平成26年度アメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリアにおける青少年のインターネット環境整備状況等調査
平成27年3月 内閣府

第2部 調査の結果

第2章 イギリス

4 青少年のインターネット利用環境に関する保護者団体、民間団体及び事業者の取組み

(1) 行政によるインターネット利用環境の整備に対する支援策
表 80 インターネット利用環境の整備に対する支援制度・実施機関・概要
実施機関 概要(支援、制度の内容、対象者、制定時期等)
UKCCIS 内務省、司法省、教育省579 2008 年に創設 インターネットの安全対策、規制等について協議する政府アドバイス機関 メンバーはISP、チャリティー団体等からなる。
シンクUKナウ(Thinkuknow) CEOP580 警察機関による児童・保護者・教育者のための情報ウェブサイト 2006年から開始 11歳~16歳の教育者に対する訓練プログラムを行なっている。また、CEOPと協力したKeeping Children Safe Online (KCSO)オンライントレーニングも開始した。
CEOPとの協力体制における有害コンテンツの自主的検索 インターネット監視財団 (IWF581 IWFは消費者のための有害・違法コンテンツの通報制度及び有害コンテンツの削除対策を1996年から開設しているが、2013年に通報されたコンテンツの分析だけでなく、CEOPと協力してこれら有害違法コンテンツの検索を行うことを政府から委託された。
OCSARP IWF582 国際的に性的児童虐待のコンテンツを通報するシステム 海外の政府及び関連機関に提供している。
トレントパス・プロジェクト(TORRENT PATH PROJECT ) 国家犯罪局583 2014年に開発されるIWF、Google、Microsoft、国家犯罪局、CEOP及び内務省によるパイロットプロジェクト ビットトレント(bit torrent)の技術を利用した性的児童虐待の画像の配布を検索エンジンにより削除される。
ペアレントポート(ParentPort) Ofcom、その他のメディア規制機関584 2011年10月開設 メディアや通信、販売等で有害コンテンツの苦情や意見を各担当規制局に保護者ができるウェブサイト。 広告基準局オンデマンドテレビ規制局BBCトラスト、BBFC、Ofcom、報道苦情委員会ビデオ規格委員会、 PEGIの合同開発による。
トゥルー・ビジョン(True Vision) Association of Chief Police Officers 憎悪犯罪防止を目的として設立されたウェブサイト 2004年開設 保護者による通報システムと教育者への教育啓発教材を提供している。
不正報告センター(Action Fraud) City of London Police イギリス全土におけるインターネット詐欺の通知機構 である国家詐欺取締局(National Fraud Authority)によって設立された。2012年にイギリス詐欺情報局(National Fraud Intelligence Bureau)の監督下になり、ロンドン警察により運営されている。
欧州キッズオンライン(EU Kids Online)London School of Economics and Political Science http://www.lse.ac.uk/media@lse/research/EUKidsOnline/Home.aspx 欧州における子供のオンライン活動の調査を行う国際的なリサーチネットワーク イギリスでは文化・メディア・スポーツ省から支援されている。
ア 主要な関連公益法人並びに民間事業者
表 81 主要な関連機関・民間事業者名と詳細
団 体 名 詳 細
インターネット監視財団(IWF)
https://www.iwf.org.uk/
インターネット上の性犯罪撲滅を目的にISP業界によって自主規制団体として設立されたチャリティー団体。イギリスのINHOPEの窓口となっている他、CEOP及び国家犯罪局とも連携を取っている。
2013年にオンライン商業性的児童虐待関連決済拒否団体( European Financial Coalition(EFC)against Commercial SexualExploitation of Children Online)のメンバーになった。
IWFはインターネットの安全利用における政府のアドバイス機関でもあるUK Council for Child Internet Safety Opens in New Window (UKCCIS)のメンバーであり、政府官庁である内務省(Home Office)、ビジネス・イノベーション・技能省(Department for Business, Innovation and Skills) 、司法省(Ministry of Justice、Department for Education )、文化・メディア・スポーツ省(Department for Culture, Media and Sport)からの支援を受けている。
NSPCC
http://www.nspcc.org.uk/
児童虐待の防止及び児童保護を目的とした チャリティー団体。
CEOP とも連動してインターネット上の児童保護に努めている。NSPCC は 1989年児童法により、ある児童が極度な危害を加えられていると判断される場合、調査及び児童保護のために裁判所命令を直接申請する権利を与えられている。チャイルドヘルプラインを開設して児童・保護者への電話、チャット、メールでの支援を行なっている。UKCCIS の会員である。
BeatBullying
www.beatbullying.org
インターネットいじめのチャリティー団体
学校におけるいじめカウンセラー(Mentor)の訓練を提供する。
Gamcare
www.gamcare.org.uk
オンライン上も含むギャンブルにおける問題のサポートを行なっている。オンラインチャットでのヘルプラインを提供している。
