平成26年度アメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリアにおける青少年のインターネット環境整備状況等調査
平成27年3月 内閣府

第2部 調査の結果

第4章 オーストラリア

4 青少年のインターネット利用環境に関する保護者団体、民間団体及び事業者の取組み

(1) 行政によるインターネット利用環境の整備に対する支援策
表111 オーストラリアにおける行政によるインターネット利用環境の整備に対する支援策一覧
支援、制度名 実施機関 概要
Cybersmart Program 通信・メディア庁 子供、青少年、保護者、学校関係者を対象にオンラインの安全性に関する情報提供及び啓蒙活動を行っている。
Cyber safety Help Button 通信省 子供、青少年向けにオンラインの安全性に関する情報の提供やネットいじめ、ネット詐欺等のネット被害に対して、カウンセリングを提供。
Easy Guide to Socializing Online 通信省 ソーシャルメディア使用時の個人情報のプロテクト方法の提供。
Stay Smart Online 政府 オンライン上の個人情報や個人のファイナンス情報を守るために必要な情報をインターネット利用者に提供する総合ウェブサイト。情報ビデオやクイズ、最新情報を知らせる無料のアラートサービス等も提供。
Cybersafety Help Australian Government FB page 政府 サイバーセーフティ問題についての資料や教育関連の資料の提供及び最新情報の更新をFacebook上で提供。
Tagged (Cyber Smart ウェブサイト内) 通信・メディア庁 Tagged (Cyber Smart ウェブサイト内) 通信・メディア庁 通信・メディア庁Cybersmart programの1つ。14歳以上の学生向けサービス。青少年が直面する問題を題材とした映像の提供や、保護者・教育関係者に向けに情報リソースやガイドラインを提供。2011年9月のスタート以来、全国に1万以上の映像やポスターを配布し、YouTubeでの閲覧も5万ビュー以上を記録し、その活動内容は国際的な評価も高い。
Bullying No Way! 教育省 子供、保護者及び学校関係者向けにサイバーセーフティに関する資料を提供。
Who’s chatting to your kids? クイーンズランド州警察 インターネット上で子供たちを守るために必要な情報を保護者向けに提供。また、子供がインターネット上で危険にさらされている可能性の高いサインを紹介。保護者に、子供たちが危険な行為に加担している可能性があることを認識するよう呼びかけている。

(出典:各省庁及び機関の文献をもとに作成)

ア 主要な関連公益法人並びに民間事業者

主要な関連公益法人並びに民間事業者は以下のとおりである。

■ コミュニケーション・アライアンス(Communication Alliance LTD 855
■ バック・ミー・アップ(Back Me Up 856 :Australian Human Rights Commissionのウェブサイト内)
■ チャイルド・ヘルス・プロモーション・リサーチセンター(Child Health Promotion Research Centre 857
■ メイク・サイバースペース・ベター・プレース(Make Cyberspace a Better Place 858:Kids helplineウェブサイト内)
■ スマート・オンライン・セーフ・オフライン(Smart online safe offline:SOSO 859:National Association for Prevention of Child Abuse and Neglectのウェブサイト内)
■ スコービル(Skooville 860
■ ライジング・チルドレン・ネットワーク(Raising Children Network 861
■ ウーマン・チルドレン・ヘルスネットワーク(Women’s and Children’s Health Network 862
■ シンクUKNOW(ThinkUKnow 863
■ アラナ・マデリン財団(The Alannah & Madeline Foundation 864
■ ブレーブハート・オンライン(Bravehearts online 865
■ セーフ・スクール・ハブ(Safe Schools Hub 866
■ テレストラ(Telstra 867
■ オプタス(Optus 868

