平成26年度アメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリアにおける青少年のインターネット環境整備状況等調査
平成27年3月 内閣府

第2部 調査の結果

第2章 イギリス

3 青少年のインターネット利用環境に関する公的機関及び民間企業の取組み

(2) インターネット上の違法・有害情報に対するフィルタリング等の閲覧防止策
ア 閲覧防止策の動向

2013年7月にキャメロン首相は、オンライン上の児童保護及びポルノに対するスピーチを行い、有害ウェブサイトのブロッキングの必要性は、家庭でのインターネット利用だけでなく「子供が利用する」公共の場でも必要とし、Wi-Fi事業者に自主規制を求めた486。これに伴いUKCCISは、事業者に公共の場所での有害コンテンツのアクセス制限を行うよう指導、大手Wi-Fi事業者6社により、ネットワークの90%でこのフィルタリングが導入されていると政府は発表している487。また、商業施設での公共Wi-Fiのフィルタリングサービスの普及活動が開始されている。登録デジタル団体(Registered Digital Institute)により「Friendly Wi-Fi」という有害コンテンツのフィルタリングを奨励する公共Wi-Fiのライセンス制度が開始されている488。公共Wi-Fiを提供する商業施設は、この制度のメンバーとなり、施設内での有害ウェブサイトのブロッキングを行なっている。メンバーは施設や店舗に以下のマークを表示することができる。マクドナルドやスターバックス等がメンバーとなっている。

図 133 登録デジタル団体「Friendly Wi-Fi」登録ロゴ

機器タイプ別のペアレンタル・コントロールの設定の割合を見ると、家庭でのコンピュータには10人に4人の割合で何かのオンラインコントロールを設定している489。また、携帯でのオンライン利用に関しては、8歳~11歳の保護者の47%及び12歳~15歳の保護者の40%がこれを制限している490

図 134 機器タイプ別ペアレンタル・コントロールにおける年齢層別設定率(2013年)
(単位:%)491

(出典:Ofcom)

5歳から15歳に家庭でオンライン活動に一番利用されているパソコン・ラップトップ・ネットブックでのペアレンタル・コントロールの状況としては、年齢層に関わらず契約しているISPによるコントロールが多く利用されている。5歳から15歳の家庭では22%、3歳から4歳で21%がこのタイプのコントロールを設定している。3歳から4歳の保護者の7%と、5歳から15歳の保護者の10%は、「ペアレンタル・コントロールの設定がされているか不明」と回答しており、また、3歳から4歳の保護者の4%と5歳~15歳の保護者の6%が「タイプの不明なコントロール」と回答している492

図 135 年齢層別家庭で使うパソコン/ラップトップ/ネットブックに設定されたペアレ
ンタルコントロールのタイプ(2012年~2013年)(単位:%)493

(出典:Ofcom)

ゲームコンソールでのコントロールにおいて、ポータブル式機器と固定式機器を比べてみると、固定式で19%、ポータブル式で16%と、ポータブル式でのフィルタリングの利用の方が少ない。また、年齢層の低い方がペアレンタル・コントロールを設定している494。 2013年では、8歳~11歳がコントロールを固定式ゲーム機に設定している割合(26%)は他の年齢層より高い。3歳~4歳ではポータブル式のゲーム機での設定の方が20%と固定型のゲーム機の19%より高い。また、男子のほうが女子よりも固定型ゲーム機にペアレンタル・コントロールを設定している495

図 136 ゲームコンソールに設定したペアレンタル・コントロールの年齢層別利用率
(2013年)(単位:%)496

(出典:Ofcom)

Ofcomの年次調査によると、ペアレンタル・コントロールに対する保護者の認識がいくつかのレベルに分かれていることが報告されている。保護者が、ペアレンタル・コントロールがあることは認識しているが、その選択肢については理解が足りない場合と、ペアレンタル・コントロールを知らないか、理解していない場合があり497、ペアレンタル・コントロールに対する保護者の認識にギャップがある。一般的には、理解が高い保護者程、ペアレンタル・コントロールを利用している498

2012年のOfcomの調査によると、ペアレンタル・コントロールを設定した理由として、一番多いのが「購入した際すでに設定されていた」あるいは「セッティングアップの際に設定することを勧められた」と報告されている499。子供あるいは、知り合いが不適切なコンテンツを見た経験から設定したと答えているのは少数で、更に、少数が「念のために」と将来の対策として設定していると回答している。また、一度設定したら保護者はペアレンタル・コントロールの設定について忘れる傾向にあり、間違えてペアレンタル・コントロールをオフにした場合、アップデート後、あるいは子供がペアレンタル・コントロールの設置のされていない新しい機器、異なる機器等でインターネットにアクセスするようになる等、ペアレンタル・コントロールが十分でなくなる可能性が高い500

