第4章 韓国
1 青少年のインターネット利用環境に関する実態
(3)青少年のインターネット利用数・利用率
ア 携帯電話によるインターネット利用数・利用率に関する統計
「平成23年度報告書」以降、韓国における「青少年の携帯電話の利用率」や「青少年及び20代の携帯電話用途」に関して新たに実施された統計調査は見当たらない。
(ア)スマートフォンの普及とその影響
韓国インターネット振興院が全国3万世帯・7万3,063人を対象に調査した『2012年インターネット利用実態調査要約報告書』によって、インターネット利用者の58.3%がスマートフォンなどの無線端末機で場所を問わずインターネットを利用していることが明らかになった 528。
同時に、満6歳以上の人口の63.7%(前年比32.4%ポイント増)がスマートフォン及びスマートパッド(タブレット)を所有していることも明らかになった(図123参照)。
図123 韓国におけるスマート機器所有率(2011年・2012年)
出典:放送通信委員会・韓国インターネット振興院の報告書 529をもとに作成。
以上のようなスマートフォン使用率の激増は、10代の青少年においても著しくみられる。
2012年11月13日から12月10日にかけてソウル特別市江北・西北地域にある初等学校43校、中学校31校、高等学校20校、大学校20校から調査対象学級を選定し、計20校の1,447人を対象に実施したインタビュー調査によると、児童・生徒・学生のスマートフォン平均使用時間は平日5.1時間、週末5.9時間であることが明らかになった。校種別の平均使用時間現況は、図124のとおりである。
図124 韓国の青少年のスマートフォン平均使用時間(2012年)
出典:韓国青少年政策研究院の報告書 530をもとに作成。
また、ジランジギョソフト社が、自社のモニタリングソフトウェアである「エクスキーパー」(後述)を利用する青少年1万1,074人を対象に実施したアンケート調査によると、2013年3月~5月の1日平均スマート機器使用時間は2時間35分、6月~8月のスマート機器使用時間は2時間57分であり、前分期と比べて22分増加した。また、遮断された有害物の合計は14万4,449件であり、前分期と比べてそれぞれ42.6%、47.3%ずつ増加している 531。
さらに、韓国インターネット振興院が満12~59歳のスマートフォン利用者4,000人を対象に調査して発表した『2012年下半期スマートフォン利用実態調査』報告書によると、被調査者の78.4%が「1日に数回」スマートフォンによってインターネットに接続し、一日平均インターネット利用時間は1.7時間であることが明らかになった。具体的な統計は、図125・図126のとおりである。
図125 韓国のスマートフォン利用者のスマートフォンによるインターネット利用頻度(2012年)
出典:放送通信委員会・韓国インターネット振興院の報告書 532をもとに作成。
図126 韓国のスマートフォン利用者のスマートフォンによる一日平均インターネット利用時間(2012年)
出典:放送通信委員会・韓国インターネット振興院の報告書 533をもとに作成。
(イ)メッセンジャーアプリケーションの普及
近年、韓国においてスマートフォン向けのメッセンジャーアプリケーションとして最も人気があるカカオトークについて、韓国青少年政策研究院が2012年6月の1か月間にわたり、全国の高校生2,573人及び大学生2,302人の計4.875人を対象に「青少年のソーシャルメディア利用実態調査」を実施した。同調査によると、カカオトーク利用時間が一日平均2時間以上であると答えた青少年は全体の56.9%に達し、高校生では48%であった(図127参照)。
図127 韓国の高校生及び大学生のカカオトーク一日平均利用時間(2012年)
出典:韓国青少年政策研究所のブリーフィング 534をもとに作成。
2011年に韓国言論振興財団が調査した「言論受容者意識調査」によると、18~29歳のスマートフォン使用用途におけるチャット・メッセンジャー関連の比率は53.5%で、第1位を占めている。また、学齢が上がるほどチャット・メッセンジャーの使用が高くなっている(図128参照)。
図128 韓国の青少年のスマートフォン使用用途に占めるチャット・メッセンジャーの割合(2011年)
出典:韓国青少年政策研究所の報告書 535をもとに作成。
イ PCによるインターネット利用数・利用率に関する統計
ジランジギョソフト社が、「エクスキーパー」を利用する青少年1万1,074人を対象にアンケートを行った結果、2013年3~5月の一日平均PC使用時間は2時間58分、6~8月のPC使用時間は3時間9分であり、前分期と比べて11分増加していた 536。
ウ ブログ
「平成23年度報告書」以降、「青少年のブログ利用率」に関して新たに行われた統計調査は見当たらない。
なお、ミニホームページやブログを使用した経験のある中学生20人にインタビューして執筆された2008年の論文によると、ミニホームページは学校の友人との日常的な関係の維持に使用されるために、その利用は青少年期に圧倒的に多い一方、ブログは多様な関心事について関連資料や情報を共有することを中心とするプラットフォームであり、ミニホームページに比べて相対的に利用率が低かった 537。
エ ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)
2011年に女性家族部が、初等学校4学年~高等学校3学年の6,514人を対象に実施した調査によると、学生のスマートフォン普及率は全体の36.2%に達し、調査対象の60%がTwitterやFacebookなどのSNSアカウントを持っていた 538。
また、韓国インターネット振興院の『2012年インターネット利用実態調査要約報告書』によると、SNS利用者の58.2%が週1回以上個人的な用途でSNSを利用しており、SNS利用者の62.0%(前年度比30.5%ポイント増)がスマートフォンでSNSを利用していることが明らかになった 539。
オ ゲーム
2010年に初・中・高等学生6,514人(初等学生34.6%、中学生31.4%、高等学生34%)を対象に実施したアンケート調査によると、平日には全体の56.1%、週末には全体の72.9%がコンピューター又はスマートフォンでゲームをしていることが明らかになった(図129参照)。
図129 韓国の青少年のコンピューター又はスマートフォンによるゲーム実施率(2010年)
出典:女性家族部の報告書 540をもとに作成。
また、2011年に韓国言論振興財団が調査した「言論受容者意識調査」によると、18~29歳のスマートフォン使用用途におけるゲーム関連の比率は18.9%と用途別全順位の第2位を占めていた。具体的な初・中・高等学生別のゲーム利用比率は図130のとおりであり、学齢が下がるほどゲーム使用が増えていることがわかる。
図130 韓国の青少年のスマートフォン使用用途に占めるゲームの割合(2011年)
出典:韓国青少年政策研究院の報告書 541をもとに作成。
カ インターネットショッピング
韓国インターネット振興院の『2012年インターネット利用実態調査要約報告書』によると、10代のインターネット利用者の7割がインターネットショッピングを利用した経験がある(図131参照)。特に注目すべきは、インターネットショッピング利用機器としてスマートフォンを利用するという回答が、2011年の14.6%から2012年には23.8%に大幅に上昇したことである。
図131 韓国のインターネット利用者のインターネットショッピングにおけるスマートフォン利用率(2012年)
出典:放送通信委員会・韓国インターネット振興院の報告書 542をもとに作成。