平成26年度アメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリアにおける青少年のインターネット環境整備状況等調査
平成27年3月 内閣府

第1章 アメリカ

3 青少年のインターネット利用環境に関する公的機関及び民間企業の取組み

(1) 青少年のインターネット利用環境に関連する政策・規制(法律)並びに監督官庁

ア 青少年の個人情報保護

1998年児童オンライン・プライバシー保護法(The Children's Online Privacy Protection Act of 1998 (COPPA)) では、13歳未満の児童の個人情報を取得する場合は親の許可が必要としているが、カリフォルニア州では、それを更に18歳未満の未成年者まで拡大した規制「ソーシャルネット・ワーキング・プライバシー・アクト(Social Networking Privacy Act)」(S.B.501)が、2013年5月に上院で承認された。この法律では、Facebook、GoogleといったようなSNS、インターネット企業は、未成年者の親から要求があれば、未成年者の住所、電話番号、ソーシャルセキュリティ番号、銀行口座情報、クレジットカード番号等の個人情報を96時間以内に削除する必要がある。違反した場合には、10,000ドルの罰金規則もある。しかしながら、ISPからは96時間以内というのが現実的には無理であるとの非難があり、Facebook、Google、Zynga、Tumblr等は、この法律が、10代の青少年のプライバシーや言論の自由に反しているとして反対している。

また、カリフォルニア州では、2013年9月に承認され、2015年初頭から実施予定の「消しゴム法(eraser law)」(S.B.568)もあり、未成年のプライバシーを保護するために、SNSへの投稿に後からいつでも永久に削除できるような機能の設置を義務付けた法律が制定された。しかし、アップされると同時にネット上では、ほぼリアルタイムにコピーが始まるという状況の中で、例えSNS上で削除したとしても情報はネット上からは消えないという現実から、この法案は無意味であるという意見もある76

イ ネットいじめ

2010年に連邦教育省(The US Department of Education)が全米各州のいじめに関しての政策や法律について調査した。その調査結果によると、モンタナ州は政策のみ、アリゾナ、テキサス、ノースダコタ等8州では法律のみを整備し、他の41州では法律、政策両方を整備しているという状況であった。

図 51 全米各州のいじめに関しての政策、法律の整備状況

(出典:Stopbullying.gov77

2014年7月、ニューヨーク州高等裁判所は、アルバニー郡(Albany)が2011年にオンライン上でのいじめ、脅し等感情的に害を及ぼす行為を禁止した法律に反するとして、15歳(2011年当時)のマークアン・マッキー・メグ(Marquan Mackey-Meggs)を求刑した事例において、Albany郡のネットいじめ法案は、合衆国憲法修正第一条の言論の自由に反するとして法律自体が違憲であるとの判断を示した。裁定の中で裁判官は、メグの行った行為(友人の写真に性的なコメント等をFacebookに投稿等)は、「不快で相手を傷つける行為」としながらも、同郡の法律を指示した下級裁判所の裁定を覆し、それらを適用することは行き過ぎであるとの判断を示した。この裁定は、同様の法律を有するメリーランド、ワシントン、ルイジアナ等の他州にも前例として大きな影響を与えそうである78

