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(6)青少年による携帯電話の所持・利用の制限

ア 企業・政府による移動式電話利用制限

2011年5月20日付経済トゥデイによれば467、青少年保護法の一部改正(施行日:同年11月20日)にあわせ、エンシソフト(キム・テクジン(김택진)代表)が青少年の深夜時間帯のゲーム利用を制限すると発表した。年齢の確認等は、携帯電話やスマートフォン等の移動式電話での接続時に行われる。
エンシソフトは、同年4月、個人情報の大量流失の防止を目的とし、加入者からの不必要な個人情報の提供を防ぐため、利用者がゲームを利用し代金を支払う際に、住民登録番号の入力の代わりとしてEメールアドレスを入力させるようにしており、MMORPG(多人数同時参加型オンラインロールプレイングゲーム)を利用する場合には、携帯電話番号等別途の個人情報で本人認証し、年齢確認する方法を採っていた。だが、このような方法はエンシソフトが提供するゲームがシャットダウンされないための裏工作ではないかという指摘を一部から受けていた。これに対するエンシソフト側の説明は、「個人情報保護法(개인정보보호법)」(法律第10465号)に従って個人情報の入力を簡素化するために行っているというものであった。
青少年保護法の一部改正による青少年のゲーム利用制限の発表により、エンシソフトはこれまで受けてきた誤解を完全に解くこととなった。

イ 一般家庭での携帯電話使用

韓国では、一般家庭においても携帯電話は頻繁に使用されている。家庭内に電話が設置されていても、簡単な連絡の際には設置された電話ではなく、携帯電話を利用し、相手の携帯電話にかけるケースも多い。さらに、スマートフォンが導入されると同時に、モバイル用メッセンジャーであるカカオトーク(카카오톡)が開発された。2012年2月23日付アジアトゥデイによると、カカオトークによるメッセージ発信数は1日で12億件を突破しているという。
父母情報監視団へのヒアリングによると468、このような状況の中、韓国社会全体で家庭内での携帯電話使用を制限しようという動きはまだないという。そのため、父母情報監視団では一般家庭内で携帯型通信機器の使用を控えるよう青少年に指導を行い、同時に保護者に対しても同様の教育を行うよう指導しているという。

ウ 学校における携帯使用

韓国では、携帯電話の契約時に本人確認を行う義務が法令によって定められていることから、携帯電話を購入する際に住民登録番号を申告しなければならない469。学校において携帯電話等の利用を制限しているという報告は確認されなかったが、制限することの是非についてはホームページやブログにおいて議論が行われている。また、青少年の間での携帯電話等の普及を受けて、青少年による携帯電話の利用範囲についても議論の的となっている。
また、日本の大学入試で携帯電話を用いた不正回答が行われた事件は韓国のマスメディアによっても大きく取り上げられた。2011年7月7日付ソウル経済新聞では470、学生による授業中の携帯電話使用を原因とする学生と教師の対立が増加しており、学生・父兄・学校が学生の携帯電話利用制限に関する協約を結ぶ法案の作成が進められていると報道された。
学生の携帯電話利用制限に関して協約を結ぶ法案の作成について議論が行われているのは、その背景に携帯電話利用を過度に制限することが人権侵害に当たるとの懸念が存在するためである。実際、韓国の学校では集会を行う際に校内において携帯電話で連絡を取り合うことがごく一般的であるが、2011年9月8日付朝鮮日報では、集会を目的に限定した携帯電話の利用については、ソウル市教育庁により、学生の権利として認められたことが報じられている471
しかしながら、韓国教員団体総連協会による設問調査によれば、学生が授業中に携帯電話を利用することによって授業そのものが妨害されていると考える教師は65%以上に上っており、授業の妨害となる携帯電話の使用を禁止することが、果たして人権侵害に当たるかという疑問を投げかけた論説も、2011年7月29日付アジア経済で紹介されている472


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