(2) 関連公益法人並びに民間企業における青少年、その保護者及びその他一般に対する教育・啓発活動
ア 青少年のインターネット利用環境の整備に関する取組み
表112 主な団体と活動内容
団体名 概要
オーストラリア・ペアレンツ・カウンシル(Australian Parents Council 869 私立学校に通う子供の保護者団体。全国約129万人の私立学校に通う生徒の保護者を代表し、保護者の声、要求等を代弁している。保護者と政府との架け橋となり、学生生活における問題点の改善を目標としている。
オーストラリア・公立校カウンシル(Australian Council of State School Organisations:ACSSO 870 ACSSOは1947年に設立。公立校に通う保護者や学校コミュニティから形成されている団体である。政府の教育方針に関して、リサーチベースの提案や教育に関する様々な情報を提供している。活動例として2013年5月に学校でのクラウドサービス提供とオンラインプライバシーについてリサーチを行い、政府にたいして保護者からの提案を行っている。
教師・両親アドバイザリーグループ(Teachers and Parents Advisory Group:TAP 871 TAPは、先生・保護者が、子供たちが直面するオンライン安全問題を検討し、政府にアドバイスすることを目的に設立された。TAPには、小中高校の先生及びその保護者全員が参加する資格があり、オンラインフォーラムやミーティングが定期的に開催されている。 また、TAPはYouth Advisory Group on Cyber Safety(8~17歳の学校に通う生徒が参加可能)と共に、年1度行われるサイバー・セーフティー・サミットに参加する権利があり、そこでは、政府やインターネット業界関係者と、青少年に対するオンラインの安全問題について協議される。
サイバー・セーフティ・サミット(Cyber safety summit 872 政府関係者、教育関係者、地域団体、保護者、電子機器・ゲーム業界関係者が、最新のサイバーセーフティに関する事例や、今後の対策についての議論を行う。

(出典:各機関の文献を元に作成)

イ 具体的な取組み例(活動事例と評価指標・効果測定)

(a) 保護者団体によるインターネット利用環境の整備に関する取組み(活動事例、活動に対する評価指標や啓発事業における測定方法等)

公立校に通う保護者や学校コミュニティからなるAustralian Council of State School Organisations(ACSSO)と、私立学校に通う子供の保護者団体であるAustralian Parents Councilが共同で運営管理しているFamily-School & Community Partnerships Bureau873は、学校教育に関する様々なリサーチを行い、情報提供及び提案を行っている。

2011年には、保護者へのサポート向上について、861人の保護者に対してアンケートを行っている。インターネット使用に関する保護者の意見として、学校側がITに頼りすぎる傾向があり、オンラインニュースレター等、情報をオンラインばかりで発信するのではなく、紙媒体での情報発信を望む声も挙がっている。IT知識に乏しい保護者もおり、学校側が保護者とのコミュニケーション方法として、Eメールやインターネットに重点を置きすぎることに対する懸念の声もみられる874

公立校に通う保護者や学校コミュニティからなるAustralian Council of State School Organisations(ACSSO)は、年に1度カンファレンスを開催しており、様々な教育トピックについて、情報交換の場を設けている。2014年度は、11月7日?8日にメルボルンにて開催され、各専門分野からゲストスピーカーが招聘されている。

(b) 民間団体によるインターネット利用環境の整備に関する取組み(活動事例、活動に対する評価指標や啓発事業における測定方法等)

