平成26年度アメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリアにおける青少年のインターネット環境整備状況等調査
平成27年3月 内閣府

第2部 調査の結果

第4章 オーストラリア

3 青少年のインターネット利用環境に関する公的機関及び民間企業の取組み

(2) インターネット上の違法・有害情報に対するフィルタリング等の閲覧防止策
ア 閲覧防止策の動向
オーストラリアでは親の監視により有害情報等の閲覧を防止することは一般的で、実際に子供がインターネットを使用しているときに、子供の動向を監視する親は多い。 11歳?16歳とその保護者を対象とした2011年に行われた調査835では、親が子供のインターネット利用に介在することを親子共に、賛成している割合は、60%となっており、これはヨーロッパ25カ国に比べ、10%低くなっている。

11歳?16歳とその保護者を対象とした2011年に行われた調査836では、子供のインターネット利用に際してフィルタリングシステムを導入しているのは、親全体の45%であった。また、36%の親は、特定のウェブサイトを遮断又はフィルタリングしていた。15歳から17歳のインターネット利用者の内、19%はフィルタリングソフトを使用している。

15歳から17歳のインターネット利用者の内、91%はコンピュータにアンチウイルス、ファイアウォールソフトを導入していた。インターネット・サービス事業者に対して、強制的なブロッキングシステム(強制フィルタリングシステム)の導入について、オーストラリアでは議論が続けられているが、禁止されていないウェブサイトまでブロックされるという、技術的な問題も指摘されており、現状では導入は進んでおらず、政府指定のアクセス制限ウェブサイト以外では、あまり有効活用されているとは言えない。

保護者や友達、学校の先生によって監視又は何らかの形で子供たちは見守られていると考えている子供たちが97%であった。25%の子供たちは、これらの監視を多少なりとも無視しており、5%は監視されようとも完全に無視していると答えた。97%子供たちは、少なくとも1度は、学校の先生が何らかの形で子供たちのインターネットアクティビティに介入していると回答しており、これはヨーロッパ諸国の平均であった73%よりも、はるかに高かった。

2011年6月に、オーストラリア大手インターネット・サービス事業者である、テレストラ(Telstra)とオプタス(Optus)が、通信・メディア庁や国際機関が作成したリストに基づくウェブサイトへのアクセスを自主的にブロックするシステムの導入を発表している。

イ 行政措置

違法情報や有害情報の取り締まりを行っているのは通信・メディア庁になり、放送サービス法1992年版 837(Broadcasting service Act 1992)に基づいて行われている。また、通信・メディア法(Australian Communications and Media Authority Act 2005 838 )2005年版の第2部(Part 2: ACMA’s establishment, functions, powers and liabilities) は、通信・メディア庁の行動規範を説明している。

インターネット・サービス事業者は、通信・メディア庁が作成している業界基準や実務規範に沿わなければならないが、違反した場合、業界団体の権利・権限が剥奪される可能性が生じる。また、通信・メディア庁の通告に従わず、違法コンテンツを表示し続けた場合、インターネット・サービス事業者は、個人の場合で一日AU$8,500、法人で最大一日AU$42,500の罰金が科される839

現在政府は、子供のためのインターネットの安全性の向上方針に基づいて、 安全にインターネットを利用できる環境を創り上げようとしており、これには、子供のためのインターネットの安全委員会の設置、違法や有害なコンテンツに関する問い合わせサービスの充実、法律や規制の見直し等が含まれる。通信庁はインターネットの安全性を高めると同時に、ネットいじめを解決へ導くアドバイス等を考えており、インターネットの安全問題に関連して、新たに法律や解決策の提示を早急に行わなければならないとしている。

教育省(Department of Education)は、通信省やその管轄下にある通信・メディア庁と協力し、インターネット環境の改善を目指したインターネット利用教育プログラム(Safe School Hub、Bullying No Way!、Cyber Smart Program等)を、オーストラリア全土の学校に提供している。