ファミリーライブス www.familylives.org.uk 家庭生活全般に関する支援を提供するチャリティー団体
子供の育成・教育・保護者の問題等幅広い家庭のトピックの情報・相談窓口を持つ。ネットいじめ等のキャンペーンを行なっている。
家族と児童福祉協会(Family and Childcare Trust)
http://www.familyandchildcaretrust.org/
共働き家庭の育児の支援や妊娠から育児に関する支援を行なっている。 2013年に家族育児研究(Family and Parenting Institute)とDaycare Trust が合併し、その後、家族と児童福祉協会に名称が変わった。
キッズスケイプ
www.kidscape.org.uk/helpline/index.asp
いじめに関する支援活動を行なっているチャリティー団体。ネットいじめも含めいじめの被害者の児童と保護者へのヘルプラインを開設している。
イギリス・インターネット安全性向上センター(UK Safer Internet Centre) http://www.saferinternet.org.uk/ インターネットの安全な対策の情報を提供するチャリティー団体。 IWF,Childnet International, South West Grid for Learning (SWGfL)と提携している。
安全なインターネットの利用の教育啓発活動として学校、企業、政府機関、地方自治体、警察、青少年関連組織等と共に、「より安全なインターネットの日(Safer Internet Day)」を毎年開催している。
インホープ(INHOPE)
http://www.inhope.org/gns/home.aspx
インターネット犯罪のホットラインをサポートする国際ネットワークEC Safer Internet プログラムにより設立された。 IWFが設立メンバーである。
家族のオンライン安全協会(Family Online Safety Institute)
http://www.fosi.org/
インターネットの安全な利用のキャンペーンを行うチャリティー団体。BT,Yahoo, T-Mobile等がメンバーになっている。
サマリタンズ (Samaritans) http://www.samaritans.org/ 児童の悩みの相談を行なっているチャリティー団体。キリスト教徒協会が支援して、1953年より活動を行なっている自殺防止の24時間へルプラインを最初に提供した団体。
ネットいじめによる自殺防止キャンペーンを行なっている。
ゲット安全オンライン(Get Safe Online) https://www.getsafeonline.org/ 安全なインターネットの利用方法全般のアドバイスを行なっている機関。インターネット上の個人情報保護や子供の安全利用法等のアドバイスや詐欺等の対策方法等の情報を提供する。
ゲット安全オンライン週間(Get Safe Online week)を開催し、学校・政府機関と一緒に行う安全なオンライン利用法の全国キャンペーンを毎年行なっている。
マムズネット(Mumsnet) http://www.mumsnet.com/Talk/child_internet_safety 全国に支部を持つ保護者団体 子供と保護者に関する生活・教育全般の支援を行っている。地域別情報及び保護者のミーティング場所を与えている。
子供のインターネット安全利用のキャンペーンも行なっている。
イギリス児童性的搾取ワーキンググループ (National Working Group for Sexually Exploited Children and Young People)
http://www.nwgnetwork.org/
全国の医療機関のネットワークによる性的児童虐待のチャリティー団体
チャイルドネットインターナショナル(Childnet International) http://www.childnet.com/ 児童のインターナショナル利用向上を目的に設立したチャリティー団体
2013年4月にBPIと連携してインターネット・テレビ・映画のデジタルマテリアルの法的利用方法を保護者/利用者に説明するガイドの発行及びホームページの開設を行なっている。
登録デジタル団体(Registered Digital Institute)
http://www.getmedigital.com/friendly-wifi
「Friendly WiFi」による公共Wi-fiのライセンス制度の普及を行なっている。
ビデオゲーム監督機関 (UKIE)
http://www.ukie.org.uk/
オンラインゲーム環境で青少年保護を行なっている。ゲーム業界及び保護者の役割についてガイドラインを設けている。UKIEはUKCCIS の会員である。
全英映像等級審査機構(BBFC)
http://www.bbfc.co.uk/
映画、広告、ビデオゲーム、携帯電話も含むレイティングの自主規制を推進している格付け審査機関。
2013年に携帯ブロードバンド団体(Mobile Broadband Group)による指名でモバイル格付け団体(IMCB:Independent Mobile Classification Body)から携帯電話のコンテンツの自主規制の取組みはBBFCによって行われることになった。
Ban Revenge Porn
http://www.banrevengeporn.com/
リベンジポルノ対策の法制化において活動を行なっているキャンペーン団体
携帯インターネット協会(Mobile Broadband Group)
http://www.mobilebroadbandgroup.com/
O2,Three,Vodaphone,EEの携帯会社が設立した携帯電話業界の団体携帯電話に関する法律・規制に対する事業者の政策及び自主規制を作成している。また、市民や業界団体へ携帯電話業界の現状等の情報を発信している。2004年1月に行動規範を発行している。