インターネット利用環境整備のために、主な民間団体が行っている活動概要、取組みは以下のとおりである。

表113 インターネット利用環境の整備に取り組む民間団体一覧
団体名 活動内容
コミュニケーション・アライアンス(Communication Alliance LTD 875 2014年3月24日に、インターネット産業連合(Internet Industry Association)の業務を引き継ぎ、インターネット業界への実務規範を提示している業界団体。オーストラリアの通信業界へ高い影響力を持った団体を目指しており、業界の成長と進歩を促している。
バック・ミー・アップ(Back Me Up 876 :Australian Human Rights Commissionのウェブサイト内) 「あなただったのかもしれない。だから見ていてはダメ」という標語のもと、ネットいじめに遭っている被害者の友人、青少年向けに、いじめに対してどう向き合っていくかを伝え活動等を行っている。
チャイルド・ヘルス・プロモーション・リサーチセンター(Child Health Promotion Research Centre 877 ) エディスコーワン大学が2004年に設立、青少年やその家族の肉体的、精神的、感情面での健康に関する調査を行っている。2007?2008年にかけておこなわれたプロジェクトの1つに、急激に発達していく電子機器類と、それに比例して増加しているネットいじめについて、電子機器が及ぼす精神衛生調査を行っている。
メイク・サイバースペース・ベター・プレース(Make Cyberspace a Better Place 878 :Kids helplineウェブサイト内) 子供にとって安全で使いやすいインターネットにするための豆知識や情報を提供している。また、教育機関向けに、子供が適切にインターネットデバイスを利用できるような教育プログラムを提案している。
スマート・オンライン・セーフ・オフライン(Smart online safe offline:SOSO 879(:National Association for Prevention of Child Abuse and Neglectのウェブサイト内) オーストラリア児童虐待防止委員会のインターネット利用に関連したプログラムの1つ。オーストラリアの青少年に、ネット上に存在する危険性に対する理解を深め、どのようにしてオンライン・オフラインで自らの安全を確保するかを教育することを目的としている。
スコービル(Skooville 880 6歳?12歳までの子供向け、ソーシャルネットワーキングウェブサイト。Facebook等のSNSが子供に向けて作られておらず、それらのページには子供にとって不適切なコンテンツも含まれるため、子供に向けて安全なSNSの使い方を覚えさせることを目的としたサービス。子供自身がオンライン上の行動について学ぶことができる。
ライジング・チルドレン・ネットワーク(Raising Children Network0 881 インターネット関連に限らず様々なジャンルで、子供の年齢に応じたアドバイスを提供している。マードック子供調査学会、保護者調査センター、ロイヤル・チルドレンズ・ホスピタル・メルボルンがメンバーに含まれており、Department of Social Servicesの協力のもと、運営されている。インターネット上に存在する様々な危険から子供を守り、安全にインターネットを楽しむためのアドバイスが提供されている。
ウーマン・チルドレン・ヘルスネットワーク(Women’s and Children’s Health Network 882 2011年に名称がChildren, Youth and Women's Health ServiceよりWomen’s and Children’s Health Networkに変更された。青少年のインターネット利用に関係した活動内容として、インターネットの安全性に関するレポートやインターネットで起こりうる危険性についての情報を提供している。
シンクUKNOW(ThinkUKnow 883 インターネットの安全性に関するプログラム。保護者向け、青少年向けの2種類のウェブサイトを用意しており、インターネットを安全に利用するために、保護者向けにはどのように子供のインターネット利用を見守っていくか、青少年向けにはどのようにしてインターネットを利用していくかを説明している。
アラナ・マデリン財団(The Alannah & Madeline Foundation 884 子供を暴力や破壊的行為から守るための国立チャリティー。アランナ、マデリンのミカッチ姉妹が1996年に母親と他32名に虐待され亡くなったことをきっかけに設立。ひどい暴行を経験、あるいは目撃した子供たちを守り、子供の安全を確保することを目的としている。安全な子供のインターネット利用を目指したプログラムも多数提供されている。
ブレーブハート・オンライン(Bravehearts online 885 インターネット上での青少年の安全を確保するために、青少年とその保護者にどのようにしてインターネットでの安全性を確保するのか、それに関連した情報を与えることを目的としている。
セーフ・スクール・ハブ(Safe Schools Hub 886 教育庁のウェブサイト。より安全で支援的な学校の提供、ネットいじめを含む学校でいじめを受けた生徒に対するサポートの提供等を行っている。保護者向けウェブページと学生・青少年向けウェブページが用意されており、保護者向けにはガイドラインの提供を、学生向けには年齢、学年別の学校生活をより快適にするためのアクティビティが用意されている。

(c)事業者の保護者向け普及啓発活動(活動事例、活動に対する評価指標や啓発事業における測定方法等)

オーストラリアインターネット・サービス事業者最大手であるテレストラ 887(Telstra)は、自社ホームページ内にて、子供、青少年、保護者に向けてインターネット安全問題について、提供している。 保護者向けには、デジタルフットプリント、個人情報保護、ネットいじめ、インターネット使用時間の目安、不適当な内容について、情報や資料を配信している。更には、ネットいじめについてのワークショップを各学校で開く等、積極的にコミュニティに対して、啓蒙活動を行っている。 また、通信・メディア庁のCybersmart Program等、関連する外部リンクも掲載している。大手インターネット・サービス事業者であるオプタス(Optus)もテレストラ同様、インターネット安全問題に関する情報や資料、外部関連リンクを保護者、子供、青少年等に向けてホームページより発信している。

保護者向けには、デジタルフットプリント、個人情報保護、ネットいじめ、インターネット使用時間の目安、不適当な内容について、情報や資料を配信している。更には、ネットいじめについてのワークショップを各学校で開く等、積極的にコミュニティに対して、啓蒙活動を行っている。

