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 イギリス・韓国における青少年のインターネット環境整備状況等調査

第2章 韓国における青少年のインターネット環境整備状況

  

4 青少年のインターネット利用環境に関する民間機関の取組

(3)インターネット上の情報の分類(レイティング・ゾーニング等)

韓国では、インターネット上で提供される情報やコンテンツが青少年にとって有害であるか否かのレイティング・ゾーニングに関する審議は、主として青少年保護法第7条第1項(青少年有害媒体物の審議・決定)の規定に基づき行われている。特に、ゲーム物、映像物に関しては、青少年の間でも更に12歳以上、15歳以上の年齢層に応じたゾーニングが行われている。

表2-4-3 レイティングの基準

等級

露出

性行為

暴力

言語

その他

4等級

性器露出

性的犯罪、あるいは露骨な性行為

残忍な殺害

露骨で
みだらなスラング

 

1.麻薬使用や武器使用を勧めるギャンブル

2.飲酒、喫煙を勧める

3等級

全身露出

露骨でない性行為

殺害

激しい意味のスラング

2等級

部分露出

着衣状態での性行為

傷害

荒いスラング

1等級

露出した服装

激しいキス

格闘

日常レベルのスラング

0等級

露出なし

性行為なし

暴力なし

スラングなし

(出典:韓国放送通信審議会ウェブサイト499

表2-4-4 年齢別の等級奨励基準

区分

露出

性行為

暴力

言語

すべての年齢(小学生)

1等級

0等級

1等級

0等級

12歳以上(中学生)

2等級

2等級

2等級

1等級

15歳以上(高校生)

2等級

2等級

3等級

2等級

18歳以上(大人)

3等級

3等級

4等級

3等級

(出典:韓国放送通信審議会ウェブサイト500

こうしたレイティングやゾーニングを民間が行うことを、韓国では自主規制と呼んでいる。インターネット上における青少年有害情報の自主規制に関しては、2011年7月28日の青少年保護法一部改正以前までは同法第12条に規定されていた。2010年、こうした状況の中、漢陽大学校法学専門大学院のファン・ソンギ(황성기)教授は「韓国におけるインターネット自律規制活性化のための制度的方策」において、インターネットでのレイティング・ゾーニングの自主規制活性化に関する提言を行った。この提言では、インターネットの自主規制という概念に幅があることが以下のとおり指摘されている。


「民間で規定の必要性をおのずと自覚し、自発的に規制する場合」から「政府が民間に規制の権限を形式的に委任する場合」まで、その種類(spectrum)は様々である。また、インターネットに提供されるサービスの類型やコンテンツの種類に応じて、種々多様な自主規制の概念及び方式が同時に適用されることや、混在することもあり得る。
このような観点から「自主規制」を「自由放任」ではなく、「政府に伝統的に一任されていた規制領域に民間が積極的に参加し、政府はこうした民間の活動とその役割について積極的に協力・支援していくことによって、規制の合理化及び効率性を追求する規制方式」として、概念の定義を行う必要があると考える。


同報告書の最後では、青少年有害情報規制システムについても自主規制活性化の必要性が訴えられている。その理由は、青少年保護法旧第12条が既に「死文化した条項であるという評価がなされている」ためである。そういった背景には青少年有害性の有無の判断についての免責が法的に保障されていないためではないかと推定した上で、自主規制活性化の方策が2つ示されている。

第1に、「公的審議機関主導の審議ではなく、ポータル事業者又は自主規制機構主導の審議方式に転換する必要がある」とし、これは現在の公的審議機関による審議はこれと共存し、これまでの「積極的審議」ではなく「事後確認的・消極的審議」に転換するべきだとしている。

第2に、「個別事業者による自律審議及び自主規制機構による事後審議に対して、免責が必要である」とするものである。
こうした自主規制への動きは、この報告書が出される前からも認められる。2009年1月には、先進国ではインターネットの自主規制に向かっているという動向が報じられている501。そして2009年9月には、韓国インターネット自律政策機構により自主規制の必要性が訴えられたことが報道されている502。さらに、2010年の6月には、民間の自主規制機関を設立する必要があると全国経済人連合会より主張されたことが報じられている503
上記報告書発表後の大きな動きについては、2011年5月に、スマートフォンの需要拡大によって更に懸念が高まったインターネット利用の副作用とのかかわりにおいて報じられている。報道によると、放送通信委員会委員長は、そういった副作用が十分に考慮されるなかで、「政府とインターネット業界は自主規制と公的規制とが調和した韓国型自主規制を目指して踏み出す」とし、「韓国型インターネット自主規制の元年」だと述べたという504
その一方で自主規制の浸透には難しい一面があることも窺える。例えばファン・ソンギ教授の提言書が出されてから1年以上が過ぎた2011年10月6日付デジタルタイムズをみると、先進諸外国の状況を取り上げながら、提言書に書かれていたような内容とほぼ同じ主張が報じられており、提言書が出されてから、自主規制に関する目立った進展は特に認められない。


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