図 137 パソコン/ラップトップ/ネットブックにペアレンタル・コントロールを設定した理由(2012年~2013年)(単位:%)501

(出典:Ofcom)

ペアレンタル・コントロールに対する保護者の態度を見てみると、多くの保護者はペアレンタル・コントロールが効果的であり、コントロールの設定により子供はより安全であると考えている。「設定したペアレンタル・コントロールは効果的である」及び「コントロールにより子供の安全性を確信している」というコメントに同意した保護者の割合は、オンライン上でのコントロールでは64%、テレビでのコントロールは75%となり、オンライン上またテレビでのコントロール共に、保護者のペアレンタル・コントロールへの信頼度は全体的に高い502

図 138 オンライン及びテレビのペアレンタル・コントロールに対する5歳~15歳の子供の保護者の態度(2013年)(単位:%)503

(出典:Ofcom)

機器のタイプ別にみると、「設定したペアレンタル・コントロールは効果的である」及び「コントロールにより子供の安全性を確信している」に「とても同意する」と回答した割合は、テレビでの設定が一番多いが、ゲーム機、インターネット、携帯電話共に、「とても同意する」と回答した保護者の割合は高い504

図 139 機器別オンライン及びテレビのペアレンタル・コントロールに対する5歳~15歳の子供の保護者の態度(2013年)(単位:%)505

(出典:Ofcom)

Ofcomの報告書によるとタイプ別フィルタリングにおける動向は以下のとおりである506

(a) ネットワーク上でのフィルタリング

Ofcomによると、固定電話インターネット・サービス、携帯電話インターネット・サービス、Wi-Fiサービスで、いくつかの事業者がサービスを提供している。固定電話(家庭用電話)における事業者においてはTalktalk社が、定期契約のネットワークフィルタリングを用意しており、家庭で利用するすべての機器への有害ウェブサイトのフィルタリングを提供している。また、Sky社、BT社及びVirgin Media社は、2013年末までにネットワークフィルタリングの提供を開始している。携帯電話事業者では、EE社O2社、スリー(Three)社及びVodafone社と、これらのネットワークを利用する仮想移動体通信事業者が、初期設定及び契約によってフィルタリングを提供している。Wi-Fi提供事業のO2社、Virgin Media社、Sky社、Nomad、BT社及びArqiva社は、イギリスのWi-Fi拠点の90%を占めており、これらの事業者は、すでに契約によるフィルタリングの提供はしているが、将来「子供が利用しそうな場所」でのインターネットアクセス上のフィルタリングのサービスも提供する努力を行っている。

(b) 検索フィルタリングの現状

Googleを含む検索エンジンは、性的コンテンツを検索結果に載せない「安全検索オプション」を導入している。しかし、このフィルタリングを保護者が利用しても、パスワードによる安全検索オプションの固定はできないため、簡単にフィルタリングを利用しないで検索ができるようになってしまう。

(c) 消費者によるフィルタリングオプションの現状

インターネットにアクセスする各機器に、保護者がペアレンタル・コントロールのソフトを設定することができる。多くのコンピュータは、製造時フィルタリングツールを設定しており、また、多くのISPも、フィルタリングのソフトの無料ダウンロードを契約者に提供している。保護者が個別にフィルタリングソフトをダウンロードすることもできる。更に、Norton Antivirus等のコンピュータの一般的なセキュリティソフトや、Net Nanny等の児童のオンライン利用保護の一部として提供されている場合もある。これらの機器でのコントロールは個々に設定しなければないが、設定については複数のアカウントに異なるフィルタリングの設定ができ、保護者がコンテンツのカテゴリーによって柔軟に調整できるようになっている。

スマートフォン及びタブレットにおける消費者による機器フィルタリングは、もっと複雑であり、パソコンでのフィルタリングのようなツールは、現在提供されていない。これらの機器においては、アプリをダウンロードし、機器の利用規制とインターネット上のコンテンツの規制といった2つのコントロール設定をしないといけない。この2つの規制ができるソフトは販売されているが、パソコン向けより少ない。また、ゲーム機では、Netflix on Xbox, web browsing capabilities, Skype, Facebookといったゲームアプリが出まわっておりフィルタリングは更に複雑な問題を抱えている。

