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イギリス・韓国における青少年のインターネット環境整備状況等調査

第II部 調査の結果

4 青少年のインターネット利用環境に関する民間機関の取組

(2)ウェブサイト運営者に対するガイドライン策定

「2008年バイロン報告書」を受け、英国児童インターネット安全協議会(UKCCIS)の戦略290として、企業やプロバイダを対象とした3つのガイドラインを設けている。最低限の遵守レベルを設定することよりも、臨機応変に対応でき、実施までに長期間を要する法律制定を待たずに活動を始めることができる自主規制のアプローチを基本にしている291


・仲介機関、企業向けのガイドライン
・チャットやインスタント・メッセージ、ウェブ上のサービス提供企業向けのガイダンス
・グーグルなどの検索エンジンプロバイダ向けのガイドライン


バイロン博士は、各企業や機関がこれまでに設けたガイドラインに概ね満足しているが、反面、ガイドラインに関する情報が見つけにくいことを指摘している。また、各サービスの方針や情報を消費者(ユーザー)に分かりやすく整理するべきであるとも述べている292
ここでは青少年の利用が多いサイトをいくつか例に挙げて、各サイトの現ガイドラインについて述べる。
5~15歳を対象にOfcomが2009年10月に行った調査によれば、アクセス件数が多いサイトは、グーグル(Google)、Facebook、ユーチューブ(YouTube)、英国放送協会(The British Broadcasting Corporation:以下「BBC」という。)であった293

表1-4-1 上位10位人気サイト(2010年/年齢別)294

ランク

2-17歳

18-24歳

25-34歳

35-49歳

50-64歳

65歳以上

1

グーグル

グーグル

グーグル

グーグル

グーグル

グーグル

2

グーグル・サーチ

グーグル・サーチ

グーグル・サーチ

グーグル・サーチ

グーグル・サーチ

グーグル・サーチ

3

MSN

MSN

MSN

MSN

MSN

MSN

4

フェイス
ブック

フェイス
ブック

フェイス
ブック

フェイス
ブック

ヤフー!

BBC

5

ユー
チューブ

MSN

ヤフー!

BBC

フェイス
ブック

ヤフー!

6

BBC

ユー
チューブ

BBC

ヤフー!

BBC

グーグル
マップ

7

MSN

MSN

グーグル
マップ

グーグル
マップ

グーグル
マップ

マイクロ
ソフト

8

ヤフー!

ヤフー!

ユー
チューブ

eBay

マイクロ
ソフト

アマゾン

9

ユーチューブ(ホーム)

BBC

eBay

マイクロ
ソフト

eBay

フェイス
ブック

10

グーグル
イメージ
サーチ

eBay

MSN

ユー
チューブ

アマゾン

ウィキ
ペディア

(出典:Ofcom)

【グーグル(Google)295
世界最大規模でサーチエンジン利用数が最も多いグーグルは、ネット安全利用に関して大まかに3要素に分け、積極的な活動を行っている。

<1>家族が安心してネット利用できるよう、子どものネット利用をコントロールできるツールを提供
<2>違法コンテンツやオンラインでの違法行為撲滅に対する法律の制定や、産業界のパートナーたちとの協力
<3>ネット安全利用の呼びかけのための教育


具体的には以下のガイドラインを設けている296

・わいせつ、賭博の促進、未成年へのたばこまたはアルコールの販売など、法律に違反していると思われる内容を掲載しない。
・アダルト向けのコンテンツを掲載する場合は、必ず「家族向けでない」ことを表示、または分類する。


【Facebook297
SNSの世界最多ユーザー数を誇るFacebookは、会員条件を13歳以上としている。13歳未満の子どもに対しては、会員登録をしないよう呼びかけるとともに、万が一登録後に13歳未満であることが発覚した際には、即座に会員登録と登録された個人情報のすべてを抹消する。ユーザー全員に向けて、もし13歳未満の子どもがFacebookを利用していることを知った場合は、当社に連絡するように、としている。さらに、18歳未満のユーザーに関しては、検索リストにプロフィールが掲載されないため、誰かが検索エンジンでプロフィールを探そうとしても、表示されることはない。また、例え本人が個人設定を変えて、他人と情報を共有しようとしても、友人や個人ネットワーク内のみに限定される。ただし、名前、プロフィールの写真、性別、ネットワークは「一般」に公表されているため、誰でも見ることができる。保護者は「プライバシー・コントロール」を活用することにより、さらなる制御機能を使うことができる。子どもの情報公開の制限、子どもがFacebookを使用する際の検索エンジンなどの制御が可能である。


【ユーチューブ(YouTube)298
動画投稿、掲載サイトのユーチューブは、同社のサイト内は、投稿者たちで作る「コミュニティー」であるとして、以下のガイドラインを策定している。アカウントを開設できる年齢は13歳以上としている。ガイドラインを守らないユーザーに対しては、警告、またはアカウント削除をすることで対処している。一度アカウントを削除されたユーザーは新たにアカウントを開設することは禁じられている。


