平成26年度アメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリアにおける青少年のインターネット環境整備状況等調査
平成27年3月 内閣府

第2部 調査の結果

第2章 イギリス

2 青少年のインターネット利用環境に関する世論

(1) 青少年のインターネット利用に関しての最近のトピック

警察による児童への性的犯罪の大規模な捜査及び逮捕がこの数年行われており375、2014年7月には、660人の容疑者が逮捕された376。これらは、ギャングによる商業的な目的での組織的性的児童虐待と深い関係がある。これらの犯罪は、インターネット等を利用し国内だけに留まらず海外とも関連する事から、IWFやCEOP等の関係機関は、捜査にあたっては、国際的な捜査機関等と連携を取り、性的児童虐待の予防を行なっている377

組織的性的児童犯罪にはグルーミングという性的目的で、児童へ接触し信頼関係を築いた後、児童虐待が行われている。グルーミングは社会的に弱い立場にある青少年を対象に行われており、被害者の性的虐待の意識が薄い場合もある。また、自主的に自分のいかがわしい画像を作り交換するセクスティングは青少年の間で常例化している378。それに伴いセクスティングの素材が児童虐待に利用される犯罪ケースや、いじめも横行し始めている。セクスティングを行う子供の間で性的あるいは差別的犯罪の被害者あるいは加害者である意識が薄い場合が見られる。

グルーミング、セクスティングや、ネットいじめがエスカレートして、青少年が強要されてあるいは、悲観して自傷行為及び自殺を図るケースも見られる379。携帯電話でのインターネット利用やSNSの利用増加に伴い、セクスティングやネットいじめの通報が増えており、CEOP は2012年、2013年に月平均1,600件、年合計18,887 件の通報を受けた。2012年に受けた通報の内21.2% は、セクスティングに関する通報であった。オンライン上での脅迫事件も増えており、2013年までの2年間で国内の184人の児童がオンライン上の性的目的の脅迫の被害者となっている380

また、SNSや携帯メールのメッセージの普及に伴い新しい犯罪が起きており、2012年から世界的にリベンジポルノの被害が出てきている381。イギリスではネットいじめやリベンジポルノは著名人にも被害が及び法的対策を求める声が出ている。これらの犯罪においては加害者の意識が低い場合があり、特に加害者である青少年が受ける社会的制裁について懸念の声も出ている382

国家犯罪局によると、オンライン上の性的児童犯罪に匿名ウェブサイトが利用され、性的犯罪者はトーア・ブラウザー(Tor Browser)等の技術を利用した匿名ウェブサイトを利用している383と報告している。また、IWFの2013年の報告でも有害コンテンツのホスティングサイトの場所を隠す「隠されたサービス(hidden service)」のケースを挙げている。この方法により子供の性的虐待の画像が未発見のまま大量に配布されている。IWFはこれらのウェブサイトをINHOPEにも通達しているが、国際的なネットワークのデータベースに載っても、ホスティング国の確定ができない。2013年だけでこのサービスを利用した性的児童虐待のケースが36件あった384

2013年6月のCEOPによる「性的児童虐待の脅迫度報告書(Threat Assessment of Child Sexual Exploitation and Abuse)」報告書385 の中で、CEOPのピーター・ディビス(Peter Davies)は国内で、約50,000人の性的児童虐の加害者がいると報告している。その範囲は「子供のいかがわしい画像」の所有から深刻なものまであるが、これらの犯罪者はインターネットの検索を利用するより、ピア・トゥ・ピア(peer-to-peer )ネットワークを利用することが圧倒的に多い。トーア(Tor)あるいはオニオンルーター(Onion Router )等と呼ばれる「隠れたインターネット」を利用する犯罪者は思ったより少人数であると報告している386

CEOPは、2013年2月にバーミンガム大学と行なった調査報告書にて、オンライン上でグルーミングによる性的犯罪の傾向について、いくつかの要素が重なって青少年をこれらの犯罪の被害者になりやすくしていると警告をしている387。犯罪者は一度に何百人もの児童に性的欲求からオンライン上で接触し、それがエスカレートして脅迫へとなっていくケースが多い。オンライン上で性的行為を行なった児童は、恥ずかしさから自己を失い、自殺に至る事もある。インターネットの頻繁なアクセスを考慮すると、オフラインより、オンライン上の方が、これら性犯罪者の罠に子供がはまりやすくなっている388