ウ 児童売春等の青少年を性的行為に誘引する行為

児童売春等の青少年を性的行為に誘引する行為に関する法律は、児童ポルノ関連法令と密接に関連していることから、児童ポルノに関する法律を次にまとめる。

表 17 児童ポルノ等に関する規制・法律
法律 概要
1997年性的搾取に関する法律 (Protection of Children against Sexual Exploitation Act 1997) 児童ポルノに製作及び頒布を禁止。当初は猥褻性の要件が課せられていたが、1984年にその要件は削除された。
1986年児童性的虐待ポルノ法 (Child Sexual Abuse and Pornography Act of 1986) 広告製作の禁止
1988年児童保護及び猥褻強制執行法(Child Abuse Victimsユ Rights Act of 1986) コンピュータによる児童ポルノの製作、頒布の禁止。
1990年児童保護復旧及び刑罰強化法(Child Protection Restoration and Penalties Enhancement Act of Abuse) 三つ以上の児童ポルノの所持を刑事罰の対象とした。
1996年児童ポルノ防止法 (Child Pornography Prevention Act of 1996) 成人であっても未成年者のように見える場合や実在の人物と見分けが付かない場合にも規制の対象となった。しかし、2002年の連邦最高裁で表現の自由に反するとして違憲判決とされた。
1996年通信品位法 (Communication Decency Act of 1996) 未成年者に対して、「故意」に「卑猥な又は品位にかける」通信送信を犯罪行為とした。しかし、直ちに合憲性が問われ、2002年に違憲が確定した。
1998年性犯罪者から児童を保護する法律(Protection of Children from Sexual Predators Act of 1998) 児童の性的搾取においてコンピュータの使用を含め、児童ポルノ の犯罪規定を厳格化した。これらにより、インターネットプロバ イダーによる児童ポルノ通報義務化が規定された。
1998年児童オンライン保護法 (Child Online Protection Act of 1998) インターネットによる情報提供業者に対し、営利目的で17歳未 満の未成年者に有害な情報を配布することを禁止した。 言論の 自由を侵害するものとして2009年に違憲判決が出る。
1998年児童オンライン・プライバシー 保護法 (The Children's Online Privacy Protection Act of 1998 (COPPA)) 児童向けウェブサイトで13歳未満の子供の個人情報を収集する 場合、事前に親の許諾を取ることを義務付けた。2000年より施行。 2012年に児童のプライバシー保護強化、保護者のコントロール 権限の拡充が提案され、2013年7月1日より施行される。それらの 改正後、Safe Harborプログラムとして認可されている企業は、 6社79ある。
2000年児童インターネット保護法(Children’s Internet Protection Act of 2000) 学校と図書館において子供がインターネットへアクセスする 際に、児童ポルノ等有害情報(猥褻、児童ポルノ、未成年 者への有害情報)へのアクセスを制限することを目的として、 インターネット接続への優遇措置(E-料金プログラム;低額 でインターネットを利用が可能)を利用する条件として、学校 や図書館内のコンピュータにフィルタリング・ソフトの活用を 義務付けた規定。訴訟が提起され、連邦地方裁判所で違憲判決 が出たものの、2003年6月連邦最高裁において合憲の判断が出 されている。
2002年ドット・キッズ法 (Dot Kids Implementation and Efficiency Act of 2002) 13 歳未満の児童に有害でないウェブサイトに独自のドメイン名 (.kids.us)を与えることにより、児童にとっても安全なウェ ブサイトを明らかにするのが目的である。kids.us のドメイン 名を得るには、暴力やポルノ等児童にとって不適切な内容、 チャット・ルームやインスタント・メッセージ、同ドメイン外 のウェブサイトへのリンクを含んではならないとしている。
2006年アダム・ウオルシュ児童安全法(Adam Walsh Child Protection and Safety Act of 2006) (別名、「性虐 待者登録・通知法」the Sex Offender Registration and Notification) 児童をだまして有害なウェブサイトに誘い込むことを目的に、 紛らわしい言葉や画像を載せることを犯罪としている。また、 性犯罪者にDNAサンプル提出を義務付けることや、FBIが運営す る全国的な性犯罪者データベースを作ること等、性犯罪から 児童を守るための広範な法改正を含んでいる。
2008年児童保護法 (Protecct our Children Act of 2008) 司法省は子供の性的搾取をなくすための戦略策定とそれらを実行 することを求めている。
2008年性犯罪者のないインターネットを実現する法律(Keeping the Internet Devoid of Sexual Predators Act of 2008) 性犯罪者にemailや他のオンライン上のIDの登録を求めるもの

(出典:JETRO80、その他各種資料よりまとめ)

関係省庁としては81、2006年以降、「子供安全プロジェクト(Project Safe Childhood)」を開始し、警察、法的執行機関、一般市民と連携しながら、児童の性的搾取の撲滅を目指してきている。その一環として、「2008年児童保護法」により国として戦略的に子供の性的搾取撲滅に取り組むこととなった。主な関係部署は以下のとおり。

(a) 司法省(Department of Justice)

 ■ 連邦捜査局(Federal Bureau of Investigation: FBI)