表 67 四大ISPによるペアレンタル・コントロールのフィルタリングサービス提供の詳細
ISP BT Sky TalkTalk Virgin Media
開始時期 2013年12月 2013年11月 2011年5月 2014年2月
初期設定時の画面

新契約者提供率 100% 100% 100% 35%
その他のフィルタリングのサービス BT Family Protection:個別にパソコン/ラップトップを保護したい場合
Family Protection and Net Protect Plus: 機器設定できるペアレンタル・コントロール
Broadband Shield service ペアレンタル・コントロール及びセキュリティコントロールが選択できる。
18歳未満オプション:機器レベルでの保護 McAfee Internet Security Suite (ペアレンタル・コントロール付き)契約後の定期契約により追加できる。
Super Safe Boost: 機器レベルのサービス、パソコン5台までにペアレンタル・コントロールを設定できる。 F-Secure Safe system:機器レベルで選べるペアレンタル・コントロール。
12ヶ月間無料
その他のフィルタリングの新契約者設定率507 5% 8% 36% 4%
カテゴリーレベル しい(Strict) 中程度(Moderate) 軽い(Light) PG
13
18
なし なし
カスタム化カテゴリー 16の「オプションのどれか」か「全部」を選択 10の「オプションのどれか」か「全部」を選択 9の「オプションのどれか」か「全部」を選択 カスタム化できない。
オーバーブロッキング及びカテゴリーの苦情通告方法 e-mail e-mailあるいはブロッキングページからのリンクボタン e-mailあるいはマイ・アカウント(My Account)のブロッキングページからのリンクボタン オンラインウェブページ

(出典:Ofcom 2014年7月報告書から作成)

注)BT社 によると9%の利用者はネットワークあるいは機器レベルの保護を選ぶ。その内約半数がネットワークフィルタリングを選ぶ。Virgin Media社によると新しい契約者の13% がフィルタリングオプションを選ぶ。その内の100%がVirus Safeを選び、 33% はChild Safe を選ぶため、4.3%の数字

(d) 子供によるブロッキングの傾向508

Ofcomの報告によると、12歳から15歳の子供のコンテンツのブロッキングについて、2012年と比較してみると、コンタクトを取りたくない相手からのメッセージのブロッキングの方法を知らないと答えた割合は、53%と前年の68%から減っている。しかし、ブロッキングを行なった割合も前年に比べて42%と10%減っている。更に、46%は、スパム等の迷惑メールのブロッキングの方法を知らないと答え、SNSプロファイルの設定を閲覧できる人数を減らすための設定の変更の方法(41%)、ポップアップ広告のブロッキング方法(40%)と共に、知っているのは半数に満たない。SNSプロフィールの設定の変更やポップアップ広告のブロックキング等の設定を行なっているのは25%以下になる。閲覧したウェブサイトの履歴の削除の方法については42%が知っており、19%は過去1年間で削除を行なっている。また、3人に1人(29%)が、ブラウザーのプライベート設定への変更の方法を知っているが、実際は12%しか行なっていない。オンラインのフィルタリングやコントロールの設定解除の方法を知っている割合は18%だが、過去1年で実際行なったのは6%に留まっている。インターネット上の情報を利用する自信をもつ子供の数は多いが、自分のSNSプロフィールの設定に対する考慮や欲しくないオンラインメッセージのブロッキングの方法についての知識は乏しく、オンライン上の安全対策についての子供のスキルは下がっている。

図 140 12歳~15歳における「安全」と「危険」オンライン対策の経験(2013年) (単位:%)509

(e) ISPによるブロッキング510

ベイリー報告書(Bailey Review)を受けて、2012年に政府はブロッキングに関する保護者及びインターネット・サービス事業者に対してヒアリング調査を行った。その結果に基づき、四大ISP(BT社、Talktalk社、Virgin Media社、Sky社)に対し、全ての新規契約者にフィルタリング機能を提供することを目的とした行動規範への同意を求めた。また、コンピュータ製造会社による新製品における初期設定時におけるフィルタリング機能の選択設定や、携帯電話製造会社及び公共Wi-Fi事業者による有害ウェブサイトのブロッキング等の有害ウェブサイトのフィルタリング及びブロッキング対策の普及を促した。

