第2部 調査の結果

第2章 イギリス

3 青少年のインターネット利用環境に関する制度、法及び政策とその背景

(2)オンライン・ブロッキングに関するコンサルテーション180

ア コンサルテーションに至るまでのUKCCISと業界の取組181

イギリスの4大ISP(BT、TalkTalk、Virgin media、Sky)は、2011年10月に初めて、全新規客に対し有害なコンテンツを阻止する管理とフィルターを適用するかどうかの選択肢を必ず無料で提供することを含む倫理綱領182に合意した183。この倫理綱領によれば、フィルタリングをおこなうかどうか、またどのようなコンテンツやアプリケーションをブロックすべきかの判断は親が行うのが最も相応しく、ISPが判断すべきものではないとし、ISPはペアレンタルコントロールが必ず無料で提供されるよう取り計らい、親にペアレンタルコントロールの利用可能性について周知を図り、新技術や新しいペアレンタルコントロールのソリューションを継続的に評価・活用し、毎年進捗状況を発表することを約束するとしている。
フィルターの必須選択および無料提供は現在新規客のみが対象で市場のほんの一部に適用されているだけの状態だが、国として、どのようなフィルタリングをどのレベルで導入していくべきか、また法制化するかどうかで議論が沸騰している。
一方、ISPの一つ、トークトーク(TalkTalk)はすでに無料のホームセーフ(HomeSafe)サービスを提供している184。これはネットワークレベルでの無料のフィルタリングで、3つの構成要素から成り立っている。

<1>子どもの安全(Kid Safe):コンテンツの分類を指定して、子どもが目にするウェブサイトを制限するというもの

<2>ウィルス警告(Virus Alerts):ウィルスがネットワーク経由で入ってくる前に防止し、ウィルス感染の疑いがあるサイトについて警告を行うというもの

<3>宿題時間(Homework Time):SNSやゲームサイトへのアクセスを指定時間に制限し、子どもが宿題に集中できるようにするもの

UKCCISは大手のノート型パソコンやハードウェアメーカーと協力して、機器購入後始めて機器を立ち上げたときに、上記の選択肢が表示されるように活動中であるが、公共のWiFiプロバイダーに対しても、公共の場所(例えばロンドン地下鉄、マクドナルド内など)では成人向けコンテンツに繋がらないように指導している。
大手小売店(テスコスーパー、ジョンルイス百貨店、ディクソン電気店、PCワールド電気店など)でも、商品購入時に店員が必ずすべての顧客に、ペアレンタルコントロールをONにするかどうか確認するという制度を試験的に導入している。

イ 現状

イギリスにはレイティングやゾーニングなど、青少年のインターネット利用を制限する法律はない。基本的には業界の自主規制で情報の改善を図り、それで不十分な場合には法規制を採用するという方針を政府は示している。

ウ コンサルテーションと政府が示した3つのオプション185

オンライン・ブロッキングへの取組は、UKCCISが業界の音頭を取って進めている動きであるが、政府は2012年6月29日に、オンライン・ブロッキングに関するコンサルテーションを開始した。子どもを持つ親や企業に対して、成人向けのウェブサイトや有害なウェブサイトから子どもを守るための、自動オンラインブロックについての意見を広く求めた。
コンサルテーションペーパーには、以下の3つの選択肢が提示されていた。

表2-3-1:選択肢の種類
選択肢種類 選択肢の内容
選択肢1 ・「デフォルトON」あるいは「オプトアウト」と呼ばれるもので、ISPやネット接続機器が、ネットワークレベルで有害コンテンツを自動的に遮断するという選択肢。
・遮断されたコンテンツにアクセスしたい場合は、後で遮断を取り除くという作業が必要となる。
選択肢2 ・家庭でのインターネットサービス契約時やインターネット接続機器の購入時に必ずフィルター遮断ソフトウェアを機器にインストールするかどうかの必須選択を設けるもので、「アクティブチョイス」と呼ばれる。
・オンライン、電話、店頭を問わず機器やサービスの購入時、あるいは最初にデバイスを立ち上げたときやインターネット接続契約時に必ず選択を迫られる。
選択肢3 ・「選択肢2」システムの複合オプション。ブロック解除をしなければ自動的にブロックされるオンラインコンテンツの一覧を顧客に提示するというもの。「アクティブチョイス」プラスと呼ばれる。

(出典:教育省「成人向けサイトはブロックされるべきか親に意見を求める」より186

エ コンサルテーションの結果をうけた政府政策発表187188

同コンサルテーションの結果を受け、2012 年12 月19 日に、英首相は「アクティブチョイス」のオンライン・ブロッキングで今後推進していくことを発表した。そ れまでは、ネットワークレベルでフィルタリングを行い年齢認証を経た後に初めて成人コンテンツにアクセスできるようにする、「デフォルトON」の導入が有力視されていたが、そのような厳しい取り締まりへの需要が思ったほど高くなかったことから、子どもがインターネット上でポルノを目にしないよう、子どもを持つ家庭では機器購入時にフィルターの必須選択が必要となる政策が選ばれた。
保守党のクレア・ペリー(Claire Perry)国会議員がこの件の担当に任命され、今後新しい制度の導入を責任を持って推進していく189190

オ「アクティブチョイス」の具体的な流れ

選択されたオプション2の「アクティブチョイス」では具体的に以下の流れとなる。新しいコンピュータの電源を入れると、まずその家庭に子どもがいるかの質問が表示される。
「子どもがいるか」の質問に対する答えが「イエス」の場合は自動的にインターネット・フィルターのページが表示され、好みに応じてフィルターを設定する。このフィルター設定画面には、特定のコンテンツを遮断するか、特定の時間にアクセスを制限するかなどの項目が含まれており、これにしたがって簡単に設定を済ませれば、ポルノや有害サイトへのフィルターは自動的にオンとなる。 子どもがこのフィルター設定を勝手にいじらないように、フィルターアクセスへの年齢認証の仕方に工夫が必要である。今後クレジットカードの詳細や投票者リスト情報の活用などを検討していくとのことである。