1995年より、インターネットを活用した児童への性的犯罪を、おとり捜査等を通じて取り締まる「イノセント・イメージ国家イニシアティブ(Innocent Images National Initiative:IINI)82」を実施している。実行部隊として、タスクフォースも立ち上げられ、過去10年間で15,500件を取り扱い、4,700件の犯罪を摘発、6,100人を逮捕している83。捜査に当たっては、関係省庁のみならず、非営利団体である全米児童行方不明・搾取センター(National Center for Missing and Exploited Children)等とも連携している。

 ■ 連邦地方検事局 (United States Attorneys’ Office)

2006年より「児童安全プロジェクト(Project Safe Childhood)84」の担当をしており、連邦や州政府関連等と連携しながら、児童の性的搾取の撲滅に尽力している。2011年には2,713件の案件を取り扱っているが、これは2007年当時より15%増加している。また児童ポルノでは3,500件を取り扱っている。

 ■ICACタスクフォース(ICAC Task Force:Internet Crimes Against Children Task Force85

司法省の予算で運営されているインターネットに関連した児童犯罪の取り締まり組織で、全米3,000に及ぶ連邦、州、司法関連機関の代表として61の地域に存在している。上記関係者へのトレーニングプログラムの提供のみならず、一般市民や教育関係者等への情報提供も行っている。

(b) 国土安全保障省(Department of Homeland Security)

 ■サイバー犯罪センター児童搾取課(Cyber Crimes Center Child Exploitation Section)

高度な技術を駆使して、オンライン犯罪を防止するための活動を行っている。その一環として児童の性的搾取への監視、取り締まりを「オペレーション・プレデター(Operation Predator)」として行っている。被害者等データベースとして「全国被害児童識別システム (National Child Victim Identification System:NCVIS)」を整備するのみならず、「バーチャル・グローバル・タスクフォース(Virtual Global Taskforce)」として国際的な連携体制も確保している。

エ 児童ポルノ

未成年の児童が児童ポルノの被害にあっているケースは多数見られるが、最近、未成年者自体が、児童ポルノの加害者になるケースが出てきている。

2014年10月、フロリダ州プラント・シティ(Plant City)の16歳の10代の青少年が児童ポルノの保有と児童への性的いたずらを行ったとして100に及ぶ罪に問われて逮捕された86。本件はカナダとアメリカの警察等の連携により発覚したもので、捜査段階で家を家宅捜索したところ、児童ポルノの所有のみならず、それらを作成するために児童への性的虐待、そして写真のプロモーションを行っていたことが判明した。この男子は、州検事局(Office of State Attorney)により、大人として扱われ、保釈金として80万ドルが要求されている。この10代の青少年の名前と顔写真はニュースで大々的に報道されている。

2014年10月、カンザスシティの17歳の少年が学校から支給されているノートパソコン内に児童ポルノの写真を保管していたとして告発された87。教師によると、この生徒はクラスルーム内で児童ポルノの写真を見ており、5歳〜10歳の少女の写真約40枚が見つかっている。このケースでは、少年の名前や顔は報道されていない。

2013年4月には、ジョージア州アトランタ郊外のコブ郡(Cobb County)の17歳の少年(名前、写真とも報道されている)がウェブを通じて児童ポルノを提供したとして逮捕された。彼は、少女のヌードや性的な写真を自ら撮影したのではなく、彼女らのSNSアカウントにハッキングし、それらを盗用していた。更に、偽名のフォトスタジオを語って少女らにアプローチもしていた。警察は8名の被害者を特定している88

