平成26年度アメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリアにおける青少年のインターネット環境整備状況等調査
平成27年3月 内閣府

第1章 アメリカ

1 青少年のインターネット利用環境に関する実態

(3)青少年のインターネット利用数・利用率

ア 青少年のインターネット利用動向

(a) デジタルデバイス(携帯電話、スマートフォン、タブレット、ノートパソコン、デスクトップパソコン、電子書籍リーダー、ゲームコンソール、その他)の利用動向

オンライン上のセキュリティ等の啓蒙活動を行っているファミリー・オンライン・セーフティ・研究所(Family Online Safety Institute: FOSI:本部:ワシントンDC)が2013年9月〜10月にかけて全米558人の13歳〜17歳の10代の青少年に対して、定性(2つのフォーカスグループインタビュー)・定量調査(558人に対するオンライン調査)「Teen Identity Theft9」を実施した。

その調査結果として、インターネットを活用している10代の青少年でコンピュータを活用しているのは98%、MP3プレイヤーは72%、ゲーム機器は90%と高い率である。また、携帯電話を通じてインターネットにアクセスしている10代の青少年は、2012年の43%から21%増加し64%と半数を超えてきている(携帯電話の保有率は92%)。タブレットの保有率は、2012年の45%から67%と増加している。

表 2 インターネットを活用している10代の青少年の携帯、タブレット保有率(単位:%)
項目 携帯電話 タブレット
2012年 2013年 増加率 2012年 2013年 増加率
性別 44 67 23 43 68 25
42 61 19 47 67 20
年齢 13-15歳 41 61 20 47 69 22
16-17歳 46 68 22 42 65 23
クロス集計 男(13-15歳) 42 63 21 44 67 23
女(13−15歳) 39 60 21 49 71 22
男(16−17歳) 47 74 27 40 69 29
女(16−17歳) 46 63 17 45 61 16

(出典: Teen Identity Theft Report / FOSI)

図 1 インターネットを活用している10代の青少年の携帯保有率(単位:%)

(出典: Teen Identity Theft Report / FOSI)

図 2 インターネットを活用している10代の青少年のタブレット保有率(単位:%)

(出典: Teen Identity Theft Report / FOSI)

また、エジソン・リサーチ社(Edison Research)が2014年2月に発表した「ミート・ミレニアム(Meet the Millennia’s)10」によると、保有している機器割合として、携帯電話が95%で一番多く、次にコンピュータの91%、更にラジオの90%、スマートフォンの80%と続く。

図 3 機器の保有割合(単位:%)

(出典:Meet the Millennia’s / Edison Research)

更に、コックス・コミュニケーション社(COX Communications)が、2014年2月に発表した「2014 青少年インターネット・セーフティ調査(2014 Teen Internet Safety Survey)11」によると、99%の10代の青少年は、携帯端末(携帯電話、タブレット等を含む)からインターネットにアクセスしており、内訳としては、ラップトップからが84%と一番多く、次いでスマートフォンの81%、タブレット61%、MP3プレイヤー43%、携帯ゲーム機40%、電子書籍リーダー(e-Reader)32%となっている。

図 4 インターネットへのアクセス手段(単位:%)

(出典: 2014 Teen Internet Safety Survey / COX Communications)

同調査によると、10代の青少年は、平均5時間38分毎日オンラインで時間を使っており、おおよそ半分の時間はオンラインゲームとなっている。特に、男子は女子より1時間程度オンラインゲームを行っている時間が長い。

ピッパー・ジェフレイ社(PiperJaffray)が、2014年8月〜9月に実施した調査12によると、機器の保有率としては、iPhoneが67%、iPadが54%と過半数を超えている。更に最新のiPad Mini、スマートウォッチ、キンドルファイヤーを保有している10代の青少年も出てきており、今後更なる機器の多様化が見て取れる。

図 5 保有機器(単位:%)

(出典: 2014 Teen Internet Safety Survey / COX Communications)

(b) ブログの利用動向

2010年くらいより10代の青少年では、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の活用が盛んで、ブログの利用は非常に少なくなってきている。2014年にフォレスター・リサーチ社(Forrester research)が、12歳から17歳の10代の青少年(4,517人)への調査でも活用されているのはFacebook等のSNS、YouTube等の動画ウェブサイト、WhatsApp等のメッセージサービスでブログは出てきていない。