(3) インターネット上の情報の分類(レイティング・ゾーニング等)
ア レイティングとゾーニング

現在オンラインコンテンツを含むメディアコンテンツの管理行政は通信省(Department of Communications)に所属する通信・メディア庁(Australian Communications and Media Authority)が行っている。

通信・メディア庁は、「放送サービス法1992年版(Broadcasting Services Act 1992)」を基準に設立されており、オンラインコンテンツに関し、インターネットや携帯電話における有害、違法コンテンツへの対応として以下の活動を行っている。

■ 海外有害ウェブサイトのブラックリスト保持
■ 違法活動と判断されるウェブサイトの規制
■ インターネットに関係した調査研究
■ 海外研究機関との連携調査
■ スパム対策法の制定
■ 業界実務規範の策定
■ 法律に基づくコンテンツ分類による規制

表現作品におけるレイティングとゾーニングの違いを表すと、レイティングは完全に年齢規制という形で区分される区分方法であり、ゾーニングは当該コンテンツ自体が、どのカテゴリーに属するのか、という区分のことを指す。

オーストラリアのインターネットコンテンツの場合は、1992年放送サービス法(Broadcasting Services Act 1992)の 附則5840 ,7841に基づいた「分類(classification)」によって、コンテンツがどういった内容で、制限あるいは禁止カテゴリーに属する内容を含むのかを見極めた上で仕分ける。これが「レイティング」にあたる。

この分類は特に年齢的に幼い利用者を不適切又は危険な内容から守ることを目指して作成されている。その上で、この分類を基準にしてインターネット上に存在する様々なコンテンツは、その内容にあったカテゴリーに仕分けされる。制限コンテンツに分類された内容を含むウェブサイトでは、年齢確認が義務付けられており、この年齢確認が「ゾーニング」の一種とみなされている。

オーストラリアにおけるレイティングの種類は下記のとおりである。

(a) 注意カテゴリー

注意カテゴリーとは、映画やコンピュータゲームの視聴や利用に関するカテゴリーで、法的制限はないが注意が必要とされる。「一般(G:General)」、「保護者の監督(PG:Parental Guidance)」、「大人向け(M:Mature)」の三分類が注意カテゴリーに該当する。

表108 注意カテゴリーの分類
分類名 概要
一般 (G: General) 誰にでも視聴、利用可能なコンテンツ。子供にほとんど影響を及ぼさない。また該当コンテンツが必ずしも子供向けであるというわけではない。
保護者の監督 (PG: Parental Guidance) 子供にわずかな影響しか与えないが、子供が混乱あるいは動揺するような内容が含まれるコンテンツ。15歳未満の子供は、保護者の監督の下で視聴することを推奨されている。
大人向け (M: Mature) 暴力表現やヌードが多少含まれている可能性があるため15歳以上の視聴や利用を推奨されているコンテンツ。15歳未満の視聴は推奨されていないが、法的な制限は存在しないため視聴・利用することはできる。子供が視聴、利用しても大丈夫かを保護者が判断する際、映画やコンピュータゲームの内容をあらかじめ調べておく必要とする場合がある。

(出典:Australian Classification掲載の資料を元に作成)

(b) 制限カテゴリー(一般の映画やコンピュータゲーム)

制限カテゴリー(一般の映画やコンピュータゲーム)とは、一般の映画やコンピュータゲームを視聴・利用するにあたって、法的制限があるカテゴリーである。以下一分類が設定されている。

表109 制限カテゴリー(一般の映画やコンピュータゲーム)の分類
分類名 概要
大人の同伴必須 (MA15+: Mature Accompanied) 視聴・利用したものに与える影響が大きいとされているコンテンツ。視聴や利用は法的に15歳以上に限られている。このカテゴリーに該当するコンテンツは性的なシーンや薬物利用等内容を含む場合がある。また、MA15+の映画やコンピュータゲームをレンタル又は購入する際に、年齢証明のできる書類の提示を求められる場合がある。映画館でも同様に年齢を確認される場合がある。15歳以下の子供が映画館で、MA15+の映画を見る際は、保護者の動向が義務付けられており、映画のチケットも保護者が購入しなければならない。