児童ポルノに関して性的搾取等への罰則規定として、以下の連邦法が規定されている。

表 18 児童ポルノに関しての罰則規定等
法律名 概要
児童ポルノ等の定義(合衆国法典第18編第2256条)89 未成年を18歳未満と定義した上で、「児童ポルノ」とは、写真、フィルム、ビデオ、絵画又は電子的、機械的もしくは、その他の方法により作成され、コンピュータの画像もしくは絵画を含む以下の項目のいずれかに該当する視覚的描写としている。
(A) 視覚的描写の製作が、性的に露骨な行為に従事している未成年者の利用を伴うもの。
(B) 視覚的描写が、デジタル画像、コンピュータ画像又はコンピュータ処理された画像であって、性的に露骨な行為に従事している未成年者のもの。
(C) 視覚的描写が、身元を特定しうる未成年者が性的に露骨な行為に従事しているように見えるように創作されているもの。
児童の性的搾取の禁止(第2251条90 未成年者を雇用し、使用し、説得し、誘導し、誘惑もしくは強要して性的に露骨な行為に関与させる者、州際もしくは国際的に輸送した者には、15年以上30年以下の禁固刑と規定している。
児童売買の禁止(第2251A条91 親、法定後見人、未成年者を監督する者で、未成年者を監督する立場を販売し、未成年者が、性的に露骨な行為に従事することになる場合、30年以上もしくは終身の禁固刑と規定している。
未成年者の性的搾取に係わる素材(第2252条92 性的に露骨な行為の製作において未成年者の利用が含まれている死活的描写を、それと知りつつ、州際もしくは国際通商で郵送並びにコンピュータで輸送した者への罰則規定。
児童虐待の報告の不履行(第2258条93 1990年児童虐待法第226条(b)項[42 USC 13031(b)]に記載される職業的な地位又は活動に従事するもの(インターネットプロバイダー等)は、児童虐待等有害・違法情報と疑わしい事実を、「全米行方不明及び被搾取児童センター」のサイバーチップラインへの報告義務がある。

(出典:各種資料よりまとめ)

児童ポルノに関しての民間団体としては、以下のような団体がある。

(a) 児童保護サイト提唱協会(Association of Sites Advocating Child Protection:ASACP:http://www.asacp.org)

カリフォルニア州ロス・アンジェルスに拠点をおく児童ポルノ撲滅活動を行っている非営利団体。1996年にネットビジネス等を行っているアレク・ヘムリ(Alec Helmy)によって設立された。国際的なオンライン・ホットラインの設置、親や地元行政等への周知・連携、関連情報の提供等を行っている。

(b) イナフ・イズ・イナフ(Enough is Enough :EIE: http://www.enough.org/)

1994年に設立された、インターネットが児童にとって安全な場所であるようにという活動(児童ポルノの撲滅含む)を行っている非営利団体。女性の社会活動等の広報や政治活動を行っていたディー・ジェプセン(Dee Jepsen)によって設立され、メディアや弁護士等多数のアドバイザーを有している。合衆国憲法修正第1条の言論の自由を尊重することが基本的な姿勢となっており、その上で、一般への周知活動、インターネット産業会への技術の適用等を推薦する活動、児童ポルノ防止等の新しい規制等の働きかけ等を行っている。

オ リベンジポルノ

これまでは、リベンジポルノは男性が元彼女の写真やビデオをSNS等に振られた復讐として、それらを投稿するというケースであったが、2014年10月に、バージニア州で、28歳の女性が元彼氏と現在の彼女の性的写真を彼の携帯から盗み、Facebookに投稿したとして、同州でリベンジポルノ法案が7月に成立して始めての女性の逮捕事例となった94。他にもこういった事例が発生してきており、今やリベンジポルノは、男性から女性への復讐のみならず、女性が女性(元彼氏の現在の彼女)を傷つけ、間接的に元彼氏に復讐するといった様相を呈してきている。

2015年1月1日現在95で、リベンジポルノに関しての法律が議会を通過、知事の署名を経て法制化された(もしくは、法制化途中)である州は、14州(アリゾナ、カリフォルニア、コロラド、デラウェア、アイダホ、イリノイ、ハワイ、ジョージア、メリーランド、ニューヨーク、ペンシルベニア、ユタ、バージニア、ウィスコンシン)であり、既存の法律で適用しようとしているのがアラスカ、2014年に審議中なのが5州(ワシントンDC、マサチューセッツ、ミシガン、ニュージャージー、テキサス)、2013年~2014年で審議されたが非成立となり延期(もしくは休止)となっているのが11州(アラバマ、コネチカット、フロリダ、ケンタッキー、ミズーリ、ニューメキシコ、ロードアイランド、サウスカロライナ、テネシー、バーモント、ワシントン)となっている。これら以外の州でも、今後、法案が出されて審議されていく州もでてくると思われる。