図 6 10代の青少年の活用しているSNS等のサービス

(出典: Forrester Research)

(c) SNSの利用動向

エディソン・リサーチ社(Edison Research)が、2014年1月13日〜2月12日にかけて、2,023人の12歳以上の男女を対象に実施した「ソーシャル・ハビット(The Social Habit 2014)」の調査結果13によると、利用しているSNSサイトでは、Facebookが58%と過半数14を超えているが、2013年から利用者数は増加していない。一方、InstagramやVine、Snapshotが2013年より増加している。

図 7 利用しているSNSサイト(単位:%)

(出典:The Social Habit 2014 / Edison Research)

年齢別では、Facebookはどの年代層も一般的に活用されているが、Instagramは特に12歳〜17歳の利用率が高いことが見て取れる。逆にLinkedinはキャリアを掲載することもあり、10代の青少年での活用率は低い。

表 3 利用しているSNSサイト(年齢別)(単位:%)
ウェブサイト 12-17歳 18-24歳 25-34歳 35-44歳 45-54歳 55-64歳 65歳以上
Facebook 79 80 72 61 51 48 31
Linkedin 3 15 27 26 25 23 9
Instagram 62 46 24 15 7 4 1
Google+ 33 35 26 18 12 6 2

(出典:The Social Habit 2014 / Edison Research)

図 8 利用しているSNSサイト(年齢別)(単位:%)

(出典:The Social Habit 2014 / Edison Research)

前述したFOSIの「Teen Identity Theft15」調査結果によると、携帯で使用しているアプリとしては、メールが2012年の78%から71%に減少する一方で、写真・動画の編集アップロードサービスであるインスタグラム(Instagram)の利用が2012年の30%から42%へ、タンブラー(Tumblr)のマイクロ・ブログの利用が2012年の23%から28%へ増加している。また、2012年時には活用がなかった新しいサービスとして、スナップチャット(Snapchat)が32%と大幅に増加している。また、注目すべき点として、22%が毎日写真等をアップしていると回答している

表 4 携帯で過去30日の間に活用したアプリ(単位:%)
アプリ 2012年 2013年
携帯メールのメッセージの送受信 86 87
SNSサイトの活用 89 81
オンラインゲームの活用 N/A 82
インスタントメッセージ(SMS)の活用 78 71
メールの送受信 90 81
Instagramの活用 30 42
Twitterの活用 42 35
Snapchatの活用 N/A 32
Tumblarの活用 23 28
Yutubeの活用 29 27
Ask.fmの活用 N/A 25
Vineの活用 N/A 23

(出典: Teen Identity Theft Report / FOSI)

図 9 携帯で過去30日の間に活用したアプリ(単位:%)

(出典: Teen Identity Theft Report / FOSI)

同調査結果では、これらの新しいサービスと共に、従来から一般的なFacebookは81%が過去30日の間に一回は活用しており、内66%は毎日活用しているといったように高い利用率を保っている。しかし、普及率としては横ばいもしくは、少し減少気味で、10代の青少年は、新しいサービスに常に興味をもっていることが見て取れる。

同調査結果では、76%の10代の青少年はオンライン上の個人情報・プライバシーの漏洩に関して不安を感じている(内43%は非常に心配)。これは2012年の65%より増加しており、3分の2以上の10代の青少年が不安を持っているというのが現状である。また、自分の評判が落ちるのではとの不安は31%、身の安全が不安と感じているのが29%といずれも2012年より率が高くなっている。更に、自分たちがSNS等を通じてオンライン上に登録している個人情報等が盗まれるのではということを非常に心配しているのは、2012年の43%から8%増加し、51%と半数を超えてきている。

なかでも、10代の青少年の個人情報が狙われるのは、 延滞などの記録のないきれいなクレジットカードヒストリーを持っているからと考えているのが73%と非常に多くなっている。また、女子の81%がプライバシーに不安をもっており、男子の72%と比較して高い比率となっている。

図 10 オンラインの活用で個人情報等の盗用に不安を感じるか(単位:%)

(出典: Teen Identity Theft Report / FOSI)

