第5回産学官連携推進会議
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産学官連携功労者表彰
内閣総理大臣賞

■革新的金属材料「金属ガラス」を用いた産業用小型・高性能デバイスの開発

井上 明久 東北大学金属材料研究所 所長、教授
若菜 和夫 並木精密宝石株式会社 法務グループ マネージャー
長坂 宏 長野計器株式会社 製造本部丸子電子機器工場AMセンサ技術部 次長

金属ガラスの発見者である東北大学の井上教授により開発された独創的な金属ガラスの作製技術を基に、並木精密宝石株式会社や長野計器株式会社などの部材メーカーとの密接な産学連携体制の下で明確な出口部材を目指した研究開発を実施した。その成果として、世界で初めて実用的なバルク材料である金属ガラスをギヤードモータや圧力センサなどの工業製品へ応用することに成功した極めて優れた事例である。特に、いずれも従来の機械加工では不可能であった超小型・高精密・高強度機械部品の開発に成功したことで、今後金属ガラスを用いた高付加価値産業が大きく発展する端緒を開いた。

金属ガラス製超精密ギヤを組み込んだ直径1.5mmの世界最小ギヤードモータ
金属ガラス製超精密ギヤを組み込んだ直径1.5mmの世界最小ギヤードモータ
(耐久性は従来の300倍以上)

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科学技術政策担当大臣賞

■「タンパク質の結晶化技術」の開発

高野 和文 大阪大学大学院工学研究科 助教授
森 勇介 大阪大学大学院工学研究科 助教授
安達 宏昭 株式会社創晶 代表取締役社長

ポストゲノム時代で重要となるタンパク質構造解析に不可欠なタンパク質結晶化技術の開発において、大阪大学の高野助教授と森助教授の異分野連携の下、レーザー技術を活用した世界に類を見ない手法により、結晶化率・構造解析精度の飛躍的向上などブレークスルーを達成した。本技術、装置を基に、安達氏によって創薬事業への貢献を目指して大阪大学発ベンチャーの株式会社創晶が設立された。創晶はタンパク質結晶化の受託事業を開始し、これまでに製薬企業10社以上から受注を受けている。高い技術革新性、社会・経済への波及効果の大きさ、良質の大学発ベンチャーといった観点から、本技術開発に関する取組は優れた産学連携の事例と言える。

本技術によって得られたタンパク質結晶
本技術によって得られたタンパク質結晶と結晶加工装置

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■「SPECT機能画像解析パッケージ」の開発

飯田 秀博 国立循環器病センター研究所 放射線医学部長
中澤 真弓 日本メジフィジックス株式会社製品企画第一部アシスタントマネージャー
林田 孝平 武田病院画像診断センター センター長(元 国立循環器病センター 放射線診療部医長)

SPECT(単光子コンピュータ断層撮影)から得られる画像の正確な再構成法の開発を行い、多くの病院に既設の装置を使って脳虚血重症度の画像診断実施を可能とした。国立循環器病センターと日本メジフィジックス株式会社が連携し、画像解析基盤技術の開発と、一連のプログラム群のパッケージ化、汎用OSで動作する解析システムを開発。機器メーカーへも呼びかけランダマイズされた多施設での臨床研究が可能になった。また、本システムは、脳血管バイパス術の妥当性評価に標準的な画像情報として利用され、外科治療の有効性確認に貢献した。今後、新規治療法や最適治療法の有効性評価、多施設評価に利用されることが期待される。

QSPECTは従来法に比べて高いコントラストを提示、真の放射能濃度分布を正確に再構成
QSPECTは従来法に比べて高いコントラストを提示、
真の放射能濃度分布を正確に再構成

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総務大臣賞

■けいはんな情報通信オープンラボにおける研究開発の推進

井植 敏 けいはんな情報通信オープンラボ研究推進協議会 理事長
秋山 喜久 社団法人関西経済連合会 会長
立石 義雄 財団法人関西文化学術研究都市推進機構 理事長