表 19 リベンジポルノ法律制定状況 (2015年1月1日時点)
状況 概要 法案・州法 参考資料
AZ アリゾナ 成立 2014年4月知事署名。 許可なしの性的行為の写真等の配付の禁止 H.B. 2515, 2014年 http://www.azleg.gov/legtext/51leg/2r/bills/hb2515h.pdf http://www.acluaz.org/sites/default/files/documents/2014%20LEGISLATIVE%20REPORT-FINAL.pdf
CA カリフォルニア 成立 2014年9月30日知事署名。承認なしで性的な行為の写真やビデオの配信に関しての個人の権利を認めた。 A.B. 2643, 2014年 http://www.leginfo.ca.gov/pub/13-14/bill/asm/ab_2601-2650/ab_2643_bill_20140221_introduced.htm https://www.huntonprivacyblog.com/2014/10/articles/california-governor-approves-new-privacy-legislation/
成立 2014年9月30日知事署名。許可なしで配信された写真等を違法と規定。 S.B. 1255, 2014年 http://leginfo.legislature.ca.gov/faces/billNavClient.xhtml?bill_id=201320140SB1255
CO コロラド 成立 2014年5月29日知事署名。深刻な感情的ストレスを感じるような個人的な写真をSNS等に許可なくアップすることの禁止 H.B.1378, 2014年 http://www.leg.state.co.us/clics/clics2014a/csl.nsf/fsbillcont/B8622059E18D26C687257C9A005794F0?Open&file=1378_enr.pdf http://www.thinkhr.com/blog/colorado-employment-law-update-june-2014/
DE デラウエア 成立 2014年8月12日知事署名。現行のプライバシー規定に追加する形で、許可なしの性的行為の写真等の配付の禁止。 H.B.260, 2014年 http://legis.delaware.gov/LIS/lis147.nsf/vwlegislation/7C02F7E9FACE4C4385257C57004802A3 http://www.legis.delaware.gov/LIS/lis147.nsf/vwLegislation/HA+2+to+HB+260/$file/legis.html?open
ID アイダホ 成立 2014年3月14日成立。許可なしで配信された写真等を違法と規定。 H0563, 2014年 http://legislature.idaho.gov/legislation/2014/H0563.htm
IL イリノイ 成立 2014年12月29日知事署名。現行の法律を拡大する形で、許可なしでの性的写真配信等への刑事罰の設定。 S.B.1009, 2014年 http://www.ilga.gov/legislation/billstatus.asp?DocNum=1009&GAID=12&GA=98&DocTypeID=SB&LegID=70713&SessionID=85&SpecSess=
HI ハワイ 成立 2014年6月20日知事署名。相手の健康、安全、社会的地位等を尊重しない形での性的行為写真、ビデオ等の配信に対する刑事罰の制定。 H.B.1750, 2014年 http://www.capitol.hawaii.gov/Archives/measure_indiv_Archives.aspx?billtype=HB&billnumber=1750&year=2014
GA ジョージア 成立 2014年4月15日知事署名。プライバシー侵害との関係により、特定の状況下で撮られた性的な写真やビデオの許可なしでの配信禁止 H.B.838, 2014年 http://www.legis.ga.gov/Legislation/en-US/display/20132014/HB/838
MD メリーランド 成立 2014年5月15日知事署名。ハラスメント、リベンジポルノへの刑事罰。 H.B.43, 2014年 http://mgaleg.maryland.gov/webmga/frmMain.aspx?pid=billpage&stab=03&id=hb0043&tab=subject3&ys=2014rs
NY ニューヨーク 成立 2014年8月1日知事署名。わいせつな写真の配信への刑事罰規定。許可なしでの一部、全ヌード写真の配信の禁止。 S01982, 2014年 http://assembly.state.ny.us/leg/?default_fld=&bn=S01982&term=2013&Summary=Y&Actions=Y&Text=Y&Votes=Y http://www.courtroomstrategy.com/2014/08/ny-passes-revenge-porn-law/
PA ペンシルベニア 成立 2014年7月9日知事署名。現行の刑法の修正により、許可なしでの性的行為写真等の配信禁止。 H.B.2107, 2013-2014年 http://www.legis.state.pa.us/cfdocs/billInfo/BillInfo.cfm?syear=2013&sind=0&body=H&type=B&bn=2107 http://www.legis.state.pa.us/cfdocs/billInfo/bill_history.cfm?syear=2013&sind=0&body=H&type=B&bn=2107
