平成26年度アメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリアにおける青少年のインターネット環境整備状況等調査
平成27年3月 内閣府

第2部 調査の結果

第3章 カナダ

1 青少年のインターネット利用環境に関する実態

(4) インターネット経由等による犯罪等
ア インターネット(ウェブサイト、SNS等)を利用した児童買春等の犯罪被害の実態

インターネットは青少年に、匿名性と姿を隠すことができると感じる環境を与える。事実、メディア・アウエアネス・ネットワーク(Media Awareness Network)が2005年に行った調査によると、青少年の約60%はオンラインで年齢を高く偽り別の人になっていた。

  • 52%は年齢を偽っていた
  • 26%は実際の自分とは違う性格に偽っていた
  • 24%はできないことでもできる能力があるかのように偽っていた
  • 23%は異なる外見に偽っていた

Media Smartsによると、多くの大人が危険であると考える行動をオンラインで行っていると報告した生徒もおり、それは連絡先の投稿、ギャンブルウェブサイトへのアクセス、オンラインでポルノを探すことや全く知らない人とネットで出会い話をすること等である。

表 91 オンラインで行うこと
項目 1日1回以上 1週間に1回以上 1ヶ月に1回以上 1年に1回以上 1日2回以上 なし
全く知らない人とネットで出会い話をする 9% 8% 9% 7% 9% 57%
ギャンブルゲームの使用 2% 2% 2% 2% 3% 89%
ポルノを探す(Grade7~11のみ) 8% 7% 4% 2% 2% 77%
連絡先の投稿 2% 3% 6% 7% 12% 71%

(出典:Media Smarts663

中学1年生から高校2年生までの生徒に、意図的に「有害性のある」ウェブサイトを見たことがあるかどうか質問をしたところ664、全体の16%はポルノウェブサイト、18%は暴力的又は残酷なウェブサイト、2%がギャンブルウェブサイト、9%が大人とのチャットウェブサイト、5%がヘイトウェブサイト(人種や宗教的な嫌悪)を見たことがあり、34%が少なくともそれらのウェブサイトの内少なくとも一つを見たことがあった。男子は女子よりこれらのウェブサイトを見ており、また子供の年齢が上がるに従ってより見ていた。

表 92 学校でどういったウェブサイトを見たことがあるか?(7年?11年生)(単位:%)
ウェブサイト種類 意図的に 偶然 該当なし
ポルノウェブサイト 16 19 65
暴力的又は残酷なウェブサイト 18 12 70
ギャンブルウェブサイト 12 12 76
大人とのチャットウェブサイト 9 8 83
ヘイトウェブサイト 5 7 88
これらのウェブサイトの内少なくとも1つ 34 35 31

(出典:Media Smarts)

国際的な児童の性的搾取の保護団体であるECPAT 665によると、カナダでは子供の売春が存在し、特に都市中心部では小規模の犯罪組織が子供を含む売春組織を管理していることがある。現在、児童買春についての実体を示す信頼できるデータはないものの、国は児童買春の増加、特にカナダの先住民の中で性産業の被害が増加していることについて懸念している。カナダの人口の約4%がカナダの先住民の子孫であるが、カナダの街中のストリートで暮らし働き、性的につけ込まれた青少年の90%以上が先住民系である666

更に、カナダ統計局は、年間で18才未満の10万人に3人の子供が事件に巻き込まれ、警察に通報されているとしている667

イ 青少年によるセクスティングの実態

近年、10代の青少年は、あからさまに性的なメッセージや画像をセクスティングとして交換しており、懸念が広がっている。更に、感情的な距離感や匿名性が可能なテキストのやり取りが、嫌がらせやいじめの行動につながっている。

Media Smartsの調査結果668によると、7年から11年生(携帯を持っているもしくは、アクセスができる生徒)の8%がセクスティングを送ったことがあり、24%が、誰かからセクスティングを受け取ったことがあると回答している。11年生では36%、7年生では11%と年齢が上がると3倍以上の差がある。男子は32%、女子は17%と、男子の方が割合が高い傾向にある。また、セクスティングを受け取った24%の生徒の内、それらを誰かに転送したのは15%となっている。

親、学校及び法執行機関は、この問題への最善策について取り組んでいる。カナダでは、青少年自らが自身の画像を送信しても罪に問われないが、他の者が青少年にこれらの画像を配布すると罪に問われる。カナダの法律では、青少年のセクスティングが同意の上であり、画像が他のものと共有されていない場合は、罪に問われないと規定している。

