平成26年度アメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリアにおける青少年のインターネット環境整備状況等調査
平成27年3月 内閣府

第1章 アメリカ

3 青少年のインターネット利用環境に関する公的機関及び民間企業の取組み

(2) インターネット上の違法・有害情報に対するフィルタリング等の閲覧防止策

ア 閲覧防止策の動向

これまでのパソコンや携帯電話上のフィルタリング、ブロッキングソフトウェアはコンテンツ自体を見せないように物理的に遮断するものであったが、最近、子供の安全やSNS上での活動をモニタリングするために両親が携帯を積極的に活用するといった手法(アプリ)も出てきている。

例えば、My Mobile Watching(アンドロイド、iOS用アプリ)は、月4.95ドルで利用でき、両親が携帯電話の利用時間制限を設定することや、子供の通話記録、送受信した携帯メールのメッセージの確認と共に、物理的にどこにいるのかをGPSで追跡することができる。

図 53 My Mobile Watchingのモニタリング画面例

(出典:tomsguide.com)

また、MM Guardian(アンドロイド用アプリ)は、月3.99ドルで利用でき、両親による携帯電話の使用時間制限、子供の携帯電話の位置確認や使用ロック、携帯メールのメッセージのモニタリング、アプリコントロール等が可能なアプリである。

図 54 MM Guardianのモニタリング画面例

(出典:tomsguide.com)

Mama Bear(アンドロイド、iOS用アプリ: http://mamabearapp.com/)は、様々なペアレンタル・コントールが設定できるアプリである。子供の居場所確認、子供が制限速度以内で車を運転しているかのチェック、いつ新しいアプリをダウンロードしたかということや、禁止している言葉を含むテキスト、もしくは写真をアップロードしたか等がチェックできるようになっている。

図 55 Mama Bearのモニタリング画面例

(出典:tomsguide.com)

Googleの提供しているGmailは一般的には13歳以下の子供は利用不可となっているが、tocomail(https://tocomail.com/)は、その年代の子供でも安全にGmailが活用できるようなアプリを提供している。ペアレンタル・コントロール(オプション)として、親が承認した安全なコンタクト先の設定、承認されていないコンタクトからのメールを制限されたメールボックスで受信し、親の許可なしでは子供が見られないような設定(それらのメールを親のメールアカウントに転送する設定も可能)を提供している。

図 56 Tocomailの画面例

(出典:http://techcrunch.com)

一方、親が強制的に子供と連絡をとれるようなアプリも出てきている99。携帯アプリであるIgnore NoMore (http://ignorenomoreapp.com/)は、親が子供の携帯に電話した際に出なかった場合、携帯電話がロックされ、通話はもちろん、携帯メールのメッセージ、ゲーム等全てが使えなくなる機能が付いている。子供は携帯電話を再度使える様にするためには、親に電話をかけ直すか、緊急連絡先に連絡しないと解除されない仕組みとなっている(警察への通報であるダイアル911はいつでも可能)。

図 57 Igonore No Moreの画面例

(出典:同社ウェブサイトより)

イ 行政措置

行政が関与しているフィルタリング・ブロッキングとしては、2000年児童インターネット保護法(Children’s Internet Protection Act of 2000)により、学校や図書館がE-Rateと呼ばれるフィルタリングに関しての認証を受けていない限り、インターネット接続への補助が受けられないというものがある。ブロックの対象となるのは、猥褻、児童ポルノ、未成年者に有害なコンテンツである。E-Rateの認証と共に、学校はインターネットの安全確保についての学校としてのポリシーの設定(どのようにモニタリングするかも含めて)、更にネットいじめ等に関しての教育プログラムの提供が必要とされている100

州政府レベルでは、26州が公立の学校や図書館にフィルタリング等を求める法律を制定している101

表 20 各州におけるフィルタリング、ブロッキング、ポリシー制定法律制定状況
学校への適用 図書館への適用
アリゾナ
アーカンソー
カリフォルニア
コロラド
デラウェア
ジョージア
アイダホ
インディアナ
アイオワ
カンザス
ケンタッキー
ルイジアナ
メリーランド
マサチューセッツ
ミシガン
ミネソタ
ミズーリ
ニューハンプシャー
ニューヨーク
オハイオ
ペンシルベニア
サウスダコタ
サウスカロライナ
テネシー
ユタ
バージニア

