平成26年度アメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリアにおける青少年のインターネット環境整備状況等調査
平成27年3月 内閣府

第2部 調査の結果

第3章 カナダ

3 青少年のインターネット利用環境に関する公的機関及び民間企業の取組み

(2) インターネット上の違法・有害情報に対するフィルタリング等の閲覧防止策
ア 閲覧防止策の動向

インターネットの有害・違法コンテンツから子供を守るために様々な方法が利用されており、インターネットを利用している子供や青少年はかなり監視されている。事実、自宅にコンピュータと18歳未満の子供を持つ両親の42%が、ペアレンタル・コントロールを活用している。

カナダにおいては、インターネットのコンテンツは特に規制されておらず、様々な組織が、両親や子供が自らを守ることを支援するためにアドバイスを行っている。例えば、青少年のネット上のリテラシー向上等を行っている非営利団体であるメディア・スマート(Media Smart 744 )が推奨しているインターネットの安全な活用用方法745として、一般的ではあるが、以下のよう点に注意すべきとしている。

  • ソフトウェアを最新の状態に保つ。
  • ワイヤレス・ルーターに破られにくいパスワードやパスフレーズを設定し、ルーターやワイアレス・ネットワークを守り、家族以外の人間がアクセスできないよ うにする。
  • ファイアウォール管理を習得する。
  • ウィルス・マルウェア対策ソフトウェアを使用する。
  • 安全なウェブサイトの見分け方を習得する。
  • 欲しくないものをブロックする。
  • クッキーを処分する。
  • プライバシー・ツールを利用する。
  • 立ち止まって、よく考えること。クリックや、フォームに記入する前に、目の前のものが本当に妥当なものであるか、自問する。
  • セカンド・オピニオンを参考にする。
  • 拡散しない。多くのウィルス等は、人々がそれを友人や同僚に転送するために大きな問題となっている。このような種類の攻撃に対し積極的な態度を取り、拡散させず自分のところでストップさせる。
  • 声を上げる。デマウィルスや詐欺を見かけた場合には、周囲の人々に注意をし、不正な事態が広がっていると警告を与える。こういった問題を指摘する人間が増えれば増えるほど、犠牲者を減らすことができる。
  • パスワードやパスフレーズを破られにくいものにする。
  • キャッシュ・メモリや履歴を消去してからログアウトする。
  • 餌に引っかからない。銀行や信用のある企業は、決してアカウント情報の送付を求める依頼を電子メール(e-mail)でしない。
  • 大勢の意見を参考にする。問題ウェブサイトや企業、個人を特定する、ユーザーが作成したリストや議論を活用すること。
  • 限度を設定する。
イ 行政措置

カナダでは、インターネットのコンテンツは特に規制されていない。しかし、政府は「インターネット上の違法で不快なコンテンツに対する戦略:安全で賢明、責任あるインターネット利用の奨励(the Strategy on Illegal and Offensive Content on the Internet:Promoting Safe, Wise and Responsible Internet Use)746 」を策定した。そして、2002年9月に、公共オンライン報告サービスのCybertip.ca 747 がカナダ政府、警察当局、民間セクター、非営利グループによって開始された。Cybertip.caは、人々が違法なインターネットコンテンツや児童のオンライン性的搾取を報告することができる「国家的なホットライン」である。その目的は、インターネットを通した性的搾取から児童を守り、自身の子供に対するインターネットの安全性を高める情報、支援、資源をカナダ人に提供することである。

(3) インターネット上の情報の分類(レイティング・ゾーニング等)

カナダではインターネットのレイティング・ゾーニングは存在しない。

(4) ウェブサイト運営者に対するガイドライン
ア ウェブサイト運営者に対するガイドラインの有無

1996年に設立されたカナダ・インターネット・プロバイダー協会(Canadian Association if Internet Providers:CAIP 748 )の役割は、カナダと海外の相互の関心事項に対する共同的、協力的な方策によって、カナダにおいて健康的で競争力のあるインターネット・サービス産業の成長を促すことである。CAIPの会員は、商用ISP並びに間接的に関連のある企業から構成されている。

CAIPの目的の一つは、カナダのISP業界に影響のある公共政策と規制問題(アクセス、著作権、プライバシー及びセキュリティー問題、インターネット・ショッピング・ガイドライン等)を尊重しながら業界の効果的な権利擁護を行うことである。

その一環として、CAIPはプライバシー規約749を1996年10月に策定し、公表している(2000年11月7日に改正)。それは、プライバシーが会員にとって非常に重要であり、会員のユーザーのプライバシーを尊重して保護し、更に法で定められている場合のみ警察当局に個人情報を開示すると記述している。プライバシーの原則として以下の10原則を謳っている。

