第1章 アメリカ

4 青少年のインターネット利用環境(レイティング、ゾーニング)に関する民間機関の取組や現時点における青少年のインターネット利用環境に関する民間団体の取組の内容

(4)ウェブサイト運営者とコンテンツ掲載者、フィルタリング提供事業者等における民間紛争の解決活動

フィルタリング提供事業者、ウェブサイト運営者、及びコンテンツ掲載者間における民間紛争の解決活動についての例は見つからなかった。なお、ウェブサイト運営者とコンテンツ掲載者間の民事訴訟の例としては、以下の事例がある。

●事例1:
グーグルブック訴訟111(2012年10月4日)
2012年10月4日、米国出版社協会(Association of American Publishers, 以下AAP)は、グーグルによる図書館資料デジタル化プロジェクト"Google Library Project"が著作権侵害であるとして、2005年以来訴えていた問題について、グーグルとの間で和解が成立したと発表。その内容は、グーグルは引き続き図書館資料のデジタル化を推進できるが、米国の出版社は希望すればデジタル化された図書をGoogle Library Projectから削除することができるというもの。なお、グーグルは作家ギルド(Authors Guild)による著作権侵害訴訟が今も継続中である。
●事例2:
Google vs Oracle-知的財産権侵害112(2012年9月)
グーグルのモバイルOS「Android」がJavaの知的財産権を侵害しているとして、Oracleが訴えた訴訟で、カリフォルニア州北部地区連邦地裁は、2012年9月4日、Oracleに対してグーグルへの訴訟関連費用約100万ドルの支払を命じた。Oracle 側の主張の要はAndroid で使用されている37のJava API が、Javaプログラム言語の著作権を侵害しているというものであった。
●事例3:
グーグルの独占禁止法違反調査113(2012年12月)
連邦通信委員会(FTC)がGoogleに対して長期間行ってきた独占禁止法違反調査は、公正な競争を阻害する独禁法(反トラスト法)上の違反はなかったとして、和解に近づきつつある。Google側が自主的に是正措置を講じることでFTCと合意したためである。また、GoogleがMotorola Mobilityの買収により保有する特許については、標準必須特許(標準的かつ必要不可欠な特許)は公正かつ合理的、非差別的な条件でGoogleが他社にも提供するとともに、特許侵害を理由とした製品の販売指止訴訟を起こさないことで合意した。
●事例4:
Facebookの集団訴訟114
Facebookは、これまでにも何度もユーザーのプライバシー侵害で集団訴訟を受け、莫大な示談金を支払ってきたが、2012年5月には、ユーザーがFacebookアカウントをログオフした後にも、Facebook側がユーザーのオンライン行為を追跡していたとし、損害賠償150億ドルを要求する集団訴訟が起された。これに対し同年10月、Facebook側は、この訴えは証拠不十分であるとし提訴を取り下げるよう裁判所へ訴えた。同ケースは現在も係争中である。
●事例5:
政府と民間企業との間の紛争
米国では、これまで何度もFCC、FTCなどの連邦機関及び議会がインターネットを規制する法案を作成または成立させてきたが、そのたびにインターネット業界や言論の自由の擁護団体などによる訴訟を受け、廃案もしくは停止に追い込まれてきた。以下は主な事例の年代表である。
表1-4-5:連邦規制に対する民間の提訴事例年代表115
年代 事例
1996年 オンラインポルノを規制する、児童ポルノ保護法 (The Child Pornography Prevention Act(CPPA))と通信品位法 (The Communication Decency Act(CDA))が議会で承認される。
1997年 CDAのオンラインコンテンツ規制に関して、憲法の表現の自由に反するとして、最高裁により違憲判決を受ける。
1998年 CDAに代わるものとして、児童オンライン保護法(The Child Online Protection Act (COPA))が再度成立するが直ちに憲法違反の異議申し立てを受ける。以後、法廷で10年余り係争することになる。
2000年 児童インターネット保護法(The Children’s Internet Protection Act (CIPA))が成立する。
2002年 CPPAに違憲判決が下る。
2002年 CIPAに対し憲法違反であるとしてペンシルバニア州地方裁判所で提訴され、一旦違憲判決が下される。
2003年 CIPAは、最終的に最高裁において、合憲と判決される。
2009年 最終的にCOPAは、最高裁で違憲の判決を受け、廃案になる。