犯罪等に巻き込まれる主な要素として、以下のことがあげられる。

  • 個人的な問題:自信がない、自分の性や孤独感に混乱している。
  • 社会的孤立感:家族や友人からの支援が少なくない上に、学校での問題や学校に不満を感じている。
  • 家族の問題等を持った上に、オンライン上での活動に保護者の監督及び介入が足りない。

性的児童犯罪者のグルーミング及び接触に対して、これらの要素を持った青少年はリスクがあっても接触を取り関与していってしまうことがある。保護者・監督者との会話及びオンライン活動への監督がこれらの青少年をグルーミングから保護することができる上に、犯罪者の使う罠にはまりにくくさせる 。389

17歳のダニエル・ペリーがセクスティングの結果、脅迫され自殺を行なった事件において、スコットランドの青少年大臣であるエイリーン・キャンベルは「絶対に許されない行為である」と発言した。これらの犯罪を取り締まる法はあるとしても、オンラインでのいじめの通報をより簡単にすると共に、保護者や大人のインターネット利用の教育の必要があると発言している390

2004年よりオンライン上の青少年の自殺予防のキャンペーンを行なってきたチャリティー団体であるパピラス(PAPYRUS Prevention of Young Suicide)は、ポルノ、ネットいじめ等に比べて、オンライン上の自殺助長に対する対策への世論が少ないと唱えている。青少年は特に情報の入手場所として、インターネットを利用する傾向があり、自殺を助長するウェブサイトやチャットルーム等に影響を受けやすい。政府は自殺の助長及び援助に対する法令について明確にしているが、オンライン上の自殺の援助についての刑事責任については明確にしてない。ISPはこれらの自殺の助長援助のウェブサイトやチャットルームをブロッキングするべきであるとしている。更に、保護者は、ペアレンタル・コントロールにて自殺のウェブサイトを選択できるようにすべきであり、IWF及びCEOPは、これらのウェブサイトを対象項目とするべきであるといっている。2013年の首相のISPによる有害コンテンツの自動フィルタリングの普及策に自殺を含めてほしいとの要望書を2013年に政府に提出している391

(2) 青少年のインターネット利用環境の法的規制に対する世論の動向
ア 政府の動向

2013年7月22日にキャメロン首相は、警察機関、ISP及び検索エンジン事業者等関連機関と連携して行うオンライン上のポルノ対策やインターネットでの子供の安全利用に関する政府の政策について、スピーチを行った392。また、政府は、2013年11月18日に、インターネット安全サミット(internet safety summit)を首相官邸にて行い、ISP、警察機関、検索エンジン事業者を集めてオンラインでの有害なコンテンツから児童を守るための対策について違法コンテンツのブロッキングも含めて話し合った393。これら違法コンテンツの取締りとして、政府は新しい捜査機関(NCA)を立ち上げ、児童の保護を目的とした特別な訓練を受けた捜査員4,000人以上の導入を行っている。また、2013年7月に、ISPと行われたネットワーク上の有害コンテンツのブロッキング政策や、検索エンジンにおいての違法コンテンツのブロッキングの対応等を、インターネット市場95%を占めるGoogle及びMicrosoftの二社に求めて、7月からこれらの対策も進んでいると発表した。更に、2013年12月に、イギリスとアメリカの警察機関の間で、児童ポルノに関するタスクフォースを設立することで同意した394。イギリスの捜査当局であるCEOP(NCA)とアメリカのFBI及び国土安全保障調査局(Homeland Security Investigations:HSI)がタスクフォースのメンバーとなり、国を超えた性的児童虐待の犯罪捜査を行い、海外ホスティングを利用した犯罪の削減を行うと発表した。

児童性犯罪撲滅への法令整備も行われており、2014年6月にはオンライン上も含む性的児童犯罪に関わる重大犯罪法案(Serious Crime Bill)が議会に提出され、これが法制化されれば児童法の改正となり、また、NCAも含む捜査機関が更にスピード化し円滑に行われる様になると政府は発表している395。2014年7月には、ISP等に利用者のインターネット・携帯電話等の通信上のデータの保持を義務付けるデータ保持及び捜査権限法(Data Retention and Investigation Powers Act)を制定した。