図 11 オンラインの活用で「非常に不安」な事柄(単位:%)

(出典: Teen Identity Theft Report / FOSI)

表 5 個人情報を盗用された結果起こりうる問題で非常に不安な事(単位:%)
心配な事項 2012年 2013年
個人情報の盗用 43 51
不審者が自分の情報を知る事 32 38
大学や将来の雇用主が情報を知る事 N/A 38
両親とのトラブルの元となる事 31 34
企業のマーケティング活動等に利用される事 27 31
先生等とのトラブルの元となる事 24 31
いじめの原因になる事 23 28
実際より悪く写った写真がアップされる事 23 27
友達が自分のことで噂をし合う事 19 24

(出典: Teen Identity Theft Report / FOSI)

図 12 個人情報を盗用された結果起こりうる問題で非常に不安な事(単位:%)

(出典: Teen Identity Theft Report / FOSI 2013年11月発表)

インターネット上にアップしている個人情報としては、フルネーム(75%)、写真(69%)、生年月日(54%)、学校(48%)、メールアドレス(47%)となっており、19%はこれら5つ全てをアップしている。更に34%の10代の青少年はユーザーネームやパスワードを親以外にも教えていると答えている。

その一方で、携帯電話番号をアップしているのは14%、家の住所は6%、ソーシャルセキュリティ番号は2%と、直接的に個人を特定できる情報に関しては、慎重に扱っていることも見て取れる。

自分の個人情報を保護するために、43%の10代の青少年はプライバシーのセッティングを行っており(33%は一部、10%は全く行っていない)、また、機器自体にアクセスできないようにするために、69%はパスワードを入力しないと機器自体を使用できないようにロック機能を活用している。

図 13 セキュリティの保護強化の方法(単位:%)

(出典: Teen Identity Theft Report / FOSI)

同調査の中で実施された定性調査(グループインタビュー)では、個人情報等への具体的な心配事項として、

  • 57%が自分たちの名前を騙って、新しくクレジットカードを作成したり、ローンを組んだりされるのではということに非常に不安を感じる。
  • 56%がアカウントの乗っ取り等による「なりすまし」に非常に不安を感じる。
  • 51%が、現在すでに保有している自分のクレジットカード等の番号を盗み、勝手に利用される事に関して非常に不安を感じる。

と回答している。中でも16、17歳の年代が一番心配している率が高い。

現在、クレジットカードを保有しているのは22%に過ぎないが、心配している率が半数以上に及んでいるのは、将来にわたって、それらが起こる可能性が高いと考え、不安に感じているからであり、注目に値する点といえる。

図 14 個人情報を盗用された結果、非常に心配な事(単位:%)

(出典: Teen Identity Theft Report / FOSI)

その一方で、クレジットカードを保有していない10代の青少年は、例えオンラインで自分の情報を盗まれてもまったくそれらには悪用する価値がないと考えている人がいることも事実である。

一方、ピッパー・ジェフレイ社(PiperJaffray)の調査結果16では、SNSの利用率として、Facebookに代わってInstagramが76%と一番高くなっており、次にTwitterの59%、そしてFacebookの45%と続く。比較的新しいPinterestとTumblrは20%程度で、まだ利用者はマイナーと言える(本調査では、Snapchatは選択肢に入っていない)。

図 15 利用しているSNS(単位:%)

(出典:Taking Stock With Teens / Piper Jaffray)

コックス・コミュニケーション社(COX Communications)の「2014 Teen Internet Safety Survey17」調査結果によると、SNSユーザーは92%で、内74%が写真やビデオ、更に47%が年齢をシェアしていると回答している。

図 16  SNSでシェアしている情報(単位:%)

(出典: 2014 Teen Internet Safety Survey / COX Communications)

(d) ゲーム(オンライン及びデジタルデバイス利用による)の利用動向

コックス・コミュニケーション社(COX Communications)が、2014年2月に発表した「2014 Teen Internet Safety Survey18」によると、10代の青少年がゲームをする機器として、テレビ、ラップトップが共に、56%と一番で、次にデスクトップパソコンの48%となっている。スマートフォンも47%とほぼ従来のテレビやパソコンと同レベルとなってきていることが見て取れる。

図 17 ゲームを行う機器(単位:%)