ISPの行動規範に同意したBT社、Talktalk社、Virgin Media社、Sky社の四社は、2013年末までに新規契約者にフィルタリング機能を自動的に提供すると共に、2014年2月までに新しいペアレンタル・コントロールのサービスを提供している。ペアレンタル・コントロールはオプションとして選べるサービスが以前から提供されていたが、政府からの強い要請でポルノ等有害コンテンツの新しいブロッキングの方法を導入した。Sky社は、2013年11月から新しい契約者はブロードバンドフィルターの設定において成人向けコンテンツを見たい場合は解除しなければならない設定としている。BT社も新しい契約者に自動的に設定されるフィルタリングの新しいバージョンを12月に発表した。

(f) ブロッキングの課題

UKCCISによると、これらの新しいフィルタリング方法によって、ブロッキングされるウェブサイトが増えると思われているが、それと同時に安全なコンテンツのオーバーブロッキングの可能性も高くなる。イギリスは政府による有害コンテンツのフィルタリング政策が進む中、家庭でのインターネット、携帯電話によるオンライン利用また公共Wi-Fiでのフィルタリング普及が急速に進むにつれ、オーバーブロッキングの問題が浮上し始めている511

ペアレンタル・コントロールの自動設定において政府の対策が進んでいる中、全国紙が行なったオンライン上で青少年の使う言葉の調査によると、10代の80%はインターネット・スラング(俗語)を利用している。しかし、保護者の多くはその意味を理解していない。また、青少年がインターネット上で使う言葉は実際の言葉の意味と違う場合があり機械による自動ブロッキングは難しいとされている512

(g) ブロッキングの方法513

ブロッキングの方法のひとつとして、CEOPやIWFが有害・違法コンテンツのリスト(ブラックリスト)を作成し、ISP及びコンテンツ提供事業者に提供し、それらに基づきアクセスへのブロッキングが行われている。

(h) オーバーブロッキングの対策

最近の動向として、ISPや検索エンジン事業者において、ブラックリストによる有害コンテンツの防止の代わりに、安全なコンテンツのウェブサイトをリスト化したホワイトリストが利用されている場合もある。本来、ホワイトリストは、年齢の低い児童が利用するためのフィルタリング方法として導入されていたものである。しかし、最近のオーバーブロッキングの問題への対策として、ホワイトリストが利用されるようになってきた。政府はUKCCISにおいて、オーバーブロッキングに関するワーキンググループを設置し、ホワイトリストの作成と、ISPにそれによるオーバーブロッキングの予防を普及させていく方針である。オーバーブロッキングに関するワーキンググループが、2013年の11月の官邸インターネット安全サミットの時に、ISPに有害コンテンツのフィルタリングの更なる対応を求めるため設置された。12月の第一回会議にはISP、携帯電話事業者、政府関係者、BBFC及びインターネットの安全利用に関する活動を行っているチャリティー団体が参加した。現在のブロッキング、フィルタリングの機能において、チャリティー団体のウェブサイト及び教育関連ウェブサイト等のオーバーブロッキングが問題となり、それに対応するためにホワイトリストの作成が進んでいる。UKCCISの会長であるデビット・マイルズ(David Miles)によると、これら安全ウェブサイトのオーバーブロッキングの数は少なくなっているが、問題を抱えた青少年の支援を考えると、これらウェブサイトのオーバーブロッキングが1件あったとしても重要な問題であるとしている。ISP協会によると、オーバーブロッキングの問題もあり現在のフィルタリング制度は充分でないという認識があり、カテゴリー等明瞭化していく必要性があるといわれている514

今までISPは、オーバーブロッキング及びコンテンツの分類の認識方法について、他社と情報共有を行ってきていないのが現状である。政府は、ブロッキング及びオーバーブロッキングの対応は全てのISPの共通カテゴリーにおける問題であると共に、これらISP全ては、オーバーブロッキングの対策を行っているUKCCISのメンバーであることから、業界での統一を勧めている515

(i) オーバーブロッキングの苦情と事業者の対策

BT社、Sky社、Talktalk社及びVirgin Media社のISP四社が受けた苦情において、オーバーブロッキングに関するコンテンツ、ウェブサイト所有者及び利用者からの苦情数は以下のとおりであった。フィルタリングサービスを提供し始めてからBT社が受けたコンテンツ所有者から受けた苦情数は8件で、カテゴリーを再分類した件数は6件、カテゴリー修正した件数は2件であった。Sky社によると、利用者からの苦情は、月平均100件で、その内平均27件は間違ったカテゴリーへの分類に対してのものである。Talktalk社では、ウェブサイト所有者からの苦情は1ヶ月に5件であるが、間違ったカテゴリーへの苦情の割合は、今までの苦情合計数の約5%だけであると報告している。Virgin Media社は、サービス開始を行なった2014年2月から3月末までの期間での利用者からの苦情件数は23件で、その内13件は再分類する結果となった516

