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 イギリス・韓国における青少年のインターネット環境整備状況等調査

第2章 韓国における青少年のインターネット環境整備状況

4 青少年のインターネット利用環境に関する民間機関の取組

(1)青少年のリテラシー能力向上のための活動

韓国における青少年のリテラシー能力向上のための活動は、官民一体で展開されている。青少年が正しくインターネットを利用できるようになるための教育を展開して行こうという方針に則って、政府関連組織の外郭団体が中心となり、教育者を一般から募って養成する教育講座の開設を進めている。
また、「(7)ネットいじめに対する取組」で情報通信倫理教育や善答推進運動等が提言されたことが触れられている。これらは政府機関や外郭団体のみならず、「運動」という言葉から理解できるように、広く国民の間に意識を浸透させ、国民全体で取り組んでいくことを目指すものである。また、善答運動を推し進めようというキャンペーンやフォーラムが開かれている。

ア 社団法人・父母情報監視団495

青少年の父母、教師、及び機関を対象にして、インターネット網が発達する韓国において青少年を有害情報からどのようにして保護するかについて教育・啓発活動を行っている組織である。

(ア)沿革

1998年 9月23日発足。以降、PC通信、インターネットモニタリング実施。
2000年 青少年有害情報遮断プログラムを提供し、民間社団団体に登録。
2001年 青少年の保護者を対象とするメディア教育を実施。
2003年 メディア教育サイトを運営。
2004年 社団法人化。

(イ)設立の目的

韓国において、インターネットの普及率は高く、IT関連産業も世界的な水準に達し、経済発展に大きく貢献している。
しかし、インターネットの発達に伴い、子どもたちのインターネット中毒等の問題も発生している。父母情報監視団は、これまで有志が集いボランティア機関として5年間活動をしてきたが、運営の充実化等のために資金が必要となったため社団法人に登録し、本格的な活動が展開できるようになった。なお、メンバーは統一教会の信者によって構成されている。

(ウ)活動内容

<1>父母教育

変化を遂げた環境、インターネット、携帯電話等の様々なメディアを通じて子どもが成長を遂げることを目的とし、IT中心へと移行してきた新たな環境の中で子どもたちをどのように指導し、教育していくべきか、そして、家庭の役割は何なのかという点について、保護者たちの自覚を促す保護者教育を実施している。
主要な教育・啓発テーマは以下のとおりである。

・インターネットと青少年文化
・インターネットの利点と副作用
・携帯電話と青少年
・e-メディア中毒の被害と予防方法
・家族と世界をつなぐ健全なインターネット利用方法
・正しい子どもの指導方法
・質問と相談


<2>教師に対する教育・啓発活動

青少年のゲーム中毒率が深刻化していると同時に、携帯電話中毒の青少年も増加している。こうした状況を受けて教育界では情報通信倫理教育の必要性を訴える声が出ている。メディアの副作用による青少年の被害事例を知り、これに対する適切な対応法案を模索し、学校の教師に対する教育・啓発活動を行っている。
主要な教育・啓発テーマは以下のとおりである。

・インターネット及び青少年についての理解
・インターネット/ゲーム利用の実態
・ゲーム中毒の被害と校内暴力、サイバー犯罪の事例
・携帯電話とオンライン決済の危険性
・健全なインターネット環境改善にあたっての教師の役割


<3>青少年に対する教育・啓発活動

インターネット利用年齢の低下に伴い、子ども及び青少年のサイバー暴力、インターネット中毒被害が急増しているため、特別講義として、ゲームとの付き合い方等、青少年にインターネットを適切な形で活用してもらうためのインターネット環境教育を行っている。
主要な教育・啓発テーマは以下のとおりである。

・インターネットとゲームの産業性を理解する
・自己のインターネット、ゲーム利用を振り返る
・携帯電話とオンライン決済の危険性を知る
・インターネットを正しく利用するための確認

イ 青少年メディア中毒予防センター

青少年メディア中毒予防センター496(以下、予防センター)とは、青少年が健全にメディアを利用するようメディア環境を保護すべく成立した機関である。

(ア)設立の目的

「青少年の間でメディア中毒が増加の一途を辿っているが、これに対する対策をとる機関は多くはなく、そのために苦しんでいる青少年及び保護者は、少なくない。
メディア中毒とはいっても深刻な段階でなければ早期に診断を受けることで治療が可能である。また、青少年の場合、メディア中毒だけでなく、他の問題を重複して抱えているケースが多いため、保護者は注意を払う必要がある。
早期に処置を行って健全な社会人に成長することができるよう、手助けしていかなければならない」

(イ)事業プログラム

予防センターでは上記の目的を達成するため、以下のとおり様々なプログラム等が設けられている。


<1>個人相談プログラム

メディア中毒の予防支援において相談が必要であると判断された青少年を対象として個人相談が実施される。
ホームページ上で行った自己診断497の結果、中毒症状が深刻であると判断された青少年を対象に電話連絡を取り、直接相談室に足を運んでもらって個人相談の実施を行う。

表2-4-1 個人相談プログラム利用案内(抜粋)

対象

 満24歳以下

利用時間

 月~土 午前10時~夕方7時

相談費用

 5,000ウォン(保護者面談時1万ウォン)