(出典: 2014 Teen Internet Safety Survey / COX Communications)

また、同調査結果として、オンラインゲームを行っている10代の青少年の内50%がウェブチャット、44%が音声チャット、20%がウェブカムでインタラクティブに他の人とコミュニケーションを取っている。更に、18%はオンラインで知り合った人と会うことを考えても良いと思っており、内58%が実際に会ったとの結果となっている。

2014年4月にエンターテイメント・ソフトウエア協会(Entertainment Software Association)が発表した「エッセンシャル・ファクト、コンピュータゲーム、ゲーム業界(2014 Essential Facts-about the computer and video game industry)19」によると、51%の家庭がゲーム専用機を保有し、アメリカ人全体の59%がビデオゲームをしているという調査結果となっている。ゲームは、68%がコンソール画面、53%がスマートフォン上、41%がワイヤレス機器上で行われており、特にスマートフォン上は2013年の22%、ワイヤレス機器は2013年の37%から増加している傾向にある。

ゲームをしている人の平均年齢は31歳と10代の青少年だけではなく大人も行っており、ゲームをしている人の18歳以下の割合は29%となっている。全体の中では29%という割合であるが、パロアルト医療財団(Palo Alto Medical Foundation)によると、97%の10代の青少年がゲームをしているというデータ20があることから、ほとんどの10代の青少年がゲームを行っているといえる。

図 18 ゲームプレイヤーの年齢分布(単位:%)

(出典:2014 Essential Facts / Entertainment Software Association)

10代の青少年のみならず大人も含めたデータではあるが、ゲームは友達と共に、行うのが42%と一番となっており、両親以外の家族とが32%で二番目となっている。

図 19 ゲームを一緒に行う相手(単位:%)

(出典:2014 Essential Facts / Entertainment Software Association)

95%の親は、子供が行っているゲームの内容を注視している。また、85%の親がESRB(Entertainment Software Rating Board 21)レイティングを認知しており、88%の親は、ESRBレイティングがゲームを選択する際に参考になると考えている。82%の子供はゲームを購入したり借りたりする前に、親の許可をもらっている。

図 20 2013年のゲームのレイティング内訳(単位:%)

(出典:2014 Essential Facts / Entertainment Software Association)

ペアレンタル・コントロールに関しては、83%の親はビデオゲームの時間制限、80%はインターネット利用時間の制限、76%はテレビ視聴時間の制限、70%は映画視聴時間の制限を行っているとの回答である。

一方、18歳未満の子供を持つ親は、ゲームのポジティブな面として、心理的・教育的に刺激を与えることができると考えているのが68%、友達との関係維持の手助けになると考えているのが58%、更に家族間で過ごす時間が増えると考えているのが55%となっている。子供と実際にゲームを週に一回は行うと回答した親は42%、月一回は58%であった。子供とゲームをする理由としては、楽しいからが88%、子供に頼まれてが84%、子供との関係作りに良いからが75%、ゲームの内容をチェックするのに良いからが61%、子供のみならず自分も楽しめるからが47%となっている。

図 21 ゲームのポジティブな面(単位:%)図 21 ゲームのポジティブな面(単位:%)

(出典:2014 Essential Facts / Entertainment Software Association)

図 22 2013年のビデオゲーム販売トップ20(販売個数による)

(出典:The NPD Group/Retail Tracking Service)

図 23 2013年のコンピュータゲーム販売トップ20(販売個数による)

(出典:The NPD Group/Retail Tracking Service)

(e) インターネット・ショッピングの利用動向

ピッパー・ジェフレイ社(PiperJaffray)の調査結果22では、10代の青少年がショッピングをしたい場所として、インターネット・ショッピングより、ショッピングモール等の店頭を好む傾向が見て取れる。これは10代の青少年ではクレジットカードが直接持てず、親から借りる必要があることや、友達とショッピングモールに出かけて時間を過ごしたい(特に女子)といったことが理由として考えうるが、注目すべき点として、男子のオンライン嗜好が2013年春の20%から2014年春には47%と倍増していることで、女子より男子の方が、オンライン志向が強くなっていっていることが見て取れる。しかしながら、全体の傾向としては、ショッピングモールへの訪問回数は年10%程度の減少傾向にあり、ピーク時の年間38回から2013年秋には29回となっている。この傾向は継続して続くと考えられる。