関西地域における情報通信技術研究開発の産学官連携拠点として、多様なネットワークロボットを連動させ小型車両ロボットの公道走行実験を実施するなど、活発な活動を展開している。また、世界初のGMPLSキャリア間接続広域総合実験を実施するとともに、その成果の国際標準化に対して多大な貢献をした。今後、将来の情報通信ネットワークの基幹網基礎技術に関する研究開発及び標準化に向けた活動を本拠点において実施することにより、ネットワーク機器のみならず、ネットワークを活用した情報通信サービス産業等の市場への貢献やブロードバンドネットワーク及びネットワークロボットの実現による生活の向上等への貢献が期待される。

けいはんな情報通信オープンラボ
けいはんな情報通信オープンラボ
(関西地域におけるICT研究開発の産学官連携拠点)

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文部科学大臣賞

■クイック水素ガス検知センサーの開発 −シーズイノベーション型技術移転−

原田 修治 新潟大学工学部 教授
結城 洋司 株式会社新潟ティーエルオー 代表取締役社長
株式会社テクノリンク

世界初の起電力変化(EMF方式)を利用し、瞬時に大気中の水素ガスを検出するセンサーであり、検出速度、チップ化、選択性、寿命、製造コストの面で、従来製品に比しはるかに高いパフォーマンスを有する。新潟大学の原田教授による基礎研究成果を株式会社新潟ティーエルオーが見出し、地元企業である株式会社テクノリンクとライセンス契約を行って、製品化に成功。地域における大学の技術移転に関する産学連携の推進事例としても評価。今後、水素燃料電池需要の拡大が予想される中、本センサーの市場への貢献が有望視される。

クイック水素ガス検知センサー
クイック水素ガス検知センサー
(先端部 0.1秒以内で水素漏れを検知)

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■知的クラスター創成事業 「浜松オプトロニクスクラスター」

石村 和清 財団法人浜松地域テクノポリス推進機構 理事長
川人 祥二 静岡大学電子工学研究所 教授
寺川 進 浜松医科大学光量子医学研究センター 教授

知的クラスター創成事業「浜松オプトロニクスクラスター」は、静岡大学、浜松医科大学と地域の開発型企業等との連携により、大学のシーズである画像科学や光医学を活用し、次世代の産業・医療を支えるイメージングデバイス等を開発して、国際的に優位性のあるクラスターの形成を目指すものである。このような取組の結果、その成果として、事業開始から4年の間に、当初の目標を大きく上回る特許出願数や学術論文数等の実績が上がるとともに、事業化に向けた研究開発が急速に進展している。今後も、産学官連携による取組を強化し、さらなる技術革新とそれに伴う新産業の創出を通じて、国際的に優位性のあるクラスターへと発展していくことが期待される。

浜松オプトロニクスクラスターのイメージ図
「浜松オプトロニクスクラスター」イメージ図

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経済産業大臣賞

■サルファーフリー軽油製造のための高機能新規脱硫触媒の開発

持田 勲 九州大学産学連携センター 特任教授
岡本 康昭 島根大学総合理工学部 教授
藤川 貴志 コスモ石油株式会社中央研究所 水素化精製グループ長

軽油中の硫黄分を低減し、ディーゼル車の排気ガス中の窒素酸化物及び粒子状物質の削減を目的として、九州大学持田教授や島根大学岡本教授らの固体酸添加や活性金属の高分散化技術等の脱硫触媒高機能化理論を、コスモ石油株式会社が高度な触媒調製技術により統合し、実用化技術まで発展させた事例。本触媒は、既存の脱硫装置に適合できるものであり、結果として導入コストが低く、既に軽油深度脱硫装置に採用され高い経済効果を示している。さらに、排気ガスの硫黄分規制にいち早く対応し、環境問題に対しても大きな貢献を果たしている。

高機能触媒を用いた脱硫プロセス
高機能触媒を用いた脱硫プロセス
(既にコスモ石油全4製油所へ導入済)

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■「撮影速度100万コマ/秒の高速度ビデオカメラ」の開発

江藤 剛治 近畿大学理工学部 教授
武藤 秀樹 リンク・リサーチ株式会社 代表取締役社長
近藤 泰志 株式会社島津製作所 分析計測事業部事業戦略室新規事業開発グループ 課長

