本編目次へ前ページへ次ページへ

(5)ウェブサイト運営者等が青少年による有害情報の閲覧を制限する措置等を取った場合における民事責任の制限

2002年に憲法裁判所が発表した「サイバー空間の表現の自由とその規則に関する研究」465では、インターネット上に掲載された有害情報の閲覧制限に関する民事責任に関して、アメリカの事例について触れるにとどまり、韓国の事例はまったく確認できなかった。
インターネット上に掲載された有害情報の閲覧制限に関する民事責任に関して韓国の事例を取り上げたものとしては、2010年、建国大学のチェ・ジョンソン(최종선)によりまとめられた修士論文の他に確認できなかった466。その論文には、ネット上からの有害情報の削除要請の不履行に関しこれまで行われたいくつかの民事訴訟の判例を掲載した章がある。この章の最後に、「ISPの責任の範囲又はその限界の設定」という節がある。以下にその節を引用する。


「判例から考えるに、ISP の責任を無条件で認めるものではなく、一定の限界を定めている。ISPが提供するインターネット掲示空間での掲示物を通じてなされる表現行為と関連し責任の範囲又は限界を設定することにおいて、基本権の制限の限界原則である比例の原則(目的の正当性、手段の適合性、侵害を最小限にすること、法益の均衡性)が適用されねばならない。名誉毀損被害者に対する権利救済の実効性を大きくするという側面に重点をおき、ISPの不法な名誉毀損掲示物を直接掲載した者の不法行為を幇助した共同不法行為者の範疇に置くこととし、ISPの法的責任を単純に民法上共同不法行為責任の法理にしたがって定めようとすることはもちろん、ISPの法的責任を全面的に否定することに対しては警戒が必要である。
本来ISPはインターネット掲示空間を提供する情報配布者としての役割を意味していたが、その利用者がISPの役割を超えてその空間を、名誉毀損刑事物を不法に掲示する手段として悪用することが問題視されていることにより、不法な名誉毀損掲示者の法的責任とは別個に独自的な法理に従って責任を問うことが妥当である。ここにおいてISPの法的責任の法理をどのように設定するのかが問題になるが、表現の自由に対する制限を可能なだけ最少化すること、つまり、「明白かつ現在の危険」を全体で両者の法益保護において均衡を維持することができる法理に基づくようにしなければならない。すなわち、ISPの名誉毀損刑事物に対する削除義務は、特別な事情がない限り、ISPが被害者から名誉毀損の内容を含む掲示物を具体的・個別的に特定して「削除するよう要求」を受け、更にその掲示物に名誉毀損の不法性が「現存」することを「明確」に認識し、そういった削除等の処置をすることが「技術的・経済的に可能」である場合に制限されることが合理的であり妥当である。」


ここでは、ウェブサイト運営者等が青少年による有害情報の閲覧を制限する措置等を取った場合における民事責任の制限に関しては、不法性の現存と削除等の処置が「技術的・経済的に可能」であるという要件が必要とされることが指摘されている。


▲このページのTOPへ