図 24 10代の青少年がショッピングをしたい場所の変化(単位:%)

(出典: Taking Stock With Teens / Piper Jaffray)

同調査によると、10代の青少年が好むインターネット・ショッピングウェブサイトは、Amazan.comが32%、二番目はNikeの8%、三番目はeBayの5%と、Amazon.comが圧倒的な支持を受けている。

図 25 10代の青少年の好みのインターネット・ショッピングウェブサイト(単位:%)

(出典: Taking Stock With Teens / Piper Jaffray)

(f) インターネット接続機器、インターネット回線、フィルタリングの基礎情報

ピュー・リサーチ研究所(Pew Research Center)の統計によると、アメリカ人の87%がインターネットを利用している23。2014年の人口(推測)は3億1,940万人24(2014年12月9日現在)であるので、約2億7,790万人がインターネットユーザーである。70%の家庭ではブローバンドアクセスがあるが、3%はいまだにダイアルアップでの接続である25

携帯電話ユーザー数は、3億3,565万人で普及率は104.3%と一人が複数台保有していることことから100%を超えている。また、家庭で固定電話を設置せず、携帯のみの家庭が41%となっている26。更に、スマートフォンの普及率は58%である。また、32%の成人はe-Readerを、42%がタブレットを保有している27。携帯電話保有者の内、4,500万人は、インターネットへの接続の主たる端末として携帯を活用している28。また、プリペイドによる携帯の活用は、7,530万回線となっている。

図 26 アメリカ人(成人)の携帯等の普及率

(出典: Pew Research Center)

携帯電話のOSのシェアでは(2013年8月時点)、Androidが52%、iOSが40%、Blackberryが3%、Windows Phoneが2%、その他が2%となっている29

図 27 携帯のOSのシェア

(出典: Nielsen)

携帯電話会社のユーザー数によるシェアとしては、Verizon社とAT&T社が約30%で均衡しており、次にSprint社の約20%、T-mobile社の15%となっている。

図 28 ユーザー数による携帯電話会社の市場シェア(2011年第1四半期〜2014年第2四半 期)(単位:%)

(出典: statista.com30

日本では2015年5月より携帯電話のSIMフリー化が義務付けされるが、それに伴い、これまで通信事業者が主に担ってきたフィルタリング等の機能提供の構図が変化していくと思われる。SIMフリーに関してのアメリカの状況として、2014年8月にオバマ大統領は、どんな携帯でもSIMフリーに変更することが可能になる「消費者アンロック選択並びにワイヤレス競争法案(The Unlocking Consumer Choice and Wireless Competition Act)31」にサインし施行された。これは、Verizon社、AT&T社、T-mobile社、Sprint社といった主要な携帯電話会社経由で2年間の契約付きで購入した消費者でも、端末代金を払い終わっている限り、いつでもSIMロックを解除しSIMフリーに変更できるという規則である。しかしながら、上院は、3年単位で、「ディジタル・ミレニアム・コピーライト・アクト(Digital Millennium Copyright Act)」に基づき、これらを見直せる権利を有しており32、将来この制度が引き続き継続されるかどうかは不透明であることや、アメリカで一般的な通信方式であるCDMA(Verizon社、Sprint社が使用している通信方式)ではSIMカード自体を使用していないため、消費者にとっては、この制度ができたこと、イコール携帯電話会社をいつでも簡単に切り替えられるという状況ではないことも事実である。

SIM付き、SIMフリーにかかわらず、基本的に、ブロッキングやフィルタリングは、アメリカでは、消費者レベルで、自主的に設定をすることが多い。iPhone等のiOSにはペアレンタル・コントロールの機能が付いているが、購入時に最初からそれらが設定されていることはない。消費者は、インターネットや携帯等での問題について、連邦通信委員会消費者ヘルプセンター(Federal Commications Commission: FCCの「Consumer Help Center」)に直接通報することができる33