(参照:JETRO585, UK Safer Internet Centre586, 内閣府587

(2) 関連公益法人並びに民間企業における青少年、その保護者及びその他一般に対する教育・啓発活動
ア 青少年のインターネット利用環境の整備に関する取組み

(a) 学校での取組み

インターネットの安全利用は、2011年以前から義務教育の一環として11歳以上の中学校(セカンダリースクール)において必須履修科目に指定されていたが、2011年より小学校での学習指導要領に取り込まれた588。 2013年11月に、政府は新しい学習指導要領を作成し、キーステージ1(小学校入学年)からコンピュータ教科の一部としてインターネットの安全利用方法について学習することとなっている。学習内容には、インターネットの安全な利用として個人情報の保護及びオンライン上の活動の責任や有害コンテンツの見分け方及びこれらの通報の方法が含まれる589。 学習指導要領だけでなく、これら教育機関では、政府、チャリティー団体等関係機関と連携した「より安全なインターネットの日」等のイベントやワークショップを通して、インターネットの安全利用の啓発活動が10年以上行われており、2013年1年間で、生徒43,285人、保護者5,972人が、学校でインターネット利用の情報を得ている590

Ofcomの調査によると、8歳から15歳の年齢層で、インターネットの安全利用についての情報は学校から得ているとの答えが一番多かった。また、12歳から15歳においてはその割合が前年より増加している。

図 154 インターネットの安全な利用法の情報をどこから得たか:年齢層別(2011年~2013年)(単位:%)591

表 82 インターネットの安全教育を行なっている団体と活動内容
団体名 活動内容
CEOP及び全国犯罪局 シンクUKnow(ThinkUknow )http://www.thinkuknow.co.uk/
4歳~18歳をターゲットとした安全教育プログラム(映画、マンガ、教育者用情報パック、オンライン情報ウェブサイト)
セクスティングについての青少年教育プログラム ThinkUknow11歳~16歳をターゲットにしたプログラム「First to a Million」映画による教育学校及びYouTube等で閲覧できる。YouTubeでの再生回数は10,000回にも及ぶ。
イギリス・インターネット安全性向上センター
(UK Safer Internet Centre)
政府、地方自治体、全国の教育機関、他のチャリティー団体とタイアップした安全インターネット週間を毎年開催。ホームページでのアドバイス及び教育機関用のツールを通してインターネットの安全利用の教育を行なっている。
「より安全なインターネットの日」毎年2月に行われるイギリスも含めた欧州で行われている大きなインターネット安全教育啓発イベント
全国のイベントセンターやTwitter等のソーシャルメディアを利用した参加型イベントやテレビ放映、教育パッケージの配布等も行なっている。学校での啓発イベント、青少年パネルによるISP及び首相官邸のアドバイザーとの議論会や政府・事業者・全国の学校も参加している592
いじめ反対同盟 (Anti-bullying Alliance)
http://www.anti-bullyingalliance.org.uk/home.aspx
いじめ撲滅キャンペーンを行なっている団体。2002年に設立。
いじめの政策、子供や保護者への情報提供、教育機関・自治体のいじめ対策の訓練を行なっている。教育省の支援を受けて、特別教育支援・障害者におけるいじめ対策:SEND(special educational needs and / disabilities)プログラム等の開発・提供を行なっている。
また、いじめ反対週間「Anti-Bullying Week」を毎年11月に行なっている 。
Office of the Children's Commissioner,Childnet, NSPCC,Kidscape等がアドバイザリーグループとなっている。主なメンバーとして全国の自治体、児童保護に関するチャリティー団体が含まれている。
ce.org.uk/home.aspx けるいじめ対策:SEND(special educational needs and / disabilities)プログラム等の開発・提供を行なっている。 また、いじめ反対週間「Anti-Bullying Week」を毎年11月に行なっている593。 Office of the Children's Commissioner,Childnet, NSPCC,Kidscape等がアドバイザリーグループとなっている。主なメンバーとして全国の自治体、児童保護に関するチャリティー団体が含まれている。
インターネット・マターズ(Internet Matters)
http://www.internetmatters.org/
4大ISP(BT, Sky, TalkTalk , Virgin)による保護者への子供のインターネット安全キャンペーンウェブサイト
Ofcom, CEOP, Family Online Safety Institute, Childnet International, Family Lives等の機関と連携している594
ゲット・セーフ・オンライン
(Get Safe Online)  https://www.getsafeonline.org/
政府からの支援を受けて安全なインターネットの利用方法のアドバイス 詐欺等の対策方法等の情報を提供する団体。Get Safe Online week学校・政府機関と一緒に行う安全なオンライン利用法の全国キャンペーンを毎年開催している595
チャイルドネットインターナショナル
(Childnet International)
キッズスマート「Know IT All for parents and Kidsmart」
http://www.kidsmart.org.uk/parents/parental-controls.aspx
安全なインターネット及びゲームの利用の情報ウェブサイト

