第2章 イギリス

4 青少年のインターネット利用環境に関する民間機関の取組や現時点における青少年のインターネット利用環境に関する民間団体の取組の内容

(3)ウェブサイト運営者に対するガイドライン策定248

UKCCISが自主規制プロジェクトの中で、以下「ア」から「エ」に述べる4つのガイドラインをまとめた。また、ISP協会は、以下「オ」に述べる自主的行動規範をまとめた。

ア チャット、インスタントメッセージ、インターネット接続コンテンツ&ホスティングのためのガイドライン249(改訂版2010年発行)

インターネット業界は多様性に富み、大小さまざまなプロバイダーが混在していることから、このガイドライン-最善実施例では、詳細を1つ1つ規定するのではなく、各組織に適したものを適宜適用するよう奨励するというアプローチが採用されている。当ガイドラインでは以下の内容を目指している。

・サービスプロバイダーに最善実施例の枠組みを示し、ユーザーにより良いより安全なサービスが提供できるようにすること

・子どもやその他のユーザーが、より確かな情報に基づいた決定ができるようにすること

・情報を明確で分かりやすいものとすること

・提供されているサービスに一般市民が信頼を置けるようにすること

上記のガイドラインには、法的強制力はない。

イ 検索サービスプロバイダーのためのガイドライン250(改訂版2010年発行)

検索サービスプロバイダーのためのガイドラインの初版は、IWFや警察、関係各者を集めた内務省児童保護作業部会によって2005年に発行された。2010年の当改訂版は、それをもとに、時代に沿った内容となるようにUKCISSが適宜内容に手を加えたものとなっている。このガイドライン改訂にあたっては、ヤフー、オレンジ、ボーダフォン、グーグル、AOL、マイクロソフトなども関与した。

(ア)子ども用にゾーニングされた検索結果

検索サービスプロバイダーのためのガイドラインでは、子どもにとって安全なように特にゾーニングされた検索サービスについて言及している。子どもにとって安全な検索結果が表示されるように、マニュアルでサイトを選択していくこのようなサービスは、提供にかなりの労力を必要とする一方、商業的収益が得られにくいことから、イギリスではあまり普及していない。低年齢の子どもには、例えばCBBC251が提供する安全な検索結果は好評である一方、宿題に検索を利用するような高年齢の子どもには、検索結果がかなり制約されることから不評である。

(イ)推奨事項

当ガイドラインには、以下の項目に関する推奨事項が列記されている。

・ユーザーへのアドバイス

・安全な検索

・違法なコンテンツとその通報

・子ども用にデザインされた検索サービス

・その他の最善実施例

ウ SNSおよびユーザーインタラクティブサービスのプロバイダーのためのガイドライン252(改訂版2010年発行)

インターネット業界は多様性に富み、大小さまざまなプロバイダーが混在していることから、このガイドライン-最善実施例では、詳細を1つ1つ規定するのではなく、自組織に適したものを適宜適用するよう奨励するというアプローチが採用されている。同ガイドラインでは、

・潜在的なリスクや安全上の問題を浮き彫りにすること

・業界その他に安全上のアドバイスを提供し、青少年、保護者に安全上のヒントを提供すること

を目指しているが、法的強制力はない。
多くのSNSおよびインタラクティブサイトは、アメリカ合衆国、イギリスおよびオーストラリアのユーザーに、国を問わず利用されている。サービスプロバイダーの多くがユーザーの最低年齢を13歳と規定しているが、これはアメリカの法律(Children’s Online Privacy Protection Act 1998など)で子どもから個人情報を収集するには子どもが13歳以上であるべきと規定されており、アメリカに本社を置く組織が多いという理由によるものである。イギリスやオーストラリアにユーザーを13歳以上と規定する法律はない。
年齢認証と本人確認については、年齢を13歳未満と申告した者のアクセスを却下する数々のシステムを、サービスプロバイダーは導入しており、また自分の年齢について虚偽の申請をする子どもについても対策を講じている。成人専用サービスについては、例えばクレジットカードで確認したりする年齢検証方法がある。

エ 青少年のインタラクティブサービスの管理のためのガイドライン253

ここでいうインタラクティブサービスには、フォーラムやメッセージボード、ブログ、SNS、MMOG254やMMO255などのゲーム、バーチャルワールド、テレビのチャット、動画共有サイトなどが含まれる。
最初のガイドラインは、特にチャットルームが子どもに呈するリスクに関して大きく問題になったことを受けて2005年にまとめられたが、UKCCISが立ち上がったことをきっかけに、技術的進展、法改正などを盛り込む形で改訂版にまとめられた。
インタラクティブサービスは、子どものコミュニケーションスキルを向上させ、またさまざまなことを学ぶ素晴らしい機会を提供する一方で、誤用されることも多く、子どもへの潜在的リスク度が極めて高い。このガイドラインでは、サービスを利用する子どもの安全性を高めることを目的に、「リスクアセスメント」枠組みの最善実施例を提供している。
管理人の採用と選考から、管理人の訓練、教育ポイント、また管理人の管理監督、責任まで、幅広く最善実施例が示されている。例えば悪質なコンテンツを取り下げ、サイトを誤用したユーザーの今後の利用を禁止する枠組み設定などの必要性を説き、難しい状況に対処するためには、管理人の教育が欠かせないとしている。また子供にとってリスクとなりうるものを、各カテゴリー別に列記し、それへの注意を喚起している。

オ ISP協会の自主的行動規範256

ISP協会(Internet Service Providers’ Association、以下 ISPAという)257は200社以上の会員を有する、イギリスのISPを代表する業界団体である。業界を代表して、内務省、ビジネス革新技能省、通信規制局等政府各機関との交渉を担当する。ISPAの4つのサブグループのうち一つは、インターネット安全に関するグループで、IWF やCEOPと緊密な協力関係を持つ。
ISPAの会員企業はISPA 行動規範(ISPA Code of Practice)258に準拠することが求められる。この行動規範は定期的に更新され、最新版は2007版である。この行動規範内で、会員には以下が求められている。

・児童虐待画像や暴力、残虐行為、人種差別を助長するコンテンツをサービスや販促物に含めないこと

・イギリスの法律に違反するコンテンツをサービスや販促物に用いないこと

また、当行動規範にはIWFに関する記述も多く、以下のような内容が明記されている。

・ISPAの会員が自動的に IWFの会員になるわけではないが、IWFへの加盟を強く推奨されること

・IWFからの通知を受け取る窓口をISPAに提供すること

・IWFから違法性のある児童虐待コンテンツについて通知があった場合、会員は速やかに特定されたウェブページ若しくは記事を除去すること。技術的にそれが適わない場合はできるだけ早くその理由をIWFに伝えること

・IWFの通知や提言に十分に配慮すること

図2-4-4:ISPA

ISPA

(出典:ISPAホームページ)