第4章 韓国

3 青少年のインターネット利用環境に関する制度、法及び政策とその背景

(4)学校で行われている青少年の携帯電話・スマートフォンの所持・利用制限

「初中等教育法施行令」第9条7項は、「学生の褒賞、懲戒、懲戒以外の指導方法、頭髪・服装等の容貌、教育目的上必要な所持品検査、携帯電話等電子機器の使用及び学校内の教育・研究活動の保護と秩序維持に関する事項等学生の学校生活に関する事項」を学校規則に明記するよう規定している。すなわち、同施行令は各学校において携帯電話の使用に関する規則を定めることを義務付けている。

2013年6月には、セヌリ党のクォン・ウンヒ(권은희)議員が、同条項を上位法令である「初中等教育法」にも明示することを試み、使用制限についての内容を法条文化する改正案を発議したが、国会を通過しなかった 583

現在、初・中等教育の現場ではスマートフォンを使用しようとする生徒とそれを禁止する教師との神経戦が展開されている。学校によっては、授業前に教員に預けさせることも行われている。

このような現場の悩みを解決する手段として、教師が生徒のスマートフォン及び関連機器の使用を遠隔制限できるアプリケーション「アイスマートキーパー(iSmart Keeper)」が開発された。2013年6月12日にソウル市教育庁は、市内の初・中・高等学校11校を選定して、2014年2月まで同アプリケーションをモデル運用することを発表した。

同アプリケーションを使用するには、まず生徒全員がスマートフォンにこのアプリケーションをインストールする必要がある。そのうえで、教員がアイスマートキーパーのウェブサイトで会員登録を行い、教員自身もアプリケーションをインストールして承認されたIDでログインすれば、生徒のスマートフォン使用を管理することができる。教師は「すべて禁止」「非常電話のみ許可」「通話のみ許可」「通話・メールを許可」「特定アプリケーションを許可」「すべて許可」の6種類の方針の中から設定することができる。放課後や休日には、親がこのアプリケーションを通じてスマートフォンの使用を管理することができる。また、生徒の自己管理を促すために、スマートフォンをオンにした回数や利用時間を分析し、「スマートフォン健康指数」として提示する機能もある。

同アプリケーションについて、教員は不必要な負担や摩擦を避けることができると好意的だが、生徒は過干渉であるとして否定的である。最近では、アイスマートキーパーを無効化する方法及びアプリケーションがインターネット上に拡散されている。ただし、その方法とは、スマートフォン管理者のアカウント情報を取得するルーティングやプログラム経路を把握してプログラムを削除したり、インストールを妨害したりする程度であり、管理情報を変更できるレベルには至っていない 584


(5)ネットいじめに対する取組

関係法令を見てみると、ある人物を誹謗するために、多くの人が見ることができるインターネットに事実である内容を記載してその人の名誉を棄損した者は、3年以下の懲役や禁固又は2,000万ウォン以下の罰金に処せられる(「情報通信網利用促進及び情報保護等に関する法律」第70条第1項)。同様に、虚偽の内容を記載した者は7年以下の懲役、10年以下の資格停止又は5,000万ウォン以下の罰金に処せられる(同法同条第2項)。

メッセンジャーアプリケーションの「カカオトーク」を提供・運営するカカオ社は、プライバシー侵害・名誉毀損・著作権侵害に該当するような掲示によって被害が生じた場合には、被害者の届出にもとづき掲示の削除を行っている。該当掲示物がサービスされているアプリケーションで権利侵害届を完了させた後には、必要な証憑書類を作成してカカオ顧客センターに提出しなければならない。以下、その手続き、留意事項及び証憑書類について記述する 585

手続き

届出者:届出 → 届出受付(該当サービスアプリケーションで届出) → 証憑書類提出 → 届出要件及び内容の確認 → 掲示の閲覧中断及び処理結果の通知

掲示者:掲示中断通知 → 釈明要請(釈明要請は30日以内) → 権利釈明 →掲載再開 → 処理結果通知(権利釈明を行わない場合には永久に掲示中断)

留意事項

  • 掲示中断の際には、該当掲示物の掲示者に対して、掲示中断要請者名と要請事由(著作権侵害・名誉毀損ほか)が通知される。
  • 著作権侵害による掲示中断について、再掲示を要請することができるのは著作権者及び正当な権利者であることを証憑することができる場合のみである。その場合には、「著作権法」第103条第3項 及び 同法施行令第47条の規定にもとづいて、カカオ社が再掲示予定日(再掲示要請受付7日後)を掲示中断要請者に通知した後で、再掲示予定日に掲示物が復元される。
  • 名誉毀損による掲示中断の場合には、再掲示は再掲示要請資料及び釈明内容等の形式の要件を検討した後に進められ、掲示中断要請者に再掲示の事実が通知される。
  • 再掲示された掲示物については、再び掲示中断を要請することはできず、以後の手続きは当事者間の協議又は関係行政機関の審議判断や法院の判決によって解決されなければならない。

証憑書類

【名誉毀損及び個人情報侵害に関する届出の場合】

<1>権利侵害届出要請書、<2>権利侵害事実を明らかにできる資料、<3>本人確認書類1部、<4>身分証の写し(個人の場合)/事業者登録証の写し及び委任状(団体の場合)

【著作権侵害に関する届出の場合】

<1>複製中断要請書、<2>自分がその著作物の権利者であることが表示された著作権等の登録証の写し 又は それに相当する資料、<3>自分の筆名又は別名などで広く知られていることが表示されている著作物の写本又はそれに相当する資料