イギリスにおいて、子供のインターネット安全利用の啓発活動で、大きな効果をあげているのは、IWFとイギリス・インターネット安全性向上センター(UK Safer Internet Center)である。これらの団体は、多くの情報及び教育パッケージを提供して、インターネットの安全利用の普及に貢献している。各団体が効果の測定方法として取り上げているのは、市民からの通報件数、相談窓口の受付件数及び教育パッケージの送付件数(ダウンロード)と教育機関への訪問やイベント数である。

■ IWFの効果の測定方法(IWF年間報告書)

オンライン上の児童虐待の捜査・予防機関としても活動しているIWFは啓発・教育事業の効果の測定として以下の項目を挙げている。

  • 支援・提携メンバー数:110
  • イベント数:60以上

IWF 年間報告書2013年に記載された1年間の通報件数と内容

  • 通報数:13,182件
  • 被害者の年齢:10歳以下(81%)2歳以下(3%)
  • 性別:男子(10%) 女子(76%)両方(9%)
  • 目的:商業用(24%)
  • 過激な内容:レイプ・性的拷問(51%)
  • 啓発・教育事業の効果の測定方法
  • 支援・提携メンバー数:110
  • 受賞数:73
  • イベント数:60以上

図 155 2013年にIWF通報された児童虐待の件数と分類別割合596

図 156 2013年のIWFの活動と詳細597

(b) イギリス・インターネット安全性向上センター(UK Safer Internet Center)の効果測定方法

イギリス・インターネット安全性向上センターもIWFと同様、教育啓発活動の普及目安として、イベント数及び学校訪問、情報配布数を測定方法に利用している

■ 主な測定方法

啓発イベント数・情報パッケージの配布数・学校訪問数・通報数・啓発イベントの放送の視聴数

教育・普及における2013年での活動実績としては以下のとおり。

ホームページでのオンライン虐待の通報情報の広報

  • ルプラインによる相談:6ヶ月間で2倍
  • ホットラインによる通知:51,186件

これらの内容の分析をみると以下のようになる。

  • オンライン虐待:135%増(前年比)
  • オンライン虐待に関する割合:60%
  • オンライン上の人権に関する割合:25%
  • 青少年・児童のネットいじめ:20%

■ 啓発・教育事業の効果の測定方法

  • 啓発情報の受取人数:10,000人
  • 教育機関への訪問数:569校(生徒数:43,285人、教員数:6,213人、保護者数:5,972人)

■ イベントにおける効果の測定

  • 「より安全なインターネットの日」イベント件数:91
  • 「より安全なインターネットの日」教育情報のダウンロード数:197,000回
  • 「より安全なインターネットの日」テレビ視聴者数:100,000人
  • メディア活用数:6,900
  • ソーシャルメディア活用:「より安全なインターネットの日」に送られたツイート数(国内の割合)45%

図 157 UK Safer Internet Center 598

(出典:UK Safer Internet Center)

Ofcomによると、保護者がインターネットの安全利用についての情報・アドバイスを一番得たのは子供の学校からである。子供の年齢と割合は5歳から7歳(36%)、8歳から11歳(40%)12歳から15歳(38%)であった599

図 158 保護者によるインターネットの安全利用の情報・アドバイスの入手場所(2013年)(単位:%)600

イ 具体的な取組み例(活動事例と評価指標・効果測定)