従来の高速用CCDあるいはCMOSイメージセンサの100倍以上の撮影速度を有する超高速CCD(ISIS)を用いて、100万コマ/秒の超高速撮影を実現する、画期的な高速度ビデオカメラを開発した。近畿大学の江藤教授とリンク・リサーチ株式会社により開発された超高速CCDを用いて、株式会社島津製作所が高速度ビデオカメラとして製品化した。本ビデオカメラは、既に衝撃波や破壊、燃焼などの基礎研究から、印刷や材料解析、マイクロマシンなどの最先端技術の開発にまで幅広く用いられており、超高速な現象の可視化に寄与することで、今後の科学技術の発展に多大な貢献をもたらすことが期待される。

撮影速度100万コマ/秒の高速度ビデオカメラ
撮影速度100万コマ/秒の高速度ビデオカメラ

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日本経済団体連合会会長賞

■産学アライアンスによる「環境に優しい有機系電子デバイス・材料」の開発

松重 和美 包括的産学融合アライアンス 有機系エレクトロニクス・デバイス開発産学融合室 室長、京都大学 副学長

有機系エレクトロニクス・デバイスの包括的な開発というテーマの下、松重氏ら数名が中心となり、京都大学と企業5社(日本電信電話株式会社、パイオニア株式会社、株式会社日立製作所、三菱化学株式会社、ローム株式会社)がアライアンスを設立。全く新しいバイオ系繊維強化材料との複合化による電子デバイス基板用シート開発など、環境に優しい有機系材料を活用した電子デバイスの開発に多大な貢献をしている。特に、京都大学と垂直統合可能な複数企業群のアライアンスは、新たな産学連携推進モデルの先進的な取組として意義があり、その社会的貢献および波及効果を評価。

包括的産学融合アライアンスの運営体制
包括的産学融合アライアンスの運営体制

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■微量有害元素を高速分析可能な「高輝度エックス線分析顕微鏡」の開発

中澤 弘基 独立行政法人物質・材料研究機構 フェロー
細川 好則 株式会社エックスレイプレシジョン 代表取締役社長(元 株式会社堀場製作所 開発部長)
駒谷 慎太郎 株式会社堀場製作所 科学システム統括部XGTプロジェクト プロジェクトマネジャー

無機材質研究所(現独立行政法人物質・材料研究機構)中澤氏の強度を落とさずX線を絞る技術を、株式会社堀場製作所が高輝度エックス線分析顕微鏡として製品化した事例。本顕微鏡従来、湿式法(ICP)でしか測定できなかった量有害元素を、ごく短時間でかつ微小部を非破壊で分析する機能を有している。これにより、欧州環境規制や自動車用部品に対する極微量有害元素に関する同様の規制に対し、機器メーカーや部品・材料メーカーの対応を可能とした。これまでに全世界の大手電機・自動車メーカー等を対象に高い販売実績があり、今後も多様な産業分野での利用普及が期待できる。

高輝度X線分析顕微鏡
高輝度X線分析顕微鏡
微量有害元素測定が、従来法(測定時間1日)に比べ、
極短時間(数分間)でかつ微小部の非破壊分析が可能に

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日本学術会議会長賞

■「インテリジェント触媒」の開発

西畑 保雄 独立行政法人日本原子力研究開発機構 副主任研究員
田中 裕久 ダイハツ工業株式会社 エクゼクティブ・テクニカル・エキスパート

置かれた環境の変化を自ら察知し自己修復する機能により原理的に劣化しないという特性を有する触媒の開発であり、環境浄化技術であるとともに大量の貴金属の省資源を可能とする革新的技術でもある。独立行政法人日本原子力研究開発機構とダイハツ工業株式会社の協力による開発。公的研究機関である前者の第三世代大型放射光施設SPring-8を用いた新しい科学的原理の発見と、その原理に基づいた後者による新しい工業製品の開発が行われたところに特長を有する。今後、本事例の新たな高性能触媒活性原理に基づいた異なる分野への研究展開も期待される。

「インテリジェント触媒」搭載車は、平成18年4月現在で累積売り上げ200万台を突破
「インテリジェント触媒」搭載車は、平成18年4月現在で
累積売り上げ200万台を突破

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