また、通信・メディア庁のCybersmart Program等、関連する外部リンクも掲載している。大手インターネット・サービス事業者であるオプタス(Optus)もテレストラ同様、インターネット安全問題に関する情報や資料、外部関連リンクを保護者、子供、青少年等に向けてホームページより発信している。

(d) 教育機関におけるインターネット利用環境の整備に関する取組み(携帯電話・スマートフォンの所持・利用の制限等)

オーストラリアではそれぞれの学校にて、インターネット利用に関して規約を設けている。例として、クイーンズランド州の公立高校であるMerrimac State Schoolでは、携帯電話、MP3プレイヤー、iPodを含む、電子機器使用についての規約がある 888。その内容は、学校での電子機器の使用は、教育ツールとしての使用と先生が認めた場合に限り認め、保護者が正当な理由で子供に携帯電話を持たすときは、登校時に受付に預け、下校時に持ち帰るとなっている。

また、学校側は生徒に電子機器を学校に持ってこないように勧め、盗難や紛失した場合、学校は責任を負わないことを明記している。

クイーンズランド州の私立小学校であるAll Saints Catholic Primary Schoolも、上記Merrimac State Schoolと同様に、電子機器の学校での使用は認められておらず、登校時に学校に預け、下校時に受取ることを義務付けている。盗難、紛失の場合、学校側は責任を負わないことも明記している889

(e) 官民連携による全国レベルでのインターネット利用環境の整備に関する取組み(活動事例、活動に対する評価指標や啓発事業における測定方法等)

オーストラリア政府が運営しているStay Smart Onlineでは、インターネット上で、個人情報やクレジットカード番号等のファイナンス情報を守るために必要な情報を、ビデオやクイズ等のユニークな方法を使って、インターネット利用者に提供する総合ウェブサイトである。

政府はStay Smart Onlineのパートナーを募集しており、現在官民合わせ1,700以上の法人・団体が賛同し、Stay Smart Onlineの啓蒙活動をサポートしている。

年に1度、政府とStay Smart Online のパートナーが参加するStay Smart Online Weekというイベントが行われており、2014年度は、6月2日から6日の間に、インターネット上での個人情報保護を啓蒙するセミナーや業界主催のイベントがオーストラリア全土で行われた890。このイベントは、7年連続して開催されている。

(f) 官民連携による地域レベルでのインターネット利用環境の整備に関する取組み(活動事例、活動に対する評価指標や啓発事業における測定方法等)

ビクトリア州第2の都市であるジーロングでは、ビクトリア州警察やオーストラリア保健省の下部組織にあたるHeadspaceらと協力して、保護者向けにインターネットの

安全利用に関する情報セミナーを無料開催しており、ほぼ毎週にわたって、学校や図書館で行われている。具体的なセミナー内容として、子供たちがどのようにしてFacebookやInstagram等のソーシャルメディアを利用しているかを教えると同時に、インターネット上に存在する危険から子供を守るための実践的なアドバイスを提供している。

Facebookのインターネット安全に対する理念として、安全を最重要と捉え、インターネットの安全は保護者、子供、教育関係者、企業、利用者の間で常に考慮すべき問題であると明記している。また、安全なインターネット環境を構築するには、不適切な情報行為についての報告、アカウントやパスワードの安全確保等、ユーザーの協力が不可欠であると呼びかけている891

安全確保に対しての取組みとして、利用規約やコミュニティ違反するものはすべてウェブサイトから削除し、ユーザーからの報告は機密扱いとしている。また、プライバシー保護のためのツール紹介、ユーザーブロック機能の使用方法、Facebook内外の情報の保護等を行っている。

Googleは、安全利用に関する状況を把握するため、継続的に専門家、保護者、教育関係者、コミュニティからフィードバックを得た上で、サービス利用者に、実践的なアドバイスをウェブ上で行っている892。例として、アプリを使ってのレイティング方法、承認したアプリやゲームのみにアクセスを制限する方法、不適切なコンテンツの除去方法等がある。

Twitterも、FacebookやGoogleと同様に、ウェブ上にて保護者や教育者を含む、サービス利用者に対して、安全に利用するための情報や資料を提供し、啓蒙活動を行っている。また、規約に反する不正利用やスパム等、規約に反する行為を発見した場合、アカウント凍結の処置をとる可能性を述べている893