(出典:Australian Classification掲載の資料を元に作成)

表110 制限カテゴリー(アダルト映画)の分類
分類名 概要
18歳以上限定(R18+: Restricted) 視聴者や利用者に影響の大きい性的なシーン、薬物利用等の内容を含むコンテンツ。視聴・利用は成人に限定されている。社会的犯行や攻撃性が含まれるものも該当する。このレイティングに分類されたコンテンツの購入、レンタル、視聴する際は、店頭や映画館で年齢が証明できる書類の提示を求められる。
18歳以上制限アダルト (X18+: Restricted) 18歳未満の閲覧を禁止している映像コンテンツ。露骨な性行為の描写やその他の性的な描写を含んでいる。このレイティングにぞくするコンテンツの販売、レンタルはオーストラリア首都特別地域かノーザンテリトリー準州のみで、他の州では禁じられている。
禁止 (RC: Refused Classification) このレイティングに属するコンテンツは、社会基準に照らして受け入れられないものや社会的に非常に大きな負の影響を与えるものである。映画、コンピュータゲーム、出版物でRCと分類されたものは、販売、レンタル、広告及び国内への輸入が禁止されている。

(出典:Australian Classification掲載の資料を元に作成)

(d) 通信・メディア庁による制限がかかっているコンテンツ

上記のレイティングの内、通信・メディア庁がオンラインコンテンツに対して制限を設けているのは、以下の3種類のコンテンツである。

1「禁止(RC)」あるいは「18歳以上限定アダルト(X18+)」に分類されたすべてのコンテンツ
2「18歳以上限定(R18+)」に分類されているものの内、子供のアクセスを防ぐシステム(Restricted access systems)の対象となっていないコンテンツ
3「大人の同伴必須(MA15+)」に分類されるコンテンツの内、子供のアクセスを防ぐシステムの対象外で有料のオーディオやビデオ

このいずれもが、暴力表現や性的描写、薬物の使用、非常に下品な言葉等が含まれ、子供への影響が大きいものが制限の対象となっている。

2008年、通信・メディア庁に対して、苦情や問い合わせ等で要望が強かったことから、インターネットに関する法律が改正され、スマートフォン等のアプリケーションやインターネット上に存在する大人向けコンテンツ(ClassificationによってMA15+あるいはR18+に該当するもの)を利用する際、コンテンツを所有するウェブサイト運営者やアプリケーションの開発者は適切な年齢確認をしなければならなくなった842。ウェブサイトのコンテンツによる分類は、他の映画等のコンテンツと同様に、連邦法を根拠法として設立されたレイティング理事会(Classification Board)によって、全て確認され分類されている。

また現在、ほとんどのソーシャルネットワーキングウェブサイトでは、アカウント作成時に年齢確認、制限を設けている。オーストラリアで人気の高いTwitterやMySpaceでは、アカウントを作成する際に利用規約にて、14歳以上であるかが確認され、14歳未満の場合はアカウントが作成できない。また、他の利用者が14歳未満と思われる利用者を発見した際は、報告するように呼び掛けている。

Facebookは13歳未満の利用を禁じているが、2013年5月の調査によると、8歳から12歳の少年の内、およそ4人に1人の割合で、Facebookを利用していることが分かった843。対象年齢に満たない子供のプロフィールは削除対象になっているものの、ソーシャルネットワーキングウェブサイトでは年齢を詐称し、アカウント登録している青少年らも多く見られるため、オーストラリ政府はこれに関して、ソーシャルネットワーキングウェブサイトの運営者に、プロフィールの公開設定を初期設定で非公開にする、あるいはユーザーが承認した18歳以上のアカウントに対してのみ、公開するように提案している。

加えて、必要以上に個人情報を書き込まないようにすること、プライバシー設定を利用し個人情報を露出させすぎないこと、18歳未満のユーザーを検索できないようにすること、等が提案されている。

