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 イギリス・韓国における青少年のインターネット環境整備状況等調査

第2章 韓国における青少年のインターネット環境整備状況

  

3 青少年のインターネット利用環境に関する制度、法及び政策とその背景

(9)児童ポルノに対する政策、規制及び取組

2007年に発表された「児童性犯罪とインターネット上の児童ポルノ」は、韓国における売春とインターネット環境との関係について以下のように記述している487


韓国は児童ポルノの主要生産国家のうちの一つで、全世界の児童ポルノコンテンツのうち2.16%が韓国で製作されており、その多くは海外に向けて販売されている。その理由としては、韓国が超高速インターネット通信網及び電子政府構築の実現において世界第1位、人口1,000万名あたりのインターネット利用者が世界第2位である一方、青少年売春の90%以上のケースにおいてインターネット上で連絡を取り交わしているという現実が指摘されている。
児童ポルノ問題において、韓国は無法地帯に等しい。児童ポルノに対する規制、処罰条項も十分に整備されていないのが現状であり、児童ポルノに関する摘発が行われた事例も皆無に等しい。


2006年2月にはイ・ゲギョン(이계경, ハンナラ党)国会議員の主催で、「児童ポルノ防止規制不十分国の汚名を一日も早く返上するために:児童ポルノ規制法規改善策」という報告書が提出されている488。そのなかで、児童ポルノ製作の防止にあたり当時の韓国法制度の問題点が2つ指摘されている。


・インターネットを通じた児童ポルノの拡散を防止する技術的制裁手段の開発、国家間における共同捜査及び刑事司法上の共助の方案を成立させる必要がある。
・情報通信網がもつ広範囲で迅速な拡散効果を考慮し、児童ポルノを通じて描写対象となる18歳未満の未成年者の名誉を保護できる処罰規定を導入する必要がある。


さらにこの報告書では、主に児童ポルノ規制に関連する、「児童・青少年の性保護に関する法律(아동·청소년의 성보호에 관한 법률)489」(法律第11048号)の改善事項が指摘されている。その事項は、同法第2条「青少年利用淫乱物」の定義を広げて更に広範囲にわたって規制をかけようとするものと、処罰規定の見直しである。
「青少年利用淫乱物」の定義については、青少年が登場して性行為や淫らな行為をするものだけに限らず、青少年でない者が青少年を装い同様の行為をするものについても適用されることが求められている。また、当時の法制度では児童・青少年が登場する写真、スケッチ、漫画、小説、音響等は「青少年利用淫乱物」に該当しなかったが、これらも含まれるべきだと指摘している。
例えば児童ポルノ所持に対する処罰について、現行法では特定の目的がある場合に限って児童ポルノの所持行為を7年以下の懲役に処するとしているが、児童ポルノが児童の性的虐待の手段として利用されうる点を考慮すれば、特定の目的を鑑みることなく、単純な所持行為に対して処罰することが求められるという。
また、「青少年利用淫乱物」制作に関連し、13歳未満の未成年者を利用して性行為又は性交維持行為を行うに至った場合には、擬制未成年者強姦又は擬制未成年者強制醜行罪が成立するよう法整備が必要であると指摘されている。
上記の事項について2011年11月現在の法制度にその一部が反映されている。例えば、青少年利用淫乱物の定義については、第2条第5項が該当するが、そこでは、「児童・青少年又は児童・青少年として認識できる人物や表現物が登場」するものとして定義されている。
児童ポルノの所持に関しては、第8条第5号において単純所持で2,000万ウォン以下の罰金に処するという規定がある。なお、13歳未満の未成年者を利用した性行為又は性交維持行為に関しての擬制未成年者強姦等の適用規定については、確認されなかった。


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