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 イギリス・韓国における青少年のインターネット環境整備状況等調査

第2章 韓国における青少年のインターネット環境整備状況

1 青少年のインターネット利用環境に関する実態

(5)インターネット上のウェブサイトを利用して児童買春等の犯罪被害に遭った青少年の数・実態

保健福祉家族部が2008年12月22日に発表した「2000年~2007年児童青少年対象性犯罪動向376」によると、2007年に行われた児童・青少年の売春のうち91.3%がインターネットを通じて行われていたことが分かった。同報告書では、買春被害者の年齢が低下していることも指摘されている。被害者となった青少年の平均年齢は14歳であり、13歳未満の子どもの被害者の比率は、2002年では27%であったのに対して2007年には32.7%まで増加しており、その間、持続的な増加を続けていることが報告されている。377

韓国女性家族部と刑事政策研究院が発表した「国内外の子どもに対する性犯罪の特性解析及び児童保護システムの研究報告書378」では、13歳未満の子どもを対象とした性犯罪の発生件数について、韓国、イギリス、ドイツ、アメリカ、日本の5か国を比較している。具体的には、人口10万人あたりの発生件数が韓国は2.5件、イギリスは15.4件、ドイツは14.7件、アメリカは11.9件、日本は0.8件であり、発生割合の高い順番に並べると、イギリス、ドイツ、アメリカ、韓国、日本となる。韓国の警察庁の統計によれば、2005年から2009年までの5年間で性暴力を受けた子どもの被害が37%に増加したこともあり、被害者数は毎年10%以上の増加傾向にある。人口1,000人あたりの被害者数は、韓国が46.7名、イギリスが11.5名、アメリカが0.8名と、韓国が最も高い。更に韓国の法務部によれば、性犯罪が連鎖的に発生する中での性暴力再発生率が13.6%に達し、再犯者による6か月以内の再犯率は28.1%であり、性暴力加害者の再犯の可能性が高いことが分かった379

米国国務省が2011年6月27日に発表した「2011年人身売買報告書380」(Trafficking in Persons Report 2011)によれば、韓国人の人身売買についても報告されている。以下に該当部分を引用する。


「韓国の女性が国内だけでなく、アメリカ、カナダ、日本、オーストラリア等で強制売春に苦しめられており、10代の韓国人女性が売春で搾取されるようになってきた。韓国人児童の性的搾取の95%はインターネットを通じて仲介されたものである381


韓国には「条件付きの出会い(조건만남)」と呼ばれる売春の形態がある。

「条件付きの出会い」とは、男女が、金額や年齢等、自分の希望条件を満たした性行為の相手を見つけることを目的として、知人や紹介機関等を通じて接触すること言い、より狭義には、インターネットを通じて行われているものを指す382。なお現在、こうした「条件付き出会い」の専門サイトは多数あり、その案内は検索エンジンで利用登録したメールアドレスや、携帯電話宛に送られてくる。

米国国務省による「2011年人身売買報告書 」において韓国人児童の性的搾取の95%がインターネットを通じて仲介されたものであると報告されているが、それ以前から、売春とインターネットは密接な関係にあった。たとえば、2006年12月22日から警察が集中的に実施した売買春の取締りの結果、青少年の売買春行為のうち、90%以上がインターネットを利用したものであったことが判明している383。2009年7月20日から、警察庁はインターネットを通じた売買春の一斉取締りを開始し、同年8月19日までに1,668人を検挙している。うち1,134人が買春容疑の男性、133人が売春斡旋事業者、401人が売春容疑の女性であったことが報道された384。このようにインターネットが売買春の市場の一つとなりつつある背景には、2004年3月に可決された「性売買斡旋等の行為の処罰に関する法律(성매매알선 등 행위의 처벌에 관한 법률)385」 (法律第11048号)及び「性売買防止及び被害者保護等に関する法律(성매매방지 및 피해자보호 등에 관한 법률)386」(法律第10997号)によって性風俗産業に対する規制及び取締りが強化されたことがあると考えられる。たとえばこれら2つの法律が施行された2004年以降、韓国では売春従事者によるデモが数回行なわれているが、デモ参加者の女性からも政府による売春規制の強化とインターネット売春の関連性を指摘する発言が報道された387

2009年、青少年の「条件付き出会い」の経験の有無に関する調査が行われた。
表2-1-34は、危機学生を除外した、13歳から18歳の一般学生を対象とした調査の分析結果である。

表2-1-34 一般学生を対象とした「条件付き出会い」の経験の有無(性別)388
(単位:%)

区分

 

「条件付き出会い」経験者の提案経路

経験率

チャット

テレクラ

友人/
先輩後輩

遊興業者

ブッキング 

その他

全体

0.3

-

-

-

-

-

-

 

-

49.5

3.1

11.1

3

11.8

27.4

0.4

-

-

-

-

-

-

 

-

43.2

4.7

17.5

5.4

12

27.8

0.2

-

-

-

-

-

-

 

-

55.1

1.8

5.5

0.8

11.7

27

(出典:女性家族部青少年家族政策室青少年政策官青少年保護課)

表2-1-35は、危機学生389を対象とした調査の分析結果である。
危機学生とは、ひきこもり、登校拒否、就学中断、インターネット中毒等の問題を抱えて、社会と向き合うことを回避した生活をする青少年のことを指す。「危機青少年」ともいう。

表2-1-35 危機学生を対象とした「条件付き出会い」の経験の有無(性別)390
(単位:%)

区分

 

条件付き出会い経験者の提案経路

経験率

チャット

テレクラ

友人/
先輩後輩

遊興業者

ブッキング 

その他

全体

2.1

-

-

-

-

-

-

 

-

51.1

1.8

19.4

10.6

18.5

16.7

1.8

-

-

-

-

-

-

 

-

41.9

1.5

22.8

14

16.9

21.3

2.9

-

-

-

-

-

-

 

-

64.8

2.2

14.3

5.5

20.9

9.9

※ブッキングとは、ナイトクラブやディスコ等で、男性が仲介手数料をボーイに支払って女性を呼び出すシステムのことである。
(出典:女性家族部青少年家族政策室青少年政策官青少年保護課)

この分析結果からは、条件付き出会いに多く利用されているのが、インターネットを利用したチャットであることが分かる。

このように、韓国では性犯罪率が比較的高く、その中でも近年は、児童性犯罪の発生件数が急増している。また、米国国務省がまとめた報告書では、売春を行う韓国人女性の多くが、インターネットを介して売春行為を始めたことが報告されている391。一方、韓国ではインターネットを通じた条件付き出会いの利用も多い。こうしたことからも、児童買春が増加している問題にはインターネット網の充実との関連性が窺われる。


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