表 68 ISPのオーバーブロッキングに対する苦情数
ISP BT Sky TalkTalk Virgin Media
苦情数
/内 容
8件
(サービス開始以来)ウェブサイト所有者からの苦情
平均100件/月
顧客からの苦情
5件/月
ウェブサイト所有者からの苦情
23件
(2014年2月~2014年3月末)
対 策 再分類:6件
カテゴリー修正:2件
誤カテゴリー:平均27件 顧客及びウェブサイト所有者から苦情合計の5%のみ誤カテゴリー 再分類:13件

(出典:Ofcom報告書から作成)

Google及びMicrosoftは、検索エンジンにおいて、キーワード検索で検索された画像・動画等をブロッキングできるシステムの更新を行なっている。政府は、児童虐待画像のデータベースの設立を予定しており、インターネット上での児童虐待画像やそれらがコピーされた画像の削除ができるようになる。Googleもまた動画において児童虐待の複製ビデオの削除を行う技術の共有を行う事としている。更に、GoogleとMicrosoftは、IWF及びCEOPと協力したプログラムに参加する予定であり、これにより児童虐待のウェブサイトへの検索経路もブロッキングできることになる517

Ofcomの報告書によると、ペアレンタル・コントロール等のツールに頼る保護者もいるが、全体的には保護者による日々の直接の監視・監督が子供の安全なインターネット利用に必要だと考えられている。Ofcomの聞き取り調査に回答したほとんどの保護者が、何かのガイダンスを受けることや監視を行っている。例えば、子供がオンライン活動を行なっている時に側にいることや、家族がいる場所でのみインターネットの利用を許可する等の監督対策を行っている。その他には、子供のインターネットの履歴をチェックしたり、ソーシャルットワーク上の友人を選択したり、「友人」として子供のSNS活動を監視したり、子供がオンラインに利用するパスワードを知っておく等の対策を行なっている。また、子供と安全なオンラインの利用についてゆっくりと座って話うことや、常にそのことについて子供と気軽に話し合うこと等の対策等、子供のインターネットの利用に複数の安全対策を取り入れている518

Ofcomの報告書によると、保護者の73%が、子供のSNSサイトの利用を確認している。2012年からの統計によると、同じSNSサイト上で保護者と子供がプロフィールを持つ場合は97%が「友人」としている519

子供が有害コンテンツを見るだろうと推測した割合は、8歳から11歳の保護者では2012年より大きく増加している。実際に、不安にさせるコンテンツあるいは嫌悪感を与えるコンテンツを見たという8歳から15歳の子供の数は増加している520

図 141 1年間に不快なコンテンツを見た経験のある子供と保護者
(年齢層別、2011年~2013年)(単位:%)521

(出典:Ofcom)

現在では、多くのSNSサイトで年齢制限を設けている。MySpaceでは利用者を14歳以上として、Facebookは、13歳~17歳の高校生もしくはカレッジの学生及び18歳以上の人にサービスを提供している522。ただし、これらのウェブサイトに最少年齢があることを知らない保護者も多くいる。

図 142 保護者のFacebookにおける年齢制限の認識 (単位:%)523

(出典:Ofcom)

2013年3月に政府に提出された「大人のためだけ?オンラインポルノへの未成年アクセス(For Adults Only~ Underage access to online porn)」報告書の中でテレビの視聴率を測定するのと同様な方法でソフトを利用して適正年齢の閲覧制限を行う方法が提案されている。しかし、この方法ではタブレット及び携帯電話での閲覧制限はできない524