イ レイティング及びゾーニングの運用状況

オーストラリアのオンラインコンテンツは、ビデオゲームや映像作品、出版物等と同様に、分類スキーム準拠でレイティングが採用されている。2013年までは、ビデオゲームにR18+・X18+(過激な暴力描写を含む成人向け)カテゴリーは採用されておらず、ビデオゲーム規制について、業界からの批判も多くみられた。2013年1月にようやく、ビデオゲームに対してR18+分類が実施されている。

オーストラリアのレイティング規制は日本で採用されているCEROに比較して、厳しくなっており、オーストラリアでのゲーム発売を目指して、内容を変更せざるを得ないケースも存在した。

2014年8月には、レイティング制度を改善するために、今までレイティング理事会によって分類されていた海外製オンラインゲームが、これからは国際基準に合わせて規制されることとなった844。これによって金銭的、時間的に大幅な節約が見込めるようになっている。

オンラインコンテンツ分類の特色として、レイティング理事会だけではなくメディア・通信庁も仕分けの権限を持っており、レイティング理事会が分類していないコンテンツでも、メディア・通信庁により、禁止コンテンツの可能性ありとして、実質的には禁止コンテンツに分類されることもある。

(4) ウェブサイト運営者に対するガイドライン
ア ウェブサイト運営者に対するガイドラインの有無

2014年3月にインターネット産業協会(Internet Industry Association)から、事業内容を引き継いで、通信連合(Communications Alliance LTD)が発足した。通信連合は、オーストラリアのインターネットを利用事業者と消費者向けに、情報の提供、認定、ガイドラインの作成等、オーストラリアのインターネットビジネスの規範を与え、デジタル経済の成長を促している。

規範の管理を行っているのは通信・メディア庁で、規範の作成及び管理には、放送サービス法1992年版を基準に行われている。また、スパムメール等のEメールサービスに関する規範は、通信法1997年版やスパム法2003年版(The requirement of the spam Act 2003)を基に作られている。

具体的には、「放送サービス法1992年版」と「通信技術を利用した双方向賭博に関する法律2001年版」に基づいた実務規範(Code of Practice)が、インターネット・サービス事業者及びコンテンツサービス事業者向けにそれぞれ課されている。放送サービス法附則5の第5部に基づいて、インターネット業界向けの規範や基準を登録し管理することが、放送サービス法附則5の第78項によって義務付けられている845

インターネット・サービス業界向けの規範は、これまで3度の改正を経ており、現在は、2005年5月26日に登録された、インターネット・携帯コンテンツの実務規範が採用されている。この実務規範には、オーストラリア国内でのコンテンツの保持、アクセス、あるいはオーストラリア国外のコンテンツへのアクセスに関する実務規範が含まれている。

インターネット及びモバイルコンテンツに関する業界共通の規範:2005年5月26日登録 846(Internet Industry Codes of Practice: Content Services Code for Industry Co-regulation in the Areas of Internet and Mobile Content)の要約は以下のとおりである。

■ この実務規範の目的は、コンテンツ提供者、インターネット・サービス事業者及びモバイル通信事業者に、法的責任と義務又はコンテンツに関する問題に対しての取組み等を記したガイドラインを示すこと。
■ 青少年を不適切なコンテンツから守るために、明確かつ効率的で自主的にコンテンツを管理できるシステムを提供すること。
■ インターネット利用者により安全にインターネットを利用できる環境の提供。
■ 不適切なコンテンツに対する苦情があった際、公平かつ適切に対処することが含まれる。

また、上記で掲げた目的を達成するために、以下の原則に基づいて成り立っている。

■ 実務的、実行的であると同時に、インターネットを現実と同等として扱うこと。
■ 実務規範が技術的に中立であること。
■ 要項が誰に対しても平等であること。
■ 要項が商業能力に悪影響を与えないこと。
■ インターネット上のコンテンツに対する責任は、利用者と提供者双方の同意がない限り、コンテンツ提供者側が負うこと。 ■ 携帯電話向けコンテンツに関する責任は、モバイル通信事業者が負うこと。

