブブラウザ

方針とサービス内容

Google Chrome92

方針
有害コンテンツ、特に性的児童虐待に関する画像などはすべて許容しない姿勢。子ども、青少年のインターネット安全利用を最優先事項の1つに掲げている。有害と思われるコンテンツがブラウザの検索エンジンなどに発見された場合は、即時に削除し、関連機関に通報する。また、グーグルのアカウント保持者が有害コンテンツを掲載した場合は、アカウントを閉鎖する。
サービス内容
・セーフサーチ(SafeSearch))の設定により性的なコンテンツや有害と思われるコンテンツをフィルタリングすることが可能。設定は自宅などのPCの検索設定から、簡単に行うことができ、検索設定も必要に応じて変更可能。子どもが簡単に設定を変えることを防ぐため、セーフサーチ・ロックを利用してパスワードを設定することもできる。
・ユーチューブ・セーフティ・モード(YouTube Safety Mode)の利用によりポルノなどの不適切な動画をフィルタリングすることができる。グーグルはもとよりユーチューブに不適切な動画を掲載しないようコミュニティ・ガイドラインを設定しているが、不適切な掲載をすべて阻止するまでには至らない。ユーチューブ・セーフティ・モードに設定することにより、不適切な動画及びそれらに対するコメントなどをフィルタリングして検索される。ユーチューブ・セーフティ・モードの設定をしていると答えた5~15歳の子どもの保護者は27%93
・アンドロイド・レイティングシステムによって「全員(All)」「10歳以下(Pre-Teen)」「10代(Teen)」「大人(Mature)」という4区分に分けられたコンテンツを、設定に応じてフィルタリングすることができる。

Internet Explorer (Microsoft)

方針
子どものインターネット安全利用推進に積極的。子どもを有害コンテンツから守るために、保護者や教師は常に気をつけているべきであるとし、そのためのツールを提供するなど、技術面で支援することはもちろん、教育面での支援をするとしている。欧州委員会主導の「安全インターネットの日」にも参加。ヨーロッパ24か国における819名の社員がボランティアで8万4千人以上の子ども、教師、保護者たちにオンラインの安全性について指導にあたった。
サービス内容
・Windows7、Windows Vistaには内蔵の保護者向けコントロール機能がついており、インターネット利用時間の設定(制限)や、閲覧サイトの制限ができる。他の家族(保護者自身や年齢の高い子ども)の存在にも配慮し、子どもの名前に応じて設定できる。オンライン・ゲームも内容や適正年齢に応じて制限設定可能。
・チャットやインスタントメール用のWindows Live、ホットメールには、専用安全ツール(Windows Live Family Safety)を利用すれば、子どものオンライン上の行動をチェックし、把握できる。
・XboxとXbox 360には家族向けの設定(Family Setting)がある。

Apple Safari94

方針
13歳以下の子どもからの情報は登録しない。誤って登録された場合は、即座に抹消する。
サービス内容
・保護者向けのアクセス管理機能(Parental Control)を利用することにより、有害及び不適切なコンテンツを含むウェブサイトへのアクセスを自動的に制限する。アクセス管理機能によって選択できる設定は、「制限なし」、「自動」、「ホワイトリスト」の3つ。「自動」設定は、可能な限りの不適切なコンテンツへのアクセスをブロックできる。この機能には、メール・アプリケーションで「迷惑メール」をフィルタリングする機能と同じ技術が導入されている。ウェブサイトの各種プロパティ(テキストや構成など)を検証することにより、ウェブページの安全性が高い精度で認識される。
・RTA(Restricted to Adults)ラベリング95、SafeSurf96のレーティング・システムを採用。アダルト指定されている情報が含まれている場合はそのサイトへのアクセスがブロックされ、一部の検索エンジンでは、安全と認識されたコンテンツ内のみの検索が行われる。