イ 行政措置
表 69 強制措置に関する法令・規制と監督機関・関係団体
法令/規制 監督官庁 関係団体
1998年データ保護法(Data Protection Act1998) 情報コミッショナー事務局
(Information Commissioner’s Office, ICO)
978年児童法
国際テロリスト法
2006年宗教的憎悪禁止法
1961年自殺法
1997年ハラスメント防止法
2010年平等法
悪意のある通信法
コンピュータ不正使用法(Computer Misuse Act 1990)
教育省
司法省
CEOP
IWF
NSPCC
2003年性犯罪法
児童法
1960年わいせつに関する児童法
2003年性犯罪法:主要改正点
2006年警察司法法
内務省
司法省
CEOP
IWF
NSPCC
1978年児童保護法
1959年及び1964年猥褻刊行物法
1988年刑事司法
1994年刑事司法及び公共秩序法
2002年電子商取引施行規則2003年性犯罪法
2009年検死官及び刑事司法改革法
1996年名誉毀損法
内務省
文化・メディア・スポーツ省
司法省
CEOP
IWF
通信局
BBFC
2003年通信法
1997年ハラスメント防止法
1988年悪意のある通信法(Malicious Communications Act)
内務省
文化・メディア・スポーツ省
司法省
CEOP
IWF
通信局
BBFC

(出典:NSPCC, IWF, CEOP等から作成)

(a) 政府の活動

内務省によると、性的児童虐待の取締り及び対応速度を上げていくために、CEOPの予算を増加し、捜査員の充実をはかることとしている。2013年に設立された国家犯罪局(NCA)により、CEOPは国家犯罪局の一部となり、NCAの捜査員もCEOPと同じような児童保護における訓練を受けることとなる。それと同時にCEOPも予算の増加や人材の増加を得ることとなった。政府内では児童保護局と捜査局の一本化に賛否の意見が出ている525

(b)警察・捜査機関CEOPの活動

2006年に重大組織犯罪局の傘下として成立したCEOPは、2013年10月から国家犯罪局の一部として位置づけられ、性的児童虐待及び児童保護のみを目的として活動している。活動範囲としてオンライン上の犯罪捜査だけでなく、情報ネットワークのハブとして、性的児童虐待の国内での関係機関との連携を行っている526

(c)Ofcomによる経済制裁

オンデマンドサービス事業者は、オンデマンド番組サービス(On-Demand Programme Services:ODPS)の登録を義務付けされている。Ofcomは、Playboy TV社、Demand Adult社及びStrictly Broadband社の三社に対して、「R18」と同様の18歳未満の閲覧防止を行うべきコンテンツを適切な対処をせずに配信したとして、経済的処分を行い、Demand Adult社に対しては£65,000、Playboy TV社に対しては£35,000の支払い命令を出した527

(d) 児童保護団体による活動

2003年性犯罪法覚書により担当部局として位置づけられたIWFは、青少年の保護対策としての有害・違法コンテンツの削除活動を、チャリティー機関やインターネットにおける通報相談機関及び警察と連携して取り組んでいる528。インターネット上の有害・違法コンテンツがIWFに通報された場合、IWFのエキスパートにより分析が行われ、有害・違法コンテンツと判断されると「通知・削除」処置により対応される。IWFは、国際ネットワークのINHOPEと連携しており、海外でホスティングされている違法ウェブサイトに対しても、国内と同じ処置対策を行なっている。また、2013年10月からIWFとChildlineとの連携による17歳以下の有害・違法コンテンツからの保護対策が開始された529

(e)IWFウェブサイトブランドプロジェクトによる経済制裁

IWFは、2013年にEFCのメンバーとして商業目的での性的児童虐待画像の配布により犯罪者が経済的利益を得ない様にISPあるいはホスティング事業者にこれらのウェブサイトでの支払いを停止する対策を行なっている。2013年に性的児童虐待ウェブサイトとして通報された13,182件の24%にあたる3,203件が商業的なものと判断された。2009年からIWFウェブサイトブランドプロジェクト(IWF Website Brands Project)は開始されており、 商業目的の性的児童虐待ウェブサイトを追跡している。2009年から1,609件のウェブサイトが発見されており、2013年には575件のウェブサイトが活動していた。その内、60%の347件のウェブサイトが新しいウェブサイトであった。前年の割合は、50%で新しいウェブサイトが増えている530

図 143 IWFの「通知・削除」システム手順

IWF及びNSPCCは、連携して有害ウェブサイトの削除による規制を行なっている。両機関が発行しているガイドでは有害ウェブサイトと思われるウェブサイトの一般からの通報受付、IWFによる情報収集、IWFの分析担当による分析、警察・国際ホットライン等関連機関及びウェブサイトに連絡、削除という5つの手順による措置を示している531

図 144 IWF・NSPCCの連携システム図

IWF による対処(5つのステップ)

(出典:IWF)

NSPCC(Childline)による対処(5つのステップ)

(出典:NSPCC)