(a)保護者団体によるインターネット利用環境の整備に関する取組み

■ ティーンの境界(TeenBoundaries: www.teenboundaries.co.uk/)

保護者団体のファミリーライブスによる10代の青少年の性的いじめに対する教育プログラムであり、全国にあるセンター及び教育機関で10歳から18歳対象のワークショップを行なっている。内容はポルノ、ギャングカルチャー、ネットいじめ及びソーシャルメディアによる影響と認識向上等である。1年間で24の学校にて開催し、現在までに7,000人の生徒が参加している。

(b) 民間団体によるインターネット利用環境の整備に関する取組み(活動事例、活動に対する評価指標や啓発事業における測定方法等)

■ 新聞社による学校でのより良い性教育キャンペーン

イギリスの全国紙であるデイリー・テレグラフ紙(The Daily Telegraph)は、より良い性教育(Better sex education)のキャンペーンを行い、サイバー世代の青少年に対して、環境に合った性教育が行えるように学校での性教育プログラムの改正を訴えている。性教育の中で、日々、インターネットやオンライン上でのコンテンツを利用する現在の青少年に必要なガイダンスを設定するべきだとしている。イングランド及びウェールズでは性教育は、PSHE (personal、social、health and economic)の授業で行われている。しかし、この内容は、インターネットやSNSが普及する以前に作られており、安全なインターネット利用及びオンラインポルノ等のインターネット上で青少年が直面する問題、SNSによる人間関係への問題及びネットいじめ・セクスティング等の問題に触れられていない。デイリー・テレグラフ紙は、ホームページ上で署名運動を行なっており、NSPCCはこの運動を支援している。この署名運動はすでに終了し、2014年1月に「52,269人の賛同者により成功へ導かれました」とデイリー・テレグラフ紙は報告している601

(c) 事業者の保護者向け普及啓発活動(活動事例、活動に対する評価指標や啓発事業における測定方法等)

■ ISPによる保護者向け教育活動

インターネット・マターズ(Internet Matters:www.internetmatters.org/)は、2013年11月にインターネット安全キャンペーンとして、2,500万ポンドを投資し、3年間に多くの保護者に対してフィルタリングの利用方法等子供のインターネットの安全利用法の教育活動を行うと約束した四大ISP(BT社、Sky社、Talktalk社、Virgin Media社)による保護者へのインターネット安全キャンペーンウェブサイトである。このキャンペーンは、Ofcom、CEOP、Family Online Safety Institute、Childnet International、Family Lives等の関係機関と連携して実施している 。 また、インターネット・マターズのウェブサイトでは、インターネット上においてのペアレンタル・コントロールの設定のみならず、ゲームコンソール、携帯電話、OSシステムでの設定も説明している。「不適切なコンテンツ」のページでは、ポルノや悪い言葉の「不適切なコンテンツ」の例を挙げ、また、「無制限なチャットルーム(unmoderated chatrooms)」としてチャットルームでの監視されない会話や不適切なコメントも不適切なコンテンツとしてリストに加えている603

(d) 教育機関におけるインターネット利用環境の整備に関する取組み(携帯電話・スマートフォンの所持・利用の制限等)

政府は、学校での携帯電話の利用禁止がネットいじめ対策に効果を出している学校をウェブサイトで紹介している。セント・グレゴリー・カトリック・サイエンス・カレッジ(St Gregory’s Catholic Science College)では、ネットいじめに対して学校のニュースレター、保護者用ホームページ「ペアレンツ・ゾーン」及び学校のカリキュラムを通して生徒の教育を実施しており、校内での盗難や通学時の安全対策として携帯電話を禁止していたが、これがネットいじめを減少させる結果となったとしている604

2013年7月に教育省が発表した「教師の声オムニバス(Teacher Voice Omnibus)」の報告書605によると、回答した多くの学校では校内での生徒の携帯電話の使用を禁止あるいは、規制がされていた。回答した教師の39%が校内での生徒の携帯電話の使用方法の規制がある、34%は携帯電話の持ち込みを禁止していると答えた。22%は授業以外の使用を認めている。小学校では携帯の持ち込みを禁止している割合(53%)が高く、中学校(セカンダリースクール)では、授業中のみ規制している割合(42%)が高い。教員の階級別に見ると授業中の使用のみを規制している割合はクラスの担当教師(24%)の方がシニアリーダー(15%)より高い。学校内での携帯電話の使用の規制をしていると答えた割合はシニアリーダー(44%)の方がクラス担当教師(38%)より高い。また、学校に持ち込みを禁止していると答えた割合もシニアリーダー(39%)の方がクラス担当教師(33%)より高い。