Opera97

方針
各国の法律に見合ったフィルタリングを行う。
サービス内容
BrightCloud社との共同開発によるセキュリティ機能を提供。アダルト向けや他の有害及び不適切なコンテンツをエンドユーザーが検索する前にフィルタリングをかけることができるため、高度なレベルでのペアレンタル・コントロールを行うことができる。

Firefox(Mozilla)

方針
子どものインターネット利用に関する方針は特に明記されていない。
サービス内容
・Windows 7とWindows Vistaにおいて、ペアレンタル・コントロールの設定が可能。子どもにふさわしくないと思われる動画やゲームなどをブロックできる。
・インターネットの安全利用のために役立つ情報を提供している98
・Kid Modeを設定することにより、8歳未満の子どもが安全にインターネットを利用できる99

Android100

方針
年齢は特に記載がないが、子どもからの情報を登録しないとしている。
サービス内容
ペアレンタル・コントロール機能付きのアプリを使用することにより、有害情報をフィルタリングできる101

(出典:各社ウェブサイトを参考に作成)

イ プロバイダによるフィルタリングサービス

 12~15歳を対象に行った調査によれば、携帯電話からのインターネット接続を制限したフィルタリング利用率は2010年では21%であり、前年(2009年)から3%増加した102


 内容に差はあるものの、ほとんどのプロバイダが家族向けのフィルタリングサービスを提供している。ここではイギリスにおける主要プロバイダを例に挙げる(表1-1-14)。
 各プロバイダによってフィルタリング及びブロッキングされる18歳以上向けのコンテンツとは、具体的には、摂食障害、ギャンブル、チャット、爆弾(危険物)作成方法、ポルノ、人種差別、暴力、及び党派・学派に関連するコンテンツを含むサイト、匿名サイト、出会い系サイトである。さらに、ハッキング関連(ハッキング方法や違法ソフトの販売)サイト、ウィルス関連サイト、スパイ関連サイト(機密情報入手可能なソフトウェア使用や第三者への転売など)である(表1-1-15)。

表1-1-14 携帯電話及び携帯端末のプロバイダのフィルタリングサービス

プロバイダ

方針とフィルタリングサービス内容

Orange

方針
顧客の安全、かつ楽しいオンライン利用が重要であるとしている。特に子どものいる家族向けにいくつか利用規制がある。
サービス内容
Orange Safeguardと呼ばれる機能で自動的に18歳以上向けのコンテンツをフィルタリングできる103

O2

方針
顧客が安心してコミュニケーションを取ることのできる環境を提供することに努めるとしている。有害コンテンツを常に留意するよう従業員に教育し、通告するよう奨励している。通告する側も保護されるシステムである104
サービス内容
・子どもの携帯電話から61818をダイアルすれば、同携帯電話からのインターネット利用にフィルタリング設定を適用できる。同様の設定はホームページからも可能。ただし、ダウンロードやWi-Fi、Bluetoothに限ってはフィルタリングができないため、アドバイスが必要な保護者はカスタマー・サービスに相談。
・スマートフォンからインターネットを利用する際は、年齢証明が必要。18歳以上向けのコンテンツに接続しようとすると警告が出る。次のページに進む際は、クレジットカードによる一時的な支払いをするか、最寄りのO2代理店に出向き、年齢証明できるものを提示することが必要(パスポートまたは運転免許証)。(*その場では1ポンドの支払いが必要となるが、後日2.50ポンドが払い戻される(翌月の請求書に反映される)。)
・O2提供のブロードバンドは最新セキュリティソフトウェアのMcAfee付属のため、有害サイトなどのブロックが可能105

T-Mobile

方針
2007年2月に欧州委員会主導の青少年インターネット安全利用に関する枠組み(European Commission’s Framework on Child Safety106)に合意。青少年が安全に携帯電話を利用できる環境を作るため、アダルト向けや違法コンテンツの制御や、保護者への注意呼びかけを行っている。
サービス内容
無料のメッセージブロックサービスを実施している。携帯メール、特定のアドレスからのメール、写真(画像)付メール、迷惑メールなど、設定次第でいずれか又はすべてをブロックできる107

