第1章 アメリカ

2 青少年のインターネット利用環境に関する世論

(3)インターネット利用環境整備に関する用語の説明

米国の論文等で用いられているインターネット利用環境整備に関する用語について以下のとおりまとめた。

ア インターネットセンサーシップ

ブロッキングを含むフィルタリング、テイクダウン、自己誘導センサーシップなど、インターネット利用に一定の制約を課す仕組の総称を指す。

(ア)フィルタリング

フィルタリングとは、サイト内容を選別(フィルター)し、インターネットの情報へのアクセスをコントロールするための技術的アプローチのことを指し、以下に述べるインターネットセンサーシップのうち<1>ブロッキングと<2>検索結果削除がそれに当てはまる35
ユーザーの同意がある場合も、ない場合もある。

<1>ブロッキング36

米国で最もよく利用されているアクセス遮断方法で、主に以下の4つの方法によって、特定のウェブページ、ドメイン、IPアドレス等へのアクセスを、ユーザーの同意を得ずに遮断(=ブロック)することに特徴がある。
ブロッキングの方法には大別して以下の4種類がある。

i IPブロッキング:
特定ユーザーのIPアドレス情報に基づきアクセスを遮断する方法で、最も容易で効果的なアクセス遮断方法である37

ii DNSタンパリング38
ネームサーバー39に、ユーザーが接続要求したWebページを返させず、代わりにエラーページであると表示させる、あるいは当該ページはブロックされていると表示させる行為のこと40

iii ページ・ブロッキング:
プロキシを使用したURLブロッキングの1つで、ドメイン、サブドメイン、URL、またはドメインに含まれる単語などをシステムがチェックし、ブラックリストに載っているドメイン名・サブドメイン名・URL・特定単語を含むページへのアクセスをブロックする方法。ブロックされたページにアクセスしたユーザーのブラウザ上には、サイトがブロックされていることを知らせるページ(ブロックページ)が表示される41。ユーザーにはサイトがブロックされている旨を知らせず、ブラウザのデフォルトエラーのように見せかけることもある42

iv キーワード・ブロッキング:
プロキシを使用したURLブロッキングの1つで、URLやドメインの単語によって特定のサイトをブロックする。より高度な技術で、採用する国が増加している43

<2>検索結果の削除

検索エンジン会社が、政府に協力し、違法や有害なサイトを検索結果から削除する方法である。単にターゲットサイトへのアクセスを遮断する方法に比べて、ターゲットサイトを探すことを困難にする。

<3>テイクダウン(コンテンツ削除)

監督機関が、ウェブコンテンツのホストへの連絡を法的に認められている場合、有害コンテンツの削除(テイクダウン)を要求するのが、最も簡便な方法である。
ウェブコンテンツのホストへ削除通知を送り、これに従わない場合には、法的手段に訴える旨を明記すれば、大抵の場合、ウェブホストは当該問題コンテンツを削除する。

<4>自己誘導センサーシップ

上記の他に、有害コンテンツを避ける有効かつ一般的な方法に自己誘導センサーシップがある。つまり、各個人がブラウジングやコンテンツへアクセスする際に、有害コンテンツへアクセスしないよう注意することである。実際には、アクセスが違法であるという意識やアクセスしないことが社会的な常識であるとの認識を人々の間に浸透させなくてはならない。事実、インターネット関連の違法行為に対する逮捕や拘留などはこれまでに自己誘導センサーシップを強化するのに役立ってきた。政府がインターネット活動を監視し取り締まっているという認識により、各個人の行動がかなり抑制される。

(エ)フィルタリングが行われる場所

フィルタリングは、以下の4箇所にて行われる。

・インターネット バックボーン
直訳すると「インターネットの背骨」という意味で、大規模相互接続ネットワークやコアルーター間の主要データルートを指す。公的機関によるフィルタリングは通常ここで行われ、国内のすべてのインターネットアクセスに影響を及ぼすことができる。

・ISP(インターネット・サービス・プロバイダー)
政府によって義務付けられたフィルタリングは、ISPによって、前述のフィルタリング技術を利用して行われるのが一般的である。

    

・各機関
ブロッキングなどのフィルタリング、及び自己誘導センサーシップは、各業界、政府組織、学校、サイバーカフェ等でも行われる。例えば、職場で仕事関連以外の特定のサイトを遮断することで従業員が勤務時間内にインターネットを私用に閲覧することを防ぐなどの目的のために使用される。

    

・各個人のコンピューター
各家庭のコンピューターレベルでのフィルタリングは、フィルタリングソフウェアをコンピューターにインストールして行う。

(オ)フィルタリングの欠点

現在の技術では、膨大な数のウェブページ、電子メール、チャットなどの内容を隅々まで正確に把握することは不可能であるため、削除したい内容のサイトをすべて網羅しきれない、または必要以上のものまで削除してしまう、という点が指摘されている。

(カ)ゾーニング

ウェブ上のコンテンツを分類(categorize)し、ユーザーの希望があれば、対象ユーザーの年齢によって、子ども用または成人用のコンテンツを提供する区域(ゾーン)を分けること。

●事例1:
C80インターネット・ゾーニング・イニシアティブ44
子どもをポルノ等の有害サイトから守る運動を行っている非営利団体のCP80 Foundationが推進する「CP80インターネット・ゾーニング・イニシアティブ」45 では、ウェブサイトのすべてのコンテンツをまず分類し、ケーブルのチャンネルのように、一般用(Community Port)と成人用(Open Port)に分け、ユーザーに、どのチャンネルを遮断し、どのチャンネルにアクセスさせるか選択させるものである。

(出典:CP80 ウェブサイト)

(キ)レイティング

コンテンツを内容によって、視聴対象年齢を区分することを指す。例えば、 ESRB(The Entertainment Software Rating Board)のレイティングシステムなどが含まれる。