1オーストラリア国内のコンテンツ提供者に対する規範
2オーストラリア国内でのアクセスを提供しているインターネット・サービス事業者向けの規範
3国外からのコンテンツ提供者に対する規範

この規範の内、第6項から第10項、第15項、そして第18項が青少年のインターネットの利用に関連している項目である。概要は以下のとおりである。

オーストラリア国内でのコンテンツ提供者の義務及び責任

■ 第6項 - コンテンツ提供者の一般的な義務と責任
■ 第7項 - コンテンツ削除のお知らせと手続き
■ 第8項 - 関連省庁による指導
■ 第9項 - 禁止・制限コンテンツに関係するお知らせ

インターネット・サービス事業者の義務及び責任

■ 第10項 - アカウントの開設
■ 第15項 - 携帯電話サービス事業者による制限コンテンツへのアクセスに関する適正措置
■ 第18項 - 苦情の取り扱い

同様にコンテンツサービス事業者向けの基準、規範は、放送サービス法の附則7の第4部で、通信・メディア庁が放送サービス法附則7第101項に沿った登録と管理をすることを義務付けている。現在のコンテンツサービスに関する実務規範は、2008年6月24日に制定されている。

コンテンツサービスに関する業界共通の規範:2008年6月24日登録 847(Internet Industry Codes of Practice: Content Services Code for Industry Co-regulation in the Areas of Content Services)の要約は次のとおりである。

この規範の目的は、

■ コンテンツ・ホスティングサービス事業者が法的義務に沿って、適切な過程を通してコンテンツに関する問題を取り扱うためのガイドラインを提示すること。
■ 青少年からの不適切なコンテンツへのアクセスを防止するために、商業コンテンツサービス事業者による明確で、効率的、自主的に管理できるシステムを提供すること。
■ インターネット利用によって、適切な情報、教育用、娯楽用デジタルコンテンツを取り扱う能力を促進すること。
■ コンテンツに関する苦情の取り扱い方や適切な態度と公平に苦情を取り扱うために、分かりやすい苦情の取り扱いシステムの提供すること

この内、「コンテンツの評価と分類」と「インターネット上の安全性」の2項目が、青少年のインターネット利用と大きく関連している。

イ ウェブ運営者とコンテンツ掲載者、フィルタリング提供事業者等に対する係争処理方法(民事紛争事例の有無、紛争の場合の係争処理の担当官庁)

2009年12月に政府は、放送サービス法を改正することで、オーストラリア国内全てのインターネット・サービス事業者に、オーストラリア国外から提供されている禁止(RC)に分類されたコンテンツに対して、フィルタリングを強制する計画があることを明かした。

しかし、この計画への反対意見は多く、結果的に強制的フィルタリングシステムの導入には至っていない。反対の主な理由として、フィルタリングシステムは抜け道を利用される可能性が高いこと、RCに分類されるコンテンツは実際にはインターネット上にはほとんど存在せず、プライベートでの交換等が主流であるためにフィルタリングの効果がないこと、フィルタリングを逆に利用してRCコンテンツが発見される可能性があること、非違法ウェブサイトまでブロックされる可能性があること等が挙げられた。

結果として、民間同士の紛争よりも、政府と反対派との紛争が目立っているのが現状である。通信・メディア庁が削除要請を出した例として、通信・メディア庁が保有しているブラックリストへのリンクを掲載したウェブサイトや、殺人映像を載せたウェブサイトがあげられる。

2010年1月には、アメリカにホスティングを置くウェブサイトの記事が、オーストラリアの先住民であるアボリジニに対する人種差別にあたるとして、Googleオーストラリアの検索エンジンより削除された例がある 848
(5) 青少年に対して危険性があるインターネット上の情報についての相談や苦情受付(窓口)等
ア 関連するニュース、トピック