図 159 校内での携帯電話の使用の禁止/規制の割合(単位:%)606

注)概算のため、合計率は100%にならない場合がある。小学校・セカンダリー・全教師のカテゴリーごとに計算されているため、小学校・セカンダリーの回答合計は全教師の合計数と異なる場合がある。

「学校で生徒から携帯電話を取り上げるか」という質問には、多くの教師が定期的もしくは、まれに行うと答えた。また、42%が「校則に違反した生徒から定期的に取り上げる」と答えていて、38%がまれに取り上げると答えている。生徒から携帯電話を取り上げないという回答は11%と少なかった。質問別の回答割合は大きく異なり、教師が携帯電話を取り上げると答えた割合は中学校(セカンダリースクール)では66%と、小学校の19%に比べて圧倒的に多かった。その反対に「絶対に取り上げない」とした割合は小学校で21%あったが、中学校(セカンダリースクール)では1%であった。

図 160  携帯電話の使用禁止/規制に違反した生徒から携帯電話を取り上げる教師の割合(単位:%)

注)概算のため、合計率は100%にならない場合がある。小学校・セカンダリー・全教師のカテゴリーごとに計算されているため、小学校・セカンダリーの回答合計は全教師の合計数と異なる場合がある。

(e) 官民連携による全国レベルでのインターネット利用環境の整備に関する取組み(活動事例、活動に対する評価指標や啓発事業における測定方法等)

欧州、イギリス政府、IWFにより設立したチャリティー団体のイギリス・インターネット向上センターは「より安全なインターネットの日(Safer Internet Day:SID)」等のイベント及び教育機関、保護者への安全なインターネット利用の教育材料の配布により子供のインターネット利用環境の向上を行なっている。毎年2月に行われるSIDイベントの一つとして、青少年パネルによるISP及び政府との議論会等が行われ、政府・事業者・全国の学校が参加している。また、インターネットの安全な利用の教育のみならず、「ゲット・クリエイティブ(Get Creative)」のイベントによるインターネットを利用したクリエイティブ活動・ポジティブ活動の啓発活動を行なっている607

2013年の1年間の教育・啓発活動の内容及び評価は以下のとおりであった。

  • イベント数:91件(内訳:ソーシャルワーク訓練:10件、オンライン安全ミーティング:77件、「より安全なインターネットの日」イベント:4件)
  • 「より安全なインターネットの日」教育機関用パッケージのダウンロード回数:197,000回
  • 「より安全なインターネットの日」テレビ視聴者数:100,000人
  • 教育機関への訪問数:569校(生徒数:43,285人、教員数:6,213人、保護者:5,972人)

写真:SID青少年パネルによる活動

(出典:UK Safer Internet Center)

図 161 より安全なインターネットの日テレビ(Safer Internet Day TV)

(出典:UK Safer Internet Center)

(f) 官民連携による地域レベルでのインターネット利用環境の整備に関する取組み(活動事例、活動に対する評価指標や啓発事業における測定方法等)

■ 地方自治体と青少年カウンシルによるいじめ対策

いじめ反対同盟の呼びかけで始まった2007年いじめ対策週間(anti-bullying week 2007)の時に、オールドハムの青少年カウンシル(Oldham youth council)で発起したいじめ対策ワークショップは、現在も続いており、インターネット安全グループ(e-safety group)の主な活動となっている。このグループは、ネットいじめに対する対策や青少年のインターネット上でのマナーの教育素材を作成しており、青少年のデジタル権利憲章(charter of young people's digital rights)を作成し国会でも発表した。この権利憲章はワークショップやグループにおけるトーク等で子供たちがわかるように説明されている。また、ブラックベリーを利用した大人のためのツールキットも開発した608

(g) 国際展開を進める企業(Facebook、Google、Twitter社等)によるインターネット利用環境の整備に関する取組み(行動理念、指標等)

Facebook、Google及びTwitterは、インターネット安全センターを各社のホームページに設定しており、インターネットの安全利用の啓発教育を行なっている。