イ 捜査機関の動向

キャメロン首相のインターネット上の児童保護政策の一つとして、2013年7月に発表された新しい捜査機関(NCA)が、2013年10月に設立された。これ以前にインターネット上の児童保護対策を行なっていたCEOPは、この捜査機関の一部となり、捜査力を広げることとなった。NCAの設立から1ヶ月の間に、24名が「子供のいかがわしい画像の配布」を行なったとして逮捕されている。2014年7月には、660人の児童性愛者の大規模な逮捕が行われた396。また、2013年末に同意されたアメリカとイギリスの検察機関によるタスクフォースにより児童ポルノに関する捜査は進み、2014年初めには、すでにイギリスでの逮捕に結びつく事例も出てきている。アメリカの性的児童虐待の捜査を行なっているHIS(Homeland Security Investigation)は、2013年に4,000件のオンライン上の性的児童虐待の捜査を行い、その捜査方法等の情報をイギリスの捜査機関と共有している397。更に、CEOPはこれら児童への性的犯罪の取締りだけでなく、シンクUknow(ThinkUknow)プログラムによって、児童や保護者へのインターネット安全利用の教育を行なっている。このプログラムにより、1年間で260万人の児童がインターネット安全利用のレッスンを受けた398。 CEOPは、児童保護の規制については現在の法令で十分との見解を示しているが、政府はインターネット利用における児童保護の法令の一本化を行い、関連機関により明確な規制の定義を示したほうが良いと提案している。インターネット上の児童虐待において、2003年通信法では、インターネット上の規制について定義されていない。サイバー犯罪国際条約において、イギリスは、ブダペスト条約(Budapest Convention)に批准しているが、ランサローテ条約(Lanzarote Convention)の批准の予定を政府は明確にしてないとして、その必要性をCEOPはうったえている399

ウ チャリティー団体の動向

IWFは、イギリス児童インターネット安全委員会(The UK Council for Child Internet Safety: UKCCIS400)のメンバーとして政府への助言及びインターネット上の児童保護対策の政策に関わると共に、捜査機関のCEOPとの連携を強め、また、2013年にはChildline等の他のチャリティー団体との連携を行うことを発表した。これにより、今までの通報された有害コンテンツの削除対策から、更に自主的に、これらのウェブサイトを捜査する予防対策を行なっていくことしている。また、政府からの150万ポンド予算導入により、通報された画像等の分析担当員を増員し、対応時間の短縮を行なっている401

IWFは、オンライン上にすでに出回っている有害ウェブサイトの対策として、「削除通知」により、有害ウェブサイトへの対策を行っている。IWFは、2013年に通知が発行されてからウェブサイトの削除までに要した時間は、イギリス内でホスティングされている有害ウェブサイトの47%が60分以内に削除され、120分以内に約60%の有害ウェブサイトの削除が行われていると発表している402

図 120 国内ホスティングの性的児童虐待ウェブサイトの削除時間(削除通知発行からの時間)(単位:%)

(出典:IWF)

IWFは、海外でホスティングされている有害ウェブサイト削除を国際ネットワークを通して行なっており403、有害ウェブサイトの通知から削除までにかかる時間(日数)を世界的にみると、北アメリカや他の地域に比べてヨーロッパでは削除が短期間で行われている404

図 121 性的児童虐待コンテンツの削除の世界的傾向(地域別削除時間の推移)

(出典:IWF)

国際ネットワークにおいて、IWFは2013年にはヨーロッパ・オンライン児童・性的搾取対抗同盟(European Financial Coalition against Commercial Sexual Exploitation of Children Online:EFC)のメンバーとなり、INHOPE405及び子供への新しい窓(Child Rights Connect Opens in New Window :CRC406)のメンバーとして国際ネットワークでの保護活動を行なっている407
エ ISP事業業界の動向

政府は、2013年からISPによるネットワーク上のコントロール強化を推し進めており、BT社、Talktalk社、Virgin Media社とSky社の四社は、2013年7月に政府の方針に基づいたISPにおける児童保護に基づく自主規制の行動規範に同意した408。これはペアレンタル・コントロールによるネットワーク上のフィルタリングを2013年末までに新規契約者に提供することを合意したものである。2013年7月以前に、すでに家庭用インターネット利用において、オプションとしてフィルタリングを提供していたTalktalk社、BT社及びSky社は政府の提示した期日までに、Virgin Media社は、2014年2月までにサービス開始を行い、全四社がペアレンタル・コントロールの提供を始めた。また、これら四社は、インターネット安全キャンペーンに2,500万ポンドを投資し、今後3年間に多くの保護者に対してフィルタリングの利用方法等、子供のインターネットの安全利用法の教育を行っていくと発表した。2014年5月に、これらISPは、インターネット・マターズ(Internet Matters409)というキャンペーンウェブサイトを開設した。また、ISPは、2013年11月の政府の子供のインターネットの安全利用の普及策への回答として2014年末までに、2,000万件のインターネット利用を行なっている家庭において家庭用フィルタリングのサービスを提供するとし、新規契約者におけるペアレンタル・コントロールの選択の提供から、既存契約者に向けてファミリーフレンドリーフィルターの普及活動をはじめている410