UT ユタ 成立 2014年3月29日知事署名。現行の刑法に定義を追加し修正、許可なしでの性的行為写真等の配信禁止。 H.B.71, 2014年 http://le.utah.gov/~2014/bills/static/HB0071.html
VA バージニア 成立 2014年3月31日知事署名。許可なしでの性的写真、ビデオの配信に対して、刑罰規定。 H.B.326, 2014年 http://leg1.state.va.us/cgi-bin/legp504.exe?141+sum+HB326
WI ウィスコンシン 成立 2014年4月8日知事署名。許可なしで配信された写真等への罰則規定。 S.B.367, 2013-2014年 http://docs.legis.wisconsin.gov/2013/proposals/sb367
AK アラスカ 適用 刑法のハラスメントをリベンジポルノにも適用 AS.11.61.120 http://www.touchngo.com/lglcntr/akstats/Statutes/Title11/Chapter61/Section120.htm
AL アラバマ 非成立、延期 性的写真等の許可なしでの配信の禁止 H.B. 515, 2014年 https://legiscan.com/AL/bill/HB515/2014
CT コネチカット 非成立、延期 性的写真等の許可なしでの配信の禁止 S.B.489, 2014年 http://www.cga.ct.gov/asp/cgabillstatus/cgabillstatus.asp?selBillType=Bill&which_year=2014&bill_num=489
DC ワシントンDC 審議中 性的写真等の許可なしでの配信の禁止 B20-762, 2014年 http://lims.dccouncil.us/Legislation/B20-0762
FL フロリダ 非成立 性的写真等の許可なしでの配信の禁止 H.B.475, 2014年 http://flsenate.gov/Session/Bill/2014/0475
非成立 性的写真等の許可なしでの配信の禁止 S.B.532, 2014年 http://flsenate.gov/Session/Bill/2014/0532
KY ケンタッキー 非成立、延期 性的写真等の許可なしでの配信の禁止 H.B.130, 2014年 http://www.lrc.ky.gov/record/14RS/hb130.htm
MA マサチューセッツ 審議中 性的写真等の許可なしでの配信の禁止 H.B.3924, 2013-2014年 https://malegislature.gov/Bills/188/House/H3924
MI ミシガン 審議中 他人を脅す目的等での性的写真等の許可なしでの配信の禁止 S.B.924, 2014年 http://www.legislature.mi.gov/%28S%28w3tfewvony5hxvgq0cgfnj1w%29%29/mileg.aspx?page=GetObject&objectname=2014-SB-0924
MO ミズーリ 非成立、延期 リベンジポルノへの犯罪規定 H.B.1203, 2014年 http://www.house.mo.gov/billsummary.aspx?bill=HB1203&year=2014&code=R
NJ ニュージャージー 審議中 特定の状況下での配信に対してのプライバシー侵害規定の拡大適用 S793, 2014-2015年 http://www.njleg.state.nj.us/bills/BillsByNumber.asp
NM ニューメキシコ 非成立、延期 リベンジポルノへの犯罪規定 H.B.238 http://www.nmlegis.gov/lcs/legislation.aspx?Chamber=H&LegType=B&LegNo=238&year=14
RI ロードアイランド 非成立 現行の法律にインターネット上での行為に関しての規定を追加 H.B.5570, 2013年  H.B.7382, 2014年 http://status.rilin.state.ri.us/
SC サウスカロライナ 非成立、延期 性的写真等の許可なしでの配信の禁止と刑罰規定 H.B.4809, 2013-2014年 http://www.scstatehouse.gov/billsearch.php
TN テネシー 非成立、延期 性的写真等の許可なしでの配信の禁止と刑罰規定 H.B.2098, 2013-2014年 http://openstates.org/tn/bills/108/HB2098/
TX テキサス 審議中 2014年12月に法案として提案され、審議中 H.B.496, 2014年 http://openstates.org/tx/bills/84/HB496/
VT バーモント 延期 性的写真等の許可なしでの配信の禁 H.B.714, 2013-2014年 http://legislature.vermont.gov/bill/status/2014/H.714
WA ワシントン 非成立、延期 性的写真等の許可なしでの配信の禁止 H.B.2250/2257, 2014年 http://apps.leg.wa.gov/billinfo/summary.aspx?year=2013&bill=2250#history http://apps.leg.wa.gov/billinfo/summary.aspx?bill=2257&year=2013