(出典:青少年メディア中毒予防センター)

<2>心理検査

メディア中毒に対する診断、及び、効果的治療のための心理検査が実施されており、その種類と内容、費用について紹介されている。

表2-4-2 心理検査の種類と内容

検査名

内容

費用

K-WAIS / K-WISC-III

個人の全般的な認知能力及び知能を評価する検査

4万ウォン

MBTI

類型論に基づくパーソナリティ検査

1万ウォン

MMPI-2(成人用)/
A(青少年用)

個人の現在における心理的問題を診断する心理検査

1万ウォン

SCT

文章を完成させて性格の全体をトータルで把握する検査

無料

U&I学習類型検査

学習と性格をあわせて検討し、学習行動を把握する検査

1万ウォン

U&I進路探索検査

個人の適正にあった仕事を見つけ出す検査

1万ウォン

HTP/KFD

絵を描いて心理状態を探る検査

1万ウォン

BGT

絵の描かれたカードによって心の内面の状態、性格の特性を分析する検査

1万ウォン

ロールシャッハ

絵の描かれたカードを使用して内面の感情を探る投映法に分類される性格検査

4万ウォン

TAT主題統覚検査

絵の描かれたカードを使用して対人関係と環境に関する意識を探る検査

4万ウォン

CAT児童主題統覚検査

児童を対象としたTAT検査(満10歳未満)

4万ウォン

総合検査(ロールシャッハ除外)

 

8万ウォン

総合検査(ロールシャッハ含む)

 

10万ウォン

(出典:青少年メディア中毒予防センター)

<3>メディア中毒相談者養成プログラム

予防センターには、メディア中毒の予防と治療を専門とする教育課程の修了者が、メディア中毒相談員として在籍している。メディア中毒相談員は、予防センターで運営する予防教育、集団相談の他個人/サイバー相談を担当している。


メディア中毒相談員の養成課程(教育機関は公知事項を通じて公知する)

・選別
・養成教育
・実習
・委嘱
・活動

対象

関連学科 学士号以上

教育日程

公知事項参考

教育費用

7万ウォン

<4>集団相談プログラム

青少年がメディアを適正に利用することができるよう教育することを目的とした、7~8回にわたるプログラムである。

タイトル

ハッピーメディアの世界をつくる
(正しいメディアの利用のための集団プログラム)

時間

小学生60分 中学生65分 高校生70分

対象

メディア中毒の危険がある青少年
6~8人(1グループあたり)

教育費用

1回7万ウォン

<5>メディア中毒予防プログラム

メディア中毒の概念、類型、深刻性等を知り、メディアの有効利用をサポートする予防プログラム。

タイトル

みんなのスマイル - メディア通

進行時間

講義及び活動50分

対象

青少年、教師、保護者

教育費用

1回5万ウォン

また、同センターでは、青少年のインターネット利用環境に関わる法制度についての提言活動も行っている

ウ 社団法人・韓国インターネットPC文化協議会

韓国インターネットPC文化協議会498(以下、「協議会」という。)とは、ネットカフェの経営者が自発的に加入する事業者団体であり、文化体育観光部傘下の特定非営利活動法人である。青少年のインターネット利用環境を制限するのではなく、韓国にインターネットカフェを浸透させ、そのなかでどのように青少年を保護していくかを検討する組織である。

(ア)設立の目的

協議会の設立の目的については、ホームページ上に以下のように記載されている。

「情報通信産業の飛躍的発展を主導したインターネットカフェ(PC房)ゲームの代表的社団法人として、全国1万件あまりのインターネットカフェが会員に加盟している。
大韓民国において、インターネットカフェは社会的、経済的、文化的に大きな影響力を持っており、健全なリクリエーション空間として広く国民に浸透している。
協会では会員各社の権益保護のため、関連法令の不合理な規定を改善し、ゲーム産業を始めとする関連事業界の発展のために努力し、1,388の青少年支援団と連携して危機学生の救済のための活動を展開する等、青少年保護でも国内外でよく知られている」

(イ)設立の経緯

1998年11月、全国インターネットカフェ業主の自発的な参加により韓国インターネットPCレンタル業協会が設立されたのち、1999年4月、主務部署選定が問題化し、社団法人・韓国インターネットマルティ文化協会(文化観光部(当時))と社団法人・韓国インターネットプラザ協会(情報通信部)に分離された。
2001年3月28日には、分割された2つの協会を一つに統合し、文化観光部により社団法人設立が承認され、社団法人・韓国インターネットPC文化協会が発足し、今日に至っている。

(ウ)業界に関連する法律改正業務

業界を規制しているゲーム産業振興に関する法律から、建築法、勤労基準法等、業界において遵守しなければならない法律を分析し、法制度の改善を図る。

(エ)組織構成

総長をトップとして、名誉会長、顧問、諮問委員長、常任諮問委員、諮問委員が幹部組織を構成する。
2011年11月時点において、名誉会長はイ・ジョンチャン(이종창)氏(前国家情報院長)、顧問はキム・ドンニョン(김덕룡)氏(ハンナラ党前院内代表)、全羅北道知事、水原市長等が任命されている。


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