表 83 国際企業におけるインターネット利用環境の行動理念と子供のインターネット安全 利用における取組み
Facebook Google Twitter
行動理念 人々に共有する力を与える。世界をもっと開けた結びついた場所にする。利用者が家族や友人と接し続けて、世界で何が起きているかを知り、彼らの意見を言えるためにFacebookを利用する609 Google が掲げる10の行動理念
1)ユーザーの利便性
2)検索分野で培った技術の応用や他の分野での検索技術の活用によるユーザーが生活のあらゆる面においてさまざまな情報にアクセスして利用できるよう努力
3)効率化スピードアップへの努力
4)ウェブ上での民主主義
5)モバイル サービスの新技術を開発と新たなソリューションを提供
6)広告プログラムにおけるルール
a)ウェブサイトの内容と関連性のない広告の掲載は認めない
b)ポップアップ広告を許可しない
c)スポンサーによる広告リンク(スポンサーリンク)であることを必ず明記する
7)検索ユーザーに提供するために開発を続けていく
8)全世界のユーザーにすべての言語で情報へのアクセスを提供することを目標
9)挑戦は楽しくなければいけないという考える会社
10)世界のユーザーがまだ具体的にイメージしていないニーズを予測し、新たなスタンダードとなるサービスを作り出す610
Twitterの目標は、ユーザーの方々が興味深い様々な情報を発見したり、自分のツイートを他のユーザーと共有したりできるサービスを提供することです。Twitterはユーザーが共有するコンテンツの所有権を尊重しており、各ユーザーは自身の提供したコンテンツについて責任を負っています。これらの原則から、以下のような限られた事情、状況を除いて、Twitterでは積極的にユーザーのコンテンツを監視及び検閲しません。
児童保護に関する行動理念 インターネット上での安全に対するFacebookのアプローチ
「Facebookは安全を最重視しています。安全な環境を構築するには、不適切な行為の報告や、アカウントやパスワードの安全確保等、ユーザーの皆さんの協力が必要です。皆で誰もが快適にシェアできる環境を作りましょう」
Facebookの役割
「不適切なコンテンツが報告された場合、Facebook利用規約又はコミュニティ規定に違反するものはすべてウェブサイトから削除します。報告はすべて機密扱いとなります。また、プライバシーを保護するためのツールや、他のユーザーをブロックする機能、Facebook内外の情報を保護するための手段も提供しています」
ユーザーの役割
「オンラインの安全は、オフラインの安全と大きな違いはありません。街を歩いているときも、Facebookで友達と交流するときも、いくつかの注意事項を念頭に置いておくことが大切です。このページの情報やリンクを参考にして、ツールの詳細について学び、友達にも教えてあげてください611
インターネット上での安全性についてのGoogleの取組み
「Googleでは、当社のサービスをすべてのユーザーに安全にご利用いただくため、さまざまな取組みを行っています。この取組みは主に、(1)保護者が子供たちのオンライン活動を制御できるツールの提供、(2)オンラインの違法なコンテンツや違法な行為を排除するための関係当局やパートナーとの連携、(3)オンラインの安全性に関する意識を向上するための教育へと3つの取組みで構成されています」