セクスティングに対処するために、大人は、画像を共有している背後にある状況に注意を向ける必要がある。友人同士がふざけてやったのか、カップルのプライベートな行動のつもりだったのか、強制的なものや悪意のあるものだったのか、状況に応じて、対処は異なる。例えば、セクスティングがロマンチックな関係や、友人同士の馬鹿な行動の一部として生じたならば、親はそのような行動の負の側面を子供に話す必要がある。悪意が存在する場合、親、学校や法執行機関が関与する必要があるかもしれない。このような状況のもと、画像が広まった青少年についての嫌がらせや辱めを最小限にしてサポートすることが最優先であると考えられている。

ウ 青少年の間のネットいじめ

中学1年生から高校2年生までの生徒の内、34%が今の学年でいじめを受けたことがあり、12%がそれらは性的な嫌がらせやであったと報告している669

  • 学校がもっともいじめが発生した場所であった。74%が学校で、27%がインターネットでいじめを受けたと回答。
  • 性的な嫌がらせを受けたと答えた生徒では状況は逆で、47%が学校で、70%がインターネットで嫌がらせを受けたと回答。

いじめと性的な嫌がらせの間には関連性がある。いじめられていない子供の内7%が性的な嫌がらせを受けたと答え、いじめられた子供の内26%が性的な嫌がらせも受けたと回答している。

ケベック州では、カナダの他の地域(子供の36%がいじめを受けたと報告)と比較して、いじめの報告は少ない傾向にあると思われる(子供の24%がいじめを受けたと報告)。

トロント大学による2008年のネットいじめ調査670によると、調査を受けた約5人に1人の青少年が、過去3ヶ月にネット上でいじめを受けたことがあると答えた。アルバータ州の調査によると、3人に1人の青少年がネットいじめをしたことがあり、また被害を受けたことがあるとなっている。

図 175 トロント大学による2008年6月のネットいじめ調査

(出典: University of Toronto)

カナダ全体の青少年の中で起きているネットいじめの一般的な方法671としては、

  • メール、テキストやソーシャルネットワークウェブサイト上でのコメントを通じて中傷や脅迫を行う。
  • ソーシャルネットワークウェブサイト、メール、テキストで、他人の恥ずかしい噂、秘密やゴシップを広める。
  • 他人の恥ずかしい画像や動画をデジタルカメラで撮影し、他の人に送信することや、本人の知らない間に許可無くネット上に投稿する。
  • 困らせることや侮辱する目的でネット上に文章、画像、からかいや漫画を投稿する。
  • 他人のメールアカウントを乗っ取り、メールの主になりすまし他の人に有害なコンテンツを送信する。
  • 他人のパスワードを使用してその人のソーシャルネットアカウントにアクセスし、本人になりすまして恥ずかしいものや攻撃的なものを投稿する。
  • 他人を騙して個人情報を教えてもらい共有し、その情報を他の人に広める。
  • オンライン投票を開設し、否定的、中傷的な方法で人を格付けする。
  • オンラインゲームで、繰り返しプレイヤーのキャラに危害を加える、集団で攻撃する、個人情報を使用して直接脅迫する。

図 176 地域ごとのいじめの発生状況(単位:%)

(出典:Stop a Bully)

図 177 いじめの内容(単位:%)

(出典: Stop Bullying672

エ リベンジポルノ

リベンジポルノとは、司法省の女性が関係する犯罪等を検証するワーキンググループであるCCSO(The Coordinating Committee of Senior Officials673 )の定義によると、多くの場合、かつてのパートナーの性的な画像を、画像に描写されている者の同意なしに(インターネット、その他により第三者と共有することを含む)、性的な画像を配布することとされている。多くの場合、動機は、かつてのパートナーに対して復讐を行うことである。その効果は、かつてのパートナーの画像に関するプライバシーを侵害することであり、画像の配布はその当人にとって厄介で、屈辱的で、迷惑で、品位を落とすものである。

オ その他、新たな動向

新しい動画やゲームは、10代の青少年にとって、娯楽として絶え間なく出現し、急速に広まる。コンテンツを投稿するのに最も人気があるのがFacebookやYouTubeである。それらの中で、疾走する車の屋根に乗ったり、自らの髪の毛に火をつけたり、線路上に立って、自分に向かって走ってくる電車を撮影したりする10代の青少年の動画を容易に見つけることができる。去年の夏、アルバータ州コクランに住む20歳のスタントマン志望者が、陸橋の上から移動中の列車に飛び降り、YouTubeにその動画を投稿した後、不法侵入の容疑で起訴された。