オ 携帯電話事業者・公共Wi-Fi事業者、公共な場所での動向

ISPに先駆けて、携帯電話事業者は、2009年からオンラインでのコンテンツの自主規制を行なっている。2009年6月に、T-mobile社とOrangeのブランドを持つEE社、更にO2社、3社、Vodafone社、Virgin Media社は、自主規制行動規範(UK code of practice for the self-regulation of new forms of content on mobiles)に同意している411。これによりEE社、O2社、3社及びVodafone社、更にこれらのネットワークを利用する仮想移動体通信事業者は、全て成人向けコンテンツのフィルタリングを提供している。これらは、月極契約及びトップアップ式のPAYG(Pay as you go)の両方の利用者に無料で提供されており、初期設定あるいは契約後でも設定できる。コンテンツの審査は、独立モバイル格付け団体(Independent Mobile Classification Body:IMCB)の作成したフィルタリング枠組みにより審査がなされていたが、IMCBは2013年に、全英映像等級審査機構(British Board of Film Classification:BBFC)を指定し、現在はBBFCによって審査が行われている。また、BBFCの適正年齢レイティングにより、携帯電話のコンテンツも規制されている412。更に、O2、Virgin Media社、Sky社、Nomad、BT社及びArqiva といった、イギリスのWi-Fi拠点の90%を占めるWi-Fi提供事業は、子供のいそうな場所でのWiFiへのフィルタリング自動設定を行なっている413。青少年に人気のファーストフード店や店舗、ロンドン市内の地下鉄等の公共サービスでも、自主規制を行うネットワークに参加し始めている414

カ オンデマンド業界の動向

通信法により、配信されるプラットフォームに関係なく、オンデマンド番組サービス(On-Demand Programme Services:ODPS)は、オンデマンドテレビ規制局(The Authority for Television On Demand:ATVOD)から、規制機関であるOfcomに事前登録を行うように規制されている415。ODPSのコンテンツは、オーディオビジュアルメディアサービス指令(Audio Visual Media Services Directive:AVMS)(2003年通信法4A)に基づき、最適基準を満たすことを義務付けられている。2009年12月及び2010年3月に発行されたオーディオビジュアルメディアサービス規則(Audiovisual Media Services Regulations)により、通信法の改正及びAVMSの執行が行われたことから、ATVODはODPSの登録義務を記載したこの規制におけるガイダンスを2014年2月に発行した。これには「青少年の肉体的、精神的育成に障害を与える内容」については、18歳以上のみ視聴可能とする年齢等の規制があり416、18歳以上と格付けされたコンテンツの閲覧には運転免許証等身分証明書により、購入する前に確認を行うことを必要とする417

ATVODは、2014年7月の年次報告書で、国内の20のウェブサイトで過激なポルノの配信が行われていたと報告し、これらのウェブサイトは、子供によるウェブサイトへのアクセスを許可していたことからOfcomにより処分されたと報告した418。過激なポルノの配信は、海外でのホスティングも多く、取締りの難しさが問題となっている。2014年3月に発表された年次報告書では、欧州内でも年齢制限によるコンテンツの規制に対する姿勢が違い、ATVODの基準に達していない場合があると指摘している。 ATVODは、政府に対し、海外でホスティングされているウェブサイトによる配信の規制に関する対策を求めている419

キ 検索エンジン事業者の動向

2013年の7月に発表されたキャメロン首相によるインターネット上の児童保護の政策に呼応し、検索エンジンサービス提供者であるMicrosoft及びGoogleは、2013年11月からの検索エンジンのアルゴリズムの変更により子供の性的虐待の検索に対する児童ポルノの画像・動画の表示を阻止することに同意した。Googleはこれを6ヶ月以内に行い、157ヶ国語で実施される。また、捜査機関に技術協力を行い、有害コンテンツの検索削除における新しい技術の開発や、フィルタリングの知識や技術を持つ専門技術者を、警察機関へ派遣している。Googleのこれらの対策により、性的犯罪コンテンツの表示等が20%減少した420