Vodafone

方針
顧客の健康とインターネット及び携帯電話の安全利用を第一に考える。また、世論を重視する108
サービス内容
・家族向けの雑誌(Digital Parenting Magazine)を発行し、ホームページにも掲載して、年齢別の対処法まで細かく説明している。専門家の意見、アドバイスも多く掲載されている。
・同社のウェブサイトから、コンテンツ・コントロール(Contents Control)を利用し、子どもの携帯電話の利用履歴照会、インターネットへのアクセス制限の設定ができる109

(出典:各社ウェブサイトを参考に作成)

表1-1-15 主要インターネットサービスプロバイダ(ISP)の
フィルタリングサービス110

プロバイダ

プログラム名称

フィルタリングサービス内容

BT Retail (PlusNet)

BT Family Protection111

・有害サイトのブロック
・動画掲載サイトYouTube内のフィルタリング
・インターネット利用レポート(子どもがどこからアクセスしても利用内容を知ることができる)
・安全検索

Virgin Media

Virgin Media Security Parental Control112

・既存データベース上の有害情報をフィルタリング
・5億5,000万以上のリンクをブロック可能
・チャットやメッセンジャーなどのプログラムを制御
・簡単かつ臨機応変な設定
・既存データベースに登録されているサイトの他にも追加でブロックすることが可能(またその逆も可能)
・インターネット利用時間の設定

Talk Talk113
(AOL, Tiscali, Pipex)

Kids Safe
Homework Time

・Kid Safeにより有害情報をブロック
・既存データベース以外にも追加でサイトを9つまでブロック可能
・Homework Timeでインターネットにアクセスできる時間を制限、宿題の妨げにならないよう、SNSなどのサイトも制限できる。
・任天堂Wii 、Xbox、iPlayerなどのPC以外のデバイスからもフィルタリング可能

Sky Broadband (BSkyB)

 

・最新セキュリティソフトウェアのMcAfeeを利用することにより、有害サイトなどのブロックが可能
・セキュリティセンターが設置されており、インターネット利用に関する問合せを受け付け、問題に応じた的確なアドバイスをする。

Orange114

 

・最新セキュリティソフトウェアのMcAfeeを利用することにより、有害サイトなどのブロックが可能。
・10代向けのチャット・ルームは10代以外が利用できない設定になっている。20歳以上はチャットに参加できない。
・安全オンライン利用のため、保護者に対する教育やアドバイスを実施するほか、子どもたちを対象にしたガイドラインを盛んに宣伝している。
・インターネット・コンテンツ評価審議会(Internet Content Rating Association)のタグを利用。子どもが成人用のチャット・ルームなどにアクセスすることを防ぐ。
・チャット・ルーム監視者を設置し、利用規定に従わないユーザーの利用を禁止する。

O2 (BE Broadband)

 

・最新セキュリティソフトウェアのMcAfeeを利用することにより、有害サイトなどのブロックが可能115

Kingston Comms116

 

・主に企業向けのサービスを提供しているが、ネットワークの安全利用を強調し、家族向けにも、顧客のそれぞれのニーズに応えることができるとしている。

Zen Internet117

 

・アメリカの情報セキュリティ会社フォーティネット(Fortinet)社118と提携し、フォーティガード・ウェブコンテンツ・フィルタリング・サービス(FortiGuard Web Content Filtering Service)を提供。産業界のレイティング・システム起用のデータベースをもとに、有害情報やウィルスをマルチ方式でフィルタリングする。データベースは毎日更新されるため、新たなオンラインの有害情報にも的確に対応できる。主に企業及び団体向けであり、学校や図書館における利用が多い。

Entanet119

 

・特になし

THUS120 Group (Demon)

Demon Firewall Service

・主に企業向けのサービスを提供。ウィルスや有害ソフトウェアをブロックできる。

Mail Defender

・個人設定により、ウィルスなどの有害コンテンツを含むメールをフィルタリングできる。

(出典:各社ウェブサイトを参考に作成)


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