表 6 ブロッキング、フィルタリングの状況
項目 詳細
ブ ロ ッ キ ン グ  ブロッキングの定義 法律による公式な定義はないが、一般的に、インターネット上でブロックとは、情報やリソースに対するアクセスを制限する意図を持つ技術的手段のことで、ブロッキングは、ソフトウェアを使用するコンピュータの所有者により実装することができる。
ブロッキングの法的義務付けの有無(ISPや携帯端末メーカー等に対して) 児童ポルノを除き、アメリカ憲法修正第1条は言論の自由を保護している。つまり、アメリカ政府はコンテンツのフィルタリングをすることができない。例外が、CIPAによるEレート・プログラムの割引を受ける学 校や図書館に対し、一定の要件(有害・猥褻情報のフィルタリング)の義務。(しかし、Eレート・プログラムに参画していない図書館は除外されている)インターネット・サービス・プロバイダー(ISP)は、(児童ポルノでない限り、政府はISPに対しコンテンツのフィルタリングを要求できないものの)コンテンツに対するフィルタリングの実施を自主的に選択することができる。コンテンツのブロッキング(フィルタリング)は、民間レベルで多く行われている。個人ユーザーや、ファイアウォールによりEメールやインターネットのコンテンツのフィルタリングを実施している組織によってである。コンテンツをブロッキング(フィルタリング)する個人の権利は、法的な権利である。
根拠法令 合衆国法典第47巻第230条、第213条  有害な資料に対する、個人によるブロッキングやスクリーニングの保護

この方針には、その目的の1つが、両親のためのブロッキング・フィルタリング技術の開発促進であることが述べられている。 「いかがわしい、又は不適切なオンライン・コンテンツに対する子供のアクセスを制限する力を両親に与えるブロッキング・フィルタリング技術の開発や利用を阻害する要因の除去」

この方針には、次の事項もその目的であることが述べられている。

「インターネットやその他の相互作用的コンピュータ・サービスを利用する個人・家庭・学校が、受け取る情報の内容をユーザーとして管理する能力を最大化するためのテクノロジー開発の促進」

「コンピュータを利用しての、猥褻物やストーキング、ハラスメントに関する不正取引を抑止し、罰するため、連邦刑法の積極的な執行の確保」

「コンピュータを利用しての、猥褻物やストーキング、ハラスメントに関する不正取引を抑止し、罰するため、連邦刑法の積極的な執行の確保」

(ISPには責任がなく、このような罪を犯す個人・集団が責任を問われる)

この法律によれば、ISPは、ペアレンタル・コントロールを可能にする情報やサービスを利用可能にしなければならないとされている。

「相互作用的コンピュータ・サービスのプロバイダーは、相互作用的コンピュータ・サービスの提供に関する顧客との契約締結時に、未成年者に有害なコン テンツに対するアクセスを顧客が制限することを支援するペアレンタル・コントロールの保護措置(コンピュータ・ハードウェア、ソフトウェア、フィルタリ ング・サービス等)が契約上利用可能であることを、プロバイダーが適切と考える方法により、当該顧客に対し通知するものとする」