政府が推し進めている事業者によるペアレンタル・コントロールの設定政策について、国営放送局のBBCが、子供の保護団体及び著名人から、意見の聞き取り調査421を行なったところ、多くが、政府による規制より先に保護者や子供の性教育を含むインターネットの安全利用の教育が必要であると答えている。また、インターネットの安全利用のキャンペーンを行なっているファミリー・オンライン・セーフティ研究所(Family Online Safety Institute:FOSI)は、子供のインターネット安全利用キャンペーンの一部としてイギリス政府が推進しているインターネットのフィルタリングの普及にどれだけの効果があるのか懸念を持つとし、教育が一番必要であると述べた422

表 58 ペアレンタル・コントロールに関する民間人及び民間団体の意見 423
団体名・個人名 賛成/反対する理由 提案
Nick Pickles市民団体 Big Brother Watch 自動ブロッキングは犯罪者の捜査を難しくするだけで反対する。 教育が一番の方法である。
Andrea Leadsom 議員 保護者による対策だけでは充分でない。ISPによる先導が必要である。 オンライン上の用語の紹介は業界の構造を変えるが、BBFCやOfcom、Watershedのような監督機関がある。これらの様なドメインレベルでのレイティングが必要である。
Jim Killock公開権利の市民団体Open Rights Group 国による子供の閲覧するウェブサイトのセンサーは良くないし無駄である。キーワードでの有害コンテンツの排除は大きな落とし穴がある。インターネット上で取り交わされているファイルは暗号化されているためネットワーク上でのコントロールは難しい。すでに多くのウェブサイトはフィルタリングを回避するために暗号を使っている。携帯電話でのフィルタリングはすでに利用されているが、ポルノはいまだに閲覧できる。もし実際にこれらフィルタリングが有効であったら、大人は閲覧したいほとんどのウェブサイトがブロックされて、結局コントロールをオフにすることだろう。 保護者による監視が一番必要である。家庭でのインターネット機器にソフトをインストールする等の予防対処を行う必要がある。保護者の教育により子供はホワイトリストやブラックリストを利用した閲覧するウェブサイトの選択をするべきである。
Reg Bailey Mothers Union 2011年ベイリー報告書著者 自動的なコントロールによって保護者が間違った安心感を持つ事を防ぐべきである。保護者が自主的に選べるアクティブチョイスの方が良いと思う。この方法によって保護者と子供がインターネットの安全利用について話し合う事ができる。 音楽ビデオにも適正年齢レイティングの導入をするべきである。
Brooke MagnantiSex Myth and Belle de Jourの著者 インターネット上だけでく、女性雑誌も含めて子供に間違った性の考えをもたせる素材が氾濫している。子供の性教育を含むモラルについての教育は家庭で保護者が行うべきで、政治家による自動的なブロッキングは良くない。 家庭での性教育を含むインターネットの安全利用についての保護者と子供の話し合いが重要である。
Justine Robert保護者団体 Mumsnet 保護者がペアレンタル・コントロール等のツールがあれば、ポルノの話等有害コンテンツの話をしないですむと思ったら危険である。フィルタリングの自主的な選択の方法は保護者と子供がインターネットの安全利用について議論できる。 大切なのは保護者と子供の会話である。Google安全検索もいいツールだと思うが、Googleがもっと普及しやすくするといいと思う。
Sonia Livingstone 社会心理学学者ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス アクティブチョイスの選択が一番の対策 。ウィルスやスパムの対策と同じに利用者が自信を持って対処できるように普及されていくことが大切。自動的なブロッキングは必要でない。 保護者や教育者によってポルノについて子供たと話しあうことが大切。PHSEの授業がインターネットポルノについて議論するいい場だと思う。
Julie Bindel女性運動活動家・作家 政府によるポルノの自動的なブロッキングは必要でない。どのようなコンテンツが有害かを判断する基準が政府と個人では違う。 性的暴力への規制や女性虐待及び差別への規制は必要である。正しいポルノの理解が必要である。
Andrew Murray,法学部教授ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス 法的規制はいい選択でない。 セクスティング等保護者による子供のインターネット上の活動の監視が一番の対策である。
Johnny Anglaisポルノ俳優元教師 子供のポルノ鑑賞に対する法的規制は賛成する。 イギリスでのポルノの問題は保護者が子供に性の話を行わないことである。ポルノへの子供のアクセスをなくすために保護者の対応が一番重要である。

(出典:BBC News)