(出典:NCSL)

(3) インターネット上の情報の分類(レイティング・ゾーニング等)

テレビや映画のコンテンツには一般的に広く知られているアメリカ映画協会(Motion Picture Association of America)のレイティング・システムがある(右図参照)。インターネット上のコンテンツにも、自主的なレイティング等があるが、コンテンツの幅広さや種類の多さ等も相まって、明確に認知され、普及しているとはいえないのが現状である。

インターネット上のコンテンツへのレイティング・システムとして、非営利団体のインターネット・コンテンツ・レイティング協会がアメリカンオンライン(AOL)、Microsoft等の業界企業とも協力して、ヌード、セックス、言語、暴力といったレイティングを設定していたが、2010年に廃止された。同協会はFamily Online Safety Institute(FOSI)として子供がインターネットを安全に活用できるように調査、周知活動等を継続して行っている。

その他のレイティング・システムとして、以下のようなものがある。

 ■RTA

1996年に設立された非営利団体であるAssociation of Sites Advocating Child Protection (ASACP)102は、児童ポルノ等の撲滅を目的としており、そのために相談ホットラインの提供や、周知活動等を行っている。その中の一環として、親がオンライン上で子供に見せるのがふさわしくない内容のコンテンツかどうかを見極める判断指標として、独自にRTA (Restricted to Adults)というラベルをウェブサイトに表示できるしくみを提供している。このラベルを付与することを義務付けている法律はなく、業界の自主的な取組みである。しかし、業界としてそういった取組みを自ら率先して実施しているということも必要ということで、ウェブサイト運営者(主にアダルトコンテンツウェブサイト運営者)に自主的なラベリングを勧めている。ウェブサイト運営者は、必要なコードをコピーしてウェブサイトに埋め込むだけでラベルが表示され、それらはすでに多くのフィルタリングソフトにも認識されているので、コンピュータがフィルタリングされていれば自動的にそのコンテンツの表示は制限されるようになっている。このラベルを認識するフィルタリングソフトウェアやサービスの例として、AOL.com、Apple、AT&T、BluePrint Data、CleanInternet.com、ContentProtect、CSWeb、Cyber Sentinel、DansGardian、FamiLink、FilterGate、iShield、iShield Plus、Kidsnet、Microsoft、Net Nanny、Netsweeper、OnlineSafetyPAL、OnlineSafetyShield、ParentalControl Bar、ScreenShield、SmoothWall、Sprint社、SurfSafely.com、Verizon社等がある。実際にどのくらいのウェブサイトがこのラベルを適用しているかは不明。

 ■セーフ・サーフ(Safe Surf: http://www.safesurf.com/)

子供がポルノ等のコンテンツにアクセすることを懸念し、1995年に設立され、自主的なレイティングであるSafeSurf Ratingを提供している。ウェブサイト運営者は、同団体のウェブ上にある登録フォームのメニューの中から、自分のコンテンツの内容に応じた選択をすると、登録されたというラベルをウェブに貼り付けることができるようになる。2005年以降、特に活発に活動を行っているような様子はなく、実際にどのくらいのウェブサイトがこのラベルを適用しているかは不明である。

 ■ESRB

ゲームソフトでは、エンターテイメント・ソフトウエア・レイティング・ボード(Entertainment Software Rating Board :ESRB)のレイティングがあり、適切な年齢区分(全年齢対象から大人のみ対象のものまで7種類)、内容区分(血や暴力の描写あり、ヌードあり、乱暴な言葉使い有り等30種類)、更に、インタラクティブ性(他人と情報を共有するか等3種類)という3種類で区分している103。どのゲームがどのレイティングになっているかは、携帯電話等アプリから検索できるようになっている104。しかし、GoogleはGoogle アプリ用に独自のレイティング・システム105を持っており、アプリ開発者には、それを活用して自らレイティング情報をアプリに埋め込むことを求めている。

図 58 ESRB年齢区分によるレイティング

図 59 ESRB内容区分によるレイティング

図 60 ESRBのインタラクティブ区分によるレイティング 

(出典:ESRB)