原則 1 - 説明責任
原則 2 - 個人情報の目的特定
原則 3 - 同意の獲得
原則 4 - 個人情報収集への制限
原則 5 - 個人情報の使用、開示、保持への制限
原則 6 - 個人情報の正確な保持
原則 7 - 個人情報の保護
原則 8 - ユーザーが利用可能な方針と手続きに関する情報作成
原則 9 - 個人情報へのユーザーのアクセス
原則 10 - 苦情と意見の処理

イ ウェブサイト運営者とコンテンツ掲載者、フィルタリング提供事業者等に対する係争処理方法(民事紛争事例の有無、紛争の場合の係争処理の担当官庁)

カナダではコンテンツが特に規制されていないため、紛争が起きた場合には、内容に応じて、カナダ司法省、カナダプライバシー委員会(OPC)、カナダ通信委員会(CRTC)のいずれかに連絡することができる。

カナダでは、規制が明確でないにもかかわらず、カナダ国外でホスティングされているコンテンツを選別しようとした例がある。

2006年8月に、カナダの人権弁護士リチャード・ワーマン(Richard Warman)は、カナダの外でホスティングされている2つのヘートスピーチウェブサイトへのアクセスをカナダのISPがブロックする許可を求めてCRTCに申請した。CRTCはこの申請を拒否したが、その判断として、CRTCは、コンテンツのブロックをカナダのISPに命令はできないが、ISPが自らブロックすることを行うことに対しては認めることができるとのことであった。その理由として、CRTCは「この権限はまだ検討の余地があるから」としている。しかし、2009年のオンタリオ州裁判所での判決で、リチャード・ワーマンは、あるウェブサイトにその匿名の寄稿者の8人の身元を開示するよう命令を受けることに成功した。この判決は、被告によって控訴された。法廷が依拠している規則は、オンタリオ州の民事訴訟の開示規則についての一般的な義務だったが、このような状況に適用される目的では書かれていなかった。従って、オンライン上の言論への裁判所の関与状況は不明のままである。

(5) 青少年に対して危険性があるインターネット上の情報についての相談や苦情受付(窓口)等
ア 関連するニュース、トピック

2012年には、9,084件のネット犯罪事件が警察より報告されている750。これは10万人の人に対し33件のネット犯罪事件が起きたことを意味する。

最も一般的なネット犯罪は詐欺であり、2012年に警察より報告された全てのネット犯罪の半分以上(54%)を占めている。脅迫は20%を占め、性的ネット犯罪は16%であった。

図 196 カナダにおける警察に報告されたネット犯罪(単位:%)

(出典:カナダ統計局2012年統計)

警察で確認されたネット犯罪の被害者は、若い傾向にある。2012年には、警察によって報告されたネット犯罪被害者の42%が18歳未満であった。ネット犯罪に絡む性的暴行の被害者のほとんど(96%)が18歳未満で、その内10%の被害者は12歳未満であった。

図 197 カナダにおけるネット犯罪被害者の年齢分布(単位:%)

(出典:カナダ統計局2012年統計)

イ 相談、苦情の傾向

前項参照。

ウ 行政による受付窓口

2002年9月、公共のオンラインレポートサービスであるサイバー・チップ(Cybertip.ca 751 )がカナダ政府、警察機関、プライベートセクター、非営利組織によって開始された。Cybertip.caは「国の情報ライン」で、一般の人が非合法なインターネットコンテンツやオンライン上の児童の性的搾取を報告できる。そしてインターネットを通した性的搾取から児童を守り、カナダ人に情報やサポートや資料を提供して子供のインターネットの安全性を改善することを目的としている。

Cybertip.caは、カナダ児童保護センターにより運営され、Cybertip.caの任務は子供をオンライン上の性的搾取から次のように守ることである。

  • 一般の人から潜在的に非合法なデータについての情報並びにオンラインでの性的搾取に関する行動を受け取り調査すること、そして関連のある手がかりを適切な警察機関と児童福祉機関に参照させること。
  • 一般の人に情報と他の資料並びにサポートと照会サービスを提供し、カナダ人がインターネットを使っている間に自分と家族の安全を守る手助けをすること。

平均してCybertip.caは、1ヶ月に2,000以上のレポートと75,000ページの意見を受けている。カナダ刑法に違反すると思われる案件に関するすべてのレポートは、調査のために警察に送られる。潜在的に保護の必要がある児童に関するどんな情報も、適切な児童福祉機関に送られる。

Cybertip.caは、カナダ政府、州政府パートナー並びに民間セクターのスポンサーから資金援助を受けており、更に個人的な寄付を希望する市民からの寄付も受けている。

エ 民間、団体による受付窓口

相談・苦情の最初の手段としては、ISPやカナダ・インターネット・プロバイダー協会(CAIP 752 )に連絡することである。ISPの多くはコンテンツを限定する利用規定を定めている。また、CAIPの行動規範にはメンバーは違法コンテンツを扱わないということが述べられている。