政府の方針に基づいたISP等によるペアレンタル・コントロールの導入に関して、保護者の反応をみると、多くの保護者は、オンライン上のペアレンタル・コントロールは効果的であり、子供はより安全であると考えている424。Ofcomの2013年の報告書によると、「設定したペアレンタル・コントロールは効果的である」及び「コントロールにより子供の安全性を確信している」がどうかを問うた聞き取り調査に対して、5歳?15歳の保護者の60%近くが、とても同意すると答えている。年齢層でみると、5歳から7歳の保護者(72%)と8歳から11歳の保護者(67%)は、12歳から15歳の保護者(55%)より同意する割合が多い。 2012年と2013年を比較してみても、その割合はほとんど変わらない425

図 122「設定したペアレンタル・コントロールは効果的である」
オンラインコントロールに同意する保護者の割合(2012年~2013年)426

(出典:Ofcom)

ペアレンタル・コントロールの効果については、すべての年齢層の保護者の過半数が同意している。年齢層でみると、5歳~7歳の保護者(73%)と8歳から11歳の保護者(70%)は、12歳から15歳の保護者(57%)より同意する傾向が高い。2012年に比べて、2013年では5歳から15歳の保護者は同意しないとする割合が1%から4%と増え、5歳から7歳の保護者も1%から5%に増えている。

図 123「コントロールにより子供の安全性を確信している427」 オンラインコントロールに賛成する保護者の割合(2012年~2013年)(単位:%)

(出典:Ofcom)

その反面、「(ペアレンタル)コントロールにより家族や子供のオンラインのアクセスが邪魔されている」というコメントへの回答においては、40%から50%近くの保護者が、「とても同意していない」と答えているが、「少し同意していない」と回答した割合を含めて全体的にみるとペアレンタル・コントロールにより、家庭でのオンラインアクセスが制限されていると思っている傾向があると、Ofcomはまとめている428

図 124「コントロールにより家族や子供のオンラインのアクセスが邪魔されている」
オンラインコントロールに賛成する保護者の割合(2012年~2013年)(単位:%)429

(出典:Ofcom)

「(ペアレンタル)コントロールにより子供のプライバシーが侵害されている」の回答には、全体的に多数の保護者が同意しないと答えている。この傾向は年齢層別及び社会経済層別に見てもあまり変化はない430

図 125 「コントロールにより子供のプライバシーが侵害されている」
オンラインコントロールに賛成する保護者の割合(2012年~2013年)(単位:%)431

(出典:Ofcom)

インターネット利用における保護者の課題意識として、3歳から15歳の子供の保護者への聞き取り調査では、5歳から15歳の子供の保護者の19%が、オンライン上で接する相手が誰かへの懸念、同様に、子供が利用するウェブサイトのコンテンツに16%が懸念していると回答している。オンライン上のコンテンツ及び子供が接触する相手について懸念する保護者の割合は、年齢、性別あるいは、社会経済層的での変わりはない432

図 126 オンライン上のコンテンツに対する保護者の懸念度(2011年~2013年)(単位:%)433

(出典:Ofcom )

保護者の懸念する一番の内容として、24%がネットいじめをあげており、続いてウィルスのダウンロード(23%)、個人情報の漏れ(23%)となっている。更に、19%はオンライン上で子供が接触する相手について懸念しており、子供がネットいじめの加害者になることについて14%、著作権のあるコンテンツの違法的アクセスや共有について12%が懸念すると答えている434

図 127 5歳~15歳の子供のインターネット利用についての保護者の懸念(2013年)(単位:%)435

(出典:Ofcom )

(3) 青少年のインターネット利用環境に対する保護者の動向(懸念、反応等)

ペアレンタル・コントロールに関して、BT社によると、携帯端末等の機器上のコントロールを選択する保護者数と、ネットワーク上のフィルタリングサービスを選択する保護者の数はほぼ変わらないとし、保護者にとってどちらの方法も価値があると思われている436

Ofcomは、ペアレンタル・コントロール等のツールへの保護者の理解や意識が低いのはインターネット等のテクノロジーに対する自信がない、また、インターネットの安全利用においてのペアレンタル・コントロールのもつ価値について日頃から考えていることが少ないことが理由ではないかとしている。保護者の意識は、「有害コンテンツ等の閲覧による子供へのダメージ等のインターネット上のリスク」より「子供がどのくらいの時間インターネットを利用しているか」等の子供の毎日のインターネット活動に向けられている。また、ペアレンタル・コントロールを設定した保護者においても、継続した対策を行なっていない場合がある437