第2部 調査の結果
第4章 カナダ
1 青少年のインターネット利用環境に関する実態
(1)インターネット利用状況
ア インターネット普及率
世界銀行の統計によれば、カナダにおけるインターネット普及率は、世界でも有数の高さであり、アメリカ合衆国の人口に対する普及率(78.24%)を上回る82.68%(2011年時点、世界銀行392調べ)である(以下の図、図4-1-1、表4-1-1参照)。
図4-1-1:カナダとアメリカの全世界平均に対するインターネット普及率(%)
(出典:世界銀行データベース)
全世界 | カナダ | 米国 | |
---|---|---|---|
1995年 | 0.8 | 4.2 | 9.2 |
1996年 | 1.3 | 6.7 | 16.4 |
1997年 | 2.1 | 15.0 | 21.6 |
1998年 | 3.2 | 24.8 | 30.1 |
1999年 | 4.7 | 36.0 | 35.9 |
2000年 | 6.8 | 51.1 | 43.1 |
2001年 | 8.1 | 60.0 | 49.2 |
2002年 | 10.6 | 61.4 | 59.0 |
2003年 | 12.3 | 64.1 | 61.9 |
2004年 | 14.1 | 65.9 | 65.0 |
2005年 | 15.8 | 71.6 | 68.3 |
2006年 | 17.5 | 72.5 | 69.2 |
2007年 | 20.6 | 73.3 | 75.3 |
2008年 | 23.2 | 76.7 | 74.2 |
2009年 | 25.7 | 80.2 | 71.2 |
2010年 | 29.5 | 80.0 | 74.2 |
2011年 | 32.8 | 82.7 | 78.2 |
(出典:世界銀行データベース)
イ 属性別インターネット利用率
インターネット・従来型メディア・新規テクノロジーに関するカナダ人の嗜好動向調査機関カナディアン・インターネット・プロジェクト(Canadian Internet Project393:以下CIPという)の調査によれば、カナダ全土の学生の95%、就業者の87%、退職者の47%がインターネットを日常的に利用している。継続的に利用している394。
ウ 年齢層別インターネット利用率
年齢層とインターネット利用率の間には密接な関係があり、「より若い年代でインターネット普及率が高く、12歳~17歳の年齢層のうち96%がインターネットを利用している(2007年時点)」としている。
エ 保護者と子どもの間でのインターネット利用率の違い
成人395保護者(つまり最年少でも18歳という意味であり、アンケートの回答者に未成年の保護者が含まれていないということを示す)の22%がインターネットを利用していない396が、一方、それらの世帯に属する12歳~17歳の青少年の87%がインターネットを利用しており、子どものインターネット利用率が保護者の利用率を上回っている状況である。
また、11歳以下の年齢層では、21%がインターネットを利用している。
オ インターネットを長時間利用する年齢層
12歳~29歳の年齢層がインターネットを最も長時間利用している。
カ 青少年のインターネットアクセス方法
12歳~29歳の年齢層のインターネットへのアクセス方法は、従来のデスクトップ型コンピュータからの接続から、携帯端末およびワイヤレスに急速に移行している397。
12歳以上の青少年の間で携帯端末及びワイヤレスでのアクセスが主流になっている傾向は、保護者の監督の行き届かないところで、青少年がさまざまなコンテンツにアクセスする可能性を示唆しており、注目される。
キ 利用目的
青少年(12~17歳)のインターネット利用目的は、その40パーセントが情報収集目的で、60%が娯楽目的である。娯楽目的が情報収集目的を上回っている点に注意されたい。
図4-1-2:使用言語(カナダの公用語である英語と仏語)と年齢区分ごとの
インターネット利用率(2007年)
(出典:CIPサイト)
ク 情報通信機器の使用選択
図4-1-3:カナダ国民の世帯における成人と青少年の情報通信技術機器の分布、2007年
(出典:CIP)
いずれの機器においても12歳~17歳までの使用者が多いことが分かる(出典:CIP398)
上記の図3からも分かるように、情報通信機器のうち携帯電話の所有率が一番高い。12~17歳の携帯電話の所持率は成人の所有率とほぼ同様であることがこの統計から分かる。12~17歳はカナダのハイスクール(日本の中学校と高校に相当)に相当するが、この年代の青少年にとっての携帯電話は必需品であり、友人とのネットワークを維持する上で欠かせないものとなっている 399。また、カナダ人世帯の最低でも3分の1がゲーム機を所有している。ビデオゲームコンソールの所有率は(41%)、ポータブル(持ち歩き可能な)のゲーム機の所有率(30%)よりも高い。このことは、CIPによると、カナダの青少年は、ゲームについては自宅のゲームコンソールを用いて行う傾向の方がまだ高い、つまりポータブルへの移行率が他の機器(電話や音楽機器(MP3)など)よりも低いことを示している。こういったことを踏まえてみると、「青少年間での携帯電話の普及率には目覚しいものがある。」(CIP)とのことである。BlackberryやPalmPilotといった携帯情報端末(Personal Digital Assistant、PDA)の所有率がこれらの情報通信機器の中で最も所有率が低く、カナダの調査対象者中、所有率はほんの13%であった(2007年の調査時)。PDAの所有率は成人と青少年の間でほぼ同等である。