攻撃的あるいは相手を辱める、不快な想いをさせる等、有害なコンテンツをインターネットに投稿する作業にはほとんど時間を要さないが、それらを除去するためには、多大な時間と労力が必要となることが問題視されている。有害コンテンツ投稿者に対して厳罰が下る可能性はほとんどなく、また投稿された画像等は他人に帰属するにもかかわらず、投稿者本人が被害者になりすましているため、被害者が加害側として疑われることも多い。

FacebookやTwitter等に投稿された有害コンテンツには、SNS運営側独自の報告システムがあるため、比較的簡単に投稿を除去できるが、有害コンテンツが一般のウェブサイトに投稿された場合、その除去は非常に時間のかかるプロセスになると、法律家は指摘している 849。特にウェブサイトのホスティングが海外であれば、削除することが困難になっている。現状では、政府及び法律がインターネット犯罪に対して無力な場合も多く、今後の積極的な取組みが期待されている。

苦情相談受付プロセスとして、インターネット産業の実務規範によると、全てのユーザーは、サービスを提供しているインターネット・サービス事業者及びコンテンツサービス事業者に対し、コンテンツの検閲が不十分、内容が不適切・禁止されている等といったことがあった場合、苦情を申し立てることができる。苦情を受けた事業者は、提供されたコンテンツを調査し、必要があると判断された場合、当該コンテンツを24時間以内に非公開とし、レイティングの再評価を依頼する。

ユーザーと事業者との間で解決に至らない場合、事業者はユーザーに通信・メディア庁に通報する選択肢があることを伝える。通信・メディア庁が問題を調査し、そのコンテンツが不適切であると判断した場合、レイティング理事会にレイティングを依頼する。その結果、該当コンテンツが禁止コンテンツであるとみなされた場合、通信・メディア庁は事業者に対し、コンテンツ削除や閲覧制限等の通告を行う 850

イ 相談、苦情の傾向

近年、ネットいじめに関する相談が増加傾向にある。通信・メディア庁の調査報告では、8歳から9歳で4%、14歳から15歳で21%、更に16歳から17歳で16%がネットいじめにあっている。オーストラリアではネットいじめの割合が他の先進諸国より高く、ネットいじめが自殺につながるケースも数多く報告されており、保護者も敏感になっているテーマである。

また、オーストラリアではインターネットショッピングの利用者数が増加しており、2012年から2013年に、インターネット上で購入経験があった割合は、インターネット利用者全体の76%に達している。このことから、スパムメールや個人情報搾取等、オンライン詐欺についての相談・苦情も相対的に増えている。

ウ 行政による受付窓口

■ サイバー・サーフティ・ヘルプ・ボタン(Cyber Safety Help Button)851

通信省が提供しているサービス。子供、青少年向けにインターネット上の安全に関する情報提供や、ネットいじめ、不審者からのコンタクト、スパムメール、ネット詐欺、不適切なコンテンツの処理方法等に対して、カウンセリングサービスを行っている。Cyber Safety Help Buttonのアプリケーションは自由にダウンロードでき、個人のコンピュータ上だけでなく、学校や図書館のネットワーク上でも利用されている。

■ ACMAホットライン(ACMA Hot Line 852

通信・メディア庁のウェブサイト内に設置されており、オーストラリアからアクセス可能な有害、違法なオンラインコンテンツに関する苦情をonline@acma.gov.auにメールを送信するか、オンライン苦情フォームに入力することで苦情申し立てができる。Eメールでコンタクトする場合、禁止コンテンツであると考える理由、コンテンツのソース元(URLやファイル名)等、補足説明の提出を推奨している。

エ 民間、団体による受付窓口

■ キッズ・ヘルプ・ライン(Kids Help Line 853

5歳から25歳までを対象とした24時間年中無休のカウンセリングサービス。 電話やウェブ、メールにて、いじめ、親との関係、SNSについて等、多岐にわたる相談に対応している。

■ シンクUKKNOW(Think UKNOW 854

オンライン幼児性的問題、有害コンテンツ、スパムメールや、ネットいじめ、詐欺、コンピュータウイルスについて、それぞれ受付可能窓口を紹介している。