児童の性的虐待画像に関する Google のポリシー
「Googleでは、児童の性的虐待画像は一切許可していません。また、そのような画像に関連する広告はすべて禁止しています。Googleの検索エンジンの結果や Googleでホスティングされているウェブサイトで児童の性的虐待画像又は児童ポルノが見つかった場合は、それらを削除したうえで関係当局に報告します。児童の性的虐待画像の投稿に使用されたGoogleアカウントは、直ちに無効になります612
児童ポルノ及び児童の性的搾取に関するポリシー
「Twitterは児童ポルノ及び児童の性的搾取を許しません。Twitterは、児童ポルノ及び児童の性的搾取を助長する画像へのリンクやコンテンツを発見した場合はただちにウェブサイトから予告なしに削除し、全米行方不明/被搾取児童センター (NCMEC) に通報します。児童ポルノ及び児童の性的搾取を助長する投稿や、児童ポルノ及び児童の性的搾取へのリンクを含む投稿を行ったアカウントは永久凍結されます」
インターネット安全利用のための 対策 Facebook 安全センターのページ https://www.Facebook.com/safety Facebookでの安全なインターネット利用のための情報や規制等を記載している。「Facebookコミュニティ」のページでは不適切なコンテンツの報告ができる。報告されたコンテンツにおいてFacebookは迅速な対応を約束している。 「保護者の方」「教育関係者」 「青少年の方」のページにてFacebookの利用規則及び安全な利用の方法・コンテンツの通報の方法等の情報を記載している。また、保護者のページにはFacebookで利用される用語についての説明へのリンクがある 。 「教育関係者」のページ614では学校がFacebookのアカウントを保つ場合にメンバーのプライバシーの維持を目的とした設定を考えることを記述、公開される情報の設定に注意するように忠告している。 Google 安全センターのページ
https://www.google.com/safetycenter/families/start/
「家族のために(for family)」の項目で家庭でのインターネット利用の5つの安全ツールとして「ファミリーフレンドリー検索」「フィルターの設定によるYouTubeの有害なコンテンツの予防」「クロームブック(Chromebook)上での利用者の監視」「許可したアプリ・ゲームだけのアクセスの制限」「適正年齢にあったアプリのレイティングの利用」の情報を記載
Twitterサポートセンターのページ
https://support.Twitter.com/articles/249052-
安全にツイートするための基本情報
「あなたの経験を管理する(Control your experience)」の項目で
10代のユーザーへのアドバイス、保護者へのアドバイス
先生方へのアドバイスとインターネット利用上の問題及び通報制度を含めた対策情報を記載
青少年のインターネット安全利用に対する対策 「青少年の方」のページ615で、青少年の利用者に名前や年齢を偽ることはFacebook利用規約に違反すると記載。嫌がらせ、不適切なコンテンツの通報の方法等を説明している。
ネットいじめの予防対策として「Bully Prevention Hub」を開設616
2013年11月からの検索エンジンのアルゴリズムを変更により子供の性的虐待の検索に児童ポルノの画像・動画の表示を阻止する。リストは157ヶ国語で配布される617
児童ポルノの流通を阻止する4つの方法
1)「検索のクリーンアップ」児童を性的に虐待するウェブサイトの表示結果に出ないようにする。
2)「抑止」児童虐待に関する検索語を入力するとGoogle又は慈善団体の警告の表示が記載され、児童の性的虐待は違法であること、視聴させないようにするためのウェブサイトが紹介される。
3)「虐待画像」と認識されたコンテンツは特有のデジタル上の「指紋」をつけられる。同じ画像が検索されそうになると処理される画像の検索と削除
4)複製された有害コンテンツの動画の検索削除
ネットいじめに対しての対策としてGoogleは以下のように答えている。「ウェブでのコミュニケーションですべきこととすべきでないことについて、保護者と教師が子供たちに教えるためのリソースを提供しています。また、ネットいじめについて意識を向上するため、インターネットの安全対策に取り組む多数のパートナーと連携しています。618
「オンライン上の問題の取扱(Handle issues online)」では、1)オンライン上の嫌がらせ2)攻撃的なコンテンツ3)自傷行為や自殺願望に気付いたときは4)信頼のおける情報機関を記載し、これらの対応の方法を説明。
動画YouTubeの利用に対するルール「Teen Safe」のページでYouTubeでのセーフティー機能の利用、ブロッキングの設定方法、ビデオプライバシーの設定方法を説明や保護者への教育情報の記載を行なっている。
ネットいじめの対策として被害者が自分のアカウント上でブロッキングできる。
「オンライン上の人間関係: 共感」のページでSNSでの人間関係の問題回避の方法等の説明をしている。
その他の技術的な対策 フィルタリングの専門技術者の警察機関への派遣 IWF,CEOP及びMicrosoftとの共同プログラムによる有害コンテンツへの検索回路の削除のための技術開発 2014年9月から家庭のコンピュータにて機能に詐欺的な行為を行うソフトに対する安全ブラウジング保護の拡大
個人情報における責任 適切な場合又は利用者の安全を確保するために法律で求められる場合には法執行機関に協力するとして、裁判所等からの法的命令により情報を開示する。アメリカ以外の国からの要望は該当国の法令に従い該当国の利用者に適用される場合そして一般的に受け入れられている国際基準と矛盾していない場合には同様とするとしている。また、詐欺やその他の非合法行為を防ぐ、肉体的危害の危険を回避する、又は利用規約の違反者から弊社及びユーザーを守るために必要と考えられる場合に情報を共有することもあるとし、これには、他の企業、弁護士、裁判所、その他の政府機関への情報開示が含まれる場合があるとしている619 ユーザーがウェブ上に投稿するコンテンツについて、Googleは一切責任を負わないと発表している。 個人情報のデータにおいてはアメリカの法令に基づいて捜査機関に提供するとしている。

(出典:The Social Habit 2014 / Edison Research)

図 162 Facebook 「ネットいじめ予防ハブ(Bully Prevention Hub)」のページ

(出典:Facebook)