第2部 調査の結果

第1章 アメリカ

3 青少年のインターネット利用環境(レイティング、ゾーニング)に関する 制度、法及び政策とその背景

(3)関連民間団体と政府による支援

政府機関が関連民間団体と協力して対策を講じる事例を以下にまとめた。

・EIE (Enough is Enough)
1994年に児童をオンライン上のポルノサイト等の有害コンテンツ、性的搾取などから守るために設立された非営利団体。主な活動は、<1>児童、保護者、教育者等への啓発、<2>関連業界への働きかけ、<3>児童に有害なサイト防止に関する法案の支持である。2005年より、米国司法省少年司法及び非行防止事務局(the Office of Juvenile Justice and Delinquency Prevention)から助成金を受け、児童、保護者のためのインターネット安全利用に関しての啓発プログラム、Internet Safety 10161を実施している。同プログラムには、AT&T、グーグル、公共教育テレビ局であるPBSなど大企業がスポンサーについており、2012年度は、11月より、全米数箇所のPBS放送局で、毎回1時間ずつ、計3回のインターネットの安全な利用や危険性などについてEIEが司法省と共同で作成した1時間番組を計3回放映したほか、カリフォルニア州、メリーランド州、バージニア州、サウスカロライナ州、ワシントンDCの主要都市において、30分の「インターネットの安全101(Internet Safety 101®)」と題したラジオプログラムを放送するなどの活動を行った62

・SHIELD63
州、地方の法執行機関に携わる人々が、それぞれの州または地域コミュニティにおいて、児童に対し、インターネットの危険や安全な利用法について啓発するための草の根運動。司法長官からFBIなどの連邦法執行機関、州、地方、各コミュニティの警察官まで、法執行機関に携わる者なら誰でも参加できる。参加者は、オンラインでi-SHIELDトレーニングを受けることになる。

・i-SAFE64
i-SAFE America, Inc.は、市民によるインターネットの安全使用のための活動を目的に、1998年に設立された非営利団体である。インターネットが急速に一般大衆へ普及し始めた2002年、国民へのインターネット教育の必要性を感じた米国議会は、同団体が行っていた学校におけるインターネット教育イニシアティブや地域住民への啓蒙活動を評価し、米国のインターネット教育啓発活動の指導的存在として位置づけ、その活動を支援することを決定。以来、i-SAFEは国防省教育課、司法省少年非行防止事務局などと提携、財政面等で援助を受けながら、全米各地域のコミュニティにおいて法執行機関と協力体制を築いている。

・パートナーシェアプログラム(Partner Share Program)65
i-SAFEカリキュラムパッケージを購入している学校や学校区の教育者や法執行機関の担当者は、i-SAFEカリキュラムを無料で利用することができる。同パッケージには3種類(ゴールド、シルバー、E料金)あり、支払う金額によって特典が異なる(以下、表1-3-3参照)。そして、i-SAFEに参加する警察官は、そのパッケージ料の10%を受け取るというのがパートナーシェアプログラムのシステムとなっている。i-SAFEに登録した警察官は、i-SAFEパッケージを購入している各地の学校または学校区で生徒に指導する前に、i-SAFEのトレーニングプログラム(Professional Development Program)を受講するか、オンラインプログラム(i-LEARN)を終了しておかなければならない。また、警察官が個人でi-SAFEパッケージを購入し、学校のインターネット教育官になることもできる。

表1-3-3:パートナーシェアプログラム
パートナーシェア ゴールド シルバー E-料金
1校につき $52 $36 $25
1学校区(5-49 学校) $260 $180 $125
特典 E-Rateカリキュラムを含む、iSAFEが提供する全てのカリキュラムにアクセスすることができる E-Rateカリキュラムを除く、iSAFEが提供する全てのカリキュラムにアクセスすることができる E-Rateカリキュラムのみにアクセスすることができる

(出典:i-SAFEウェブサイト)

また、各学校または学校区は、このi-SAFEパッケージを購入するにあたり、政府の助成金を利用することができる。2008年児童保護法(The Protect Our Children of 2008)(別名「2008年サイバー脅威に対抗するための予算、警察官、技術の提供法(The Providing Resources, Officers, and Technology To Eradicate Cyber Threats Act of 2008))による連邦政府助成金(2009年より5年間、年間6千万ドル(計3億ドル))は、司法省に対し、児童が標的となるオンライン犯罪防止のための各種プログラムの作成、実践を義務付けており、i-SAFEの教育は同助成金の対象となるからである66