新しいオンライン上の流行として、しばしば同時に何か極端なことをしながらアルコールの一気飲みや、「ネッキング」する様子を、自らが撮影するといった行為がある。そして彼らは、24時間以内にその功績を凌ぐよう他の誰かを指名する。何千もの「ネックノミネーション」の動画が地球上で共有されており、この流行がSNSを通じて広がるにつれ、アルコールを飲む挑戦はより危険なものとなっている。オーストラリアに起源をもつとされるこの酒飲みゲームはカナダまで波及し、カナダの衛生当局の懸念となっている。ネックノミネーションは、青少年たちがその競争に勝つために過剰な行動をしないか心配する学校管理者たちの間で論議を引き起こしており、事実、すでにイギリスとアイルランドにおいて4人の死亡者を出している。

窒息ゲーム(気絶ゲーム等、数多くの地域的な俗名で知られている)とは、一時的な失神と陶酔感を目的として、故意に脳への酸素供給を止めることである。ハリファックスにあるダルハウジー大学の小児科の研究674によると、このゲームは一般的に9歳から16歳の子供によって行われている。ハリファックスのダルハウジー大学小児科の2009年の研究では、このゲームを描写している65個のYouTube動画が見つかっており、それらは、合計で173,550回閲覧されている。依存及び精神衛生センターは2008年に研究を行い、79,000人のオンタリオ州の7年生から12年生の生徒、もしくは生徒の内7%が窒息ゲームに参加していることを発見した。また、2011年にはカナダのサスカチュワン州 において、13歳の青少年が死亡している。

(5) 青少年のインターネット利用の際のフィルタリング利用率
ア フィルタリング利用の動向

インターネットを使う子供や青少年は、監視行為に対して高度に順応している。Media Smarts 676 によって行われた調査では、カナダの青少年にとって監視行為は日常の一部であると思っていることが明らかになっている。かつて青少年がインターネットを彼らと彼らの仲間が遊び、会話し、実験することのできるブライベートの場と考えていたが、今や青少年はインターネットを完全に監視されている場と見ている。青少年に対する監視は、主に両親、教師又は学校、団体によって行われている。

生徒たちの多く、特に女子はオンラインで知らない人と話すことの危険性を認識している。しかし、ほとんどすべての生徒たちは、オンラインで自分たちの身を守る能力に自信を持っており、大多数がインターネットを彼らにとって安全な場所と感じている。

表 93 意見:オンラインの安全性
項目 同意
親は自分がオンライン上で危害を加えられることを心配している 48%
インターネットは安全である 56%
オンライン上で自分たちの身を守る能力がある 89%
知らない人とオンライン上で話すことで危害を与えられる可能性がある 73%

(出典:Media Smarts677

図 178 意見:オンラインの安全性:グレード(単位:%)

(出典:Media Smarts 678

1990年代後半のカナダは、インターネットの普及率において世界をリードしていた。1999年3月、カナダは、ファースト・ネイションズ・スクール679と公共図書館を含む公立学校をインターネットで繋いだ世界最初の国となった。同年の後半、カナダ・ラジオテレビ通信委員会(CRTC)は、インターネットを規制しないと公表した最初の放送と電気通信規制者の一つとなった。委員会は、業界に対して自己規制と、不法なコンテンツに対抗するのを助けるためのシステム開発と、それらへの攻撃用ツールの配布を奨励した。また、クレームに対しての回線の設立、業界オンブズマンの任命、国内及び国際的取締機関との協力的な連携体制、アクセス制限ソフトと教育と認識向上プログラムを通じた消費者の強化も奨励した。

カナダの主要ISPは、研究とインターネットの安全性の教育プログラムを行う非営利団体を支援している。それに加えて、多くの事業者が消費者に対して、家族が家庭においてより良くインターネットを管理するのを助けるペアレンタル・コントロールとオンライン情報源を提供している。その上、カナダ主なISPが、ブリティッシュ・テレコムのイギリスにおけるクリーンフィードプロジェクトをモデルとしたカナダクリーンフィードプロジェクトの一部として、公共オンライン報告サービスのサイバー・チップ(Cybertip.ca 680)によって提供された児童ポルノのウェブサイトのリストへのアクセスを自主的にブロックしている。

携帯電話及び他の機器がどこからでもインターネットに接続することできる機能の発展により、家族の部屋にコンピュータをおいたりするような従来の監視テクニックでは、子供がオンライン上で何をしているかを親たちが見ることはできなくなってきている。結果として、多くの親たちが子供を監視するために、子供のパスワードを共有したり、SNSサイトにおいて、子供と「友達」になったりといったような方法を用いている。

CEFRIO 681によれば、87.8%の大人たちがウィルス対策のされたコンピュータを持っており、コンピュータを持つ大人たちの4割(42.2%)と家にいる18歳以下の子供たちがペアレンタル・ コントロールされた機器を持っている。更に、コンピュータを持つ大人たちの45.8%が、ポップ・アップ(pop-up)をブロックするためのソフトウェアをインストールしている。

