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2017年霧島山(新燃岳)の火山活動推移の迅速把握に向け、SIPで開発した火山観測・分析機器を設置

プレスリリース
平成29年11月10日
政策統括官(科学技術・イノベーション担当)

 11月9日までに、東京大学等の研究開発機関が、火山活動が続く霧島山(新燃岳)で気象庁や火山噴火予知連絡会が実施する噴火警戒レベルの判断のための参考情報として観測データを迅速に提供するために、開発を終えたばかりの「火山ガス多成分組成観測装置」、「火山灰自動採取・可搬型分析装置」を設置しました(従来は現地で観測・採取したものを研究者が持ち帰り分析を行っています。)。この取組は、内閣府が進める戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「レジリエントな防災・減災機能の強化」の対象施策です。

1.概要

 東京大学、防災科学技術研究所、産業技術総合研究所は、火山活動が続く霧島山(新燃岳)に対して気象庁や火山噴火予知連が実施する火山活動状況の検討・分析に必要となる観測データを迅速に提供するために、新たに開発した二酸化硫黄観測装置(設置調整中)、火山ガス多成分組成観測装置、火山灰自動採取・可搬型分析装置を霧島山新燃岳に設置し、定点での継続的な観測を開始しました(図1)。

観測機器設置位置(二酸化硫黄観測装置については想定位置)
図1.観測機器設置位置(二酸化硫黄観測装置については想定位置)

また観測装置に加え、観測データを共有・利活用するシステムの導入により、火山の活動状況を迅速に把握することが可能となっており、変化を観測した場合には迅速に気象庁や火山噴火予知連絡会にもデータ共有することで、噴火警戒レベルの判断のための参考情報として活用していただくことを予定しています。

本観測機器・システムの開発及び試験観測は、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の一課題である「レジリエントな防災・減災機能の強化」において、研究課題「火山ガス等のモニタリングシステムの開発」を担当する国立大学法人 東京大学、国立研究開発法人 防災科学技術研究所、国立研究開発法人 産業技術総合研究所の3機関で実施されています。

2.背景

火山噴火はその様式や規模が活動の進展とともに変化していくため、現況把握とともに、活動推移を把握することが、噴火によって引き起こされ得る災害要因の予想や、今後の防災対応を検討する上で重要な情報となります。火山活動に伴う地震・地殻変動観測に比べると火山ガス観測については観測の歴史が浅く、観測技術及び手法の開発・知見蓄積が不十分です。また、火山灰など噴出物を用いた噴火推移の把握に関しては、準リアルタイムでの観測・自動化はほとんどなされていません。

3.観測機器等

(1) 火山ガス多成分組成観測装置(10/25設置済)

本観測装置(図2)は、火口から噴出された火山ガス成分の多成分計測を行うことにより化学組成をリアルタイムで測定するものであり、火山ガスの化学的組成は、マグマ由来の有無の検出や火山活動の変化の評価に役立てることができます。

火山ガス多成分組成観測装置
図2.霧島山(新燃岳)に設置した火山ガス多成分組成観測装置 

(2) 火山灰自動採取・可搬型分析装置(11/8 設置済)

本観測装置(図3)は、火山灰の洗浄後、粒子の大きさを揃えた上で、一定時間ごとに火山灰画像の自動撮影・送信するものであり、マグマ由来粒子の検出や噴火活動の変化を評価する際に役立てることができます。

火山灰自動採取・可搬型分析装置
図3.霧島山(新燃岳)に設置した火山灰自動採取・可搬型分析装置

((3) 二酸化硫黄観測装置(11月中旬以降設置予定)

本観測装置は、火口から噴出された上空に漂う二酸化硫黄量をリアルタイムで計測するものであり、二酸化硫黄量の連続的測定値は、火山活動に応じた噴煙規模変化の検出や火山活動の変化の評価に役立てることができます。

(4) 火山ガス・火山灰等の観測データの共有・利活用システム

今回設置した観測機器により取得されたデータを、すでに火山監視に利用されている地震計や傾斜計など他の火山観測データと併せて、リアルタイムで表示するシステム(図4)を防災科研のサーバー上に構築するものです。インターネットにより各種データをどこからでも、俯瞰的に閲覧・把握することを可能にします。

利活用システム
図4.利活用システムのキャプチャ画像

参考:噴火活動経緯と現在の状況

10/5   火山性地震・地殻変動の活発化により、火口周辺警報が発表され、噴火警戒レベルが1(活火山であることに留意)から2(火口周辺規制)に引き上げられた。

10/11   新燃岳山頂から噴火し、火口周辺警報が発表され、噴火警戒レベルが2から3(入山規制)に引き上げられた。

10/15  火山ガス(二酸化硫黄)放出量の急増により、火口周辺警報が切り替えられ、警戒範囲が概ね2kmから3kmの範囲へ拡大された。

10/31  噴火活動が17日以降発生していないこと、火山ガス(二酸化硫黄)放出量が減少したことなどから、火口周辺警報が切り替えられ、警戒範囲が概ね3kmから2kmの範囲へ縮小された。

11/9(現在)  火山体直下での地震活動は引き続き発生しており、深部の地殻変動も持続していることから、今後も火山活動の推移に注意が必要な状況が継続中である。

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