義務付けられている場合、制限するコンテンツの決定者 -
ブロッキングの手法 端末のOSやダウンロード・インストールできるソフトウェアにより設定できる。サードパーティーのソフトウェアによっても可能である。
義務付けられていない場合、その理由 -
ブロッキング機能のソフト、サービスの携帯等にプリインストール有無 ほとんどが携帯の機能(基本OSの機能)として提供されており、「制限」や「ペアレンタル・コントロール」と称されている」
ブロッキングに対しての新しい動き 「最近(2014年9月)、シマンテック(オンライン・セキュリティー会社)は、ゲイやレズビアンに関するコンテンツに対するフィルタリングを停止した」 オンライン上の安全な検索のために人気のあるフィルター・ソフトの会社が、ゲイやレズビアンの有力な支援グループへのリンクを、猥褻なウェブサイトを回避することを望むユーザーのためにブロックすることを終了する予定である。オンライン・セキュリティー会社のシマンテックはAP通信に対し、今でも顧客が不快なウェブサイトをブロックするよう検索ソフトを設定できる以上、性的指向に関係しているというだけでウェブサイトをブロックするオプションは廃止する、と語った 。
フ イ ル タ リ ン グ  フィルタリングの定義 法律による公式な定義はないが、一般的に、コンテンツ・フィルタリングとは、開放されたりアクセスされたりすると害を及ぼす恐れのある特定アイテムへのアクセスをプログラムを使って遮断すること等である。最もよくフィルタリングされるものは、実行ファイル、Eメール、ウェブサイト等である。コンテンツ・フィルタリングはソフトウェアでもハードウェアベースのソリューションを介してでも実行することができる、といった理解がされている。
フィルタリング機能を提供することの法令による義務付けの有無(ISPや携帯端末メーカー等に対して) フィルタリングへの義務規定ではないが、ISPは違法情報等を発見した際には通報義務がある。
根拠法令 合衆国法典第18巻第2258A条、2260条「電子通信サービスプロバイダー及びリモートコンピューティング・サービスプロバイダーの報告要件」
義務付けられていない場合、その理由 N/A
フィルタリング機能がプリインストールされている携帯OS iOS iOSには、ユーザーがアプリケーション・コンテンツにアクセスすることを制限できる機能を有している。
Android 最新版アンドロイドOSのJellyBeanでは、ユーザーが家庭や職場でアプリやコンテンツへのアクセスを制限できるよう名機能があり、保護者がペアレンタル・コントロールをかけることが可能である。
Synbian 2013年、フィンランドのスマートフォン製造会社のノキアは、シンビアンオペレイティングシステムで動いている最後の携帯電話を出荷したと発表した。
Blackberry ブラックベリーOSにはユーザー向けのブラックベリー・インターネットサービスに対する「ペアレンタル・コントロール」機能がある。「ペアレンタル・コントロール」によって、コンテンツのブロック、特性機能のオン・オフ、どんな種類のコミュニケーションができるかの決定ができるようになっている。
その他 ファイヤーOS (モジラ)-ペアレンタル・コントロールあり セイルフィッシュOS (ヨーラ)-ペアレンタル・コントロールあり タイゼン (リナックス)-不明。文書化されていない
SIM フリー端末でOSレベルではなく、端末の機能としてフィルタリングができる端末の有無 アメリカのSIMカードにはコンテンツ・フィルタリング機能はなく、ペアレンタル・コントロールや制限は携帯電話のOSの機能によってにかけるようになっている。
ブロッキングに対して新しい動き 特にコンテンツや使用をフィルタリング、コントロールできる機器に対する保護者のニーズに合わせて作られ、売られる機器が開発されている。 クリオはKDインタラクティブ社が開発した子供が使いやすいタブレットである。子供向けにデザインされたアンドロイド・スマートフォンで十分なペアレンタル・コントロールと特別な機能がついていて、その会社が言うには、利用に関する保護者の心配を緩和するとのこと。保護者は4つまで異なったカスタマイズをしたプロフィールを電話上で設定することができ、クリオ・インターフェースから外れればなんの制限もなく機器を使うこともできる。

基本的に、インターネット・サービス・プロバイダー(ISP)や携帯電話会社と契約が可能なのは18歳以上とされている。未成年者が携帯等の契約をする場合は、親の同意が必要である。しかしながら、Apple社のiTuneストアでアプリ等を購入する際には年齢による確認は特になく、制限としてあるのは、アカウントのオーナーが18歳以上であることのみである。つまり、18歳以上の家族の誰かがアカウントを作れば、それ以下の未成年者でも、そのカウントを使ってアプリ等の購入が可能である。

このことが昨今大きな議論となっている。FTCは、これらの状況は未成年が際限なくゲームやアプリを購入していることにつながっているとして、問題視し、apple社は、2014年1月に3,250万ドルの返金を消費者(親)に対して行う事に合意している。Apple社は、これらの再発を防ぐためにも、アプリの開発会社向けのガイドラインとして、子供向けのアプリは親の承認を取ることを求めている38。更に、FTCは、2014年7月にインターネットショッピング最大手のAmazon.comも同様の理由で訴えている。Amazon.comは子供向けのゲーム等をkindole Fire等で多数販売し、それらの30%程度は、親のアカウントを使って子供が、親の承認なしで購入したものであることから、それらの返金を求めている39。また、Googleは、子供が親の承認なしで「Ice Age Village」等のゲームを多数行われたとして、消費者(親)に対して少なくとも1,900万ドル(約20億円)の返金をすることで合意している40