   (出典: 各州ウェブサイト等から作成96

非成立となった州等での課題等としては、性的な写真やビデオを許可なしに配信する以前の問題として、それらを撮らせた事自体に問題があるのでは、という議論もある。

反リベンジポルノや法案化等を推進している民間団体としては、以下のような団体がある。

(a) サイバー市民権イニシアティブ(Cyber Civil Rights Initiative:CCRI: http://www.cybercivilrights.org)

2012年にリベンジポルノの被害者でもあるホリー・ジェイコブ(Holly Jacobs)によって設立された非営利団体。自身がリベンジポルノの被害にあった際に、警察やFBI等からの手助けを得ようと様々な努力をせざるを得なかった体験等から、リベンジポルノの法制化、一般への周知活動、被害者への情報提供や支援を目的として設立。周知活動として、ヌード写真等を持っていた場合、どのように扱えばいいのか等に対してのフローチャートやエンド・リベンジ・ポルノ(End Revenge Porn)のウェブサイト(http://www.endrevengeporn.org)を提供している。

図 52 ヌード写真の取扱に関してのフローチャート97

(出典: CCRI)

(b) エンド・オブ・サイバーブリング(End of Cyber Bullying:ETCB:http://www.endcyberbullying.org/)

2011年にネットいじめの撲滅、子供、両親等関係者への情報提供等を目的として設立された非営利団体。ネットいじめの中にリベンジポルノも含まれており、ウェブサイトではそれらの事例紹介等も行われている。

(c) ウィズアウト・マイ・コンセント(Without My Consent: http://www.withoutmyconsent.org)

オンライン上のリベンジポルノを含むプライバシー侵害と戦うことを目的とした非営利団体。2011年に設立され、カリフォルニア大学バークレー校、法律・技術公共政策大学院やスタンフォード大学インターネット・社会センター等からの支援も得ている。アドバイザーとして大学教授や弁護士等が協力している。被害者支援として情報提供やカウンセリング等が受けられる団体等の紹介を行っている。

カ ウェブサイト運営者等が青少年による有害情報の閲覧を制限する措置等を取った場合における民事責任

基本的に合衆国憲法修正第1条、言論の自由を尊重することから、ウェブサイト運営者は、違法や有害情報の存在に関しての通報義務があるだけで、コンテンツに対しての法的責任を取らされることはない98。しかしながら前述したようにインターネットの「中立性」に対しての議論もでてきており、今後何らかの動きが出てくる可能性は否定できない。

なお、通報義務の規定は、「1998年性的犯罪者からの児童保護法(Protection of Children from Sexual Predators Act of 1998)」により、インターネットプロバイダーは、違法な児童ポルノを発見した際には、警察又は全米失踪・非搾取児童センター(NCMEC)に通報する義務があるとされている。ただし、それを違法ウェブサイトとして強制的に閉鎖したりする義務はないとされており、その点は自主規制に任されている。

キ 現在検討中の青少年のネット利用環境に関する新しい政策・規制とその背景

前述したように、現在、各州で積極的に法制化が進んでいるのは、リベンジポルノ関連法案である。2015年1月1日時点で14州(アリゾナ、カリフォルニア、コロラド、デラウェア、アイダホ、イリノイ、ハワイ、ジョージア、メリーランド、ニューヨーク、ペンシルベニア、ユタ、バージニア、ウィスコンシン)において法案が成立しており、ワシントンDC、マサチューセッツ、ミシガン、ニュージャージー、テキサスの5州で審議中である。刑法の拡大解釈として法制化している州、新しい法律として制定している州等様々であるが、その定義をどうするかの議論、そもそもそういった性的写真や動画を撮らせたこと自体に責任があるではといった議論、また、言論の自由に反するといった議論等、法制化が進み、実際にその法令違反での逮捕者等が出始めている状況下、その運用等を巡って様々な課題もでてきている。

これも前述したが、2014年5月の欧州連合(EU)司法裁判所における「忘れられる権利 (Right to be forgotten)」の裁定のアメリカでの影響がどうなるのか、また関連すること項として、カリフォルニア州で2013年9月に承認され、2015年初頭から実施予定の「消しゴム法(eraser law)」(S.B.568)の運用実務の状況、更に他州への波及度合いも、今後注視していく必要がある。