第2章 イギリス

3 青少年のインターネット利用環境に関する制度、法及び政策とその背景

(4)公的機関の取組内容

ア Ofcomの活動216217

情報通信の規制庁であるOfcomはテレビ放送や通信関係に関しては法的執行力を持つが、インターネットのコンテンツに関しては管理範囲外とされている。よってウェブサイト運営者に対するガイドラインもOfcomからは発表されていない。政府としては、IWFが十分にその役割を果たしているのでそれで十分であり、基本的に業界の自主規制に任せるという立場を維持している。
Ofcomはインターネットに関する利用者調査を毎年実施しており、UKCCISのメンバーとして高い関心を示してはいるが、インターネット業界を指導、規制する立場にはなく、利用者に対する安全教育実施を主眼とした活動に終始している。
Ofcomの定めるOfcom放送規約(Ofcom Broadcasting Code)218は法的執行力を持つ。この規約は放送者がいつどのように異なるコンテンツを放送するかのルールを定めたもので、BBFC(あるいはそれに相当する年齢レイティング)の基準が基本となっている。しかしながら、インターネットはこの規制の対象外である。
以下にOfcomによる取組として、

(ア)消費者向け啓蒙記事
(イ)「スマート」ルールの周知

について述べる。

(ア)消費者向け啓蒙記事219

インターネット関係の情報を求めてOfcomに連絡をとる人が多いことから、消費者向け啓蒙記事「デジタル世界で子どもを安全に守るには(Protecting your children in a digital world)」が用意されている。ここでは安全に子どもがインターネットを使うための基本的な注意点が述べられているが、基本的には他の有益なウェブサイトを紹介し、そちらで詳細情報を獲得するよう推奨している。

(イ)「スマート」ルールの周知220

Ofcomは子ども向けに、オンライン上での安全ポイントに関する周知活動を行っている。注意事項の頭文字をとって「SMART(スマート)」と名づけられたルールの注意事項およびその内容を以下のとおりまとめた。

表2-3-3:注意事項の種類
注意事項 内容
S:Safe(安全) チャットあるいは投稿では自分の個人情報、例えば電子メールアドレス、電話番号、パスワード等を他人に教えたり、提示したりしないこと
M:Meeting(出会い) インターネット上でしか知らない人と実際に会うのは危険であること
A:Accepting(受取り) 自分の知らない人や信頼しない人から送られてきた電子メールやメッセージ、ファイルには、ウィルスや不快なメッセージが含まれている危険があるため、受取りには十分注意すること
R:Reliable(信頼) インターネット上では、自分自身を偽っていたりすることもあり、信頼できない情報のことがある。常に他のサイトや本で調べたり誰かに聞いたりしてその信憑性を確認すること。インターネット上のチャットは、現実に
知っている人とのみ行うのが好ましい
T:Tell(伝える) 誰か、あるいは何かで不快に感じたり心配になったりした場合、あるいはネット上で誰かがいじめを受けていることに気づいたら、保護者や親、信頼できる大人に伝えること

(出典:Ofcomスマートルールより)

図2-3-3:注意事項のロゴ

注意事項のロゴ

(出典:Ofcomスマートルールより)

イ CEOPの活動221222

(ア)組織概要

児童搾取対策オンライン保護センター(Child Exploitation and Online Protection Centre、以下 CEOPという)223は性的児童虐待の撲滅を目的として2006年に設立された警察組織である。UKCCISの主要メンバーであり、国内外の警察と協力し、設立以降すでに500万人に教育プログラムの提供、700件もの児童虐待事件究明に関与、166件もの違法性犯罪ネットワークの撲滅に寄与した。

(イ)情報提供、教育実施活動

青少年を巻き込んだ主要プログラム「シンクUKナウ(Thinkuknow、以下Thinkuknowという)」は2006年の CEOP創設時からスタートしており、読み手の属性に合わせた情報提供を行っている。例えば、5歳から7歳向けのページでは、簡易な文章で、小学校低学年生が関心をもち、理解できる内容で訴求を図っている一方、11歳から16歳向けのページでは、10代の若者が直面しがちな問題について詳しい説明を行っている。また、3,500人の専門家を養成し、これらの専門家がさらに各分野で活動することでユーザー数7万人のネットワークを構築している。Thinkuknowのウェブサイト224には、インターネット安全のための対象年齢別の各種教材が無料で提供されている上、CEOP主催のトレーニングへの登録もここからできる。

図2-3-4:CEOPのインターネット安全周知活動

CEOPのインターネット安全周知活動

(出典:Thinkuknowのホームページ)

(ウ)CEOP報告ボタン

不適切と思われるコンテンツについて報告する手段として最も普及しているのは、CEOPの報告ボタンである。
この報告ボタンはさまざまなウェブサイト上に設けられ、子どもが何か不快なものに遭遇したときにボタン一つで専門家に繋がる。このボタンはすでにビボ(Bebo)とインターネットメッセンジャー(Windows Instant Messenger)に組み込まれている。2011年にCEOPに上げられた5400件の報告のうち半数はこのボタンを利用した一般市民からのものであった。チャリティ団体であるNSPCCは児童保護アドバイザーを提供し、同一センター内で年中無休でこのホットラインの対応に当たっている。CEOPは警察組織の一部であるため、報告があればそれに直ちに対応する能力を持つ。

図2-3-5:CEOPの報告 ボタン

CEOPの報告 ボタン

(出典:CEOPサイト)