この新しい動向がを受けて、数多くの企業が青少年のオンライン上の行動を監視するプログラムを開発した(いくつかの企業は、これらのタイプのソフトウェアを、疑わしい配偶者や、ポルノやその他のタイプのオンラインコンテンツにアクセスするのを防いだり抵抗するのに助けが必要と感じている大人たちに向けて売り込んだりもした)。これらは、一度コンピュータにインストールされると、様々なバージョンの監視ソフトウェアが完全なブラウザー履歴(Google Chrome’sの「インコグニート」や、インターネットエクスプローラーの「インプライベート」機能といったような、「プライベートな」閲覧を含む)、チャットやインスタントメッセージの記録、電子メール、ウェブサイトへのパスワードを捕えることができる。これらのプログラムは、隠された機能で、コンピュータの使用者には見えなくなっている。

■ カナダで利用可能なサービス例

  • カペンスキー・ペアレンタル・コントロール(Kaspersky Parental Control682
  • ベル・マカフィー(Bell McAfee 683
  • ビット・ディフェンス・ペアレンタル・コントロール(Bitdefender Parental Control 684
(6) 青少年のインターネット利用に関する親子間の話し合い並びにルール設定の有無及び内容

家族におけるルールについて、2005年には、以下の個別ルールに関する設定割合が報告されている685

  • オンラインで知り合った他人と会うこと:74%
  • 意図しないウェブサイトを訪れること:70%
  • オンライン上で個人情報を開示すること:69%
  • 何か困った状態になった時に親に相談すること:69%
2013年のMedia Smartsの調査では、84%の家庭で何らかのルールがあるとの結果が報告されている686

一般的に、2005年から2013年の間にオンライン活動に関する家庭内のルールは減少傾向にあるといわれている。特に著しいのが、オンラインで知り合った人と会う事に関するルール(このルールを持つ青少年の数は30%も減少した)及び意図しないウェブサイトを訪れた場合のルール(このルールを持つ青少年の数は28%減少した)である。

オンライン活動の家庭内ルールを持つ割合は、女子の方が男子よりも多い。恐らく、女子の方が男子よりも規則が多く、オンライン上の自分自身の安全や、オンライン上の人との付き合い方に関してより重い責任を負わされているからと思われる。一般的に、家庭でのルールを持つ青少年たちは、自分の個人情報を公開する、賭博ウェブサイトで遊ぶ、ポルノウェブサイトを見る、見知らぬ人と会話すること等、親が危険と考える活動は、さほど行っていないようである。

家庭で「普通に」親や大人のいる場でインターネットを楽しむ子供の割合は、2005年から2013年の間に増えており、逆に「決して」親や大人の前ではインターネットをしないという子供の割合は減っている。

年齢が下がるほど、親の監視の割合は高くなるが、小学校高学年になると約3分の1が、親や大人のいる前では決してインターネットをしないと答えている。

表 94 オンライン活動に関する家庭内のルール
オンライン活動に関する家庭内のルール 割合(Yes)
ダウンロード 32%
オンライン上で個人情報を開示すること 55%
意図しないウェブサイトを訪れること 48%
何か困った状態になった時に親に相談すること 38%
オンライン上で知り合った他人との会話 52%
オンラインもしくは携帯電話に費やす時間 31%
オンライン上で知り合った他人と会うこと 44%
周りの人に敬意をもつこと 47%
家庭内のルールなし 16%

(出典:Media Smarts687

図 179 オンライン活動に関する家庭内のルール:性別(単位:%)

(出典:Media Smarts688

図 180 オンライン活動に関する家庭内のルール:グレード(単位:%)

(出典:Media Smarts 689

図 181 家庭内ルールの平均:グレード(単位:%)

(出典:Media Smarts 690

家庭での利用にルールがないという子供たちの内74%が、インターネットを使うときに親が傍にいたことがないと答えている。反対にいうと、多くのルールに縛られている子供の場合、インターネットを使うとき親の監督がないと答えた子供の割合はわずか22%であった。

どちらの場合も、ルールの存在の有無が、子供たちのオンラインでの行動に大きく影響を与えている。例えば、「アクセス禁止ウェブサイト」を定めている家庭の場合、小学校6年生から中学1年生の子供の内、ポルノや暴力、差別等のウェブサイトを自分の意志でアクセスするのはわずか14%である。これに対し、ルールのない家庭の子供たちは、その43%が自分の意志でこうしたウェブサイトをアクセスしたことがある、と答えている。