ポルノや性嗜好コンテンツは投稿しないこと。例え自分自身を映しているビデオであっても投稿しない。

・動物虐待、薬物乱用、爆弾作成に関するビデオは投稿しない。
・暴力(言葉の暴力)を含む内容のビデオは、グラフィック類も含めて投稿しい。
・事故の様子や死体など、他人にショックを与える内容のビデオは投稿しない。著作権を侵害しないこと。自分自身が撮影、作成、またはそれらを許可されたビデオのみの投稿とし、他人に著作権があるビデオ(音楽、テレビ番組等)は許可なしに投稿しない。
・ユーチューブは言論の自由を尊重するが、ヘイトスピーチ(人種、宗教、性、障害、年齢への差別から他者を深く傷つける言葉の暴力)は一切認めない。
・ストーカーやハラスメント等他を脅かす内容及び他人の個人情報保護を漏洩することは一切認めない。
・閲覧者を増やす目的で行われることが多いが、迷惑リンク、タグを作成しないこと。また他人を傷つける内容のコメントを残さない。


2007年からは毎年6月、「インターネット安全月間(Internet Safety Month)」を実施している。自社サイトの「安全センタービデオ」にスポットライトを当て、どのようにネット詐欺やフィッシングを防ぐか、保護者は子どもたちのネット上の安全をどのように守るか、などを説明したビデオをサイトに掲載している。同サイトの利用者のほとんどは、かなりインターネット利用に慣れていることが多いが、ビデオを視聴するだけでなく投稿する利用者は、特に個人情報保護に注意するように呼びかけている。アカウント作成後、同サイト内の「safety」カテゴリからフィルタリング設定をすることが可能である。また不適切な動画に関して通報することもできる。投稿された動画をチェックするスタッフも昼夜常駐しており、同サイトの方針に反する動画などは削除される299。ただし、毎日何千件もの動画が投稿されるため、同サイトのフィルタリング機能だけでは十分でない場合もある。不安な場合は、グーグルなど、主要検索エンジンサイトのフィルタリング設定もすることを奨めている。通常社会と同じように、ネット上でも個人情報を守る、互いを尊重し合う、問題点や不快なコメントを受けたりしたら通報するなど、ユーザーの一人一人が実践することが大切であるとしている300


【BBC】
BBCが1930年から子ども向けの番組を放送していたChildren’s BBC番組を1985年にCBBCと改名。現在ではCBBCのホームページ(6~14歳対象)でパズルを含むオンライン・ゲームや音楽などのサービスを提供している。子どもに対する呼びかけとしては、サイト上で、ネットの安全な使用についてクイズ形式で学習できるよう配慮している301


【オンライン広告について】
テレビ、新聞、雑誌と同じく、子ども、青少年の年齢層を対象にした広告が盛んである。オンラインを利用する率が最も多い年齢層をターゲットにする企業が多いことから、英国広告基準局(Advertising Standards Authority)がオンラインを含むすべてのメディアにおいて、身体的、精神的、道徳的な害から子どもを守るために広告規制を行っている。
当局が規制するメディアは以下のとおりである。


・テレビ
・ラジオ
・ウェブサイト
・新聞
・ポスター
・雑誌
・電子メール
・テキスト(携帯メール)
・ダイレクトメール


上記メディアの広告に関する苦情もオンライン・フォームなどを通じて受け付けており、それぞれ適切に対処されている。2011年3月1日からはオンラインにおける規制管轄が拡大され、ポップアップ広告のみならず、企業自身が自主規制をしてきたウェブサイト(Facebookやツイッターなど)も当局の責任範囲におかれることとなった302
当局は16歳未満をすべて「子ども」と定義し、主に以下の4つを規制している303 304


・子どもの特性(信じやすい、忠実である、繊細である、経験が浅いなど)につけこんだ内容
・他人に迷惑をかける行動を促す内容
・健康や食生活に関する間違った内容
・真似しやすい危険な行動を含む内容

表1-4-2 広告禁止内容と具体例

禁止内容

具体例

子どもの特性につけこんだ内容

・性的表現(登場人物の動作、仕草、服装すべてにおいて)
・他との極端な比較(劣等感を感じさせる内容)
・セールス目的の場合、親などに買うことを強制させる内容
・セールス目的の場合、商品への過剰な期待をもたせる内容
・セールス目的の場合、値段表示の際、「たった」「~だけ」という言葉を使い、実際の値段より安いと強調する
・現実と架空の世界の区別が不明瞭な内容
・タバコの害を訴える際に、喫煙している親が喫煙が原因でいずれ死んでしまうことを直接的に訴える内容

他人に迷惑をかける行動を促す内容

・他人を失望させる内容

健康や食生活に関する間違った内容

・子どもモデル起用の際の留意
・食品、飲料用品全般において、間違ったメッセージを送るような内容(食べたら太る、痩せるなど)

真似しやすい危険な行動を含む内容

・見知らぬ人に子どもがついていく
・いじめ
・刃物や銃など危険物の扱い(おもちゃを含む)
・ビニール袋など窒息する可能性があるものの取扱い

(出典:英国広告基準局のウェブサイトを参考に作成)

この他にも、懸賞応募に関しては、必ず保護者の同意が必要になることを明確にすることが義務付けられている。また、購入しないと応募資格が与えられないものに関しては、子どもに対する直接的な宣伝を禁じている。
オンライン広告に関するこれからの最大の課題は、これまでは放送時間等の制限が出来たテレビやラジオであるが、インターネットの普及により24時間、ユーザー次第でオンライン利用が可能になった。子どもが目にしないであろう時間帯は存在しないに等しく、新しいメディアも、在来メディア同様、効果的な基準を適用していくことである。


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