また、スマートフォン利用によるいじめの問題を「青少年オンラインゲームシャットダウン制」のようなスマートフォン使用制限と同様の方法で解決するのは困難であり、スマートフォン自体を問題視するのではなく、家族や同年齢集団の間でより良いコミュニケーションをとるための努力が求められるという指摘がある 586


(6)児童買春等の青少年を性的行為に誘引する行為に対する取組

2012年9月16日に施行された「青少年保護法」第33条は、青少年保護総合対策の法的根拠を整備しており、青少年保護総合対策を確立・施行し、毎年点検会議を運営することによって履行事項の総括管理を規定している。これにより青少年保護対策の確立に関する基礎研究が実施されるとともにワークショップが開催され、関係部署及び地方自治団体の意見が集約された結果として、以下のような推進成果が得られたとしている 587

「大法院委員会は13歳未満を対象とする性暴力犯罪の勧告刑量を高めた。また、2013年6月19日に「児童・青少年の性保護に関する法律」が制定・施行されたが、同法第20条3項は13歳未満の女児及び障害者女性を対象とする(準)強姦罪の公訴時効を廃止し、発生時期と関係なく加害者を処罰できることを定めている。さらに、同法は性犯罪者の児童・青少年関連教育機関への就業を10年間制限することとし(第56条)、性犯罪者の身上情報をインターネットに公開して法院の決定により犯罪者の居住地住民に郵便で告知することとした(第49条~55条)。また、同法第7条及び2014年1月7日施行の「特定犯罪者に対する保護観察及び電子装置付着等に関する法律」第21条の2は、13歳未満の児童を対象とした性犯罪者には電子装置を装着する期間を加重して、監視することとした。そして、2013年6月19日に「性暴力犯罪者の性衝動薬物治療に関する法律」が制定・施行され、青少年を対象とした性犯罪者に対する性衝動薬物治療制度を導入して、性犯罪者の再犯発生を防止した。」


(7)児童ポルノに対する政策、規制及び取組

現行法律によると、利益のために青少年に青少年有害媒体物を流布又は販売したり、観覧利用するよう提供したりした者は3年以下の懲役又は2,000万ウォン以下の罰金に処せられる(「青少年保護法」第58条第1号)。

わいせつな音声や映像が出るわいせつ物を流布したり販売したりした者は、1年以下の懲役又は1,000万ウォン以下の罰金に処せられる(「情報通信網利用促進及び情報保護等に関する法律」第74条第1項第2号)。

利益のために他の者の身体を撮影したわいせつ物をインターネットに流布した者は7年以下の懲役又は3,000万ウォン以下の罰金に処せされる(「性暴力犯罪の処罰等に関する特例法」第13条第2項)。

2013年6月21日に韓国政府は「性暴力防止総合対策」を発表し、スマートフォン等を介した新種の青少年有害媒体物に対する監視体系を強化した。青少年有害媒体物モニタリングの範囲をPC利用によるインターネットからスマートフォンにまで拡大し、2014年までに情報会社のシステムを構築して青少年有害媒体物のモニタリングと指定・告示、事後措置等を体系的に管理・運営する方針を立てた。

オンラインわいせつ物に対する事業者の管理責任を強化し、青少年がスマートフォンを契約する際に移動通信事業者がわいせつ物遮断プログラムをスマートフォンにインストールすることを義務付ける法律の制定を推進する方針であり、ウェブハード(オンラインストレージサービスの一種)事業者にわいせつ物遮断システムの24時間常時適用等の積極的措置義務を課し、違反の際には行政制裁を行う計画である。

上記の計画のために、2013年8月13日に「電気通信事業法」が改正された 588


(8)リベンジ・ポルノに対する政策、規制及び取組

最近、韓国で活動している在米韓国人3世の歌手エイリー(Ailee)が「リベンジ・ポルノ(韓国語では복수의 포르노)」の被害に遭ったことで、同問題に対する関心が集まっている 589

これまでにあった類似の事件としては、1998年の「O嬢ビデオ」、2001年の「B嬢ビデオ」など、有名芸能人のセックス・ビデオが流出した事件がある。

有名歌手であったB嬢の前マネージャーであったキム氏は、2000年にB嬢との性関係の場面を写した、いわゆる「B嬢ビデオ」を流布して社会的な問題を引き起こした後に、アメリカに逃亡した。これに対して、ソウル地方検察庁は2001年にキム氏を名誉毀損と電気通信基本法違反などの容疑で指名手配した 590。警察庁サイバーテロ対応センター関係者は「わいせつ物の流布は名誉毀損及びわいせつ物流布罪で処罰される可能性がある」とし、「許可を得ず撮影した映像である場合には、性暴力犯罪処罰法が適用される可能性もある」とした。さらに、「カカオトークなどを通じて知人とファイルを共有する場合でも、複数に大量の映像物などを流布すれば法的に処罰を受ける可能性がある」と警告した 591

2013年3月23日に改正された「情報通信網利用促進及び情報保護等に関する法律の第44条」は、私生活を侵害したり、名誉を毀損したりする情報を通信網に流通することを禁止しており、このような事態が生じた場合には被害者が情報通信サービス提供者に該当内容の削除を要請し、該当情報利用者の情報提供を請求することができると規定している。また、これに関する業務遂行のため、5名以下の委員で構成された名誉毀損紛争調整部を置くよう規定している。また、利用者個人がこのような情報を流通させることも禁止している。